二次創作小説(紙ほか)
- 夕日坂 プロローグ ( No.46 )
- 日時: 2013/09/28 20:16
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: JPHNpDb7)
伝えられたのは、感謝の言葉
伝えられたのは、謝罪の言葉
伝えられたのは、別れの言葉
伝えられなかったのは、私の気持ち
- Re: 【黒バス短編集】夕日坂 ( No.47 )
- 日時: 2013/09/30 20:19
- 名前: えり (ID: cASJvb5A)
お〜!!
全然だいじょぶです☆
楽しみにしてまーす♪
- Re: 【黒バス短編集】夕日坂 ( No.48 )
- 日時: 2013/10/04 19:33
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: W5vVCrjS)
えり
ありがとう!! 頑張ります!!o(`^´*)
- 夕日坂 1 ( No.49 )
- 日時: 2013/10/04 20:26
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: W5vVCrjS)
私——水城悠の日常は、帝光中バスケ部のマネージャーとして朝練に参加することから始まり、放課後のバスケ部の練習後、帰り道が途中まで一緒の彼と帰宅することで幕を閉じる。
「悠ちゃん!! 帰るっスよ!」
「はーい!」
私に声をかけてきた彼——黄瀬涼太くんは、私の所属するバスケ部の一軍メンバーであり、いつも一緒に帰っている人だ。
私の日常に『黄瀬くんと一緒に帰る』が組み込まれたのは、私が帝光中に転入してバスケ部に入った直後だった。
部活が終わった後、一軍メンバーとマネージャーのさつきと私で一緒に帰ったのだか、その時、黄瀬くんと途中まで帰り道が一緒のことが分かり、それ以来一緒に帰ることになったのだ。
一緒に帰るのは、坂道の上の別れ道まで。そこまで夕日を背に、長い影を二つ連れて歩く。
背の高い黄瀬くんに合わせて、私の歩幅が少し大きくなるのも、いつもの事だ。
「……あと少しっスから」
少し前を歩いていた黄瀬くんが、前を見たまま、後ろの私に手を伸ばす。
私も手を差し出すと、一回り大きな黄瀬くんの手が私の手を包む。
最近、別れ道が近くになると、黄瀬くんが手を繋ごうと私に手を伸ばしてくる。
始めは驚いたが、今ではそれさえも日常と化している。
特に話すことも無く沈黙が続くが、それは気持ちのいいものだった。
無理に会話を続ける必要が無く、繋がれた手から互いの気持ちが伝わっているような感覚はとても心地良かった。
「それじゃ、また明日!」
「うん。またね」
坂を上りきり別れ道まで来た私達は、繋いだ手を放し、別れる。
少し歩き、ふと、振り返るとそこにはもう、黄瀬くんはいなかった。
一人になった寂しさが私の心を埋めるが、
「……また明日一緒に帰れるし、学校でも会えるじゃない」
心から寂しさを追い出すように独り言を呟き、明日も良い天気になりますようにと夕日に願いながら帰路についた。
私はこんな日常的にありふれた幸せが大好きだった。
この時の私はまだ、いつまでもこの日々が続くと信じていたんだ。
- Re: 【黒バス短編集】夕日坂 ( No.50 )
- 日時: 2013/10/04 20:32
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: W5vVCrjS)
【お知らせ】
*参照400突破!!*
どうも、緑茶です!
ありがたいことに、参照が400を突破いたしました!!
更新スピードが気まぐれなこの作品に付き合って下さった皆様、本当にありがとうございますm(__)m
これからもよろしくお願いいたします!!
- 夕日坂 2 ( No.51 )
- 日時: 2013/10/15 20:20
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: jwGMIFov)
ある冬の夜——
「悠、父さんが呼んでいたぞ。書斎で待っているそうだ」
「え!? ……分かった。すぐ行く」
ここは赤司征十郎——通称征ちゃんの家。訳あって居候させてもらっている。
それならば、何故征ちゃんと一緒に帰らないのかと言うと、征ちゃんは主将として部活後先生とミーティングをしなければならない。よって私は途中までではあるが、一人にならないためにも黄瀬くんと一緒に帰っているのだ。
征ちゃんのお父さんは仕事で忙しく、あまり顔を合わせたことが無いのだけど……どうしたのだろう?
*
ドアをノックすると『どうぞ』と低い声が帰ってきた。
書斎の中に入ると、厳しい顔をした征ちゃんのお父さんが待っていた。
「えっと……話って……」
私が声をかけると、厳しい顔は崩さないまま話始めた。
「話と言うのは、征十郎の受験のことだ」
「受験……?」
「ああ。あいつの志望校は京都にある洛山高校らしくてな。合格したら京都に住むだろう。だか、私は仕事が忙しくてここを離れることが出来ない。だから征十郎は京都にある別荘に住むことになるのだか……」
そこで言葉を区切り改めて私を見つめる。
「君はどうする? 征十郎に付いて行くか、ここに残るのか」
「え……えっと……」
急な話に付いて行けず、返事がしどろもどろになってしまう。
「まぁ、今すぐ決めなくても、受験の願書を出す二月までに、ゆっくりと考えてくれ。考えがまとまったら私か、じぃに伝えて欲しい」
「……はい。失礼します」
ぎこちない動きで会釈して部屋の外へ出た私は、大きく息を吐き出して、混乱したままの頭でトボトボと自分の部屋に戻った。
- 夕日坂 3 ( No.52 )
- 日時: 2013/10/26 10:57
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: v2e9ZzsT)
「京都……か……」
私の頭の中では、さっき話された事がぐるぐると回っていた。
征ちゃんと一緒に京都に行くか……
征ちゃんのお父さんと一緒にここに残るか……
実のところ、高校は黄瀬くんと同じ海常に行くつもりだった。
でも、黄瀬くんと同じ高校に行くということは、征ちゃんと離れるということ。
今まで色々とお世話になったから、なるべく迷惑をかけたくないし、何より征ちゃんは実の兄のような存在なのだ。簡単にはなれたくない。
誰かに相談すべきなのだろうか……?
頭に浮かんだ考えを振り払うように首を横にふった。
黄瀬くんに相談しても、征ちゃんに相談しても、きっと「自分の好きなようにしろ」って言われるだろう。
「はぁぁ〜」
イスから立ち上がり、ベッドにダイブしながら大きなため息をつく。
これは黄瀬くんを取るか、征ちゃんを取るか、どちらかを選べと言われているようなものだ。
「……どっちかなんて、選べないよ……」
私にとっては二人とも大切で、かけがえのない存在なのだ。一人だけなんて選べない。
枕に顔を押し付けて無理矢理に寝ようとするが、ごちゃごちゃした頭は中々眠ろうとしなかった。
——期限の二月——
仕事が忙しくなく家に居た征ちゃんのお父さんに、私は自分の気持ちを告げた。
「本当にそれでいいのか?」
「はい。悩んで選んだ結果です。私は——」