二次創作小説(紙ほか)

ターン12:連鎖する悲劇 ( No.39 )
日時: 2013/06/22 14:00
名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: 39RfU1Y2)

 病室の棚を見ると、焼き印が付き、ボロボロになったカード。《機神勇者 スタートダッシュ・バスター》だ。

「ひどい・・・・・・コトハちゃんの切り札が・・・・・・。」

 女子生徒の1人がそれを見て、声を上げた。ヒナタとレン、リョウもそれを見て、特にヒナタはふつふつと沸き上がる怒りを感じた。

「・・・・・・行こう。」

 ヒナタの肩に、レンが手を置く。ヒナタはうつむいたまま頷き、そのままみんなと一緒に、病院を去った。



「・・・・・・。」
「どーした、上の空だぞヒナタ。」
「元気ないですよ・・・・・・。」

 下校中。レンが話しかけても、リョウが話しかけても、ヒナタは物思いに耽っているのか、口を開かない。

「・・・・・・”また”守れなかった・・・・・・。」
「あ?貴様はあの場にいなかったんだ、仕方がないだろう?」
「でも、俺があの時あの場にいれば!!」

 足を踏みならすヒナタ。

「今更悔いても、コトハが元気になるわけ無いだろう。」
「・・・・・・。」

 また・・・・・・?そのキーワードが引っかかるレンだったが、深くは言及しなかった。その時、思い出したようにリョウが慌てだした。

「あ、僕忘れ物しちゃったんで、戻りますね!!」
「そそっかしいな、じゃあここで待っているぞ。」

 そう言って走って学院へ戻る。大方の生徒はもう、学院を出ていた。



「急げ、急げ・・・・・・!!」

 そう言って、廊下を駆けるリョウ。その時、何者かの気配を感じた。

「!!」

 辺りを思わず見回す。

「き、気のせいだよね・・・・・・。」

 そう言って、1Eの教室へ繋がる階段を駆け上ったときだった。体を黒い靄が包み込む。

「な、何だ---------------------------!?」

 振り払おうとしたが、あっという間に周囲は黒い空間に。

「どこだ!?どこなんだ!!ここは!!」
「うおおおぉおおおお!!!!」
「ヒッ!!」

 雄叫びが聞こえる。振り向くと妙な焼き印が押された仮面を付けた、大柄な男が佇んでいた。手にはデッキケース。

「人生、熱血するなら、いつかぁぁぁぁぁあああ!!今だろぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」
「な、何ですか!?」
「そこのお前ぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!俺様とデュエマしろぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!」

 いちいちうるさいヤツだ。

「えええ!!?し、仕方ないな・・・・・・やるしかない!!」


「・・・・・・あれから40分、一体全体、いつになったらリョウは戻ってくるんだ?」

 ヒナタがぼやく。

「嫌な予感がする、行くぞヒナタ!!」
「へッ!?」

 2人は校舎へと駆けていった。




「リョウは1Eの教室へ向かった!!多分、たどっていけば追いつくはずだ!!」
「この角を曲がったら、階段だな・・・・・・あッ!!!」

 角を曲がった途端、そこには---------------------------。

「リョウ!!」

 階段の下に、倒れたリョウが。しかも、所々火傷したような痕が。

「リョウ!!リョウ!!しっかりしろ、リョウ!!階段から落ちたのか!?」
「うう・・・・・・《オッソ・レオーネ》・・・・・・。」
「何!?」
「仮面の・・・・・・デュエリスト・・・・・・。」

 そう言いかけてリョウはガクッと動かなくなった。

「リョウ!?リョウ!!しっかりしろ!!」

 周りを見ると、散らばったカード、その中に焼き印が付いてボロボロになったカードが一枚。《ビビラ精霊 オッソ・レオーネ》のカードだった。

「《スタートダッシュ・バスター》と同じ!?」
「とにかく!!救急車と警察を呼べ!!」



 リョウの怪我は思ったより軽く、今意識を失ってこそ居るが、コトハよりはよい状態らしい。

「何でだよ!!何でこんな立て続けに・・・・・・。」
「落ち着け、ヒナタ。お前が取り乱してどうする!とにかく、今日はもう帰ろう。明日、どうにかしよう。」
「くッ・・・・・・。」
「こんな時にすまないが、僕は塾があるんだ。先に失礼させて貰う・・・・・・。」

