二次創作小説(紙ほか)

ターン81:復活の祭壇 ( No.222 )
日時: 2013/11/03 13:09
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「レ、レン--------------------------------------------!!」
「逃げるんだ、ヒナタ!!」

 直後、服を強く引っ張られた。体が倒れる。慌てて、相手を確認しようとするヒナタ。しかし、倒れたままで引きずられている所為か、ブレて確認できない。

「うわわわわわわわわ!!」

 しかし、どんどん増えていくクリーチャー。それも、ゴッド・ノヴァやオラクリオンばかりだ。その中でも、一際目立っているオラクリオン。それは、口から、まるでどこぞの大魔王のように、クリーチャーを吐き出している《神聖麒 シューゲイザー》だ。それも、小型のクリーチャーばかりだ。《アクア・ハルカス》や《インガ・ルピア》、《クルトSP》なんかが次々に呼び出されている。否、吐き出されていると言ったほうが正しいであろう。
 だが、ヒナタにそんなことを知る由等、無かったのである。理由は簡単だ。引きずられている間に、階段や床で頭や背中を打ちまくり、意識は既に吹っ飛びそうだったからである。

「ひゅー、ここまで来れば大丈夫だろ。」

 体が止まった。そして、ようやく起き上がれた。相手を見上げる。特徴的な銀髪が目に映った。

「ん・・・・・・?封李さん!?」

 階段で頭や背中を打って、体が痛い。どうやら、地下室らしい。いつの間にか、体は止まっていた。そしてヒナタは、自分を引きずっているのが封李だと分かった。

「あんた何するんだ!!俺を引きずって・・・・・・!つーかすげーな!!」
「つーか、体打ちまくって気絶してないお前の方がすげーよ。」

 封李は呆れたように言った。ヒナタは体の丈夫さでは、誰にも負けない自信がある。その上、コンピュータなども扱える素晴らしい頭を持っている(本人談)。しかし、勉強はできない。
 見上げると目の前には、とても大きな扉がすっかり破壊されていた。中から崩れている。既に、クリーチャーの攻撃を受けたあとだったか。

「何だこれは・・・・・・。」
「鎧龍決闘学院が、何故このような名前かわかるか?」

 封李は突然切り出した。

「えっ?何故って・・・・・・。」
「これは、校長から聞いた話だが、大昔の伝説だ。昔、この地に龍が舞い降りた。その龍は、勝利と富をもたらす力を持っていた。人間からは尊まれ、共に共存していた。だけど、人間がその力を戦争に使うようになると、怒りで四方八方を焼き尽くしてしまった・・・・・・という話だ。」
「その伝説なら、俺も聞いたことがあります!!」

 ヒナタは、そう答えた。それもそのはず、この地域でずっと語り継がれている伝説だ。

「だがな。これには続きがある。怒り狂う龍を前に、ある日。1人の巫女が立った。そして、言った。この身を貴方に捧げます。その代わり、暴れるのをやめてください、と。その女は、自分から龍の生贄に進み出たんだ。だが、元は優しい龍は、巫女を殺すことができなかった。だから、その怒りを落ち着けてこういった。貴様に免じ、我は眠りにつこう。だが、次に戦乱があればわれは目覚め、神と共にこの地を焼き尽くす、とな。その龍と一致するクリーチャーが存在する。それが、この扉の先にある”復活の祭壇”に祀られている、《ボルメウス・サファイアドラゴン》だ。」

 クリーチャーとは、大昔から存在したらしいぜ。そう、彼は付け加えた。ならば、教団はその力を悪用しようとするだろう。

「2人とも、やはり来ましたか。」

 年老いた老人の声がした。振り向けば、いつの間にか老人---------------------校長が立っていた。

「待っていましたよ。まず、1つだけ言えるのは、既にこの先の祭壇も教団の手にかかっていることデショウ。」
「チッ、遅かったか!!」

 ヒナタは下を鳴らす。

「ですが、伝説には天から舞い降りた龍が一体だけとは一言も書かれていないのデス。」

 その言葉で、2人はハッと顔を見合わせた。

「もう1体の伝説の龍。その名は、《ガイアール・カイザー》。」
「「《ガイアール・カイザー》!?」」

 聞き覚えのある名前。校長は、1つのカードを見せた。

ガイアール・カイザー  ≡V≡  火文明 (8)
サイキック・クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 6000
スピードアタッカー
自分のシールドがブレイクされる時、そのシールドを見る。手札に加えるかわりにそれを自分の墓地に置いてもよい。そうした場合、こうして墓地に置いたカードのいずれかと同じコストのハンター・サイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。
W・ブレイカー

「ですが、これは本物ではない。デュエル・マスターズのカードとは、古のクリーチャーを模して作られたものデス。しかし、中には古のカードがそのままフリーズされ、現存するものもあるのデス。」
「じゃあ、それがこの学園のどこかに!?」

 ヒナタは思わず叫んだ。

「君たちのうち、どちらかが手にすることになるデショウ。神をも打ち破る力を秘めた、龍を。」

 2人はかたずを飲む。校長は、「着いてきなさい」というと、1枚のカードを取り出す。次の瞬間、床に大穴がくり抜かれた。

「この先デス。覚悟はおアリですか?」
「俺はもう、逃げるわけにはいかない!」
「言われなくとも。」

 2人は頷くと、校長とともに穴へ入っていった。

「って、ちょっと待て!!階段もなにもねーじゃんか!!」
「当然デス。落ちていくのデスカラ。」
「ほら、行くぞ。よっ。」

 ヒナタの目の前から、校長と封李が消える。ヒナタは、数秒経ったあと、決心がついたのか、絶叫しながら、穴の先へ吸い込まれていった。