二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.114 )
日時: 2013/09/22 00:25
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「あ……」
 姫乃が状況を認識した時には、もう遅かった。
 パイルは仄を神話空間に引きずり込んでしまい、二人のデュエマが始まってしまった。
「どうしよう、武者小路さんを巻きこんじゃった……」
 一度神話空間に入ってしまえば、デュエルが終わるまで出てこれない。外部から介入することもできなくはないが、姫乃にその力はない。
 だから後は、仄の力を信じるしかない。無事、この神話空間から出ることを、祈るしかなかった。



 パイルと仄のデュエルは、まだどちらも大きな動きは見せていない。
 互いにシールドは五枚。パイルの場には《霊王機エル・カイオウ》。仄の場には《王機聖者ミル・アーマ》と《知識の精霊ロードリエス》。
 そして後攻パイルの10ターン目。
「行くぞ、まずはこいつだ。《封魔のイザナイ ガラムマサラ》召喚!」


封魔のイザナイ ガラムマサラ 闇文明 (5)
クリーチャー:オラクル/グランド・デビル 3000
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていれば、自分の山札を見る。その中からコスト7以下のグランド・デビルを1体、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。


「《ガラムマサラ》……アーク・セラフィムのデッキかと思ったけど、グランド・デビルも入ってるなんて、随分とアンバランスなんじゃない?」
「これが私の戦術だ。なにも知らない小娘に口出しされる言われはないな。ターン終了」
 と言ってパイルは静かに手番を終える。
「じゃあ、私のターン」
 仄は今の手札と引いてきたカードを見て、目を細める。
(どうも手札が良くないな……シールドに埋まってるのならそれでいいけど、このままずっと来なくても困る。ならここは……)
 キーカードを引けないでいる仄は、手札からカードを一枚抜き取る。
「呪文、《反撃のサイレント・スパーク》!」


反撃のサイレント・スパーク 光/水文明 (6)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
次のうちいずれかひとつを選ぶ。
▼バトルゾーンにある相手のクリーチャーすべてをタップする。
▼カードを2枚まで引く。


「その効果で二枚ドロー!」
「6マナの多色呪文で二枚ドローか。随分と非効率的だな」
「うるさいな、今はこれでいいの」
 パイルの言うように、《エナジー・ライト》の倍のマナを支払って同じ枚数ドローするのはコスト論的にかなり損しているが、それでも手札の悪い今なら致し方ない。
 そしてその選択が功を奏し、仄はこのデッキの核となるカードを引き当てた。
「……どうやら、目的のカードを引いたようだな。だが遅い。私のターン、私自身を召喚だ!」


霊騎のイザナイ パイル 光文明 (4)
クリーチャー:オラクル/アーク・セラフィム 2000
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていれば、自分の山札を見る。その中からコスト6以下のアーク・セラフィムを1体、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。


「さらに《転々のサトリ ラシャ》も召喚! 効果で無色以外をすべてタップ!」
「っ、まずい……!」
 オラクルの第三階級であるイザナイの多くは、自身がタップされている状態でターンを終えることで効果が発動する。
「ターン終了する時、《ガラムマサラ》と私の効果が発動する! 出でよ《魔聖デス・アルカディア》! さらに私を進化元に、《聖帝エルサル・バルティス》!」


魔聖デス・アルカディア 闇文明 (6)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/グランド・デビル 6000
ブロッカー
スレイヤー
相手のクリーチャーが自分のシールドをブレイクする時、そのシールドを手札に加えるかわりに墓地に置いてもよい。そうした場合、そのシールドをブレイクしたクリーチャーを破壊する。
このクリーチャーは攻撃することができない。


聖帝エルサル・バルティス 光文明 (6)
進化クリーチャー:アーク・セラフィム 7000
ブロッカー
進化—自分のアーク・セラフィム1体の上に置く。
W・ブレイカー
相手が自分自身のシールドの「S・トリガー」を使う時、自分の山札を見る。その中から「S・トリガー」を持つ呪文を1枚選び、山札をシャッフルした後、その呪文をコストを支払わずに唱えてもよい。


「また厄介な……でも、こっちの準備はもう整ってる。私のターン! 呪文《ヘブンズ・ゲート》を発動!」
 手札から光のブロッカーを二体呼び出す呪文《ヘブンズ・ゲート》。その効果で仄が呼び出すのは、
「出て来なさい《偽りの名 オレオレ・ライオネル》《真実の名 タイガー・レジェンド》!」


