二次創作小説(紙ほか)

エクストラターン3:恐怖 ( No.257 )
日時: 2014/02/20 18:52
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「竜神王だァ?」

 大層なことを抜かしやがるドラゴンだと思った。
 現実空間に戻されてまだ光に目が慣れていないものの、一目見て分かった。

 こいつは敵だ、と。

 目の前に佇むドラゴンは、腕が異様に発達しており、多くの鱗に囲まれた頭はギラギラと光っている。胴体の中央には、水晶のようなパーツが埋め込まれていた。
 その水晶には、黒いラインが何本も迸っていた。

「そうだ。暁ヒナタ---------」

仰け反りそうになった。何故このドラゴンが-------否、竜神王が自分の名前を知っているのか。

「貴様には、我と決闘空間による勝負を申し込む!!」

 次の瞬間、一気に黒い靄が広がった。


 ***


「ま、待ってくれ!! 一体、お前らの目的は何だ!?」
「貴様にそれを教える義理は無い!」

 既に、ターンは経過している。
 現在、ヒナタのシールドは5枚。一方のガルグイユのシールドは4枚。一枚ヒナタがリードしている状態だ。
 ヒナタの場には、それを裏付けるように、最初のシールドを破った《アクア・メルゲ》がいた。
 逆に、ガルグイユの場には何も居ない。

アクア・メルゲ R 水文明 (2)
クリーチャー:リキッド・ピープル 1000
自分のターン中、自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の手札を1枚捨ててもよい。そうした場合、カードを1枚引く。
※殿堂入り


(相手のマナに置かれた文明(カラー)は水と闇……あれじゃ、スピードアタッカーによる殴り返しは殆ど無いと言っても良い)

 火文明と無色以外には、基本スピードアタッカーのカードは存在しない。今この局面で《メルゲ》が死ぬことがあるとすれば、除去呪文ぐらいのものだ。

「我が手番……5マナで城カード、《裁きの城 キングオブ・ラグーン》を要塞化!!」

 聞いたことの無いカードを要塞化してきた。ガルグイユのシールド一枚に、異様な触手と同時に、1つの城が完成する。

「さらに、効果で手札を捨てれば《竜神王》と名の付くクリーチャーを山札からサーチ出来る! この私の分身、《処刑の竜神王 サンロマン・ガルグイユ》を我が手札に」

 山札が一気に開かれ、ガルグイユの正面に並んだカード-----いわば手札にそれが加えられた。

「ターン終了だ」
「舐めてんのか、デュエマは攻めないと勝てねえぜ! 俺のターン!」

 手札に、暖かいぬくもりを感じた。この感覚は---------


「《双拳銃 ドラポン》を召喚ッ!」
『っしゃぁー! 久々に脳天に風穴開けちゃるっちゃー!!』
「頼むぜ! 《メルゲ》の効果で手札を1枚交換する。 んでもって、《メルゲ》でもう一枚シールドをブレイク。 要塞化しているシールドに攻撃だ!」
「無駄だ、《ラグーン》は要塞化している限り、コレ一枚だけで無ければ選ばれない」

