二次創作小説(紙ほか)

エクストラターン6:デコード ( No.262 )
日時: 2014/02/21 09:04
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

 ***

「ヒナタの奴、全く何も食わないからとうとう栄養剤点滴することになったらしい」
「……一体何があったの……? たぶん、竜神王の片割れにやられたとは思うんだけど……」

 コトハも普段の明るい表情に、陰りを見せていた。

「だけど今の僕たちがやるべきことは……竜神王の行方を追うこと、だ」
「ええ、どうやらフジ先輩が調べているみたいだから、手伝いに行きましょ」
「ですです」

 シオも同意のようだった。
 ノートパソコンを持ってきたフジは、現在待合室にいるらしい。
 すると、病室からオーロラとドラポンが飛び出てくる。

「ああ、お前ら。取り敢えず、カードに戻っておけ」
「おうっ!」
「わかった!」

 2人は即座にカードに戻る。ドラポンは、レンが預かることにした。
 直後、レンは何かを感じ取ったかのように、《破界の右手 スミス》のカードを掴む。
 
「さて、スミス。まずは……さっきから立ち聞きしてる愚純な奴をぶちのめしてやれ!!」

 次の瞬間、スミスは実体化して虚空を切り裂いた。

「やっぱりお前か……!」

 スミスは歯軋りする。
 掠った。
 直後、空間が歪んで、その愚純な輩の姿が露になる。
 見れば、神官のような風貌の男、しかし筋肉に覆われたその厳つい見た目は、どちらかというとパワーファイターのようだった。

「《マントラ教皇 バラモン》! やはり、貴様だったか」
「先輩、やはりさっきから感じていた異様な殺気は、こいつの仕業ですか」
「えっ? そうなの?」

 コトハ1人が浮いていた。珍しく。

「ほほう? お見通しか。黒鳥レン……」
「テツヤ先輩から電話で聞いたが、貴様が今回の事件の黒幕らしいな……!」
「左様。ならば、ここで消えてもらうぞ……!」

 次の瞬間、黒い靄が現れる。レンはその中に入っていく。

「先輩、これを使ってください」

 次の瞬間、カードが投げられた。見れば、《ブータン》のカード。

「一体?」
 
 と、レンが手に取ったそのときだった。《ブータン》が白く変化する。

「オラクルに?」
「やはり、影響を受けましたか……先輩、今回のデュエルではブータンを使って欲しいです」
「……すまない!」

 何枚かカードを渡された。そして、レンは急ぎ足で空間へと入っていった。
  急いで、デッキの中からカードを抜いて、スペースを作る。

 ***


 レンとバラモンのデュエル。見れば、バラモンは《爆裂のイザナイ ダイダラ》に《マントラのイザナイ カリーナ》等を使っているのを見れば、オラクルの種族デッキにフレイム・コマンドを組み合わせたものであることは間違いないだろう。
 一方のレンは、今まで通りゼロビートで通していた。しかし、今回は水の手札補充とS・トリガーを少し積んでいる様子だった。レンの場には、いつも通り《墓地の守護者 メガギョロン》がいた。

「僕のターン、《神豚 ブータンPOP》召喚だ」
『ブー、どうせならシオちゃんと一緒が良かったブー。ていうか、俺様ひょっとしてカッコ良くなってるブー!?』

神(シェン)豚(トン) ブータンPOP(ポップ) UC 無色 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX/オラクル 4000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から3枚を見てもよい。そうした場合、そのうちの1枚を自分の手札に加え、残りを墓地に置く。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《神豚》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《神》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。

