二次創作小説(紙ほか)
- エクストラターン8:敗者の条件 ( No.266 )
- 日時: 2014/02/23 19:47
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「お前は、二年のジェイコフ・クライニュー!?」
「どうも」
テツヤは彼が来たのが意外のようだった。
「僕にも今回の件の解決に協力させて欲しい」
「そうか。竜神王の話はフジから聞いているのか?」
「ああ、だからこそ僕も協力しようと思った。しかし、モンダイは連中が世界に散ってしまったことだ」
ワンセグ画面をジェイコフはテツヤに見せた。
アメリカからの中継だが、《サーペント・ムシュフシュ》が暴れてビルに噛み付き、砕いてしまっている。
「嗚呼、ならば話は簡単だ」
テツヤは、さも当たり前かのように言った。
「行きゃいーんだよ、現地にな!」
***
蘇るのは、忌々しい記憶。しかし、それを無理矢理振り払って暁ヒナタの意識は覚醒した----------
という情報を聞き、茅山リョウは病院に駆けつけてきたわけである。
事後、研修合宿は中止となり、自宅待機となったが、リョウがそれを待ちきれるわけがなく。
(ヒナタ君がやられたのは、僕が居なかった責任でもあるんだ)
あの時、加勢していれば何とかなったかもしれない。
だけど、後悔しても何ともならない。
大事なのは、今どうするか、だ。
「……嗚呼、リョウか」
完全に意識を取り戻したヒナタの顔は、いつもと何ら変わっていないように見えた。
「はは、情けねえな、あんなのに負けちまうなんてよォ。だけど次は絶対勝つからな……!」
「ヒナタ君……」
表情には、少し陰りが見えた。
リョウは意を決して彼にデッキケースを持って近づいた。
--------決闘空間ならば場所も関係ない。
「僕とデュエルしてくれないか?」
次の瞬間、黒い靄がデッキケースから一気に広がった、
***
「リョウ、ちょっとこれは強引だったんじゃないのか?」
「行くよ、ヒナタ君! 今の君じゃ、僕には勝てない!!」
すると、ヒナタのこめかみが引きつったように見えた。
「やってみねえと、分からないだろ!」
「じゃあ、僕に勝ってみてよ」
彼の様子がおかしいことなんて分かっていた。今のヒナタは、笑顔を作れるような精神状態じゃないはずだ。
なのに、それを隠し通してまで彼は笑顔を作ろうとしている。
それが、リョウには辛くてたまらなかった。
「僕は今日こそ君に勝つよ! 何故なら、今の君は誰にも勝てないから!」
***
「僕のターンだ。文明代表、来い! 《驚異的陣形 アレキサンドライト》召喚! 効果で、《クロムウェル》をシールド・ゴー!」
光文明代表、《アレキサンドライト》。何度見てもその強さは変わらない。しかし、リョウの場には、これだけだ。
「スピードアタッカーと化した《アレキサンドライト》でW・ブレイク!」
「くっ、きっつ……!」
これで、ヒナタのシールドは3枚に。
一方のヒナタは、ドラポンこそ居ないが、火水のビートを使っていた。場には《カーリ・ガネージャー》が構えている。
「俺のターン、《海底鬼面城》を要塞化して《一撃奪取 マイパッド》召喚!」
海底鬼面城 UC 水文明 (1)
城
自分のターンのはじめに、相手はカードを1枚引いてもよい。その後、自分がカードを1枚引いてもよい。さらに、バトルゾーンに自分のサイバーロードがあれば、カードを1枚引いて、自分の手札を1枚山札の一番下に置いてもよい。
一撃奪取(スタート・ダッシュ) マイパッド C 水文明 (2)
クリーチャー:アウトレイジ 1000
各ターン、自分の水のクリーチャー1体目の召喚コストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
「鬼面城ビート……手札を増やして速攻を掛けるビートダウンデッキか」
「そういうことだ、《カーリ・ガネージャー》で《アレキサンドライト》と相打ちに! ターンエンドだ!」
「まっ、悪いけど……」
リョウは少しため息をつくと、
「そのデッキの弱点は、解析済みだよ!」
そういうと、一枚のカードを並べた。
「行くよ! 《ヴェルネライト》を召喚し、そのまま進化ッ!! 《守護大帝 ストーンゴルド》に!!」
「やべッ……!!」
守護大帝(ジェネラル・ガード) ストーンゴルド R 光文明 (5)
進化クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
進化−自分のアウトレイジ1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、「シールド・ゴー」を持つクリーチャーを1体、自分の墓地から表向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー
この時、ヒナタは直感した。
避けられない悪寒。それはつまり----------------
敗北への恐怖だ。
「《ストーンゴルド》でW・ブレイク! 折角の鬼面城ビートなのに、それを維持できない……センスゼロだねヒナタ君!」
「く、くそォッ! 負けたくねえ、負けたくねんだ!!」
悲惨な光景が目に蘇る。
あのデュエルで、自分がさっさと竜神王を倒していればこんな目には遭わずに済んだかもしれないのに。
「まだだよ。《ストーンゴルド》の効果で、墓地から《凄惨な牙 パラノーマル》をシールド・ゴー!」
またシールドが増えた。ドローソースをもぎ取られたヒナタだが、諦めるのにはまだ早すぎた。
「俺のターンッ……! くそっ、何か来い!」
引いたのは-------------《スクランブル・タイフーン》だ。
「っしゃあ、《スクランブル・タイフーン》で手札を5枚ドローして3枚墓地へ……くそっ!」
しかし、肝心の《天災超邪 クロスファイア2nd》が来ない。
「まだまだ、《アクア・ハルカス》を召喚して《熱湯グレンニャー》を召喚!」
とにかく、手札を増やすヒナタ。しかし、目当てのカードは全く来ない。しかも、《パラノーマル》の効果で2体共破壊された。
「嘘だろ!? 何で来ないんだよ!!」
「ヒナタ君。君の最大の長所は”クリーチャーに信頼されている”ことなんだ」
「はァ!?」
いきなり何を言い出すんだといわんばかりに、必死の形相でリョウを睨むヒナタ。
しかし、リョウは臆せずに続けた。
「だけど、今の君は負けることを恐れている!! 敗北を恐れる臆病者に、クリーチャーは絶対力を貸さない!! 勝つ事で逃げ道を見出す様な卑怯者に、勝利は無い!!」
「逐一、うるせえんだよッ!!」
「じゃあ、何で怯えているのさッ!?」
言葉に詰まった。リョウの言葉責めは容赦なく続いた。
「今の君は、負けることを怖がっているように見えるよ」