二次創作小説(紙ほか)

ターン68:シスコン兄さんにご用心 ( No.200 )
日時: 2013/10/24 00:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「勝ち抜けましたね!次の相手は?」
「またまた2年チームだよ。名前は、”グレイブ・ジャッカル”。」

 ヒナタの問いに、天川がそう応えた。そして、少し口角を上げた。

「そして、フジ君がリトルコーチを務めている。」
「武闘先輩が!?」
「そうだ。」

 クククっと天川が笑うと同時に眼鏡の光が反射し、光って見えた。本当にあの眼鏡どうなっているんだと。

「だけど、本当にやばいのは、如月シュウヤ。アタシのバカ兄貴よ。」
「なっ!?」

 コトハの発言に、またも驚くヒナタ。”バカ兄貴”という単語が気になったが、続けて問うた。

「んじゃあ、残りのメンバーは・・・・・・。」
「1人は、レイブン・ホワイティウス。弱いわけではないけど、特筆するほど強いわけじゃない。そして----------------------ジェイコフ・クライニューだ。」

 ヒナタとコトハの頭に衝撃が走る。以前、レンをその強力なコントロールで葬り去り、そしてヒナタを苦しめた、ロシア人の2年生。まさか、このチームに彼が所属していたとは。

「とにかく、勝つしかねえ!やるぞ!」
「「おおー!!」」

 とにかく、次のステージに進むには勝つしかないのだ。






「《シャイニング・キンジ》でダイレクトアタック!!」

 見事な一撃が襲い掛かる。先鋒戦はキイチの勝利と思われた。しかし、

「やれっ!ニンジャ・ストライク発動!《ハヤブサマル》でブロックだ!」
「くそっ!!」
「さあ、《鬼人形 ボーグ》でダイレクトアタック!!」

 少々油断したか。まさか、ここで外すとは思わなかったようだ。

「すまん。」
「なーに、気にすんな!次でコトハ、そして俺が勝てばいいんだから。」
「申し訳ない。」

 そして、ヒナタはコトハの方をふと見た。が、気づいたのである。彼女の頬が青くなっていることに。というか、顔が青くなっている。

「おい、顔色悪いぞ大丈夫か!?」
「へ、ヘーキよ!アンタに心配されるほどじゃないから!」

 そう言っているが、やはりおかしい。まるで、目の前の相手を恐れているように。そんなに怖い兄なのか。が、現れたのは、普通に痩せ型の少年だった。両者が、デュエルテーブルに並ぶ。ヒナタは次の瞬間、コトハの表情の訳を知った。

「ふっ、コト-------------------」
「バカ兄貴、早くデュエマするよ。」

 セリフを遮るコトハ。彼女が兄を嫌っていることはわかった。

「ちょっとまてよ!お兄ちゃんのセリフを遮っちゃ、ダメだと何回も言っただろ!?」
「うるさい。」

 その一言で片付ける。すると、シュウヤはヒナタの方を見た。

「コトハァー!!お前、お兄ちゃんという存在がありながら、ほかに男がいたのかぁー!!」
「はぁ!?」

 完全に彼の独断と偏見である。突如怒り狂い始めたシュウヤに、両チームはとまどってしまう。

「おい、落ち着けシュウヤ!」

 キイチと戦った少年、レイブンがシュウヤを宥める。しかし、

「るっせぇ!!てめぇは黙ってな!!」
「うわっ!!」
 
 それまでのキャラが一気に豹変した。何と、片手でレイブンの胸ぐらをつかみ、今にも放り投げようとしているではないか!

「ど、どんだけ力が強いんだよ!!」
「あんのバカ兄貴ィ!」

 それまでのやりとりから、ヒナタたちは直観した。「ああ、こいつ妹を溺愛しまくってるな」と。

「やめなさい、バカ兄貴!」
「ふっ、可愛い妹の言うことならば、何でも聞こうじゃないか。」

 そう言って、レイブンを放る。背中から彼は床に衝突した。

「だが、しかーし!!彼氏を作るのだけは絶対にゆーるーさーん!!もし、仮に出来たなら、そいつを滅殺、抹殺、爆殺するまでだぁー!!それも、1年坊主の暁ヒナタかぁー!!」

 何故、俺?何で俺殺されんの?そう疑問符を浮かべるヒナタを横目に、同じ疑問を兄、シュウヤに訴える。ちなみに、ジェイコフを以前倒したことで、ヒナタは学院ではちょっとした有名人になっている。顔と名前が知られていてもおかしくない。が、ここまで正確に判断できるのも考えものである。何故なら、シュウヤは学院中の男子の顔をチェックしているからだ。これは、もし誰かがコトハとくっついた際に、すぐに破局させるためである。とんだシスコンである。

「何でヒナタなのよ!他にも居るのに!」
「ふん、あの顔。グラサンも一丁前に付けて、見るからにお前を釣りそうな・・・・・・。」
「ヒナタはそんな奴じゃないッ!!」
「それなら、俺とデュエマで勝て。勝ったら、暁との交際を認める!」
「認めなくて結構です!!」

 赤面しながら、コトハは否定してみせた。とんだ恥さらしである。周りからはヒューヒューと野次が飛ぶ。当のヒナタも、流石に恥かきものだったのか、顔を赤くしていた。天川とキイチは只々、呆れていた。コトハの拳には、既に血管が浮かんでいた。

(この兄貴、絶対潰す!)

 そう考えながら。




 デュエマが始まった。現在、コトハの場には《コッコ・ルピア》に《魅了妖精チャミリア》、一方のシュウヤは《一撃奪取 ブラッドレイン》に《腐敗電脳ディス・メルニア》の2体を並べている。両者、まだ互いにシールドは5枚。

「さあ、俺のターン!《閻魔王子 クーマン》を召喚だ!!」

閻魔(ヘル)王子(プリンス) クーマン UC 闇文明 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 4000
このクリーチャーが攻撃する時、相手は自身の手札を1枚選び、捨てる。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「閻魔」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「クーマン」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。

 エグザイル・クリーチャー。それも、只者ではない。この時、コトハは悟っていた。このクリーチャーをむやみに破壊してはいけないと。

「さあ、覚悟しろ!お兄ちゃん以外の彼氏を作ったらどうなるか、覚悟しておけ!」
「だから違うってば!!」

 顔を真っ赤にして(怒りと恥じらいで)反論するコトハ。そして、対戦相手のシスコン兄貴。一体、このデュエマはどうなるのか!?