二次創作小説(紙ほか)
- エクストラターン19:星として、海に散る ( No.311 )
- 日時: 2014/04/04 18:58
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
「俺らは今、海戸中央病院にいる。すぐさま、迎えに来い。いいな? 先輩命令だかんな! あ、ちなみに来なかったらフジに頼んでお前のトコの会社潰してもらうわ。またはムチで百叩き。良かったな〜、俺みたいな美男子に苛めてもらえて」
『扱い酷くないですか!? なんていうか、ヒキョウというか。というか、アンタに苛められて喜ぶ豚なんかいないかと』
「安心しろ、今日の俺はドSだ。運が良かったな」
『おい、野生のアナゴの台詞をパクるな。てかよくないですし』
「るっせええええ!! じゃねえと、本当にこの星目テツヤが直々にぶちのめすぞ!!」
テツヤが電話で怒鳴る。連絡先は、ジェイコフが乗っているヘリ。ジェイコフは、「このままオーストラリアに向かう予定だったんですけど」と零したが半脅迫的なテツヤの文句に従うことになった。
「ったく、急に病院から出て行ったからどうしたのかと思ったよ」
「一度-----------光に照らしてみたかったのさ」
カッ、とホイルが反射した。テツヤの最高の相棒、《オプティマス》に。
「アイツがこれを残して超獣界に帰ったときは、少し残念だったがな。あいつは、下僕根性ゲフンゲフン忠実だったからな、俺に」
「おい」
下僕根性という台詞に反応した天川だが、ドSの彼には言っても通用しないか。
「今頃-----------どうしてるのかな」
防波堤の波が一層高くなった。
----------そのとき。大きな魚が海からぬっと姿を現して空中を泳いでくる。
《一角魚》の群れだ。
それだけじゃない。グレートメカオーにサイバーロードなど、水文明の種族を中心に襲ってくる。
「いっ!? 何でクリーチャーが!!」
「テツヤ君、水面をよく見ろ!」
魔方陣が展開されている。そして、中央には大穴。
フジたちは、大穴と呼んでいるが正式名称は-----------
「ディメンジョン・ゲート、だと!? ライオネルをぶっ倒して、事は解決したはずじゃねえのか!!」
「竜神王だね。考えられる可能性としては」
そんな中、一際目立つクリーチャー。
機械の装甲を持ち、ぱっくりと開いた巨大な口を持つクリーチャー。
つまり-----------《常勝ディス・オプティマス》だった。
そして、テツヤは一目見て分かった。
こいつは、自分と戦ってきた相棒だと。
「オプティマス------------? 何故、お前が」
「我が主に従い、貴様を滅する。それが我の役目」
次の瞬間、黒い靄が開かれてテツヤは空間へと誘われた。
「テツヤ、気をつけろ! そいつは敵だ! 君の知ってるオプティマスじゃない!」
「ああ、分かった」
***
「我がターン。呪文のコストを下げる《王機聖者ミル・アーマ》召喚」
王機聖者ミル・アーマ P(C) 光/水文明 (3)
クリーチャー:グレートメカオー/イニシエート 3000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
自分の呪文を唱えるコストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
※殿堂入り
テツヤとオプティマスのデュエル。テツヤは、相も変わらず”ラララオプティマス”。一方のオプティマスは、ドロマー超次元のデッキのようだった。その証拠に、超次元ゾーンにカードがちらちら。
テツヤの場には、《コートニー》。一方のオプティマスは《ミル・アーマ》を繰り出していた。シールドは互いに5枚。
「俺のターン。行くぞ、《アマテラス》を召喚して《ノーブル・エンフォーサー》をジェネレート!」
「我がターン、《超次元ミカド・ホール》で《ヴォルグ・サンダー》召喚」
山札が削られる。今ので、5枚ほどテツヤはデッキを削られた。
「ターンエンド」
「へっ、良いのかよ! そんな悠長にしていてよ! たとえ、お前がかつての相棒だろうが、ここで倒す! 俺のターン、行くぜ」
と、カードを引いた途端だった。激痛が頭を襲う。
脳腫瘍の症状がここで出てくるとは思わなかったようだ。
(いってぇ、目の前がぼやけてやがる)
しかし、意識だけは確かに持ってプレイングを進める。
「《オプティマス》召喚ッ、さあ行くぜ。ループ開始だ! 《ラララ・ライフ》と《オプティマス》のコンボで、無限ループを開始して山札が2枚になるまで、加速するぜ! んでもって、《iFormulaX》を召喚して《神々の激流》を使う------------」
残り山札は2枚。しかし、テツヤは余裕綽々といった笑みを浮かべた。
勝った。後はコレで、《ラララ・ライフ》を使ってから《ドンドン打つべしナウ》を打てばいい。
が-------------ない。さっき、使おうと思っていた《神々の激流》が無い。
目を擦る。
しかし、見当たらないのである。
「あれ----------?」
このとき、ようやくテツヤは悟った。
自分の脳腫瘍はとうとう、自分の感覚と思考を蝕むほどに肥大していたことを。
よくよく考えてみれば、《神々の激流》を使ってしまえば、マナのカードが全て無くなる。
《ラララ・ライフ》でマナの補完は出来ても、次に自然のカードが来るかどうかは分からないのに。
未遂とはいえ、”順序”の間違い。
プレイングミス。
普通のテツヤなら考えられない。
「おかしい、おかしすぎる……はは、傑作だぜ、俺の慢心がここでおれ自身を締めることになるとは」
そして、墓地を見た。
そこには、デッキに2枚しか刺していないはずの《神々の激流》が2枚とも落ちていた。
さっきの《ヴォルグ・サンダー》の効果だ。
「はっ、ふざけるな」
だが、こんなこともあろうかと。殴る勝ち方を見出すために、マナは沢山チャージしたのだ。
そして、手札には、それが可能なカードが沢山ある。序盤のサーチによって。
「《ボルバルザーク・エクス》に《永遠のリュウセイ・カイザー》召喚!! スピードアタッカーと化した俺の軍勢で、一斉攻撃だ!」
しかし、《永遠のリュウセイ・カイザー》を初めとするテツヤの攻撃を、オプティマスは受ける様子がない。
シールドが2枚、吹っ飛ばされた。
しかし、それは光の粒と共にオプティマスの下に集結した。
「貴様の戦法-----------ラララオプティマスは、山札を消費する。《神々の激流》を落とせば、貴様は今度、大量に増やしたマナで一斉攻撃を仕掛けてくると思った。まさか、貴様自身がミスプレイするとは思わなかったが」
「はっ、バカ言え。そのS・トリガーが何なのか答えてからほざけよ」
「S・トリガー、《転生プログラム》だ」
破壊された。《オプティマス》が一瞬にして。そして、進化ではないクリーチャーが出るまで、山札が捲られていく。
そして-------------現れた。再び《オプティマス》が。
テツヤの希望といえたカードが。
だが、同時にテツヤの山札も消えていたのだった。
空間の消滅と共に。
そして、衝撃波を食らうテツヤは、もう何も考えられはしなかった。