二次創作小説(紙ほか)

ターン73:驚異的かつ脅威的な陣形 ( No.210 )
日時: 2013/10/26 12:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「準々決勝の相手が決定した。相手は、”エヴォルブ・タイフーン”だ。」

 天川は、ヒナタたちにそう告げた。さらに、

「驚くことに、1年生では、右に出るものは、ほとんどいないと言われる、敗率0%のダークホース。エル・ヴァイオレットが大将だ。」
「エルか・・・・・・。」

 エル・ヴァイオレット。アメリカ出身のデュエリスト。しかし、入学以来、一度も負けたことがないのだ。一度、ヒナタも勝負したが、後ギリギリのところで敗北したのだった。

「ただ、今のところ、先鋒と中堅の茅山リョウと月夜野シオが一方的に相手をねじ伏せているせいで、エル・ヴァイオレットが使用しているデッキがわからない。」
「リョウとシオ!?」

 コトハとヒナタは、同時に声を上げた。

「何だ。知り合いかい?」
「知り合いもなにも、クラスメートですよ!!」

 そうなると、かなり厄介だ。両方共、かなりの実力者だからだ。

「じゃあ、ビデオをみようか。一回戦と二回戦の映像を撮ってるんだ。」

 天川は、デジタルカメラを起動させる。





「・・・・・・成る程な・・・・・・。」

 それを見終わった後、ヒナタたちはミーティングを再開した。

「両方共から妙な覇気を感じられるんだよな。」

 ヒナタはそう言った。他の面々も同じだった。恐らく、考えられる要因はただ1つ。文明代表、及び代行のカードを所持している可能性があるからだ。サンサンとドラポンも、何か感じているらしい。しかも、今のところまだ、1回もバトルゾーンに現れていないのにも関わらず。

「映像からも伝わる覇気・・・・・・これは、間違いなく《アレキサンドライト》っちゃ!」
「そして、底無しの闇のオーラは、《デス・シュテロン》のものッス!」

 ならば、確定した。しかし、疑問が残る。

「毎度、思うんだがよ。何で、闇文明の長の代行が、《デス・シュテロン》なんだ?」
「ペット。」

 キイチが一言呟いた。

「へ?」
「だから、《デス・シュテロン》は端的に言えば《不死帝》の飼い犬なんだよ。《デス・シュテロン》は、どっちかというと犬みたいだろ。つまり、《不死帝》の収める闇文明の本拠地、”ブリティッシュ・パビリオン”の番犬だ。よく、神話に出てくる、地獄の番犬のケルベロスみてーなもんだ。」

 まあ、全部サンサンから聞いたんだけどな、とキイチは付け加えた。《不死帝》の番犬・・・・・・そう思ったら、納得できた。

「そもそも、《ブリティッシュ》が人間界にいる以上、《デス・シュテロン》が務めるしかなくなった。ただ、これだけは覚えておけ。いくら番犬といえど、《デス・シュテロン》は番犬にするには勿体無い程の知能と統括力を持つ。それでも、飼い主の《不死帝》には忠実で従順なんだがな。」

 従順かつ、超強力。だからこそ、《不死帝》が代行を務めさせたのだろう。




『それでは、準々決勝を始めます!!まずは先鋒、槙童キイチ選手対、茅山リョウ選手ッ!!』

「互いに全力で頑張ろう。」

 そう言って、リョウはキイチに手を差し出す。が、キイチはそれを手で払った。

「何するんだ!」
「勝負という以上、俺は容赦しない。馴れ合いはゴメンだ。」
「・・・・・・君とは仲良く出来そうにないね・・・・・・!」
「同感。」
 
 キイチはそう呟く。馴れ合いとは、キイチが一番嫌いなことである。普段不真面目な彼が言っても、全くを持って説得力がない。が、勝負という以上、互いがキリキリしたムードで行う。その上で、相手よりも余裕を保てるかが勝利への道しるべ。

『試合開始ッ!!』

「「デュエマ・スタートッ!!」」




 現在、キイチの場には、《ヴェルネライト》に《アレフティナ》。そして、前のターンに《緊急再誕》で《サンサン》を破壊し、バトルゾーンへ現れた《キンジ》だ。シールドは3枚。一方のリョウは、《正々堂々 ホルモン》に《驚異的存在 カニス》の2体だ。シールドは《凄い守護 ヴェルネライト》のシールドも含め、3枚。

「さあ、僕のターンだ!《無敵城シルヴァー・グローリー》を要塞化!そして、《カニス》で《アレフティナ》、《ホルモン》で《キンジ》を破壊!!」
「ちっ、してやられたな。」
「ターンエンドだ!」

 ブロッカーはいないはずなのに、攻めきれない。これがリョウの戦法、攻撃的防御陣形だ。

「ふん、俺のターン。《無重力 ナイン》召喚。ターンエンドだ。」

 かなりまずい状況である。遡れば、あの《シルヴァー・グローリー》が原因だ。さらに、リョウは猛追をかける。

「僕のターン!攻撃性と防御性を併せ持つ、盾の力!あらゆる敵を、その弓矢で撃ち抜け!光文明の長、《驚異的陣形 アレキサンドライト》を召喚だッ!!」

脅威的陣形(アメイジングアロー) アレキサンドライト SR 光文明 (6)
クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から6枚を見る。その中から「シールド・ゴー」を持つカードを1枚表向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。
W・ブレイカー
「シールド・ゴー」を持つカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、バトルゾーンにある自分のアウトレイジはすべて「ブロッカー」を得る。

「ほほう・・・・・・!!本格的にヤバくなってきたじゃねえか!!」

 流石のキイチも、文明代表を目の前にして焦っている。が、同時にヒートアップしてきたのである。
 《アレキサンドライト》は、シールド・ゴーを持つカードをシールドに表向きで加える能力と、シールドにシールド・ゴーがあるならアウトレイジをブロッカー化する能力を持つ。2つの能力はシナジーしており、前者の能力で手に入れたシールドを、後者の能力で守れるのである。
 
「効果で、《イカリ》をシールドへ!そして、アウトレイジ全員をブロッカー化!!ターンエンド!」
「成る程・・・・・・だけど、俺だって負けてられねえ!!俺のターン!《グローバル・ナビゲーション》で《カニス》をマナ送りにし、《R.S.F.K》を手札に!」

 敵の場には、不敗のブロッカー。しかも、シールド・ゴーによってかなり強化されている。キイチに勝機はあるのか!?