二次創作小説(紙ほか)
- ターン30:次々に覚醒するアウトレイジ! ( No.88 )
- 日時: 2013/07/14 20:37
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: 39RfU1Y2)
零皇咲 封李。鎧竜決闘学院高等部1年生。しかし、自らが生粋のヤンキーで不良グループ”ギルティ”の大ボスのため、一見周りからの信頼は薄いように見えるのだが、彼の頭脳は並はずれている。つまり、テスト勉強をしようがしまいが、定期テストの順位はいつも上位。(内申点は無論、低いが。)デュエマの実力も相当高く、S・ポイントも高い。また、仲間思いの性格で人望が厚く、周囲からの信頼を得ている。が、彼がそんな日常から、非日常へと足を踏み入れたのは、まさしく教団との戦いから一夜明けた日だった。
「・・・・・・さーて、今日も授業さぼるか。」
封李は屋上に寝っ転がった。ああ、温かい風が妙に気持ちいい。そう感じた瞬間だった。
「何や、今日もサボるんかいな。」
「!」
封李は思わず起きあがった。しかし、周りには誰も居ない。
「何だ、空耳か・・・・・・。」
「空耳やないで!」
「!」
もう一度、辺りを見回す。が、誰も居ない。
「何だ!どこに潜んでやがる!出てこねーと、こっちから出向かうぞ!」
「どこも何も、アンタのデッキのてっぺんっちゅーねん!」
「何ッ!?」
思わず、デッキケースを乱暴に開け、てっぺんのカードを取り出した。次の瞬間、そのカードが輝き出す。
「なっ、うわあああ!?」
二時間目、D・リーグ。ヒナタ達は、デュエル・ルームでデュエマを繰り広げていた。が、今回の相手はシオ。コントロール戦法を得意とする彼女に、正直勝ち目は薄い。おまけに彼女は、《電脳封魔マクスヴァル》や《一撃奪取 ブラッドレイン》など、コスト軽減クリーチャーを出してきたものだからたまらない。まだ、14ターン目にもかかわらず、
「進化、地獄の声を聴く。命の根源を絶ち、生者を闇へ導き、そしてあなたを呼ぶ——君臨です《悪魔神ドルバロム》。効果で、先輩の場、マナ、そして私の場、マナの闇以外のカードを全て吹っ飛ばします。そして、コンボ発動です。《封魔妖スーパー・クズトレイン》の効果で、大量ドローです。」
「オーノー!俺のマナと、《ロードスター》と《ドラポン》と《レールガン》が!!」
場とマナが一掃されるヒナタ。しかし、次の瞬間、薄ら笑いを浮かべた。
「何てな!ドロン・ゴー発動!《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》召喚!マナがないなら、マナを支払わずに召喚するまでだ!後は《クロスファイア》で殴り続ける!」
「先輩、先輩の《クロスファイア》はタップされています。よって、《悪魔神ドルバロム》で破壊。」
「へ?」
「そして、《豚魔槍 ブータン》でW・ブレイク!」
カードをタップし、ヒナタに猛攻を仕掛ける。次の瞬間、
「お前のシールド、W・ブレイクだブー!」
「ブー?」
2人とも、何者かの声が聞こえたような気がした。
「おい、シオ。お前、今、ブーって言わなかったか?」
「いいえ。」
焦りながら、否定するシオ。それを聞いて、我関せずとばかりに、ヒナタはプレーを進めた。
「あっそ。んじゃ、S・トリガー発動、《火焔タイガー・グレンオー》でお前のパワー2000以下、全員破壊な。」
効果で、シオの場には《ブータン》と《ドルバロム》を残して、全部吹っ飛んだ。ほとんどが、コスト軽減のパワーが低いクリーチャーだったのだ。
「総攻撃は免れたな・・・・・・。よし、俺のターン!マナがないのなら、マナを使わなければいい!G・0で《盗掘人形 モールス》召喚!そして、G・0で《百万超邪 クロスファイア》召喚!一気に決めるぜ!」
「うっ、お得意のG・0ですか・・・・・・!」
「よし、《クロスファイア》で《ドルバロム》に攻撃!そして、《ドラゴ・リボルバー》でW・ブレイク!《ブータン》を破壊!後は、さっき、闇文明だから破壊を免れた、《ドルマークス》でトドメを刺すだけ!」
その時、シオは無感動な瞳を一瞬、輝かせた。
