二次創作小説(紙ほか)

短編4:恐怖、学園七不思議!?(3) ( No.285 )
日時: 2014/03/12 22:16
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「しかし、アイツはどうして此処に居たんだ?」

 ヒナタとコトハは、首をかしげた。一番、考えられるのは教団の残党というものだった。が、打ち消す。ドラゴン・ゾンビを呼び出せるイザナイ、ガーリックはフジが倒したからだった。

「---------うーん、オバケじゃなかったか。んじゃ、2つ目」
「ちょ、もう帰ろうよ!?」
「っせーな、てめーのパートナーがうちの相棒といちゃラブしてるせいで、帰ろうにも帰れねえだろが」

 ヒナタはぶっきらぼうに返すと、おもむろに話し始めた。

 ***

 --------------2つ目の七不思議。”音楽室に浮かぶベートーベン画”。
 
 当時3年の生徒、S君の証言。音楽室に忘れ物を取りに行ったら、青い炎が浮かんでいた。そして、その中央にはベートーベン画が浮いていた。笑いながら。急いで逃げて、次の日からニンニクと十字架を持って登校するようになった。

 ***

「って、吸血鬼か!! 知らないわよ、アンタのその後なんて!!」
「るっせぇー、俺じゃねえよ!」

 というわけで、音楽室の前にやってくるヒナタとコトハ。既にヘリウムと化して帰ろうとしたスミスだったが、2人がそれを許さない。

「帰るなよ? 一応お前は保護者だからな?」
「わ、分かってるって」
「んじゃ、開けるぞ------------」

 カチャカチャ、と針金を捻る。しばらくすると、音楽室の戸が開いた。

 次の瞬間---------------2人の目には青い炎-----------つまり、人魂が目に入る。思わず、悲鳴を上げてコトハはヒナタに抱きついた。
 初めての柔らかい感触に、鼻の下を伸ばしそうになるヒナタだったが、気を取り直してよく音楽室の中を見回す。

「何だ? 何が起こってるんだ!? ……あと、お前結構でかいんだな」
「うるさい、セクハラ発言禁止!!」
「しっかし、これは……」

 辺りを良く見回す。すると---------------浮いていた。1枚の板が。

「ベートーベン!?」

 の肖像画だ。
 そして、流れてくる。音楽が。

 ジャジャジャーン、という聞き覚えのある、この楽曲は正しく”運命”。ん? 運命?

 すると、指揮台にはまさしく、鎧を着込んだ竜が指揮棒を執って、多くの青い人魂を前にしている。
 これは、まさか----------この流れは-----------

「ハーイ、もっと強く!! そして、もっと速く!!」
「……《偽りの王 フォルテッシモ》か」

 《「戦慄」の頂 ベートーベン》ではなかった。が、キング・コマンド・ドラゴンには変わりない。
 げんなりとした様子でヒナタは呟いた。

「マジか」
「じゃ、今度はアタシが行く」

 最早、もう慣れたと言った様子でコトハはデッキケースを正面で背を向けて指揮棒を振っている竜に向ける。

「決闘空間開放!」

 ***

 フォルテッシモとコトハのデュエル。現在、フォルテッシモの場には《コッコ・ルピア》。
 一方、コトハはタップ状態の《妖精のイザナイ オーロラ》、《幻染妖精リリアン》の2体を並べていた。シールドはフォルテッシモが2枚、コトハが5枚だった。

「ほほう、いきなりデュエルを挑むとは無粋な人間ですねぇ? それでは、私のターン。《ボルシャック・NEX》を召喚!」

ボルシャック・NEX SR 火文明 (6)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 6000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札を見る。その中から、名前に《ルピア》とあるカードを1枚、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。
このクリーチャーは、自分の墓地にあるファイアー・バード1体につき「パワーアタッカー+1000」を得る。
W・ブレイカー

 フォルテッシモのターンだが、《ルピア》と名の付くカードを山札から呼べる《ボルシャック・NEX》を繰り出してきた。さらにサポートのクリーチャーを増やすつもりか。

「クロスギア《レジェンド・ルピア・ウイング》をジェネレートです! 《コッコ・ルピア》にクロス」
「えっ!? クロスギア!?」

レジェンド・ルピア・ウィング R 火文明 (3)
クロスギア
このカードは、コストを支払わずに、名前に《ルピア》とあるクリーチャーにクロスしてもよい。
これをクロスしたクリーチャーが攻撃する時、自分の山札を見る。その中からアーマード・ドラゴンを1体選び、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。

 《レジェンド・ルピア・ウイング》は《ルピア》に直接クロスが可能な強力なクロスギアだ。というのも、クロスしたクリーチャーが攻撃するとき、山札からアーマード・ドラゴンを呼び出すことができるのだ。


「くっ、まず……」
「《コッコ・ルピア》でシールドブレイク、そしてアーマード・ドラゴンの《爆竜勝利バトライオウ》を手札に加えてターンエンドです」
「いや、S・トリガーで《深緑の魔方陣》! マナゾーンの《ナチュラル・トラップ》をシールドへ!」

