二次創作小説(紙ほか)
- コラボ短編:last smile (3) ( No.321 )
- 日時: 2014/05/13 06:35
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
楽しかったデュエマ大会も終わり、4人は帰路に付いていた。
しかし、これはまだ1日目、である。
明日も同じような日程でデュエマ大会を行う予定なのだ。
「あー、滅茶苦茶楽しかったな〜! 明日もがんばるぞ」
「最後はシオちゃんにボロ負けしたくせに」
「るっせぇな!」
コトハの言葉に言い返すヒナタ。そんな2人を見て、1人シオはため息をついた。
それを見たレンが、声を掛ける。
「不安か」
「……ですね」
「ま、あいつらは貴様がこの学校から居なくなっても、多分ずっとあのままだ。何も変わらん」
少し、驚いたような表情をしたシオだったが、レンは続ける。
「だから、貴様も何も変わるな。ずっと、貴様のままでいろ。お前が向こうで悲しそうな顔をしていたら、奴らだって悲しむ」
ふっ、と息を漏らすかのような呟き。
「先輩……これを」
ひゅっ、とカードが投げられる。
そのカードを見た。
「何時から気付いていた? 僕が闇文明に転向するつもりだったのを」
「せんぱいは……ずるい人です」
シオは、眼を逸らして言った。
「人には変わるなって言っておいて。自分だけ、変わろうとするんですから」
「……すまん」
本当は分かっている。周りだけがどんどん変わって行って、自分だけが取り残されていくのが怖いのだ。
ゼロ文明を捨てたのは、今までの自分に見切りを付けてしまいたかったからだ。
しかし、つまりを言えばレン自身も”何かが変わって”しまうことである。
一番良いのは、共に歩むこと。
しかし、それは叶わない。
人の変わる、つまり成長するスピードは、本当に様々だ。
だから、それで取り残されるくらいなら、
-------------皆、ずっとそのままのほうが良い----------------。
本当にずるいヤツだ、自分でもそう思う。だからこそ、自分に嫌気が差してくる。
一体、何を信じればいい?
一体、何がいけなくて、何が正しい?
「信じてください、自分の仲間を」
ふと、我に返った。シオの凛とした言葉が、レンの心の闇から光のように差し込んでくる。
「先輩達は、何時だってそうです。嬉しいときは、一緒に喜んで、悲しいときは一緒に悲しんで、そして-------------もし誰かが遅れていたら、歩幅を合わせるような器用な事が出来なくても------------」
シオは続けた。
「その人を、思いっきり引っ張り上げることが出来るはずです」
そのとき、レンの心の中の何かが爆ぜた。
僕は一体、何を悩んでいたんだ。
--------------ああ、そうだ。いつも一緒に居て気付かなかったが、
「そうだ、仲間がいたんだ」
こんな当たり前のことに気付かないなんて、自分は何て馬鹿だろう。
そして、以前にそれを目の前の彼女に教えたのは、紛れもない自分なのに。
「私は、此処に来て良い仲間を持ちました」
彼女は続けた。
「私には勿体無いほど、でも……とっても大切な」
そう言って、空を見上げたシオの瞳は澄んでいた。
***
シオは自分の借家の前に立っていた。
「はぁ……この借家とももうすぐお別れですか」
「ブー! 大丈夫だブー! シオちゃんには、ブータンがいるブー!」
「ありがとう、ブータン」
しかし、妙に妖しい空だ。
暗い。
とても暗いのだ。
闇文明の使い手だからか、何となく分かる。
今宵の闇が、自分に味方をしていない、ということを。
「やはり、此処に帰ってきたか月夜野シオ」
声が聞こえた。振り向けば、鎧を着た男の姿が。
やはりか。嫌な予感こそしたが、ここでクリーチャーに出くわすとは思っていなかった。
「《破戒のインガ シャンツァイ》ですか。全く、ストーキングも大概にして欲しいです」
「ストーカーとは失礼だな。それにしても分かってるではないか。ククク……」
「何のようですか? ヨミは死んだはずですよ? それと同時に、殆どのオラクルも死に殉じたはずですが」
「ふはは、貴様に話すことなど、何もない。だが」
そういうと、シャンツァイの手に光が集積してデッキが現れる。
「我が信仰する、ゴッド・ノヴァに八つ裂きにされるがいい!!」
その瞬間、彼女は黒い霧に一気に包み込まれた。
***
「私のターン、《一撃奪取 ブラッドレイン》召喚です」
「我がターン。《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》を召喚だ」
聖邪のインガ スパイス・クィーンズ P 光/闇文明 (2)
クリーチャー:オラクル 3000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
自分のゴッド・ノヴァ OMGの召喚コストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
シオが繰り出したのは、闇文明のコストを軽減する《ブラッドレイン》。
一方のシャンツァイの手札から現れたのは、”終焉の新生神(ゴッド・ノヴァOMG)”を崇拝する双子の姉妹。
仮面の下から不気味に笑うシャンツァイからは狂気さえも感じられ、恐ろしい。
「私のターンです。《豚乱舞 ブータン・ジャクソン》召喚です」
ブータンの新たなる姿。しかし、肝心の能力がアタックトリガーのため、次のターンを待つしかない。
「ターンエンドです」
「ふむ、やるな。では、私は《エナジー・ライト》で手札を補充するとしよう。ターンエンドだ」
「私のターン」
手札を引く。よし、これならばいける。
「呪文、《ブータン転生》で《ブータン》を破壊して、デッキからウルトラ・ドロン・ゴー発動です」
破壊されたブータンの身体が再び光となって集積し、現れた。
究極の力が、今此処に。
「凶槍の王。死のワルツを舞い、悪魔の盤面に超臨です----召喚《凶槍乱舞 デスメタル・パンク》」
凶槍(スピアー)乱舞(ダンス) デスメタル・パンク SR 闇文明 (8)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 8000
このクリーチャーが攻撃する時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーは無限にパワーを失う。(パワー0以下のクリーチャーは破壊される)
W・ブレイカー
ウルトラ・ドロン・ゴー:このクリーチャーがバトルゾーンを離れた時、名前に《乱舞》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《乱舞》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。
破滅の舞を踊るエグザイルが、とうとう現れた。
しかし、それを眼にしてもシャンツァイは未だ余裕の笑い声を上げていたのだった。