二次創作小説(紙ほか)

ターン71:大地王 ( No.208 )
日時: 2014/10/13 18:44
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)

「《ギーガ》でシールドブレイク!!」

 ドリルがブロッカーを貫通し、シールドを破壊する。
 ジェイコフのシールドゾーンにあったカードが1枚、吹っ飛ばされた。

「シールドなら、幾らでもあげるさ」
「っせェ、強がり言うなよ! 《ゼッツー》でもシールドを叩き割るぜ!」

 火の鳥が、翼に仕込まれた無数の弾幕を放つ。やはり、ホログラムで実体化しているように見えるこのフィールドでのデュエマは、決闘空間と同等のスリリングが味わえた。
 しかし。二度目の攻撃は通らない。

「《デ・バウラ》でブロック! 相打ちで破壊だね」

 やられた、とは言え相手のブロッカーを巻き添えに出来た。
 現在、ヒナタのシールドは5枚。場には《ギーガ》。マナは4。この手のデッキは手札を使いたくないので、手札からのマナ加速に対しては消極的だが、対照的に手札補充に対しては積極的である。
 一方のジェイコフのシールドは4枚で、場には《フランツ1世》が佇んでいる。マナは6。しかし、次のターンで7になる。

「ボクのターン! 《フェアリー・ギフト》から《メッサダンジリ・ドラゴン》を召喚だ!」

 現れたのは、結晶を額に埋め込まれた装甲竜(アーマード・ドラゴン)。虚しく咆哮をあげているのは、既にアンノウンの支配下に置かれているからか。

「そして、3マナで《セブンス・タワー》を使ってマナを更に増やす!
 この呪文は、メタモーフで自分のマナゾーンにカードが7枚以上ある場合、マナゾーンに3マナを加速できるのさ!」
「嘘だろ!?」

 ---------10マナもあったら、ゼニスだって普通に出せるぞ!? てか、あいつのデッキには《ウェディング》が入ってやがったな。

「ターンエンド」

 マナのアドバンテージで完全に差をつけられたヒナタ。今頃どうこうできるものではないが。

「俺のターン! 《ギーガ》から《カーリ・ガネージャー》に進化! 出てきたときに手札を増やして、更にW・ブレイク!」
「S・トリガー発動だ」

 割られたシールドが収束する演出が出た。
 次の瞬間、ジェイコフのマナゾーンからカードが1枚シールドに置かれる。

「《深緑の魔方陣》でマナゾーンから《深緑の魔方陣》をシールドへ!」
「えっ!? 確かそいつは、マナからシールドを増やすカード……てことは、次のターンも繰り返しってことか!?」

 しまった。コンボで、次のターンもこの方法で凌がれてしまう。

「ターンエンド……」
「まだまだ終わらないよ!? 僕のターン、カンタンに君の手札から切札を消す方法がある。《真実の名 ワーグナー》召喚!」



真実の王(トゥルーキング) ワーグナー SR 水文明 (9)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/アンノウン 12000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から呪文をすべて自分の手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番上に戻す。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の手札から呪文を1枚、コストを支払わずに唱えてもよい。
T・ブレイカー


 
 現れたのは呪文を司る王龍。水文明の強力なキング・コマンド・ドラゴンだ。その強力さはアタックトリガーで呪文を手札から唱えられること、そして自身の登場時効果でその呪文を調達できることにあるのだ。

「《ワーグナー》の効果で、山札から3枚を公開。そして、呪文である《ミステリー・キューブ》と《ロスト・ソウル》を手札に」

 真実の力を持つ王龍はドラゴンたちに、自由を約束した。ここでゼニスではなく、有色のキング・コマンド・ドラゴンが出てくるとは思わなかったが、妥当だろう。

「《メッサダンジリ・ドラゴン》の効果発動! アンノウンはスピードアタッカーに! 《ワーグナー》で攻撃して《カーリ・ガネージャー》を破壊だよ!」

 王竜の槍が《カーリ・ガネージャー》を貫く。同時に知識への門が開き、新たな呪文を開発した。

「《ワーグナー》の効果発動! 自分の手札から呪文を1枚、コストを支払わずに唱えても良い! 《ロスト・ソウル》で手札を全部ハカイだよ!!」

 ヒナタの手札が一気に弾かれた。

「ターンエンドだよ」

 まずいことになった。
 ビートダウンデッキは、自身の最高パワー以上の大型クリーチャーが出てくると、よほどではない限り、突破が難しくなる。
 しかし、アウトレイジには強力な能力を持つクリーチャーが非常に多い。

「コントロールって、長引くと厄介ですよね」
「なーに。《百万超邪 クロスファイア》が来れば大概のクリーチャーは倒せるっしょ」

 キイチの反応は冷めたものだったが、最後に一言付け加えた。


「ま、来ればの話っすけどね」


 と、それと同時にヒナタが頭を抱えているのが見えた。

「馬鹿なァー!! 《クロスファイア》がねえええ!!」
(このバカ、ここでやるか!?)

 観客の愉快な仲間達は思いっきり突っ込んだのだった。
 墓地の一番上には、《クリスタル・メモリー》。墓地のクリーチャーが6体以上揃ったためか、《クロスファイア》をサーチしようとしたのだろうか。

「アレ? どうしたんだい、ヒナタ君」
「るっせぇ! 《パルサー》召喚、手札を入れ替えてターンエンド!」

 まずいことになった。デッキに《クロスファイア》が入っていない。最悪、シールドに入っているという可能性もあるが、脳内ババロアのヒナタにそんなことを考えている由もなく。
 徐々に、追い詰められていくのだった。