 すかさず、シールド・トリガーで切り返すコトハ。さらに--------

「アタシのターン! 《リリアン》を進化、《ダイヤモンド・ブリザード》に! マナと墓地からスノーフェアリーを手札へ。さらに、《オーロラ》で《コッコ・ルピア》を破壊! 《ブリザード》でシールド・ブレイク!」
「私の思惑通りですね。S・トリガー、《スーパー炎獄スクラッパー》で《ブリザード》を破壊!」

 やられた。時に連ドラ、時に火自然のステロイドのスノーフェアリービートを使うコトハだが、不運にも今回は後者。低コストのスピード重視のスノーフェアリーで攻めて行くというスタイルという以上、火力除去に弱い。
 
『やばいよ、どうすんの! あたしだけ残ってるけど』
「くっ、ダメか。パワーで比べあってちゃコッチが押し潰されるだけ……なら、数で押し切りたいところだけど、生憎さっきのでマナは減っちゃったし」

 確かに、単体(ピン)での力はコッチの方が下だが、展開力では負けていない。しかし、手札こそ増えたが、代償としてマナが減ってしまった。

「とりあえず、光臨で《妖精左神パールジャム》を召喚してマナをブーストするよ」

 やはり、疑問が残る。何故、フォルテッシモはタップされている状態で光臨の危険性を残す《オーロラ》を破壊しなかったのか。普通なら、そちらを選ぶはずだ。刹那、コトハはさっきフォルテッシモが手札に加えたカードを思い出す。

「しまった……!!」
「私のターン! この私-------------《偽りの王 フォルテッシモ》を召喚、そして《NEX》で《オーロラ》を攻撃して破壊。ちなみに、この私がバトルゾーンにいるとき、私のドラゴンは全て「スピードアタッカー」と「スレイヤー」を得るのです」

偽りの王(コードキング) フォルテッシモ P 闇/火文明 (8)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/アンノウン 8000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
バトルゾーンにある自分のドラゴンはすべて、「スピードアタッカー」と「スレイヤー」を得る。
W・ブレイカー

 竜の牙がオーロラに襲い掛かり、破壊された。同時に緑の粒子となって消える。

「そして私の火のクリーチャーがバトルに勝った時! 《爆竜勝利バトライオウ》をバトルゾーンへ出せる! さらに《バトライオウ》もスピードアタッカー持ちのスレイヤーに!」
「……アンタねえ」
「ターンエンド。どうせこのまま殴っても貴方に手札を与えるだけ。さあ、どうします? お嬢さん」

 フォルテッシモの鎧から覗く目が不気味に輝いた。が、負けじと言い返す。

「言っておくけど、ここからが本番よッ! 《フェアリー・ギフト》で《オーロラ》をコスト1にして召喚。 そして、《ドンドン打つべしナウ》で《オーロラ》をタップしてから-----------《グローバル・コミュニケーション》で《NEX》をマナへ!」

 アンタップ状態の《NEX》を除去し、さらに今度はシールドへ攻撃を仕掛ける。
 
「《パールジャム》でW・ブレイク! ターンエンド---------すると光臨発動! 《レヴィア・ターン》を山札からバトルゾーンへ!」

 追い討ちをかけるかのように今度はドラゴンが出た。しかし、フォルテッシモの場には自身の分身である《フォルテッシモ》に加えて、《バトライオウ》が居座っている。

「私のシールドがゼロに……まあ良いでしょう。私のターン-------------《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を召喚!」

ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン SR 火文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 7000
W・ブレイカー
このクリーチャーがシールドをブレイクする時、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに持ち主の墓地に置く。

 まずいクリーチャーが現れた。こいつはシールドを直接墓地に送るカードの中でもオーソドックスな類なのである。数ある古き装甲竜(アーマード・ドラゴン)の中でもコイツほど汎用性が高い類は少ない。

「《ボルメテウス・ホワイト》でさっき仕込まれたシールドと、もう1枚をW・ブレイク!」
「きゃあっ!? 《ナチュラル・トラップ》が!!」

 まずい。このターンでS・トリガーが発動しなければ、コトハは負ける。

「《バトライオウ》でW・ブレイク!! さあ、これで最期------------------」

 その時だった。

「S・トリガー発動、《深緑の魔方陣》! さらに、S・バックで《オチャッピィ》を召喚して、墓地からマナゾーンに置かれた《深緑の魔方陣》をシールドにセット!」
「なっ!?」

 しまった、と思ったときにはもう遅い。前のターンに削りきっていればよかったのもあるが、何より《ホワイト》の効果がここで仇になるとは。

「くぅぅ!! 《フォルテッシモ》で最後のシールドをブレイク!」
「S・トリガー、《深緑の魔方陣》。もう一回《深緑の魔方陣》を墓地からセット」
「く、くそっ!! 馬鹿な、この私がああああああ!!」

 コトハのターンだ。ゆっくりと、そして死刑宣告をするかのように指をフォルテッシモに向ける。

「----------《レヴィア・ターン》でW・ブレイク。《オーロラ》でダイレクトアタック!!」
「ち、チクショオオオオオオオ!!」

 《オーロラ》の光弾はフォルテッシモにぶつかると弾けて、そのまま------------------消えた。