二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.100 )
日時: 2013/08/09 20:56
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)

蒼の潮流スーパー・スペル・グレートブルー 水文明 (8)
クリーチャー:ポセイディア・ドラゴン/ハンター 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を見る。それが呪文であれば、コストを支払わずに唱えてもよい。
W・ブレイカー


「出やがった……!」
 召喚時と攻撃時にデッキトップの呪文をコストを踏み倒して唱える《スーパー・スペル・グレートブルー》。どう考えても、呪文を相当数搭載しているミウのデッキにおける切り札だろう。
 そして、呪文射出の一発目が、放たれる。
「……発動、《ガンヴィート・ツイスト》。手札を、一枚、捨てさせる。それと、《ツイート》の、パワーを、マイナス3000。《魔光王機デ・バウラ伯》で、《ツイート》を、攻撃」
「ぐっ!」
 手札を削られ、折角の攻撃手である《ツイート》も破壊されてしまった。しかも次のターンからは、《スーパー・スペル・グレートブルー》によるコスト踏み倒しの呪文が放たれる。
「なんとか流れを変えねぇと……《ロッキオ》召喚、続けて《ペロリ・ハット》召喚! 連鎖で山札の上を捲り、コスト3未満のクリーチャーを召喚!」
 この時、零佑は《ロッキオ》で山札の上を操作している。つまり、
「《ペロリ・ハット》進化! 《アストラル・リーフ》!」
 デッキトップから狙ったクリーチャーを出せるのだ。
 現れたのは、低コストで大きなアドバンテージを得ることのできる進化サイバー・ウイルス、《アストラル・リーフ》。その効果で、零佑は三枚ドローする。
「とはいえ、パワーじゃ《エールフリート》には及ばない……ここは《マリン・フラワー》を召喚して、ターンエンド」
 とにかく攻めるはずが、いつの間にか防戦気味になっている零佑。完全にペースを持っていかれてしまった。
(つっても、見たところ奴のデッキにおけるクリーチャーと呪文の比率は半々、少し呪文が多いくらいか。だったら《スーパー・スペル・グレートブルー》の効果使っても外れることもあるだろ。それに賭けるか)
 そう高を括る零佑だが、ミウはそんな運に身を任せたりはしなかった。
「《天雷王機ジョバンニⅩ世》を、召喚」


天雷王機ジョバンニⅩ世 光文明 (2)
クリーチャー:グレートメカオー/ナイト 1000
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
自分のターンの終わりに、自分の墓地にあるコスト1の呪文を好きな枚数、自分の手札に戻す。


 ミウのターン。彼女の最初の行動は、ブロッカーを並べることだった。
(ん? 《ジョバンニⅩ世》? そういえばあいつ、最初に《ラッキー・ダーツ》を墓地から回収して、前のターンには《クルトの気合釣り》を手札に加えてたな。そんなカードがあるなら、わざわざ回収する必要なんて——)
 そこで零佑は気付く。ミウの狡猾な策略に。
「発動、呪文《クルトの気合釣り》」


クルトの気合釣り 光文明 (1)
呪文
S・トリガー
呪文を1枚、自分の墓地から山札の一番上に置く。


 墓地の呪文をデッキトップに戻す《クルトの気合釣り》。普通に使えば自分にドロー制限がかかってしまうが、しかし彼女の場には今、《スーパー・スペル・グレートブルー》がいる。
「《英知と追撃の宝剣》を、山札の、一番、上に」
「やべ……っ」
 零佑の背筋に、悪寒が走る。
「《蒼の潮流スーパー・スペル・グレートブルー》で、W・ブレイク」
 その際に、効果発動。デッキの一番上を捲り、呪文ならタダで唱えられる。
 そしてこのターン、ミウはデッキトップに《クルトの気合釣り》で呪文を仕込んでいる。それがそのまま、射出されるのだ。
「発動、呪文《英知と追撃の宝剣》」


英知と追撃の宝剣(エターナル・ソード) 水/闇文明 (7)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
バトルゾーンにある相手のクリーチャーを2体選ぶ。相手はその中から1体選んで自身の手札に加え、もう1体を破壊する。その後、自分は相手のマナゾーンからカードを2枚選ぶ。相手はその中から1枚選んで自身の手札に戻し、もう1枚を墓地に置く。


