二次創作小説(紙ほか)
- ターン78:因縁の2人 ( No.219 )
- 日時: 2013/11/03 18:16
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
ここで状況を整理しよう。ヒナタのシールドは残り2枚。一方のエルは1枚。クリーチャーは、ヒナタが《キャロル》1体。対し、エルも《百発人形マグナム》1体のみ。しかし、決定的な違いがあった。
それは、クロスギアの有無である。現在、《オール・イエス》をクロスしている《マグナム》はブロッカーを得ている上に、パワーは8000。仮に《5000GT》を出しても焼くことはできないし、攻撃したとしてもS・トリガーで反撃されるだけだ。現に、エルのシールドは、シールド・プラスで二重になっている上に、既に《デス・ゲート》を仕込まれている始末だ。
「ターンエンドだ・・・・・・!」
「ミーのターン。《腐敗聖者ベガ》召喚。効果で、シールドを増やして、ユーハンドァ、デストロイ!!」
手札が落とされた。さっきからずっと握っていた《5000GT》が落とされる。
「《5000GT》か・・・・・・そんなキーカードを握っていたとはね・・・・・・。バット、ハンドから落とせば意味はない。」
「くっ俺のターン!呪文、《支配からの開放》で《ベガ》を破壊!捨てる手札はもうないぜ!んでもって、《ギーガ》召喚!そして、《キャロル》で攻撃!」
捨て身の特攻。当然、《マグナム》でブロックされて破壊される。が、自身の効果により、手札に戻った。
「ターンエンドだ!」
「ミーのターン。《アクア・スーパーエメラル》召喚。シールドを入れ替える!そして、《プライマル・スクリーム》で墓地を4枚貯めて、1枚サルベージする!」
効果により、さっき《ベガ》で追加されたシールドが入れ替わった。しかし、攻めなければ突破できない壁も時にあるのだ。
「俺のターン!とりあえず、こっちも《アクア・スーパーエメラル》召喚!んでもって、《ギーガ》でシールドブレイク!!」
迷わず、シールド・プラスで強化されているシールドを撃った。ここで《デス・ゲート》が発動しても不発で終わるだけだ。しかし。現実は甘くなかった。
「S・トリガー発動!《インフェルノ・サイン》で墓地からミーのマイキーカードを呼び出す!」
亡者を呼び覚ます悪魔の炎陣。自分も使っていたから良く分かる。次の瞬間、戦慄が走った。
「魔国の女皇よ。絶対王政の統治を引き、支配せよ。そして、亡者をこの世に再び呼び覚まさん。悪魔の契約をここに!サモンディス、《暗黒皇女アンドゥ・トロワ》!!」
暗黒皇女(あんこくおうじょ)アンドゥ・トロワ R 闇文明 (6)
クリーチャー:ダークロード 4000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト1のクリーチャー、コスト2のクリーチャー、コスト3のクリーチャーをそれぞれ1体ずつ、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
現れたのは、一国を闇で支配する女帝。しかも、悪趣味なコレクションに定評のある《アンドゥ・トロワ》だ。
「そんな定評があるかはドントノウだけど、現れよ!歴戦の勇者よ!墓地から再び眠りを覚ましたまえ!《死神術士デスマーチ》、《学校男》、そして《終末の時計 ザ・クロック》をリアニメイト!!」
効果により、3体の亡者が生き返った。《アンドゥ・トロワ》の効果は墓地から、コスト1,2,3のクリーチャーをそれぞれ一体ずつリアニメイトすること。しかも、この手の能力にある文明縛りや進化縛りがなく、コスト1,2,3ならば何でも出せるのだ。
「そして、《学校男》の効果で《マグナム》と《デスマーチ》をデストロイ!」
まずいことになった。《学校男》は2マナにもかかわらず、パワー8000のW・ブレイカー。その分、登場時に自分のクリーチャーを2対破壊しなければならないという制約がついている。しかし、それを利用して、自分の《マグナム》を破壊することで、リターンを最小限に抑えたのだ。
「さあ、ミーのマイターン!まず、もう1体の《デスマーチ》を墓地進化でサモン!そして、今引いたスペルカード、《DNA・スパーク》でユーのクリーチャーを全部タップ!そして、効果でシールドを追加!《クロック》で《スーパーエメラル》を破壊!《デス・マーチ》で《ギーガ》も破壊!《学校男》でシールドをW・ブレイク!」
シールドが叩き割られた。
「これで、ジ・エンドだ!!」
「わりーな、エル。デュエマは最後まで、何が起こるか分からねーぜ!!S・トリガー、W発動だ!!」