 あくまでも平静を保っていたレン。しかし、彼が病室を去った後、すすり泣く声。レンの声だった。

「レン・・・・・・。」



「落ち着け、僕。僕が落ち着かないで誰が落ち着くんだ!」

 レンは塾へ向かう途中、そう呟いていた。

「僕がしっかりしなきゃ・・・・・・。」

 その時、レンを黒い靄が包み込む。

「な、何だ!!??」

 慌てて振り払うレン。しかし、辺りは真っ黒な空間に。

「一体、ここは・・・・・・全く美しくない・・・・・・!」

 そう言って正面を向いた途端、視界に妙な焼き印が付いた仮面を付けた男。

「ヒャハハハー!待ってたよー、黑鳥レンくーん☆」

 無邪気な声で笑う男。体格は小柄な少年程度。

「誰だ貴様ァ!・・・・・・仮面!?貴様だな!!コトハと、リョウを襲ったのは!!」
「あっ、もしかしてぇ、如月コトハちゃん?あの子ならとっくに僕が倒しちゃった☆リョウ?知らないなー?多分、僕の仲間が倒しちゃったんじゃないの?」
「おのれぇ、貴様ァー!!デュエマなら受けて立ってやる!!」
「いいよー☆どーなっても知らないけどねー♪」



 ターン13。レンのターン。

「俺のターン!!呪文、《戦慄のプレリュード》!!効果で5マナ軽減した、《真実の名 ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》召喚!!」
「ひゃー、ヤバイよヤバイよー!」

 おどけた調子で言う仮面の男・・・・・・いや少年と言うべきか。

「さらに、《ノウメン》でシールドをブレイク!!」
「うわあー、やられちゃったー☆なーんちゃって★S・トリガー発動!《スパイラル・スライダー》で《ノウメン》をバウンス★」
「!?」
「さらに僕のターン!なーにーにーしーよーうーかーなー?」

 手札からカードをバトルゾーンへ送り出す。

「これにきーめた★」
「!!」
「全てを滅ぼす闇彗星、降臨してぜーんぶ滅ぼしちゃえ!《闇彗星 アステロイド・ゲルーム》を《封魔メールワスプ》、《電脳封魔マクスヴァル》から、進化V(ボルテックス)!!」

闇彗星アステロイド・ゲルーム UC 闇文明 (6)
進化クリーチャー:フェニックス 9000
進化V−自分のグランド・デビル、ディープ・マリーン、ドラゴン・ゾンビのいずれか2体を重ねた上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー

「永遠の死を!!」
「何!?」

 その瞬間、カードからクリーチャーが実体化し、《アステロイド・ゲルーム》が《ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》に向かって、砲台をぶっ放す。

「《ゼロ・ドラゴン》!!!」
「あっはっはー!!死んじゃったねー★」

 破壊された《ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》のカードには焼き印が押され、次の瞬間炭のようにボロボロになってしまった。

「そ、そんな・・・・・・《ゼロ・ドラゴン》が・・・・・・!」

 がくんと膝をつくレン。最早彼の脳内には、”敗北”の2文字しかなかった。



「・・・・・・なんでだよ・・・・・・。」
「ヒ、ヒナタくん・・・・・・。」

 意識不明の重体・・・・・・が正しいだろうか。レンはベッドに横たわっている。意識を取り戻したリョウと、ヒナタはすぐに駆けつけてきた。

「俺が不甲斐ないばかりにッ!!」
「ヒ、ヒナタくんのせいじゃないよ!だいたい、犯人が悪いんですから!」
「違う!!俺が弱いから!!弱いから!!みんなを守れなかったんだ!!」

 その時だった。


『ふっふっふっー♪みーつけたー♪』
「「!!」」

 病院の外から、妙な声が聞こえた。急いで病室を飛び出し、屋外へと駆けた。

「!!」

 そこには、3人の仮面の男が浮かんで居た。
「てめえら!!何者だ!!」

 ヒナタが叫ぶ。

「・・・・・・。」
「うおおおおおお!!ねっけぇぇぇぇぇぇええつ!!!」
「ヨーヤク見付ケタヨ・・・・・・。暁ヒナタクーン★」
(何こいつら・・・・・・。)

 個性が半端な過ぎて、思わず口をつぐむヒナタ。

「まあ、そんな事、僕らには関係ナイナーイ☆デュエマしようよ!!」
「てめーらか!!この事件の犯人は!!」

 怒りに燃えるヒナタ!次回、激闘開始!!