二次創作小説(紙ほか)

短編4:恐怖、学園七不思議!?(4) ( No.289 )
日時: 2014/03/16 11:37
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

 情報の出現が割りと最近であったことも含め、これはクリーチャーの仕業である、という見解が強くなってきたところだったが、3つ目、4つ目くらいに来てから---------------

 3つ目、妙なにおい漂う家庭科調理室。

 は、星目テツヤが焼いたホワイトデーのクッキー(しかも今はまだ9月)で、彼曰く。

「え? 今9月だっけ? でもさぁ、今のうちから焼いておかないと、毎年ヤバんだよなぁ。俺けっこうモテるせいで、ロッカーがチョコの海に……困るね、ハハ」

 と、キザな笑みを浮かべたため、

『ふざけるな、家でやれええええええ!!!』

 ガスッという音と同時に、ヒナタとコトハのツインアッパーがテツヤの顔面に決まったのだった。

 そして、4つ目は、雄たけびを上げる3年教室、というものだが。

「ああ、すまんすまん、僕最近こういうのにハマってるんだよね」

 正体は、よりによって夜に自分のクラスの教室に設置されたテレビに家庭用ゲーム機をつなぎ、ゾンビ系ホラーゲームを音量たっぷりでプレイしていたスプラッシュ天川だったため、

「ドラポン、リボルバー連射」
「オーロラ、連続で光弾」

「えっ、ちょやめ……ぎゃあああああああ」

 粛清した。
 こうして、七不思議4つ目は解決したのだった。

「だから、家でやれよ」


 ***

 さらに、その後も珍道中は続き、5つ目はトイレの太郎君というものだったが、それは便秘に悩む老校長、瓜生崎先生がトイレで唸っていた声が太郎君の声に聞こえただけだったのだった。

「って、だから家でやれよ」

 というヒナタの突っ込みは、虚しくも消えかかっていたのだった。


 というわけで、七不思議6つ目。それは、笑い声が響く非常階段の踊り場、というものだった。

「うふふ……あはは、いひひ……」

 案の定、薄気味悪く不気味な笑い声。

「これ、もうオバケでもクリーチャーでも何でもないんじゃないの?」「知らねえよ」
「じゃ、賭けはアタシの勝ちってことで!」
「勝手にすら、いーじゃねえか」

 半ば投げ出したかのような声でヒナタは返した。ただ、奇妙なことに足元には何枚か、デュエマのカードが落ちていた、ということだ。そして、共通するのが”プリン”やスノーフェアリーのカードということだった。

「あはははは」

 近い。この近くだ。

「そこに誰かいるな……」

 そして、踏み出す。


「誰だッ!!」


 勢い良く踊り場に躍り出たヒナタは叫んで、目の前にいるはずの良く分からないものに怒鳴った。声が階段に響き、その影は驚いたかのようにビク付いた。

「……」

 やがて、目がなれて相手の正体が分かると、ヒナタは呆れたかのようなげんなりとした表情を浮かべた。コトハは完全にドン引きしている。

「なっ、なっ、何で貴様らがここに……!」

『それはこっちの台詞じゃ、レエエエエエエエエン!!』

 目を血走らせ、真っ赤にし、叫ぶヒナタとコトハ。レンの目の前には、カードが山積みにされている。そのカードの殆どがスノーフェアリーといったものだった。
 そして、写真のように固まっているレンの頬にはそのカード。あろうことか、頬ずりをしていたということだ。

「ペドか!? とうとうペドにまで落ちぶれたか。 本っ当に救いようのねえやつだな!!」
「ええい! うるさい黙れうざい下れ、見られたからには、貴様らでも生かしてはおかんぞ!! スミス!!」

 レンが吼えると、今までヒナタの背後にいたスミスが、カードになってレンの手に加わる。
 カードとなったスミスが、

「ヒャッハー! 今まで散々、俺を空気にしやがったな? リア獣を目の前でチラ付かせやがったな? こんな下らんことに付き合わせたな!?」
「ほほう、リア獣か。それは散々だったなスミス。現に今も僕は、目の前にリア充がいるのを確認した」
「おい、それって俺とコトハのことじゃあるめえな」

 レンの勝手な独断に、こめかみを引きつらせるヒナタ。デッキを取り出したところを見ると、もうこっちも戦闘モードか。
 時同じくしてデッキケースにスミスが入り、レンはそれを突き出すと、相棒とともに叫ぶ。逆ギレか、何なのか。


