二次創作小説(紙ほか)

コラボ短編:last smile (6) ( No.327 )
日時: 2014/05/17 12:32
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 レンは焦燥がつのりつのっていた。仲間が、クラスメイトが滅茶苦茶にされていく。
 そして、滅茶苦茶にしているのはそのクラスメイト。
 そんな中、自分だけが唯一浮いていた。
 そう、何の攻撃も受けていなかった。

「レン先輩。仲間が傷ついていくのを見るのはどういう気分ですか?」
「何!?」
「さあ、一緒に来るです。”私達”と共に、新たな世界の創造を」

 レンは憤りを感じた。
 目の前の女に。
 もう、彼女は仲間ではない。
 いかれた何かに取り付かれたのだ、そう脳に刻み込み、目の前の”彼女”に敵意を向ける。

「貴様ァ!!」

 デッキを取り出す。いつものゼロ文明のデッキだった。それも、ゼロに染まった装甲竜によって大幅にパワーアップしているのだ。

「許さん、許さんぞ!! 僕の知ってるシオは、そんな事は絶対にしない!」
「先輩-----------残念です。やはり、無理やりにでも来て貰うしか無いようです」

 黒い霧が当たり一面に広がった。


『決闘空間解放-----------』

 2人は別の世界へと飛んだ。


 ***

「僕のターン、呪文……《ピクシー・ライフ》でマナを加速。ターンエンドだ」

 マナゾーンには、いきなり《真実の名 修羅丸》が。しかし、レンはそれを《ピクシー・ライフ》の効果で回収しなかった。
 目の前の相手を見据える。分からない。天草に攫われた時、奴は言っていた。
 レンがゼロ文明の、オラクルの力を宿しているのは、”元々そういった体質”だからだそうだ。クリーチャーと接するうちに、自分自身もオラクルへと染まってしまっていたのだ。
 しかし、それはレンの”心”によって打ち消された。
 そして、ヨミの撤退により、完全にレンはオラクルの力から解放されたのである。しかし、代償としてペドフィリア、ロリコンとなってしまったが。
 さて、シオのターンである。
 レンは知っている。彼女が仲間を傷つけるような人間ではないことを。
 だからこそ、此処で倒し、彼女に何があったのかを突き止めたいのだ。

「私のターンです。《フェアリー・ライフ》でマナを加速し、ターンエンドです」

 互いにマナを加速し、ターンを終える、という形に。しかし、レンはここで動き出したのだった。

「頼むぞ! 《空腹の超人》を召喚!」

空腹の超人ハングリー・ジャイアント R 自然文明 (4)
クリーチャー:ジャイアント/アンノイズ 4000
無色クリーチャーを自分のマナゾーンから召喚してもよい。

 現れたのは、ゼロ文明のクリーチャーをマナゾーンから召喚できるアンノイズ。しかし、召喚コストはきっちり払わなければならない。
 だが、《戦慄のプレリュード》などのコスト軽減が適用される上にこれでマナゾーンに切札が落ちても心配無用なのだ。

「ターンを終了」
「私のターンです」

 手札を引くシオ。本当に、”あの”シオなのだろうか。そして、彼女は一体何によって動いているのか。
 やはりオラクルだろうか。スミスの話から、そう考えるのが合理的だ。

「《真滅左神ラウドパーク》召喚」

 ゴッド・ノヴァOMG。やはり、彼女はオラクルに操られているのではないか?
 
真滅右神ラウドパーク P 闇文明 (4)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/ドラゴン・ゾンビ 3000+
ブロッカー
このクリーチャーは、リンクしていなければ、攻撃することができない。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を墓地に置く。その後、ゴッド・ノヴァ OMGを1体、自分の墓地から手札に戻してもよい。
右G・リンク