偽りの名(コードネーム) オレオレ・ライオネル 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/アンノウン 8500
ブロッカー
このクリーチャーが攻撃する時、相手とガチンコ・ジャッジする。自分が勝ったら、「ブロッカー」を持つクリーチャーが出るまで自分の山札の上からカードをすべてのプレイヤーに見せ、そのクリーチャーをバトルゾーンに出してもよい。その後山札をシャッフルする。
W・ブレイカー


真実の名(トゥルーネーム) タイガー・レジェンド 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/アンノウン 7500
ブロッカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分が負けるか中止するまで、相手とガチンコ・ジャッジする。その後、こうして自分がガチンコ・ジャッジに勝った回数、「ブロッカー」を持つ光の、進化ではないクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


 現れたのは二体の大型ブロッカー。しかも、どちらもさらにブロッカーを展開する能力を持っている。
「まずは《ロードリエス》の効果で、ブロッカーが二体出たから二枚ドロー! さらに《タイガー・レジェンド》の効果発動! ガチンコ・ジャッジ!」
 ガチンコ・ジャッジ一戦目、仄はコスト11《白騎士の聖霊王ウルファス》。パイルはコスト3《ボーンおどり・チャージャー》。
 二戦目、仄はコスト7《聖霊王イカズチ》。パイルはコスト1《転々のサトリ ラシャ》
 三戦目、仄はコスト3《コアクアンのおつかい》。パイルはコスト4《ブレイン・チャージャー》。
 結果、仄はガチンコ・ジャッジに二勝し、《タイガー・レジェンド》の効果が二度発動する。
「手札から光のブロッカーを二体場に出す! 《真実の名 バウライオン》《天門の精霊キバッテ・キャット》!」


真実の名(トゥルーネーム) バウライオン 光文明 (8)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/アンノウン 8000
ブロッカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、呪文を2枚まで、自分の墓地から手札に戻してもよい。
W・ブレイカー


天門の精霊キバッテ・キャット 光文明 (4)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/アンノイズ 4000
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から4枚を見る。その中から、名前に《ヘブンズ》とあるカードを1枚、相手に見せ、自分の手札に加えてもよい。その後、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。


「《バウライオン》の効果で《ヘブンズ・ゲート》と《反撃のサイレント・スパーク》を回収。《キバッテ・キャット》の効果で二枚目の《ヘブンズ・ゲート》を手札に加え、《ロードリエス》の効果で二枚ドロー! ついでに《ミル・アーマ》で《ラシャ》を破壊!」
 次々と現れる大型ブロッカー。さらには次に展開するクリーチャーとその手段も引き入れ、攻防共に完璧な布陣を敷く仄。
 しかしパイルは、まったく焦りを見せていない。
「やはりその程度か。私のターン、呪文《リバース・チャージャー》でクリーチャーを回収し、そのまま回収した《封魔バルゾー》を召喚、《オレオレ・ライオネル》を手札に戻す」
「っ、でもまだ《タイガー・レジェンド》と《バウライオン》がいる。このターンでシールドを一気に吹き飛ばしてあげる」
「好きにすればいい」
 とどめまではいけないが、ブロッカーで守りも固めているので、相手の手札が多少増えてもそこまで痛手にはならないだろう。ここは攻めるべきだと思い、仄は総攻撃をかける。
「呪文《反撃のサイレント・スパーク》! 相手クリーチャーをすべてタップ! そして《バウライオン》でW・ブレイク!」
 《バウライオン》の剣が振り下ろされ、パイルのシールドが二枚切り裂かれる。しかしそのうちの一枚に、光が収束した。
「S・トリガー《地獄門デス・ゲート》だ。《タイガー・レジェンド》を破壊!」
「くぅ……!」
「さらに《タイガー・レジェンド》よりコストの低いクリーチャーを墓地から復活させる。蘇れ《バルゾー》、効果で《ロードリエス》を手札へ!」
 一気にアタッカーもブロッカーも削られてしまった仄。これ以上の攻撃は危険だと判断し、そこで攻めることを止め、ターンを終える。
(最初は舐めてたけど、このクリーチャー、強い……!)
 この状況で仄の胸中には、決して小さくない焦りが渦巻き始めたのだった。