 厄介な効果だ。《メルゲ》の攻撃はわき道へ反れて別のシールドへ。しかも、

「S・トリガー発動。《アクア・サーファー》で《ドラポン》をバウンス」

 《ドラポン》のカードがヒナタの手札へ吹っ飛ばれた。しかも、次のターン。
 前のターンにトリガーしたクリーチャーは、召喚酔いしない。

「ぐっ、強い……!」
「貴様のターンは終わりだな? では行かせて貰うぞ!! 我が手番に《処刑の竜神王 サンロマン・ガルグイユ》を召喚!!」

 突如、空間が切り裂かれて咆哮を上げる龍の姿。さらに、

「《アクア・サーファー》で貴様の《メルゲ》を攻撃!」

 破壊された。しかし、それだけだ。
 まだ手札もシールドも残っている。
 余裕綽々と言った笑みで、ヒナタはカードを引いた。

「俺のターン! 《ドラポン》を召喚だ。 ターンエンド」
「無駄だ、我がターン。我が相方、《毒牙の竜神王 サーペント・ムシュフシュ》を召喚! G・リンク!」

 
 ***


 その頃、レン達は目の前にいる竜神王と対峙していた。

「教団といい、お前らといい……日本はどうなってやがんだ。クソッ!」

 確かに、こうも日本にばかり災厄が降りかかるのは、少しおかしい。教団が他の国で暗躍していてもおかしくなかったはずだ。

「日本だから災難が降りかかるのではない。災難が降りかかるのが日本……そう考えてはみないのか? さて-------」

 ムシュフシュは、息をつくと天を仰ぐ。

「出番、のようだな」

 突如、ムシュフシュの体が消えた。


 ***


「《毒牙の竜神王 サーペント・ムシュフシュ》を召喚、そして」

 刹那、《ガルグイユ》と《ムシュフシュ》の体の間に紫電が迸った。2つの龍の体が引き寄せられるかのようにバチバチと音を立てていく。
 
 ずぶっ

 と聞き心地の悪い音がした。見ているだけで吐き気がする。
 オラクルのゴッド・ノヴァは、リンクの際、紋章同士で結ばれただけだった。
 しかし、コレは違う。元々、1つの存在だったことを裏付けるかのように、まさに1つとなっているのである。
 にゅるにゅると触手のようなものが絡み合う。


「G・リンク」


 次の瞬間、紫電が一気に放たれた。
 思わず右腕で目を覆う。

 轟く轟音とともに現れたのは、1つとなった竜神王の姿。
 右に《ガルグイユ》、左に《ムシュフシュ》。
 まさに、これが真のリンクと言わんばかりに。

「なんて、禍々しいんだッ!!」
「さて、ここで我が効果を使わせてもらう。行け、リンクした竜神王で攻撃。 さらに、《ムシュフシュ》は自分の場に居る自分以外の《竜神王》の種類の数だけ貴様のシールドをブレイクするぞ、W・ブレイクだ!」

 さらに、竜神王の双頭から激しい炎が放たれる。

「アタックトリガー”竜神王の吐息(ドラゴン・ブレス)”!! まず、《ムシュフシュ》のドラゴン・ブレス:レベル5で山札から5枚を墓地に置き、貴様の手札を5枚-------つまり全部破壊!」
「嘘だろッ!?」

 一発目の息は、ヒナタの手を弾いてカードを全て墓地へ叩き落した。
 同時に、《ドラポン》も墓地へ。
 しかし、猛攻はこれでは終わらないのだ。

「次に、我がドラゴン・ブレス:レベル6でコスト4以下のゴッドを呼び出せる。それも、墓地のカードを6枚山札の一番下へ戻すことでな!」
「はァ!?」

 次の瞬間、炸裂の魔方陣が現れた。そして、ゴポゴポと妖しい音と同時に全身がぶくぶくと泡だった、奇怪の竜神王が現れる。
 その容姿は、たるんだ水色の脂肪に覆われた、お世辞にも龍とは言い難いもの。しかし、頭には角が付いており、竜神王の一柱であることを誇示していた。

「手札からタダで《奇怪の竜神王 ツメイ・ゴルニッヒ》を召喚! さらに、G・リンク!」

 異形の竜神王は、さらなるリンクを繰り返すことで、1つとなった。
 何度見ても吐き気がこみ上げる。

「そして、《ゴルニッヒ》の効果で手札を全て捨てれば、墓地からコスト3以下のゴッドをバトルゾーンへ! 現れよ、《漆黒の竜神王 アングバット・アンカラゴン》よ!」

 4柱目の神、《アングバット・アンカラゴン》。黒き正統的な西洋の龍のような容姿をしているが、尾は異様に長い。それは、他の神と1つになるときに必要になるのである。
 そして、最後のリンクが終わった。
 
「G・リンク、4体神《竜神王》!!」