 山札から3枚が置かれる。そして、そのうちの1枚がシオの手札へ。

「《堕天左神エレクトラグライド》を手札に。ターンエンドです」

 また、手札が増えた。だが、ここからが正念場である。
 レンのターン。手札を1枚引き、ここでアタッカーを投入することにした。

「束縛を破界し、自由を手に入れろ。我がこの世界のジョーカーとなる! 《破界の右手 スミス》を召喚!」
『任せなぁ!!』

 右腕を既に武器へと変換したスミスが、いきり立ってバトルゾーンへ現れた。

『レン……どーも怪しいぜ。あの譲ちゃんからは、オラクルの気配のようなものは何も感じられねえ』
「敵が変装、というのは無い、か」
『だけどよ、何かの術で操られていないんだとしたら、記憶自体を上書きされた恐れがあるぜ』
「くっ、だとしたら……やはり昨日、シオはオラクルの残党にやられたということになるのか。だが、どのみち倒すしかない! ターンエンドだ」

 シオのターン。ここで、シオは手札を引き、クリーチャーを呼び出す。

「《霊騎左神ロラパルーザ》召喚です。効果で《スミス》をタップ、そして次のターンアンタップできないですよ」
「ッ……!」
「攻撃はしないです。ターンエンド」

 しかも、シールドブレイクによる手札補充も許さないという徹底振り。盤面を固めてから一気に攻め込むつもりか。そうなれば、対処できない。

「くっ、何か来い! よし、《戦慄のプレリュード》でコストを下げて、マナゾーンから《修羅丸》を召喚!」

 切札を召喚し、打点は揃った。後はこれで次のターン、攻撃時に《ナッシング・ゼロ》を使えば山札の上に仕込んだ切札が出てくる。

「ターンエンドだ」
「残念です。先輩ならば、ヨミ様にも認められたはずなのに……」
「ヨミ!? やはりか、貴様を操っているのはヨミなんだな!?」

 彼女は普段ならば絶対浮かべない表情---------つまり憫笑の笑み-------------を浮かべる。


「私は最初から貴方達の敵です。これは私の意志--------------私は《逆襲の神類 イズモR》を召喚し、トライ・ゴッド・リンク」

 
 神だ。神の光臨だ。白い髪に羽を生やした神々しき子供の神が現れる。
 リンクした神がその場に降り立った、それも、中央に新たなそれが加わったことによって、さらなる力を得ている。

「《イズモR》で《スミス》を攻撃。効果で手札から《光器左神サマソニア》を召喚し、効果で手札を1枚ドロー」

逆襲の神類 イズモ R(リターンズ) P 光/闇文明 (6)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG 5000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーが攻撃する時、コスト5以下のゴッド・ノヴァ OMGを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
中央G・リンク(このクリーチャーまたは他のゴッドをバトルゾーンに出す時、自分の好きな数のゴッドからカードを1枚ずつリンクを外してもよい。その後、このクリーチャーを「右G・リンク」または「左G・リンク」とあるゴッドにリンクしてもよい)

 殺す気だ。一目見てそう理解できた。まさしく、相手を消し去るためだけの攻撃。こんなものを喰らえば、大概のクリーチャーは破壊どころか、精神ごと壊されて死ぬだろう。
 幾多もの弾幕がスミスに襲い掛かる。だが、レンは在る限りの力で迎え撃った。しかし、肉体が弾幕に耐えられない。
 ここで、大人しくカードに戻っていれば精神の破壊---------つまりクリーチャーとしての死------------は免れる。しかし、今度はレンに弾幕が襲い掛かることになるが。
 だからなのか、スミスは退かなかった。

「待て、スミス! 下がれ! 今度は貴様が-----------!!」
『うるせえええ!! 言っただろ、俺だってこんなところで死にたかねえよ!! 俺には暁ヒナタを倒すって目標があるんだよ!!』
「ならば尚更だ! もう僕は、相棒を-----------」

『相棒なら---------ボルメテウスなら帰ってきたじゃねえか』


 最後に笑みを零し、無法者は最後の反逆に挑む。



『俺の代わりによ、暁ヒナタに引けを取らない強えヤツになってくれ。じゃねえと、許さねえぞ----------相棒』


 直後、弾幕が弾け、無法者は散った。

 残った場所には、オラクルの焼印を押されたカード。


 手に取ろうとした瞬間、それは灰になって飛んで行った。