「無駄です。ドロン・ゴーで《地獄魔槍 ブリティッシュ》に。効果で1枚を捨てさせます。そして、《デーモン・ハンド》で《ドルマークス》撃破。」
「へっ、かかったな!どこからでも墓地に行ったとき、《キューブリック》の効果発動!《ブリティッシュ》をバウンス!」
しまった---------と思ったときにはもう遅い。シオの場には、もうクリーチャーが居ない。
「私のターン・・・・・・何もできないので、終了です。」
「よし、俺のターン!《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》でトドメだ!」
「うぅ・・・・・・私の負けです。」
こうして、ヒナタはシオに勝利した。
誰も居ない、階段の裏側。
「ブータン。出てきてください。」
シオはそう言った。カードが途端に輝き出す。
「うぅ、マイハニー、許してくれブー。あれは、うっかり口を滑らせてしまったんだブー。」
何と、カードから、本当に《ブータン》が現れたのである。
「黙るです。貴方にマイハニー呼ばわりされる覚えはないです。」
無表情だが、怒りという感情は見て取れた。無理はない。あの場でブータンがうっかり喋った所為で、シオは危うく大恥掻くところだったのだから。
「大体、貴方は・・・・・・。」
シオがそう言いかけたときだった。聞き覚えのある声が聞こえた。
「おい、ドラポン!本当かよ!この辺に、アウトレイジの反応があるって!」
「本当っちゃ!絶対にいるっちゃ!それも、とびきりでかい、反応っちゃ!」
「そんなのが本当に、3つも!?うち1つは、誰も通らない、階段裏だ・・・・・・。」
ヒナタが階段裏を覗いたときだった。
「ブ・・・・・・タ・・・・・・?んでもって、シオ!?」
「ブー!俺様はブタじゃないブー!俺は歴とした、エグザイル、《豚魔槍 ブータン》だブー!」
「ブタじゃねーか!」
ブータンが憤慨した。槍をこちらに向ける。
「先輩?何でここに・・・・・・!」
「思った通りっちゃ!ブータン!しばらくっちゃ!」
ドラポンが、ブータンの方に近づく。すると、ブータンも気付いたようだった。
「あっ、その声は!ドラポンだブー!本当に久しぶりだブー!」
ブータンも嬉しそうに、ドラポンと手を取り合う。
「で、何でシオがここに?」
「せ、先輩も、実体化するカードを?」
「ああ。ドラポンは、俺が見付けた相棒だ。お前もそうか?」
「はい。少し前までは、普通のカードだったんですが・・・・・・ある日を堺に、急に実体化して・・・・・・で、実体化するなり、私をハニーハニーって、しつこく・・・・・・。」
シオは忌々しそうに、目をブータンの方にやった。
「あはは・・・・・・。」
「でも、安心したです。同じような境遇の人がいるから。」
「まあな・・・・・・。」
ジェイコフはその頃、あるカードを眺めていた。D・リーグの一回戦を勝ち、次の相手と戦う準備をしていた。
「《誇り高き破壊者 ムスタング》か・・・・・・。」
ジェイコフはそう呟いた。
「僕にピッタリなカードではあるね。このフォイル。まさしく、シークレットカードに相応しい。」
そう言って、デッキの中にカードを入れる。そして、次の相手と向かい合う。
ターン15:ジェイコフのターン。
「僕のターン。《誇り高き破壊者 ムスタング》召喚だ!」
誇り高き破壊者(ロイヤル・デストロイヤー) ムスタング 秘 火文明 (6)
クリーチャー:アウトレイジ 6000
W・ブレイカー
自分の他のクリーチャーがどこからでも墓地に置かれた時、相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーまたはパワー5000以下のクリーチャーを1体、破壊する。
「そして、《霞妖精ジャスミン》を破壊して、ダイチをブースト!さらに、《ムスタング》の効果で、《電脳聖者タージマル》を破壊だ。ターン終了。」
「クカカ・・・・・・破壊するのはやはり最高だぜ・・・・・・!」
「!?」
辺りをふと見回す。だが、誰も居ない。
「空耳か?」
その後、ジェイコフは勝利したが、1つ疑問が残った。あの時の声は一体?もう一度、《ムスタング》のカードを手に取る。
「まさか・・・・・・こいつが・・・・・・?」
今、アウトレイジが教団の支配に対抗すべく、目覚めようとしていた。