『うるせぇー!! 口封じ兼リア充は滅殺爆殺根絶じゃあー!!』


 次の瞬間、レンの体から黒い霧が噴出された。

 決闘空間の開放だ。


 ***

 ヒナタとレンのデュエル。現在、シールドはレンが2枚、ヒナタが4枚だ。場には、レンが《メガギョロン》、ヒナタが《トップギア》といったものだった。ヒナタは序盤から墓地にクリーチャーを送り続けていた。

「ったく、七不思議を解明しに来たら、よりによって変体変人と遭遇して……何て日だ!!」
「うるさい、黙れ!! 僕の趣味がこうなったのには訳があるんだ!! 頼むから、誰にも口外するな!!」

 いや、ペドだのロリコンだのは自分の責任なのであって。思わず、ヒナタは本気で殺意が沸いたのだった。

「情けなッ! お前、自分で言ってて情けないと思え!」
「それに、リア充は殲滅だ!! 2人きりで夜の学校散策とは、いい度胸じゃないか!!」

 レンは流れるようにカードを動かしていく。そして-------------。

「学校は貴様らリア充のハネムーンの場所ではない。貴様らリア充の墓場だぁぁぁ!!」

 無色と水のマナが3枚タップされる。
 そして、レンの周りをオーラが包み込んだ。
 --------------来る、呪文の詠唱だ!!

「《戦慄のプレリュード》を唱えて、次に召喚する無色クリーチャーのコストを-5。よってコスト0の《破界の右手 スミス》を召喚」
『ヒャハハハハハ!! 開放されろ、俺様の右手!!』

 《戦慄のプレリュード》によって、コストが0になった《スミス》をバトルゾーンへ。いきなり、パワー11000は脅威といえよう。
 しかし。レンはヒナタの予想とは、正反対の行動に移っていったのである。

「そして僕にはこんなこともできるんだよ。 呪文、《ヒラメキ・プログラム》! 悪いなヒナタ。貴様の戦略、真似させてもらうぞ!」
「お、おい……お前のその編成で何を出すつもりなんだよ……!」

 よりによって、今まで自分がメインで使ってきた呪文を使われることに少し衝撃を受けるヒナタ。というのも、今までレンがこの呪文を使ってきたことは一度もないからである。
 
「さあ、コスト5のスミスが破壊され---------------来い、《青狼の始祖アマテラス》!」
「な---------------!!」

 驚いた。まさか、こっちでも自分が使うカードを使ってくるとは。

「ハハハ! 貴様の戦略、応用させてもらったぞ! さらに《アマテラス》は効果でコスト4以下の呪文を詠唱できる-------------つまり、もう一度《ヒラメキ・プログラム》!!」

 まずい。この流れで行けば、《アマテラス》のコスト6より1多い、コスト7のクリーチャーが出てくる。
 そして何より、コスト7にはレンが操るオラクリオンが多く存在するのだ。

「この神風は、人のためにあらず。信仰は儚き神のためにあり。俗物と告別し、今ここにあり! 《告別のカノン 弥勒》」

 しまった。《弥勒》の効果により、ヒナタは手札が1枚吹っ飛ばされる。それは、よりによって-------------《ドラゴ・リボルバー》だった。

「あ、はは……まずいねこりゃ」
「さて、ターンエンドだ」

 まずいことになった。レンは、例によってまだ手札に余裕がある。一方のヒナタは、手札も貧弱な状態。
 だが、ここで1つの活路を見出す。

「行くぞ、《シューマッハ》! 効果で、互いに手札を捨てて5枚ドローだ!」
「ほーう。手札交換か。だが、逆にまたいいものが来てしまったぞ」

 レンは、今の手札交換で手札に《真実の名 修羅丸》に《神聖騎オルタナティブ》が来ている。
 しかし-------------あくまでも、ヒナタは引くことを目的としていたのだ。

「G・ゼロで《クロスファイア2nd》を召喚だ! んでもって、墓地にあるクリーチャーは-------------10枚! 行くんだ、《暴走龍 5000GT》を召喚し、パワー5000以下を破壊!」
「なっ、しまった……」

 パワー1000の《トップギア》は破壊されてしまったが、逆もまた然り、《メガギョロン》が吹っ飛ばされる。

「さあ、行くぞ! 《クロスファイア2nd》でW・ブレイク」
「ぐあああ! ト、トリガーなしだと!?」

 シールド2枚が破片となって飛び散る。そして-----------この瞬間、ヒナタの勝利が確定した。

「わりーな、レン。友には時に非情になれってな! 《5000GT》でダイレクトアタック!!」