二次創作小説(紙ほか)

エクストラターン13:暴かれた根源 ( No.300 )
日時: 2014/03/28 01:45
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 ***

「これを見ろ」

 ピッ、とテツヤがリモコンのボタンを押すと、急にホログラム状のモニターが現れた。立体プロジェクタというものだろうか。

「フジ、お前の思ったとおりだ。竜神王が現れた場所は、必ず空間のゆがみが現れている。その証拠に、ぐにゃりとビルが曲がっていたり竜神王の周りが妙に歪んでいたりな」

 モニターには、それを示す画像が次々に現れる。

「さて、フジ。そして奴らの行方だが……大変なことが起こった」
「は?」

 いきなりテツヤが話題を変えたため、フジは目を見開く。奴ら、つまり竜神王の行方に付いてだった。

「さっき、封李先輩から連絡があったんでね。ゴルニッヒに逃げられたとのことだ」
「やはり。天川からも同様の連絡があったよ」
「まあ、良い。一応、報告しておく」

 フジは、人々を喰らっていくゴルニッヒの分身を倒すため、天川やレン、シオを向かわせていた。動揺こそ初めはしていたが、3人ともやるべきことを理解して向かった。
 子供3人で向かわせるのは、少々心許ないが(自分も子供だが)決闘空間での出来事は全てこの世界では一瞬で済まされる。それは、この世界と決闘空間の流れる時間が違うから、というアインシュタインの相対性理論のもと成り立つ。
 というわけで、敵の数は10体。が、次々に倒されていった。それによって、何人の命が救われただろう。
 ところが、倒されたゴルニッヒに共通するのが--------------------

 ***

「ぐばぁ……よくも、おでを……!!」
「さあ、観念しな!」

 ドスの利いた声で、ゴルニッヒに迫る封李。今にも噛み付かない勢いだ。
 と、そのときだった。ゴルニッヒの体が突如、硬直する。そして、肉体があわ立ってスライムのように形を変えていった。そして、肉塊はそのまま、一直線に消えていく。
 
 ***

 1つの方向へ向かっていく、というものだった。

「一体、どういう……」
「テツヤ。封李さんが倒したのは、”本体”だが……これが倒されて逃げた同時刻に、”他の竜神王も同じ動きを見せている”と言ったら驚くか?」

 フジの台詞に戦慄を覚えるテツヤ。まさか、竜神王は再びリンクするため、あるいは他の目的のために人間を喰らっていたというのか。
 そして、満足したから再び集まった。

「まるで、どこぞの満足同盟だな」

 テツヤは考え込むように顎に指を当てる。やはり、自然と言えば自然な出来事ではある。
 
「とにかくだ!! 竜神王が向かった場所を特定するように、カナデに言え!」
「分かったよ」

 竜神王が向かった場所が1つならば、そこを叩けば良い。実に簡単な話だった。
 テツヤは駆け抜けるかのように、部屋を出て行く。
 だいぶ、気持ちが収まったのか、コトハがフジに話しかけてきた。

「そ、その……さっきはすみませんでした……ちょっと、どうかしてたみたい……」
「いや、いいんだ。それに……どうかしてたのは---------------俺のほうみたいだからな」
「え!? いや、あれはその-------------」

 記憶が駆け巡る。

 ***

 確かに見かけは華やかだったかもしれない。確かに、見た目は何でも出来るスーパーマンだったかもしれない。
 だけど、親父だって人間だ。
 ある日、建設事業で作業員が1人、事故で死んだ。その時、親父もコトハが言ったことと同じことを遺族から言われたんだ。「鬼」だって。それを影で聞いていた俺は、幼いなりに親父が可哀想だと思ったんだろう。
 慰めようかと愚かにも俺は思って、その日の夜に部屋をのぞいたんだ。
 
 だけど、違ったんだ。

 親父は涙は絶対に流さなかった。
 それどころか、いつも通りに機械的にキーボードを叩いてたんだ。

 責任を全部背負うことになったとしても、親父は絶対に弱音を吐いたりしなかったんだ。

 それが頂点に立つものの誇り。

 親父は、表では何でもないかのように振舞ったんだ。裏でも何でもないかのように振舞った。
 まるで、それが人間じゃないように俺は見えた。


 鬼だ。

 俺はそれに憧れた。


 鬼に憧れた俺は、鬼になった。


 くだらねえ情は全部捨てて。


 冷徹な鬼(グール)に。




 なのに---------------アイツは、俺の心に干渉して来やがったんだ。


「よお、またデュエマすっか? フジ」


 それが、今の歪んだ俺を形成してる。
 鬼でも、人間でもない俺を作ってる。
 だが、それでいい。


 それでいいんだ。


 ただ、心残りなのは---------------------俺の中の鬼と人間が傷つけ合っていることだ。

 ***

「先輩、どうしたんですか」

 気付けば、ぼうっとしていたのか。フジはコトハの声で、突然我に返ったようだった。

「いや、なんでもない」

 フジは、ため息をついた。そして続けた。

「どのみち、今の俺たちに出来るのは情報収集だ。実働メンバーが聊か不安だが、仕方あるまい」

 ***

「こんのバカ……ちーと強く殴りすぎたか」

 封李はヒナタを背負って、彼が元居た病室に運ぶ。白い床の病室に着くと、すぐに寝かせた。ドラポンのカードは棚においておく。

『ふ、封李。やっぱ、やりすぎたとちゃうんか? 確かにあの状況で熱くなったヒナタを戦わせるのは危険だったと思うちょるけど』

 珍しく、ドラポンが話しかけてくる。

「ああ、俺もそう思う」
『って、オイ!!』
「加減はしねーとな、加減は」

 しかし、友の死を目のあたりにした彼は----------------起きたら、どうなっているだろうか。
 ドラポンは真っ先にそんな思いが浮かんだのだった。

 ***

「うおらあああああ!!!」

 ヌンチャクを振り回す竜人の姿。見境無く、周りにあるものすべてをなぎ倒していく。
 一方、対になるように鎌を振りかざす死神。それが振るわれた痕は、まるで包丁で切ったかのように綺麗に斬れていた。
 気高き無法の血は、今やくすぶっていた。
 だが、それらは全て”彼女”の箱庭の中の出来事に過ぎない。

「うふふ……かーわいい……べるのかわいいお人形さん」

 上空から見上げる少女。ローブを纏い、顔は見えない。だが、この壮大なジオラマは、彼女の所有物らしい。
 そして、指を鳴らすとさっきまでの景色は全て消え、真っ黒い空間のみが残った。
 
「さーて、竜神王達も帰ってきたみたい?」

『ただいま帰還いたしました』

 そこには、ガルグイユを初めとした四柱の竜神王。

「うーん? にんげんの魂をたっぷり喰らってきたみたいね。 だーけーどぉ、まだ足りないわ。ねーねー、べるはもっと沢山人間の魂がほしーの」

 あざと可愛らしい仕草で、自分の身の丈の10倍はあろうと思われるガルグイユの目の前で囁く。
 そう、まさしく悪魔のように。


 -------------邪念因子が復活するのも、じかんの問題ね。