二次創作小説(紙ほか)
- ターン66:開幕、鎧龍サマートーナメント! ( No.198 )
- 日時: 2013/10/23 13:11
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: wJNgr93.)
『これより、鎧龍サマートーナメントを開始します!!』
アナウンスの言葉で、会場は興奮に包まれた。有志のチームで行われる、このトーナメントは毎年毎年、見るものや戦うもの、両方が楽しめる。基本、ルールは殿堂レギュレーションで行われ、先に2勝した方が勝利という、簡単なルールだ。
さて、控え室1ではヒナタ達のチーム、”レイジオブ・アゲインスト”がミーティングをしていた。このチーム名は、天川とヒナタが考案したもので、意味は”無法者の反逆”ということらしい。転校してきたばかりのキイチは、まだ雰囲気に馴染めてなかったが、ヒナタ曰く、「じきに慣れるだろ。」ということだ。しかし、辺りを見渡すと色々なチームがいた。
「今回、本戦まで勝ち抜いてきたのは、オレらを含めこの22チーム。ランダムだったとは言え、シード権を獲得できなかった俺たちは、合計5回勝ち抜かないと優勝できない。」
トーナメント表を見ながら、キイチは呟いた。実は、参加チームが多かった為、昨日予選があったのだ。しかし、ヒナタたちはそれを簡単に突破してみせた。シード権を獲得し、さらに相手が同級生ばかりだったからだ。それもあり、ヒナタは言い切ってみせた。
「なーに言ってんだ!”5回もデュエマできる”の間違いだろ?シード権を獲得できなかったということは、予選の時より、それだけいっぱいデュエマできるってことだろ?」
という言葉で。ヒナタらしい言葉だった。コトハも、頷いてみせる。
「アンタらしい、率直な意見ね。」
「だろォ?」
得意げに笑みを浮かべたヒナタ。しかし、次の言葉でそれは崩された。
「だけど、同時に軽率でもあるわ。」
「はぁ!?」
「次の相手は、いきなり2年チームよ。大丈夫なの?」
「うっ・・・・・・。」
確かに、そう言われて言葉を失った。当然、上級生の方が経験も豊富で、S・ポイントにより、手に入れたレアカードも多い。
「さらに、今回は後期課程・・・・・・つまり、高校の面々も参加しているから、気が引けないわ。」
「そーいうことだッ!!」
大きい声が聞こえた。振り向くと、いつかの銀髪の少年、封李だった。
「封李さん!久しぶりです!」
「ヒナタ。俺には敬語よせって、言っただろ?」
「だけど尊敬する人には、あんまり気が引けるんだよなぁ・・・・・・タメ口は・・・・・・。」
すると、封李は1枚のカードを弾く。同時に、ヒナタのデッキから「ポンッ!」と音がしてカードが出てきて、ドラポンが実体化した。
そして、封李が弾いたカードからは、カツドンが現れた。
「今度こそ、決着付けるっちゃ!」
「望むところや!」
ライバル同士の2体は、拳を優しく交わし、カードに戻った。封李は、不敵な笑みを浮かべると、
「言っておくが、俺のチームと当たるには、準決勝まで上がってこないと不可能だ。良いか?ぜってー、俺たちと当たるまで負けんじゃねーぞ!」
「もちろん!」
ヒナタは自信満々で返してみせた。そして、封李は去っていった。今度は、天川が口を開く。
「さて、シント君も今回、トーナメントに参加しているけど、シント君たちのチーム・・・・・・”D・クラッシャーズ”に当たるには、決勝まで勝ち抜かないといけない。」
「へへへ・・・・・・上等じゃないですか!みんなぶっ倒して、このチームでてっぺんを取る!!」
デッキを高らかに上げて宣言するヒナタ。それを見て、コトハは少し微笑んだ。だが、同時に少し顔を曇らせた。
(あのバカ兄貴のチームは・・・・・・多分、2回戦で当たるわね・・・・・・。)
所変わり、2日前。茅山リョウは実体化し、暴走していたクリーチャーを相手に、決闘空間で激闘を繰り広げていた。相手は、人型。弓矢を構えた騎士のようなアウトレイジだった。
「《全力艦長 イカリ》でシールドをブレイク!《ヴェルネライト》で最後のシールドをブレイク!!《アイアンローズ》でダイレクトアタック!!」
しかし、自身の切札をフル活用して勝利してみせた。リョウの手元にカードが渡る。空間は解除され、元の場所に戻っていた。
「ふぅ、一件落着か・・・・・・。」
そう呟く。すると、1人の少女がこちらへ駆け寄ってくるのが見えた。その少女の苗字を思わず呟く。
「月夜野・・・・・・さん?」
「茅山先輩。実体化したクリーチャーが暴れていなかったですか?」
「ああ、それならもう倒して僕がとっ捕まえたよ。名前は・・・・・・《驚異的陣形 アレキサンドライト》か・・・・・・。」
それを聞いて、安心の顔を見せるシオ。すると、シオも1つのカードを差し出した。
「実は先日、このカードも実体化して暴れていて・・・・・・近づいたところ、デュエマを挑まれたんです。《奈落の葬儀人 デス・シュテロン》のカードです。」
「こいつもか・・・・・・。どうやら、他のカードには無い力を感じる・・・・・・。」
「イエス。オールライト。まさしくその通り。それらは、文明代表の強力なカードだ。」
ふと後ろを見る。するとそこには、学年一のエリート。エル・ヴァイオレットの姿が。
「わわわ!何で、学年一のエリートである君がここにいるんですか!?僕らに何か・・・・・・。」
「元はと言えば、お前たちと”サマートーナメント”のチームを組もうと思って誘いに来た。」
「ぼ、僕らと!?」
リョウは驚いて声も出ない。学年一のエリートがそう言っているのである。自分と組めと。
「理由は簡単だ。教団とやらに興味を持った。そして、文明代表のカードを所持しているユー達と組もうということだ。」
「教団!?一体なぜまた・・・・・・。」
「情けないことに、先日のことだ。教団と名乗る連中に勝負を挑まれてな。僕の”ゼンアク”も、このザマだ。」
エルは灰色になったカードを差し出して見せる。それは、変わり果てた”ゼンアク”のカードだった。
「最終的に倒したものの、奴らをデストロイしないと気が済まない。そいつから、文明代表のカードのことは聞き出した。肝心の暁ヒナタは、それを所持していないらしいからな・・・・・・。」
「教団が憎いのは、僕たちも一緒だ。君と組めば、なにか進展があるかもしれない。」
「同感です。これ以上、教団の犠牲者を出すわけには行かないです。」
こうして、今まで接点のなかった3人の決闘者は同盟を結んだのである。
『それでは、第一回戦を開始します!チーム”レイジオブ・アゲインスト”とチーム”バッドボーイズ”は試合会場にて準備をしてください!』
アナウンスが響いた。
「行くぞ!!」
ヒナタが、全員の士気を上げるように声をかける。始まるのだ。頂点を目指す戦いが、今。