二次創作小説(紙ほか)

ターン67:一回戦 ( No.199 )
日時: 2013/10/23 22:28
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

『まずは、先鋒戦を開始します!!』

 まずは、先鋒のキイチが指を鳴らしながらデュエルテーブルへ上がった。相手の少年は、結構大柄な二年生だったが、度胸と強さは他のメンバーに引けをとらない(特に度胸は)キイチの辞書に”臆す”という言葉はない。

「がんばれー!キイチー!」

 チームメイトの声援が聞こえる。好い加減なプレーは許されない・・・・・・と普通の人間なら考えるがキイチは違った。余裕を持て。敵を圧倒し、圧勝しろ。先人からの教えだ。そのためか、いつもの死んだような目を相手に向けた。余裕はある。そして、負けるつもりはない。

『制限時間は15分!先鋒、デュエマ・スタート!!』

 実況のアナウンスで、激闘の開始が告げられた。




「オレのターン、《戦慄のプレリュード》を唱えるぜ!場の《真実の名 アカデミー・マスター》の効果で呪文の効果をもう1度使用!」

 今回のキイチのデッキは、火・光・自然の3色アウトレイジデッキ。既に、場には《シャイニング・キンジ》が光臨しており、《キンジ》の効果でシールドが増えている。そのため、シールドは3枚だ。
 一方の相手のデッキは5色グッドスタッフ。現在のシールドは2枚。グッドスタッフデッキとは、単体で優秀なカードの組み合わせでできたデッキ、またはその構成のことだ。強力なカードをかき集めてデッキを作ったら強いだろう、という単純明快かつ真理に近い理論に従い構築される。当然、マナ加速やコスト軽減は入れないとデッキが動かなくなってしまう。常にデッキの方向性を見失わないようにすることが重要なのだ。

「そして、1マナで《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》を召喚!!」

「必勝」の頂 カイザー「刃鬼(ばき)」 ≡V≡  無色 (11)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター/ゼニス 14000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、相手のシールドを数え、その回数相手とガチンコ・ジャッジする。その後、こうして自分がガチンコ・ジャッジに勝った数、ハンターを1体、自分の墓地、マナゾーン、または手札からバトルゾーンに出す。
T・ブレイカー
エターナル・Ω

 《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》。自身のシールドの数だけ、ガチンコ・ジャッジを行い、勝った回数だけハンターを墓地、マナ、手札の公開ゾーンからバトルゾーンへ出す、勝利を呼ぶビクトリーカード。

「さあ、オレのシールドは2枚・・・・・・!これで十分だッ!ガチンコ・ジャッジ!」
「ふん、寄せ集めか。」

 出たカードは、相手がコスト12の《 GF隊総大将 無敵ング》、キイチがコスト4の《サンサン》だった。2回目。相手がコスト2の《フェアリー・ライフ》、一方のキイチがコスト5の《逆転王女プリン》だ。

「ふん、来てくれたか。《逆転王女プリン》の効果発動!《「刃鬼」》をタップだ!!」
「うぐっ!?」
「大方、マナゾーンの《永遠のリュウセイ・カイザー》を踏み倒し、《「刃鬼」》をスピードアタッカーにするつもりだったか。」

 ガチンコ・ジャッジにより、捲られた《プリン》の効果で、このターンの首は繋がった。しかし、

「ははははは!だが、《永遠のリュウセイ・カイザー》召喚!」

 それでも、出てこられたら厄介極まりない怪物、それが《リュウセイ・カイザー》だ。味方全員をスピードアタッカーにし、逆に相手クリーチャーは登場する際にタップして現れる。メリットの固まりともいえよう。

「ヒナタ。やばいんじゃないの?」
「ああ、ここでこの状況は、はっきり言ってまずい。こいつが出た以上、安全とは言えない。」
「だけど、キイチ君には、まだ手札があるよ?」

 天川は彼の才能を知っているからか、そう言い切れた。

「さあ、《リュウセイ》で《キンジ》を破壊だ!!」
「ドロン・ゴー発動!《キンジ》を手札の《キンジ》へ!」

 破壊されたが、ドロン・ゴーによって実質生き残ったも同然の《キンジ》。まだ、このカードがある限り、キイチは諦めない。

「俺のターン。呪文、《ロジック・サークル》。」

ロジック・サークル C 光文明 (1)
呪文
S・トリガー
自分の山札を見る。その中から呪文を1枚選び、相手に見せてもよい。その後、山札をシャッフルし、その呪文を山札の一番上に置く。

