二次創作小説(紙ほか)
- コラボ短編:last smile (16) ( No.350 )
- 日時: 2014/12/07 13:07
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
業火と共に太陽がヒナタの背後に昇った。
その太陽から、羽根が生え、そして、その中から人の姿を成した化身が生えるように現れる。
そして、炎の玉を背に、翼の生えた無法の神が光臨した。
赤き鎧に身体を包み、∞の紋章が胸に刻まれている。
その姿は不死鳥そのもの。
赤き瞳が燃え盛るように光り、そして大剣をその手に握った。
「まず、1つ目の効果発動。登場時にこいつよりもパワーの低いクリーチャーを無限の数だけ破壊する!」
「バカめ、我がパワーは2柱の力を加算して30000!! 《超神類 イズモ》が死んでも私が生き残る!」
「いーや、無駄だぜ、ヨミ! こいつのパワーは墓地のクリーチャーの数が6体以上のとき、+100万される!!」
咆哮した《ヘリオス》は自分の身体の周りを周回する小型の太陽から閃光のレーザーを放ち、ヨミとイズモを打ち貫いた。
さらに、これによって《ヨミ》の神の壁は砕かれた。
--------思う存分、攻撃できるぜ!!
「さらに、《ヘリオス》で攻撃! 効果で山札の一番上を捲り、それがアウトレイジならばバトルゾーンに出す!」
轟! と炎が渦巻き、現れたのは銃を構えた龍だった。
「交差する魂、それを受け継ぎし無法者——エグザイル! 新たな姿は勝利を呼ぶ! 《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》!」
『この時を待っていた! ヨミ、今度こそ貴様の脳天に風穴をブチ開ける!!』
ドラゴ・リボルバーは高らかに宣言した。
そして、次の瞬間にヨミのシールドも全て割られた。
「そして、《ヘリオス》はワールドブレイカーとなる!!」
無限太陽 サンシャイン・ヘリオス ≡V≡ 火文明(10)
クリーチャー:アウトレイジMAX 15000+
進化GV--自分の火のクリーチャー3体の上に置く。
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、このクリーチャーよりもパワーの低いクリーチャーを無限の数だけ破壊する。
このクリーチャーが攻撃するとき、自分の山札の1番上を捲る。それがアウトレイジならばバトルゾーンに出す。
自分のクリーチャーは全て「スピードアタッカー」を得て、バトルに勝ったとき、アンタップする。
自分の墓地のクリーチャーの枚数が6枚以上の場合、このクリーチャーのパワーは+1000000され、さらに「ワールド・ブレイカー」を得る。
T・ブレイカー
ヨミはうろたえた。こんなことがあって良い筈が無い、と。
「私は、神だぞ、神であるこの私が、この私が---------!!」
「今度こそジ・エンドだ。あの世で後悔しやがれってんだい!!」
ヒナタは《ドラゴ・リボルバー》の肩に飛び乗った。そして、ヨミの方へ一直線に突貫した。
「これが、俺たちの凱旋だぁーっ!!」
振り落とされないように必死でしがみ付き、そして--------巨大なヨミの胸を貫いた。
あ、が、とヨミはもう声すら出ていなかった。
「何故、何故、人間が神に----------!!」
この声が響いたとき、彼の身体は断末魔を挙げて跡形もなく爆ぜていた。
「《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》とこの俺でダイレクトアタック」
ヒナタの声が静かに響いた。
「俺たちの思い出を奪ったてめぇは、死んでも絶対許さねぇ。ヨミ」
それは凱旋というにはあまりにも哀しすぎた。
***
「何で、何で私はこんなところにいるのでしょうか」
空港で、”御船”汐(シオ)は呟いた。
気付けば此処にいた。
全く違和感は感じない。
ただ、次の便に乗って故郷に帰ることのみが頭の中にあった。
「私は-------まだ会わないといけない人が--------」
何となくそんな気がした。
踵を返して引き返そうとする。
「どこに行く気だ?」
声がした。壁に寄りかかった中世的な少年の声らしい。
「どこって、どこって-------」
「そっちは貴様が行くべき方向ではないだろう」
