二次創作小説(紙ほか)
- エクストラターン0:キー・メモリアル ( No.246 )
- 日時: 2013/12/14 23:53
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
零皇崎封李は、退屈していた。以前のような教団の脅威が去り、学園にも街にも、世界にも、平和の一色となった。残ったのは、激闘を共に戦った、クリーチャーたちのみ・・・・・・。
「なーに、冴えん面しとんのや!!」
ダミ声が響いた。相棒のカツドンが、こちらを覗き込んでいる。封李はため息をつくと、
「暇なんだよ。」
と返した。仲のいい後輩共々(特に1年の)は研修合宿だとか言う訳のわからない何かに行っており、相手をしてやることもできないのである。
何時もの如く授業をサボり、屋上で寝転んでいた封李は、
「たーいくーつだなぁー、たーいくーつだなぁー、暇の一色たーいくーつだーい。」
と、訳のわからない歌を歌っていたのだった。
「ギヒャヒャヒャヒャ・・・・・・。」
銀行の前に、1人の男がサングラスをかけてニヤニヤ笑っていた。そして、1枚のカードを取り出す。
「0・メモリー、起動・・・・・・。召喚されよ、《ジャッキー》!!」
そう叫んだ途端、カードから一陣の光が飛び出し、扉を貫いた。直後、銀行は火を噴いた。悲鳴を上げて多くの人が飛び出してくる。そんな中、何も知らねえよと言わんばかりに男は、駆けてくる民衆とは逆の方向----------------そう、銀行へ向かっていたのだった。
『アウトレイジを逆に利用するとは、貴様も考えたものだな。』
『フッ、そういうことだ。何時の時代も、人間共が恐怖と絶望にかられ、支配される姿を見るのは、いいものだな。あの人間の欲望が、良い器になってくれた。』
そして、2つの影が、その光景を見つめていたのだった。
同時刻。
「あ”〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。カツドン、何秒だ?」
「14秒・・・・・・ってアホ!!何だらけとんのや!!」
その時だった。カツドンは、頭に何かが走っていくのを感じた。脳裏に、遠くの光景が浮かぶ。自分と同じ鼓動を持つもの-------------アウトレイジの気配でも感じたのか。しかし、ただの気配ではなかった。とても強大で、他には感じない程の。
そして、もう2つ。凶悪な気配。
「ジャ・・・・・・。」
「は?」
「ジャッキーはん!?」
カツドンは突如、大声を上げた。封李は起き上がる。
「一体何だ?」
「恐ろしや恐ろしや・・・・・・桑原桑原。」
「何なんだよ!!」
ガタガタ震えだしたカツドンへ怒鳴る封李。カツドンは、真っ青な顔で答えた。
「ヤバイわ・・・・・・ジャッキーはんが目覚めおった!!」
「ジャッキー飯?何だそりゃ。天津飯の亜種か?そんな食いもん--------------」
「ある訳無いやろ!!アウトレイジや!!それも、強大な!!数億年前のオラクルとの戦争の時、自身の体を犠牲にしてオラクル最高幹部、2人の神官を止めたんや!!やけどな!!そんときに、0・メモリーとして眠りに就いたんや。」
『その通りだ。』
声が聞こえた。思わず、その方を向いた。見れば、それは男だった。しかし、その姿は遠い時代に”神官”と呼ばれた職種の人間に近かった。
「な、なんだお前は!!」
『我が名は、《マントラ教皇 バラモン》。ヨミによって封印されていた、オラクルを先導する者だ。』
「バラモン!!なんでお前がおるんや!!」
カツドンは、バラモンと名乗る男に向かって怒鳴った。
「私はな。世界に再び恐怖と絶望を満たし、世界を我が掌中に収めるため、0・メモリーを破壊し、ジャッキーを復活させたのだ。我が、オラクルの洗脳下においてな!!」
「そして!!」とバラモンは続けた。野心を抱いたその目で、封李を睨む。
「愚かで下等な貴様らを、排除する!!」
「な、なんてことを・・・・・・!ジャッキーはんに!!」
「使える奴は、とことん使う。これが私のやり方よ。悔しいならば、私を倒せ。私も貴様らを直接この手で排除せぬと、気がすまんわ!!」
「上等だ!!行くぞ、カツドン!!」
聞いていて胸糞が悪くなった。このバラモンとか言う男を叩きのめさねば、封李は気が済みそうになかったのだった。
決闘空間でのデュエマが始まった。現在、ターン13。シールドは封李が3、バラモンが2だった。バラモンの場には、《マントラのイザナイ カリーナ》と《予言のファミリア オラクルト》の2体が居座っている。一方の封李の場には、《飛散する斧 プロメテウス》と《武闘龍 カツドン》を揃えていたのだった。前のターンで、《カツドン》によって《舞踏のシンリ マクイル》が破壊されたものの、《カリーナ》を守ることができたバラモンは、余裕の笑みを浮かべていた。
そして、バラモンのターンだった。
「私のターンだな?では行くぞ!《カリーナ》を追加!そして、《転々のサトリ ラシャ》召喚!行くぞ、無色以外を全てタップ!!」