「調子に乗るな。さもなければ、お前の実家をメンチカツ家にするぞ」
『か、勘弁ブー!!』

 現れたのは、白くオラクルとしての力を併せ持った、新たな《ブータン》。その能力は、アタックトリガーで墓地肥やしを行うこと。

「ふはは、我がターン。我が分身、《マントラ教皇 バラモン》をこの手で召喚!」

マントラ教皇 バラモン VR 光文明 (7)
クリーチャー:オラクル 8000+
W・ブレイカー
バトルゾーンにある自分の他のオラクル1体につき、このクリーチャーのパワーは+5000され、シールドをさらに1枚ブレイクする。
このクリーチャーが破壊される時、かわりに自分の他のオラクルを1体、破壊してもよい。

「我が場に、オラクルは他に2体。よって、我はパワー18000のQ・ブレイカーとなる!」
「アニメでは、これの出番なく死んだくせに」
「メタ発言うるさいよ!? ハハハ、さて《カリーナ》でシールドブレイク!」

 マントラの中でも、イザナイの力を併せ持つ《カリーナ》が強襲した。シールドを割られて、残り4枚に。さらに、《ダイダラ》の攻撃で3枚になってしまった。

「光臨発動。《最強横綱ツッパリキシ》と《爆走マントラ シラヌイ》を召喚!」
「ふん、僕のターンだ。行くぞ、《ゼロの裏技 ニヤリー・ゲット》を使う。そして、《トンギヌスの槍》に《破界の右手 スミス》を手札へ。さらに、《戦慄のプレリュード》で《スミス》を直接、召喚!」

『任せなァ!! ゼロの未来を、アウトレイジの新たな世界を切り開くのは、このッ俺だァー!!』

 次の瞬間、スミスの体が光り輝いているのが分かった。そして、新たな姿へと変わっていくのが分かる。

『《開放する右手 スミス・デコード》!!』

開放する(オープン・オブ・ザ)右手フリーダム スミス・デコード 無色 (7)
進化エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 9000
マナ進化-マナゾーンの無色クリーチャー1体の上に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに居る限り、他のコスト7以下の無色クリーチャーは召喚酔いしない。
このクリーチャーが攻撃するとき、マナゾーンの呪文を一枚手札に加えてもよい。それがアタック・チャンス呪文だった場合、このクリーチャーが発動条件にあっていれば唱えられる。
自分のほかに、《右手フリーダム》とあるクリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。

 現れたのは、新たな《スミス》の姿。その名の通り、無色やバニラクリーチャーの秘められた力を解析(デコード)することで、更なる力を開放するのである。

「……とは言ったが、貴様ァー!! お前がパワーアップしたせいで、コストが増えたな!? マナをさらに2枚タップしなければいけないではないかァー!!」
『お、おいおいそこは突っ込むなよ』
「しかも、マナ進化クリーチャーだと!? マナのカードが一枚減ってしまったァー!!」
『お前、もう好い加減にしろォー!!』
『好い加減、ターンを進めて欲しいぶー』

「「てめーは黙ってろよブタァー!!」」

 日頃の行いが悪いからか、ブータンはぼろくそに言われてしょげている。
 そろそろバラモンも痺れを切らしたのか、


「好い加減にしろ、まだか?」
「ああ、分かったよ……今から貴様の引導引き渡してやるわァー!! 《スミス・デコード》でW・ブレイク!! アタック・チャンス《黄泉秘伝 トリプル・ゼロ》でシールド、マナ、手札を同時に回復だ」

 シールドが二枚、一気に叩き割られた。しかし、

「S・トリガー《デビル・ハンド》で墓地を増やしつつ貴様の《ブータンPOP》を破壊だッ!!」

 悪魔の手が《ブータン》へ伸びて貫いた。
 と、そのときだ。

「かかったな? 貴様はエグザイルの真の恐ろしさを知らんらしい。だから、思い知らせてやる」

 破壊されたブータンが白い粒子で飛び散るのと同時に、再び集結する。


「愚かな反逆者共に告ぐ。貴様ら全員処刑台に並べ。直々にこのゼロの魔王が裁きを下してくれる! 収束せよ、集結せよ! 同志よ、我が元に!! 《神豚槍 ブリティッシュROCK》!!」