「あなたは、誰ですか。私のことを知っているのですか」
いや、違うね、と彼は首を振った。
「赤の他人さ」
だが、彼は続けた。
「それでも貴様が行くべき方向は分かる。それだけじゃ不満か」
「……わかったです」
いつもの抑揚の無い声で彼女は返し、飛行機の方向へ歩んで行った。
確かに、此処で引き返すべきではないのだろう、と。
飛行機の中で、彼女はさっきの少年のことを思い返していた。
記憶の中の誰かに似ている気がする。
だけど、思い出せない。
「せん、ぱい……?」
ふと、その単語が浮かんだ。
何故だろうか。とても懐かしい感じのする単語だ。
気付けば、目の淵から熱いものが溢れていた。
それを止める術を彼女は知らなかった。
感情を表に出したことが無かった彼女にとって、それはとても新鮮だった。
だけど、笑っていた。
顔は。
「どうして、こんなに温かい気持ちになるのでしょうか」
ふと、自分が手に持っていたカードを見た。
《豚魔槍 ブータン》のカードだった。
「何故、私はこれを見て熱いものが込み上げてくるような気持ちになるのでしょうか」
彼女は呟いた。
----------きっと、気の所為です。
だが、その顔はとても晴れ渡っていた。
***
「例のカードは?」
「ヨミが死んだことで成仏したっぽいね。フジ、ついでに街もヨミが死んだから全部元通りだ。ヒナタ達には感謝しねぇとな」
「ああ」
「だけどよ、これでオラクルは完全消滅したってことで良いのか?」
「いや、まだオーロラもいるしな。だけど、あいつは無害だし大丈夫だろう。そうだ、クリーチャー界から《マキシマム・ザ・マックス》が帰ってきた。今後は向こうの状況を度々報告してくれるらしい」
「はぁー、マジか」
「おい、シント。見てみろ----------今日の海戸はとても晴れているぞ」
「るっせ。言われなくても分かってるよ。テツヤから後でどやされるぜ。俺だけ置いてけぼりだって」
「ほっておけ、あのドSは」
「そーだな」
「だけど、これからももっと大変になると思うぞ。俺はあいつらをずっと見ていきたい。先輩の務めってヤツよ---------」
***
「御船。お前ぼーっとしてどうしたんだ」
「いえ、先輩。何でもないです」
長身の少年は隣を歩く小柄で華奢な少女に向かって言った。
「この間の海の家の一件から、お前こういうことが多くなったな」
「余計なお世話です」
彼の心配を一蹴する。
「ただ---------遠い日のことを思い返していただけです」
そう、それは彼女にとっては遠い遠い日----------。
多くの好敵手、そして仲間と切磋琢磨し合った日々。
未知なる神を相手に戦った日々。
はっきりとは残っては無い。
しかし、それでも彼女は今を生きている。
「早く行くです、”先輩”。このみ先輩が宿題終わらなくて発狂する前に」
「ちっ、本当あいつ溜めすぎだよ。僕達の迷惑も考えろよな---------」
苛立ちを隠せていない彼の言動。
いつもならば、これに何か返すが、それが無いことに彼は違和感を覚えたのか、目の前の彼が黙ったままの彼女に声を掛ける。
「どうした?」
先輩。この単語が彼女は妙に引っかかる時があった。
しかし、すぐに振り払った。
「いえ、何でもないです」
「なら良いんだけどさ。ほら、行くぞ----------う」
どすん、と目の前の先輩が誰かにぶつかった。
「うわ、大丈夫ですか!?」
「いや、こちらも前をよく見ていなかった。失礼」
長身の少年は言うと、すぐに去っていった。
「ああ、優しい人でよかったよ、本当」
「……」
すると、少年が歩いていった方向からまた声が。
「おーい! 例のカードショップあったか!?」
「そんなものは見つからなかった。どーせ都市伝説か何かだろう。仕方ない。折角のプチ旅行だったがノゾムも待たせているし引き下がるか」
「ちぇっ。解ったよ」
御船汐は確かにその声に覚えがあった。
しかし、確かな確信が持てないまま--------
「御船、行くぞ」
「あ、はい」
今はまだ、記憶の狭間に漂っているだけだった。
--------それでもいいです。今の私の先輩も、あの失われた記憶の先輩も私の大事な人には変わりないですから。
2つの太陽、そして自分の中にある闇と同じもう1つの闇。
それは間違いなく、今の彼女を支えている------------