二次創作小説(紙ほか)

短編4:恐怖、学園七不思議!?(1) ( No.281 )
日時: 2014/03/08 21:26
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

 ------------学園七不思議とは。昔から学校に伝わる七つの奇怪な話で、大抵どの学校にもある-------------とか思ってたら意外と無かったりする話である。少なくとも作者の通う学校には無い。

 が、決闘者の集うデュエリスト養成学校、鎧竜決闘学院は、不幸にもその例外には当てはまらない。

 さあ、今からアナタを極上の怪談で持成しましょう---------------ひゅ〜どろどろどろどろ……。

 ***

「……って訳だ! つまり、忘れ物は嘘! おめーらには、俺の肝試しにちょっくら付き合ってもらうだけ-----------------」

『ふざけんなごるぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!』

 コトハのアッパーカットがヒナタの顎に炸☆裂した。これを喰らった彼は悶えており、ふがーふがーと言葉にならない声を上げていてじたばたと地面をのた打ち回っていた。
 正面には、鬼のような形相を浮かべたコトハ。そして、ドラポン、オーロラ、スミスのクリーチャー三人組だった。珍しく、レンがいなかったのが気になったが。
 オーロラは、乙女のように頬をほんのり紅くさせてからドラポンの腕に抱きつくと、

「ねえ、ドラポン、スミス。 一般市民って殺しても罪にならなかったよね♪」

 乙女は絶対に発しない台詞を言う。

「オーケー、オールイエス。正しくその通り。つーわけで、《ナッシング・ゼロ》使おう、いいよなレン、あれ今日居ないんだった。てか、この時間帯いっつもどこかに出かけてるんだ」
「塾とちゃうんか?」
「ああそうか」

 スミスは、とっくに右手を解放して山姥の如く研ぎ始めた。
 そしてドラポンは---------------

「そうっちゃなぁ? おだん今日”トンギヌスの槍”をブータンからぶん取って来たから、かの有名な神の如く、公開処刑に処すのもええかもなぁ?」

 そういって、例にもよって《トンギヌスの槍》をピッカピカに磨いて片手で持ち上げている様は、最早背景ストーリーさえも無視した鬼である。

「何て好い加減な日本法律なんだ! ていうか、ドラポン君!? お前の言う神って、その槍刺されるときに、もう死んでるからね!? 後ついでに、リア獣爆発しろコンチク……ゴメンナサイ、ゴメンナサイ! トンギヌスの槍、もう10cm鼻の先だから! つーか、ダメだからね!? 殺しちゃやーよ、ホンットマジで! いや、ちょ、待て! せめて優しくして、お願い!!」


『うるせぇー、テメーは公開処刑じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


 時は午後7時。とっくに生徒など居ない。が、用務員のおじさんが後者を見て回っている。そして、部活の後だからか、校舎の正面玄関は開いていた。
 空には、黄金の月が不気味に輝いている。
 そして、地面には無残にも暁ヒナタの処刑済みの残骸が、ピクピクと生命の余力で僅かながら蠢いていたのだった。

 ***

 そもそもの始まりは、ヒナタが先輩のシントから伝えられた話である。ヨミは倒され、存在が無かったことになり、意思を持つカードの持ち主達以外は教団の事を忘れていた。というより、最初から無かったことになった。
 ただ、消えたのはヨミに関するものだけだ。そのため、オーロラなどはまだここに存在している。
 いや、存在しているだけならば良かったがヒナタの相棒、ドラポンと最近ベタベタ気味になり、痛々しくなってくる。いや確かに昔から竜と妖精は合うとは言うけども。種族は全く違うけれども。
 そんなことはお構いなしといった様子であった。
 はっきり言って、こいつのせいでデッキからドラポンが抜けることもあったため、非常に迷惑だった。
 ヒナタ曰く「リア獣破裂しろ」。
 レン曰く「リア獣はこの世に存在すべきではない、何故ならばこの僕が非リア(以下略)」。
 コトハ曰く「あんたらがモテないだけだから僻むな」。
 というわけで、学園生活も普通に始まったのである。
 まず、サマートーナメントの結果はシントのチームが優勝し”フレイム”の異名の偽りなき事を知らしめた。
 
 さて、本題だが、そんな先輩からヒナタは1つの伝説を聞く。

 鎧竜七不思議。

 出来たばかりのこの学校に、そんなものがあるのか、と言いたくなったが、彼曰く

「クリーチャーとかのこともあるし」

 とのことだった。

 当然、好奇心の塊にして愛すべき馬鹿にしてババロアブレインの暁ヒナタは、これを検証したくなってしまうものである。

 というわけで、忘れ物をしたけど怖いから一緒に取りに行って欲しいということで、友人達に召集をかけたら、一番来なさそうなコトハだけ来た訳である。

 ***

「ホンっと、もう! 帰るからねアタシ!」

 頬を膨らませて、コトハは背を向けて去ろうとする。が、ヒナタが声を掛けた。


「へーえ。ツンデレ学級委員の如月コトハ君は、実はオバケが大の苦手なのかい? え?」

 やたら挑発的に言ったこの言葉が、実はコトハのプライドを揺らしていた。


 ギクリ。

 実は、コトハはこの手のホラーというか、ホラー全般が嫌いである。というか、苦手である。バイオハザードなんか一生やれないタイプである。作者と同じで。
 しかし、プライドが高いせいで絶対にそのことを人には知られたくないのだ。
 あ、作者の怖がり暴露してどうするかって? 知るか。
 
「へーえ、へーえ、コトハ君はあれなのかい? 怖がりなのかい? うげげの奇太郎とか、『キャー、お兄ちゃーん!』とか言いながら見ちゃうのかい? え? え?」

 ゆらゆら。
 今は夜なのに、陽炎が彼女の周りに立っている。
 ヒナタは身構えた。これは殴打フラグだと、天の神様が告げられている。
 
 が、そんなことは起きなかった。
 その代わり、彼女は一歩踏み出してヒナタを睨むと。

「言っておくけど、そもそも七不思議なんてあるわけない!」
「へえ、証拠があるのかねコトハ君」
「ぐっ……」

 答えに詰まる。咄嗟に逃げ道を見出そうとした結果がコレだ。

「なら、賭けなさい!」

 もう一度、強気で前に進み出た。


「もし、これからアタシがあんたと同行して学校巡りする中で、オバケみたいなのが1つでもあったら、アンタの勝ち。だけど、無かったらアタシの勝ち------------ていう賭けをしなさい!」
「へーえ。で、負けた方は?」
「一日だけ勝者に絶対服従!」

 ならば、乗らない手は無いだろう。


「その勝負、確かに乗った!!」


 というわけで、2人と人外3人による学校散策が始まったのだった。


「お、おだんら結局着いていくんかい!!」
「あたしはドラポンがいるから、いい〜♪」
「リア獣爆発しろテメーら。一方の同じ無法者の俺は、何度合コンに行っても、うう……」