 突如、上空に巨大な剣が出現する。そこから放たれる二発の衝撃波が、零佑の場を蹂躙する。
「くそっ……《アストラル・リーフ》を手札に戻し、《マリン・フラワー》を破壊!」
 続く二発目の斬撃で、マナが二枚吹き飛んだ。
 さらに《スーパー・スペル・グレートブルー》本体による攻撃も襲い掛かる。
「《海底鬼面城》が……!」
 今まで零佑の手札を潤していた城も呆気なく崩落した。これで、零佑のシールドはミウと同じ三枚。
「……こいつでどうだ! 《スパイラル・ゲート》! 戻れ《スーパー・スペル・グレートブルー》!」
 《スーパー・スペル・グレートブルー》の周りに激しい渦が発生し、飲み込んで手札へと戻す。幸い、ミウのマナはそれほど多くない。1、2ターン程度なら凌げるだろう。
「ただの時間稼ぎだけどな……《ツイート》を召喚して、ターン終了だ」
「私の、ターン」
 ミウはできることがないのか、マナを溜めただけでターンを終えた。
「だが次で8マナ溜めて、奴が来る」
 その前になんとかしたいのだが、どうしようもない。
「《クゥリャン》召喚、《パラダイス・アロマ》を《アストラル・リーフ》に進化!」
 マナが削られたので手札が多くてもできることは多くないが、それでもドローし続ける零佑。もうデッキの残りも多くない。
「《ツイート》で攻撃!」
「《魔光王機デ・バウラ伯》で、ブロック」
 攻撃を通さないミウのブロッカー。零佑の場にパワーの高いクリーチャーがいないので、自爆で守っても大丈夫と判断したのだろう。
 そしてミウのターンが訪れた。
「8マナ、《蒼の潮流スーパー・スペル・グレートブルー》召喚。効果で、山札の、上から——」
 ミウの言葉が止まる。原因は、彼女が捲ったデッキトップのカードにあった。
「……ターン、終了」
 結局、ミウのターンはクリーチャーを召喚しただけに終わった。そのため捲ったカードはクリーチャーだったのだろう。
「なんにせよ、助かったぜ……」
 胸を撫で下ろす零佑。しかし安心してばかりもいられない、次のターンからはまた《クルトの気合釣り》からの呪文砲が飛んでくるはずだ。
「俺のターン! 《ペロリ・ハット》を二体召喚!」
 一気に連鎖持ちクリーチャーを呼び出し、クリーチャーの大量展開を狙う零佑。一回目の連鎖で《ルチアーノ》が出て来たが、二回目は不発だった。
「《ツイート》で攻撃!」
「《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》でブロック」
 《ツイート》でカードを引きながら攻撃するも、やはり止められてしまう。
 このままドローを続けて、逆転に繋がるカードが引けなければ山札切れで零佑の負けだ。そうなる前に、キーカードを引きたいが、なかなか出て来ない。
 山札切れの危険は、初っ端に《海底鬼面城》でドローし、《神門の精霊エールフリート》で山札を削っているミウにもあるが、しかし彼女にはその問題を解決するカードがある。
「呪文《クルトの気合釣り》で、《英知と追撃の宝剣》を、山札の、一番、上に。G・ゼロ、《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》召喚」
 それが《クルトの気合釣り》。この場合では、呪文を仕込むだけでなく山札切れの危険も回避している、二つの仕事をこなすカードだ。
「《蒼の潮流スーパー・スペル・グレートブルー》で攻撃。効果、発動」
 《スーパー・スペル・グレートブルー》の流動と共に、宝剣による斬撃が放たれる。それにより、《ツイート》が戻され《アストラル・リーフ》が破壊された。マナもまた二枚削られる。
 そしてシールドも二枚、吹き飛んだ。
 吹き飛んだ、が。
(来た!)
 思わず零佑は笑みを零す。一枚目に割られた“それ”を手札に加え、二枚目に割られたシールドは光の束となって収束する。
「S・トリガー発動《アクア・サーファー》! 《エールフリート》をバウンス!」
「……?」
 ミウは小首を傾げる。彼女はきっと、また《スーパー・スペル・グレートブルー》が戻されると思っていたのだろう。
 確かに《スーパー・スペル・グレートブルー》は強力だ。《クルトの気合釣り》と組み合わせて好きな呪文を墓地から放つコンボで、零佑もかなり苦しめられている。だから最初は《スパイラル・ゲート》で手札に戻した。
 だが、もうそんなことをする必要もなくなった。
「マナは……ギリギリか。まあしゃーねえ、召喚できるだけで十分だ」
 言いながら、零佑は《クゥリャン》の上にカードを重ねる。
「ソウルシフトで3マナ軽くなり4マナ、《クゥリャン》進化——」
 突如、その場で嵐が巻き起こる。水滴が渦巻くように飛び散り、ノイズのような音が響き渡り、磁場が乱れ電気が弾ける。
 光り輝く《クゥリャン》を中心に発生する渦は、《クゥリャン》の姿を変えていく。

「——吹き荒れろ、呪文殺しの超電磁! Zの称号をその手に掲げ、大地を揺るがす一撃を放て! 我が相棒、《超電磁マクスウェルZ》の声を聞け!」

 嵐が収まる。《クゥリャン》が進化した姿は、巨大な人型の機械、のようなものだった。
 青と黒のカラーリング、顔はのっぺりとしており、身体のいたるところが機械的。そんなクリーチャー、《超電磁マクスウェルZ》。
「あ、あぁ……」
 《マクスウェルZ》の登場で、ミウは明らかな動揺を見せる。それもそうだろう。《マクスウェルZ》の能力は、ミウにとって絶望的なのだから。


超電磁マクスウェルZ 水文明 (8)
進化クリーチャー:サイバー・コマンド 8000
進化—自分の「サイバー」と種族にあるクリーチャー1体の上に置く。
ソウルシフト
各プレイヤーは、自身の墓地にある呪文と同じ文明を持つ呪文を唱えることはできない。
W・ブレイカー


「お前の墓地は、全文明の呪文が既に落ちている。もう無色呪文しか使えないぜ?」
 墓地にある同文明の呪文の詠唱を完全に封殺してしまう《マクスウェルZ》。呪文を主体とするミウにとっては、天敵のようなクリーチャーだ。
「攻めるぞ! 《マクスウェルZ》《ペロリ・ハット》で攻撃! シールドブレイクだ!」
「あ……《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》と、《魔光王機ジョバンニⅩ世》で、ブロック——」
「甘いぜ! ニンジャ・ストライク4《斬隠テンサイ・ジャニット》を二体召喚! 《ブラッディ・シャドウ》と《ジョバンニ》をバウンス!」
 結局、ミウは零佑の攻撃を止められず、シールドをすべて割られてしまう。そして割られたシールドは《デーモン・ハンド》《めった切り・スクラッパー》《深緑の魔方陣》の三枚。皮肉にも、呪文が発動できない中で三枚ともS・トリガー呪文だった。
 これでもう、ミウも守るものはなにひとつない。

「これでとどめだ! 《パラダイス・アロマ》で、ダイレクトアタック!」