転々のサトリ ラシャ P 光文明 (1)
クリーチャー:オラクル 500
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある無色ではないクリーチャーをすべてタップする。
「そして、《カリーナ》2体の降臨発動!!さあ、現れよ!!」
マントラのイザナイ カリーナ C 光文明 (4)
クリーチャー:オラクル 2000
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていれば、自分の山札を見る。その中からコスト6以下のオラクルを1体、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。
《カリーナ》は、初見では普通に弱いクリーチャーだった。しかし、バラモンはブロッカーを消費してまで守ろうとしたところ、相当に強力な効果を持ったクリーチャーであることは察せた。
「《封滅のマントラ ストロガロノフ》、《純潔の信者 パーフェクト・リリイ》を召喚!!」
「げっ・・・・・・。」
封滅のマントラ ストロガノフ VR 水/闇文明 (6)
クリーチャー:オラクル/グランド・デビル/ドラゴン・ゾンビ 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
バトルゾーンにある自分のオラクルはすべて「スレイヤー」を得る。
自分のオラクルが破壊される時、墓地に置くかわりに自分の手札に戻す。
W・ブレイカー
純潔の信者 パーフェクト・リリィ R 光文明 (5)
クリーチャー:オラクル/メカ・デル・ソル 2500
このクリーチャーが攻撃する時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。
このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、そのパワーが0より大きければ、離れるかわりにとどまる。
「ターンエンドだ。」
クリーチャーが一気に展開されてしまった封李。しかし、ここで諦める彼ではなかった。
「俺のターン!!8マナで、《獰猛なる大地》を使用!!効果で、マナゾーンから《偽りの名 ゾルゲ》を召喚し、お前のマナから《失楽のカルダモン》を引きずり出す!そして、《プロメテウス》をマナに置き、《ストロガロノフ》をマナに封殺するぜ!!さらに、《ゾルゲ》と《カツドン》をバトルし、破壊!!」
偽りの名(コードネーム) ゾルゲ SR 水/火/自然文明 (8)
クリーチャー:アンノウン 8000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある他のクリーチャーを1体選んでもよい。そうした場合、その2体はバトルする。
W・ブレイカー
※プレミアム殿堂超次元コンビ:《紅蓮の怒 鬼流院 刃》/《バンカラ大親分 メンチ斬ルゾウ》
現れたのは、策略の侵攻者だった。体の色からはこのクリーチャー自身が持つ文明を表す色が伺える。また、火文明の機械的な手、自然文明の野性的な身体と、それぞれの文明の特徴が出ている。水文明はさながら、エイリアンを手中に収め、ハンターとの戦いを引き起こし、大混乱を招いたその頭脳だろうか。
その効果は、自身を含める自分のクリーチャーが出たときに、場にあるクリーチャー2体をバトルさせるもの。つまり、この効果で自分のクリーチャー2体を戦わせても何ら問題ないのである。
「なっ、自分のクリーチャー同士を相打ちに!?」
「破壊されたので、ドロン・ゴー!!《武闘将軍 カツキング》を召喚!」
現れた《カツキング》。ここで、再び《ゾルゲ》の効果が発動する。
「効果で、《カリーナ》2体を相打ちにして破壊!!」
「く、くそっ!!」
「さらに、《カツキング》で攻撃!!アタック・チャンスで《悪・即・斬》と《カツトンファー》を使うぜ!!《オラクルト》に攻撃!!」
ブロッカーを破壊。さらに、バトルに勝った時の《カツキング》のシールドをブレイクする効果も、《カツトンファー》で倍になっている。つまり、バラモンのシールドは0。さらに、《カツキング》はアンタップしている。
「《カツキング》でダイレクトアタック!!」
《カツキング》は、そのままバラモンへ突っ込んだ。
「ぐっ、クソっ、退却だ!!」
バラモンは、舌を鳴らすと、攻撃を受ける前にそのまま消えるように、去っていってしまった。
同時に、暴れていたジャッキーは、元に戻ってしまい、バラモンの掌中に収められる。強盗犯は、駆けつけた警察に捕まってしまった。
『ヘマを犯したな、バラモン。』
『ふん。だが、暁ヒナタだ。今度はヤツをやるぞ。』
『ワシが向かおう。やつは、ワシが倒す。』
「嫌な予感がするな、カツドン・・・・・・。」
封李はそう呟いた。カツドンも頷く。暗雲だけが、ただただ空には広がっていた。