二次創作小説(紙ほか)
- エクストラターン12:鬼 ( No.298 )
- 日時: 2014/03/26 22:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
「……コトハ、コトハ」
揺さぶられて意識が戻る。目を開ければ、そこには相棒のオーロラの姿があった。
「オーロラ……?」
気付けば、フジの書斎にある長椅子に座らされていたコトハ。あの後、動転して気を失っていたに違いない。
直接こそ見なかったが、フジの言葉。「リョウは……死んだ」という無意識の呟きを聞いて、様々な葛藤が-------------------
「……すまない」
フジが歩み寄る。いつもは威風堂々としている佇まいが、今日は何故だかしおれて見えた。
「リョウを護れなかった。あいつが危険な場所に行ったにも拘らず、俺たちは何も……」
「無責任、バカッ、この役立たず!!」
立ち上がり、一気にフジへ食って掛かるコトハ。フジは最初、驚いてこそいたが、甘んじて受けることにしたのかそのまま表情を変えず突っ立っていた。
オーロラがコトハを止めようとしたが、すぐに振り払われた。
「じゃあ、あの時何で駆けつけなかったの!? あの時、クリーチャーの力でも使ってすぐに病院に駆けつけていれば、間に合ったかもしれないじゃない!! やることもやらずに、何が『すまない』よッ!!」
普段、綺麗だった目は今は怒りと悲しみの混沌とした色に変わり、髪はそれを表すかのようにぼさぼさだった。狂ったかのように、何度も拳をフジの胸に叩きつける。
「返して!! リョウを、アタシ達の仲間を返してよ!!」
「……俺たちは出来ることはやっていた。仲間をゴルニッヒが現れた地点に呼び寄せて決闘空間を開き、殲滅するように命じた。だが、失念していたんだ。”本体”があんな場所にいるとは……まさか、あんなに沢山いるとは……」
「言い訳は聞いてないわよ!! ねえ、教えてよ!! 何で人一人死んだのに、アンタ達はそんなに冷静で居られるのよ!! 何で、涙一つ零せないのよ!!」
言葉がフジに深く突き刺さる。
脳裏に、その言葉が蘇る。
『何で!? 何でうちの息子は死んだのに、他の社員は生きているのよ!!』
『申し訳ございません。あれは不幸な事故でして……』
『言い訳なんか聞いていないわよ!! ねえ、上司だったらどんな危険なことでもやらせていいっていうの!? 何で人一人死んだのに、アンタ達はそんなに冷静で居られるのよ!! 何で、涙一つ零せないのよ!!』
そして、全く同じ言葉がフジをさらに深く突き刺した。
「アンタは人間じゃない!! 鬼よ鬼!! 最低な鬼よ!!」
瞼を一度閉じた。しばらく、放心状態だったかもしれない。
------------そうだ。俺は屍食い鬼(グール)。今、事実ここで人が一人死んだんだ。なのに俺はッ-------------俺は何故涙一つこぼせないんだ!!
------------親父が鬼なら、俺だって鬼だ。
------------人が死んだのに、まるで逆に喜んでいるみたいじゃねえか。餌が増えたグールみたく喜んでいるんだ。
------------最悪だよ俺は……最悪だ。
「好い加減にしろ、言い過ぎだ!!」
言葉が横切った。ふっと、すべてが現実に引き戻される。息を切らせて、部屋に躍り出たテツヤの姿がそこにはあった。
「さっきから黙って聞いてりゃ、抜かしやがって……フジも、俺も!! 皆、出来ることはやったんだ!! 結果は確かに最悪だった。結局、俺達は誰も護れなかった。 だけど、涙を零せないんじゃない!! 零してる場合じゃねえんだよ!! こうしている間にも、竜神王に喰らわれて命を落としている人々が何人居ると思っているんだ!!」
普段冷静なテツヤがここまで熱くなったのを見たのは初めてだった。
「今俺たちに出来ることは何だ!? ここで哀しくお通夜ですか、コノヤロー!! ちげえだろ、ちげえだろッ!! 今俺たちに出来ることは、とにかく次の犠牲者が出るのを止めることだろうが!!」
-----------俺たちだって悲しくないわけじゃない。
テツヤは、俯いた。
が、すぐに顔を上げると言った。同時に、ドタドタドタと足音が後ろから迫ってくる。
「フジ。”カナデ”がようやく、例の解析を終えた」
***
封李とゴルニッヒのデュエル。怒りに狂うヒナタに代わり、封李は打倒ゴルニッヒに魂を燃やす。
「ならば、このターンで一気に決める。俺のターン! 《転生プログラム》で《カツドンGO!》を破壊!! ドロン・ゴーだ!!」
大きな剣が突き刺さり、大地から溢れんばかりのマナが吹き出る。そこからは、赤き勝利の無法将軍が姿を現す。
「来い、《超法剣 カツキングGANG》召喚! 効果でブロッカーである《イヌハッカ》を破壊だ!!」
超(ビクト)法(レイジ)剣(カリバー) カツキング GANG(ギャング) R 火文明 (8)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体、破壊する。その後、相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体、破壊する。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《法》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《超法》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。
3000火力を発動できなかったのは残念だが、そんなことは逐一言っていられない。
「んばぁ?! 何のつもりだべえ!?」
「俺も一応、怒っているんだ!! さらに、《転生プログラム》の効果で------------来い。その圧倒的な力ですべてを蹂躙せよ!! 《武闘将軍 カツキング》!!」
今度は、無限の力を持つ無法将軍。これで、2体のカツキングが場に現れる。しかし、これでは終わらないのだ。
「さらにさらに、今度は《ヒラメキ・プログラム》で《GANG》を破壊! 山札をめくり------------------来た、《ボルシャック・クロス・NEX》召喚だ!! 効果で1枚ドロー」
「んばぁ……!?」
「そしてっ!! ドロン・ゴーで《無法伝説 カツマスター》も召喚だ!!」
完璧にまずいことになった。場には3体の超巨大クリーチャーが睨みを聞かせている。
「さあ、行くぞ!! 《カツマスター》で攻撃して、効果発動。3枚墓地に落として、それらの合計コスト以下になるように敵獣を破壊する!! 必殺、レイジ・スクラッパー!!」
墓地に落ちたのは《フェアリー・ライフ》に《プロメテウス》、《コンコルド》。十分すぎたほどだった。ゴルニッヒの場は吹っ飛ぶ。まっさら、何も無いのである。
「T・ブレイク!!」
「ぐはぁ!?」
さらにここで、追撃が迫った。
「《NEX》で残りのシールドを破壊」
何も無い。そこに、《カツキング》が迫る。勢い良く武器を振り回し、無防備を醸すゴルニッヒを打ち砕かんとばかりに。
「お終いだ。《武闘将軍 カツキング》でダイレクトアタック!!」