二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.107 )
日時: 2013/08/29 01:40
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)

 同じ【神格社界ソサエティ】に属しながらもそりが合わず、論争の果てに行われることとなった亜実と栗須のデュエル。
 互いにまだシールドは五枚あるが、栗須の場には何もなく、亜実の場には《電磁翔天ピピッピ》が一体。
(奴のデッキはコントロール色が強い、下手に長引かせるとこっちが不利になるか)
 先攻亜実の5ターン目、亜実はこの時点で積極的に攻撃する方針に決めた。
「《腐敗電脳ディス・メルニア》を召喚! 《ピピッピ》でシールドブレイク!」
 《ピピッピ》は攻撃の際に山札を捲り、進化クリーチャーなら手札に入るが、残念ながら捲れたのは進化クリーチャーではなかった。
 だがそれでも、亜実の先制攻撃が決まる。
「ふん、たかだかシールドを一枚割った程度で調子に乗るなよ。S・トリガー発動! 《ミラクルとミステリーの扉》!」


ミラクルとミステリーの扉 水/自然文明 (5)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
自分の山札の上から4枚を表向きにする。その中から進化クリーチャー以外のクリーチャーを1体相手に選ばせ、バトルゾーンに出す。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。


 早速踏んでしまったS・トリガー。効果で捲れた四枚のカードは《クリスティ・ゲート》《腐敗無頼トリプルマウス》《悪魔聖霊アウゼス》《デーモン・ハンド》だった。
「こんなもの、選択肢なんてあってないようなものだな。《トリプルマウス》を選択する」
「まあそうだろうな。運が良かったな、もっと大型クリーチャーが出ていた可能性もあったのだから。《トリプルマウス》の効果でマナを溜め、手札を破壊する。そして僕のターン、《ライフプラン・チャージャー》を発動し、マナを溜めつつ《偽りの羅刹 アリバイ・トリック》を手札に加え、ターンエンドだ」
 まだ栗須に大きな動きはない。しかしもう6マナも溜めており、着実に準備を進めていた。
「そろそろ動き出す頃か……《セブ・コアクマン》を召喚。効果で山札の上から三枚を捲り、《襲撃者ディス・ドライブ》と《ボーン・おどりチャージャー》を手札に入れ、《爆裂マーズ・ギル・ヒドラ》を墓地へ。そして《ピピッピ》と《ディス・メルニア》でシールドブレイク!」
 二体のクリーチャーによる攻撃で、栗須のシールドは残り二枚。しかも。《ピピッピ》の能力で《魔水晶スタートダッシュ・リバイバー》を手札に入れられた。
 しかし、
「S・トリガー発動《ミステリー・キューブ》!」
 《ミステリー・キューブ》。山札をシャッフルし、一番上のカードを捲る。それがクリーチャーなら、タダで場に出せる呪文だ。
「その効果で……おっと、このクリーチャーが出たか。《怪盗パクルパン》」
 少しずつクリーチャーを増やしていき、栗須のターンが訪れる。
「僕のターン。まずは《エメラル》を召喚し、手札とシールドを入れ替える。そして次にこの呪文を発動だ。《クリスティ・ゲート》!」


クリスティ・ゲート 光文明 (3)
呪文
S・トリガー
自分のシールドをひとつ見る。その中から、進化ではない光のデーモン・コマンドを1体、バトルゾーンに出してもよい。
カードを1枚引く。

 
「遂に来たか……!」
 歯噛みする亜実。
 残り二枚のシールドのうち、栗須が選んだのは先程《エメラル》でカードを入れ替えたシールドだ。
「不可思議の門から現れよ、誤読の悪魔! 《偽りの羅刹 ミスディレクション》!」


偽りの羅刹(コードファイト) ミスディレクション 光文明 (8)
クリーチャー:デーモン・コマンド/アンノウン 9000
自分のコマンドが相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかった時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー


「光のデーモン・コマンド……早めに対処しないと、危険だな」
「そんな余裕を与えると思っているのか? 僕のトリックはもう始まっているのだよ。まずは《トリプルマウス》で《ディス・メルニア》を攻撃!」
 《トリプルマウス》が《ディス・メルニア》に噛み付く。パワーは《トリプルマウス》の方が高いが、《ディス・メルニア》のスレイヤー能力で共に破壊される。
「続いて、《パクルパン》でシールドブレイク。この時、《ミスディレクション》の効果が発動し、シールド追加。そしてターンエンド、《パクルパン》の効果でもう一枚、シールドを追加させてもらうよ」
 残り一枚まで削れたシールドを、栗須は三枚まで回復させた。大型クリーチャーも並び、スレイヤーは破壊され、亜実にとってはあまりよくない状況だ。
「だがこれで5マナ溜まった、こいつが出せる。《セブ・コアクマン》進化、《魔水晶スタートダッシュ・リバイバー》!」