「効果で、《DNA・スパーク》を山札の一番上に。そして、《凄い守護 ヴェルネライト》を召喚。《キンジ》でW・ブレイク。」

 タップされてクリーチャーが出てしまった者の、これで、相手のシールドは0。しかし、

「《キンジ》の効果が発動!!山札2枚のうち、効果で、《DNA・スパーク》をシールドヘ!」
「げっ!?」

 《キンジ》の効果が発動し、S・トリガーが仕込まれてしまった。それも、《DNA・スパーク》が。

「コンボ発動。”ロジック・トレジャー”だ。」
「く、くそっ!!だが、どっちみちオレが勝つんだよ!!オレのターン!・・・・・・くそっ、手札がねえ!《リュウセイ》と《「刃鬼」》でてめぇのクリーチャーを全滅だ!!」

 破壊される2体のクリーチャー。しかし、

「ドロン・ゴー発動。《サンサン》をバトルゾーンへ。」
「う、うぐぐぐぐ!!」
「俺のターン。《サンサン》でダイレクトアタック!!」

 タブレット端末で観戦していた観客が、歓声を上げる。先鋒戦は見事、キイチが制した。





「よっしゃぁ!やったわね、キイチ!」
「ホントすげーよ!」

 チームメイトの2人が駆け寄ってきた。しかし、キイチはいつもの無表情な顔で言った。
「まだだ。次はコトハだな。ここで圧勝して、俺らの力を見せつけよう。」

 と。それを聞いて、コトハは

「うん、頑張る!」

 と答えたのであった。





「ちくしょぉ、先鋒戦が・・・・・・!つくづく役立たずな!だが、ここで勝って何とか・・・・・・!」

 相手はぼやきながら、カードを並べる。コトハもカードを並べ、手札を引いた。”圧勝”。その言葉を胸に。そして、戦いの開始を告げるアナウンスが響く。

『次鋒戦、開始!!』





 いつも通りのビート戦法で戦うコトハ。スノーフェアリーをサポート軸に、ドラゴンで攻めていく。場には《オーロラ》、《レヴィア・ターン》、《コッコ・ルピア》の3体。シールドは3。一方の相手はブロッカーデッキなのか、《先導の精霊 ヨサコイ》に《知識の精霊 ロードリエス》と、ブロッカーが目白押しだった。シールドは1枚だ。ただし、《無敵城シルヴァー・グローリー》が要塞化している。

「俺のターンだ・・・・・・!さあ呪文、《ヘブンズ・ゲート》を唱える!!」

 効果で、2体の天使が現れた。

「ハハハ!《偽りの名 オレオレ・ライオネル》に《偽りの名 オラオラ・レオーネ》召喚だ!」

 登場時のガチンコ・ジャッジで勝てば、ブロッカーをさらに呼び出す《オレオレ・ライオネル》に、攻撃を強要させる《オラオラ・レオーネ》がコトハを威嚇する。

「ガチンコ・ジャッジ!!」

 恐ろしいことに、相手はコスト6の《ヘブンズ・ゲート》、コトハはコスト5の《無双竜騎ミツルギブースト》だ。

「さあ、効果で現れよ!《覚醒の精霊 ダイヤモンド・エイブン》だ!!」

 とんでもないバケモノが現れた。ブロッカーの召喚酔い、攻撃できない効果を無効化する《ダイヤモンド・エイブン》だ。ここで、総攻撃を仕掛けられるのは目に見えている。

「さあ、《オレオレ・ライオネル》でW・ブレイク!!」
「あっ!!」

 トリガーなし、シールドは残り1枚。

「そして、《ロードリエス》で最後のシールドをブレイク!!」

 しかし、奇跡は起こった。この状況を一気に逆転するものが。

「S・トリガー発動!《超爆デュエル・ファイアー》でブロッカーを全破壊!!」


超爆デュエル・ファイアー P(UC) 火文明 (6)
呪文
S・トリガー
「ブロッカー」を持つクリーチャーをすべて破壊する。

 相手のクリーチャーは全てブロッカー。あっさりと場は更地に。

「アタシのターン!《オーロラ》で最後のシールドをブレイク!《レヴィア・ターン》でダイレクトアタック!!」

 決まった。土壇場の逆転勝利だ。

「そ、そんな・・・・・・コールド負けなんて・・・・・・!」

 相手チームは呆然としている。”圧勝”。その言葉の通り、チームで圧勝して見せた。大将のお世話にならずに、勝ち上がってしまったのである。

「よっしゃぁー!!まずは一回戦突破だぁー!!」
「やったじゃないか、コトハ君。」
「これで、無事。二回戦行きだな。」

 仲間が口々に、勝利をたたえた。まずは一勝。次の戦いはすぐに待っているが、まずは勝利を祝おう。そう思いながら。





「ふん、つまらない奴らでしたね。ジェイコフさん。」

 1人の少年がそう言った。ジェイコフはうなずく。同じく、コールド勝利したチームがあった。ジェイコフのチーム、”グレイブ・ジャッカル”だ。

「彼のおかげだよ。如月シュウヤ君・・・・・・。」

 ジェイコフが名前を呼んだ少年からは、強力なオーラを感じられた。その源は、彼が所持している無法のカードだった。