反撃。これこそ、デュエマの醍醐味にして最大の要素。
「まずは、1枚目!《極楽!オンセン・ガロウズ》召喚!へへへ、《クロスファイア》と間違えて入れたのが、逆に役立ったぜ!こいつの1つ目の能力で、水のマナが3つ以上あるからS・トリガーに!んでもって、2枚目!さっき仕込んだ、こいつだ!《終末の時計 ザ・クロック》で、時間を止めてターンを飛ばす!!」
「くっ・・・・・・!!この期に及んで・・・・・・!!」
そして、ヒナタのターンに。エルのシールドは、まだ2枚。油断はならないが、ヒナタは勝利を確信していた。さっきのターンで、エルは手札を使い切った。つまり、エルにはもう、反撃の手段がS・トリガーしかない。しかも、それを封じる方法さえも、ヒナタはもう用意しているのだ。
「俺のターンだ!もう一回、《演奏と水剣のLIVE》でパワー3000以下をすべて殲滅!ブロッカーはこれで、全員破壊だ!んでもって、《オンセン・ガロウズ》で攻撃!おっと。ここで、こいつの2つ目の能力が発動!」
ここで《ガロウズ》の効果が発動。通常はパワー4000の雑魚だが、このクリーチャーは2つ目の能力を同時に持ち合わせている。
「こいつは、火のマナが3つ以上ある場合、パワー8000のW・ブレイカーになる!!」
「な、馬鹿な!!」
パワー8000のW・ブレイカー。つまり、エルのシールド2枚をすべてブレイクできる。
「おおお!土壇場でアレを召喚するなんて!」
「しかも、あのエルを圧倒しているぞ!!」
「あの、1年すげーじゃねーか!!」
周りからは歓声が上がる。しかも、天川でさえも
「この勝負、あったね。」
と、言い放つ。
「へ?どうしてですか?」
「コトハ。《ガロウズ》の3つ目の効果を知らないのか?」
現在、ヒナタのマナは7つ。それら全てが、水か火。そう、これが《ガロウズ》の3つ目の効果のトリガーだ。
「そして、シールドをW・ブレイク!!ここで、《ガロウズ》の3つ目の能力が発動!自分のマナゾーンに水または火のカードが合計7枚以上あれば、このクリーチャーは「このクリーチャーがシールドをブレイクする時、そのシールドをかわりに持ち主の山札の一番上に置く」を得る!!つまり、エルはS・トリガーは使えねえ!んでもって、手札がねえから、ニンジャ・ストライクも使えねえ!!」
極楽!オンセン・ガロウズ SR 水/火文明 (7)
クリーチャー:サイバー・コマンド/フレイム・コマンド/エイリアン 4000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分のマナゾーンに水のカードが3枚以上あれば、このクリーチャーは「S・トリガー」を得る。
自分のマナゾーンに火のカードが3枚以上あれば、このクリーチャーのパワーは+4000され、「W・ブレイカー」を得る。
自分のマナゾーンに水または火のカードが合計7枚以上あれば、このクリーチャーは「このクリーチャーがシールドをブレイクする時、そのシールドをかわりに持ち主の山札の一番上に置く」を得る。
「シット!!今まで、そのカードを使う相手には勝っているのに、今日に限って仇になるなんて・・・・・・!!」
シールドが割られると同時に、山札の一番上へ送られた。そして--------------------------
「《クロック》で、ダイレクトアタック!!」
歓声と共に、勝負は決まった。周りからは、「エルが負けた!」や「あの1年坊主が勝つなんて・・・・・・!」など、意外そうな声が聞こえる。しかし、エルは勝負の結果に不服は無かった。
「ミーの完全な敗北だ。」
そう言って、手を差し出す。それも、あまり人前では見せない笑顔で。
「い、いやぁ・・・・・・こっちも、何かミラクルが起こったつーか、なんていうか・・・・・・でも、楽しかったぜ!!」
「次は絶対勝つ。ミーが。」
「いーや、次も俺だ!」
しかし、
「いや、次に勝つのはミーだ!」
「なわけねーだろ、100パー俺だ!」
「ミーだ!」
「俺だ!」
「ミーだ!」
「俺だ!」
口論が始まった。それを見ていたコトハは呆れる。
「あーあ、男子ってホントに馬鹿。何で、どいつもこいつも、こう、すぐに喧嘩になるのかしら?」
「君の言うとおりだ。」
クスッと、天川は笑った。「だけど------------」と続ける。
「そのバカが、天才を超えることだって、世の中にはあるんだ。世の中全部を数式で表せるとは限らないから。」
「まっ、そうっスね・・・・・・。」
キイチも納得したようにため息をつく。そして、今はこの、口論している2人が輝いているように見えた。