魔水晶スタートダッシュ・リバイバー 水/闇文明 (5)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル/ゴースト 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分の水または闇のクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の墓地から選び、バトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


「《スタートダッシュ・リバイバー》の効果で墓地の《ディス・メルニア》を復活! 《パクルパン》を攻撃だ!」
 《スタートダッシュ・リバイバー》の攻撃を受け破壊される《パクルパン》。
「続けて《ピピッピ》でシールドブレイク!」
 スレイヤーでブロッカーの《ディス・メルニア》が睨みを利かせているため、殴り返しを気にせずに攻撃できる。《ミスディレクション》の効果も、攻撃がブロックされなかった時にしか発動しないため、ブロッカーがいるだけで発動を制限できる。
 このままクリーチャーを並べて一気に押し切ってしまおうと思っていた亜実。だが、そう上手くは行かなかった。
「S・トリガー《ミステリー・キューブ》! 次はどのクリーチャーが出るかな?」
「くっ……!」
 栗須の山札がシャッフルされ、その一番上が公開される。


悪魔聖霊アウゼス 光/闇文明 (6)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/デーモン・コマンド 6500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
シンパシー:エンジェル・コマンドおよびデーモン・コマンド
自分のエンジェル・コマンドまたはデーモン・コマンドが攻撃する時、相手のタップされているクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー


「《アウゼス》だと……くそっ!」
「なかなか良いタイミングで出て来てくれたようだな。行くぞ、僕のターン。《アウゼス》で《ピピッピ》に攻撃、そして効果で《スタートダッシュ・リバイバー》を破壊!」
 《アウゼス》の繰り出す衝撃波で《スタートダッシュ・リバイバー》が破壊される。そして《ピピッピ》も破壊するために、その剣を振りかぶった。
(どうする、《アウゼス》がいるとこっちはクリーチャーを展開しづらくなるが、《ミスディレクション》に攻撃されると、また奴のシールドが増える。そうなると、攻める手段がビートダウンに近いこのデッキが不利になる……通すか)
 しばし逡巡し、亜実は《アウゼス》の攻撃をブロックせず、《ピピッピ》は破壊された。
「ほぅ、そう来るか。ならばターンエンドだ」
(やっぱ攻撃しないか)
 栗須としても《ミスディレクション》は失いたくないだろう。次のターン、《アウゼス》が破壊される危険を伴っても、シールド回復手段は残しておきたいようだ。
「だがそれも、いつまで持つか。《ブレイン・チャージャー》発動、カードを一枚引き、このカードをマナへ。そしてこいつを召喚だ。出て来い《襲撃者ディス・ドライブ》!」
 《襲撃者ディス・ドライブ》。スピードアタッカーにスレイヤーがついた闇と火の多色エイリアン。
 《ディス・メルニア》が守りを固めつつ、ブロッカーをすり抜けて確実に相手を道連れにするのであれば、《ディス・ドライブ》はそのスピードで奇襲をかけ、攻めつつ道連れにする、といった役割の違いがある。
 なんにせよ《ディス・ドライブ》はスピードアタッカーですぐに攻撃できる。すぐに攻撃できるということは、
「《ディス・ドライブ》で《アウゼス》に攻撃!」
「スレイヤーで道連れを狙った、自爆特攻か……!」
 栗須の言う通り、《ディス・ドライブ》は《アウゼス》に特攻をかけ、スレイヤー能力で道連れにする。
「さっきからスレイヤーばかり出してこちらの道連れを誘うとは、まるで殺人鬼だな。それも犯行を隠匿する切り裂きジャックのような類ではなく、数で押すしか脳のない雑兵のようだ」
「確かに戦場に立った兵士は駒だ、使い捨てられる事も多い。だが、駒には駒としての役目がある、無駄なことなどなにひとつとしてない」
 栗須の言葉に対し、静かに反論する亜実。こういうところでも、二人は反発しあっている。

 『炎上孤軍アーミーズ』対『深謀探偵シャーロキアン』、相容れず、二律背反のような二人の力は、今のところ拮抗している。
 しかしこの危うい戦況は、たった一つの強大な存在が現れるだけで、容易く崩れ去るのだった。