二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.128 )
日時: 2013/09/25 23:25
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「俺のターン、《飛散する斧 プロメテウス》を召喚」


飛散する斧(スプラッシュ・アックス) プロメテウス 水/自然文明 (5)
クリーチャー:アウトレイジ 1000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚をタップしてマナゾーンに置く。その後、カードを1枚、自分のマナゾーンから手札に戻す。


「効果で2マナ加速し、マナゾーンから《キング・シャルンホルスト》を回収。ターンエンドだ」
「じゃ、僕のターン」
 カードをドローし、夕陽は場を確認する。
 まだシールドはどちらも五枚あるが、流は序盤からマナ加速のカードを連打している。墓地には《霞み妖精ジャスミン》や《フェアリー・ライフ》。バトルゾーンには《青銅の鎧》とさっき召喚した《プロメテウス》だ。
 対する夕陽の場には《コッコ・ルピア》一体のみ。
「マナ加速しまくって、大型クリーチャーにつなげるデッキか……? だったら早く決めた方が吉か。《爆竜 GENJI・XX》を召喚、そのままW・ブレイクだ!」
 スピードアタッカーの《GENJI・XX》で早速二枚のシールドを叩き割る夕陽。しかし、
「……S・トリガー発動。《父なる大地》及び《ドンドン吸い込むナウ》。《父なる大地》の効果で《GENJI・XX》をマナゾーンの《スピア・ルピア》と入れ替える。そして《ドンドン吸い込むナウ》の効果で《鎧亜戦隊ディス・ピエロ》を手札に入れる。自然のカードを手札に加えたので、《コッコ・ルピア》をバウンス」
「うわっ、やるなぁ……ターン終了」
 二枚連続でS・トリガーを踏んでしまい、場のアドバンテージを失ってしまった夕陽。しかしまだいくらでも巻き返せる。
「《鎧亜戦隊ディス・ピエロ》を召喚。さらに《再誕の社》を使い、墓地の《父なる大地》と《ドンドン吸い込むナウ》をマナゾーンへ。そして《ディス・ピエロ》のスペース・チャージ発動」


鎧亜戦隊ディス・ピエロ 水/自然文明 (5)
クリーチャー:ロスト・クルセイダー/エイリアン 4000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
スペース・チャージ:水/自然
SC—水:カードを1枚引く。
SC—自然:自分の山札の上から2枚を見る。その中からクリーチャーを1体見せ、手札に加えてもよい。その後、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。


「山札の上二枚を見て、《キング・ケーレ》を手札に加える。さらに1ドロー。ターンエンド」
「なにもしない……?」
 結局、流はこのターン、マナチャージと手札補充だけに終わった。
「一気に攻めるタイプか……? だったらいまのうちに仕込みかな。《コッコ・ルピア》を召喚。《スピア・ルピア》で《青銅の鎧》を攻撃!」
 《スピア・ルピア》も《青銅の鎧》もパワー1000。同士討ちとなって破壊されるが、この時《スピア・ルピア》の効果が発動する。
「山札から持ってくるのは……こいつだ《ガイアール・アクセル》!」
 《ガイアール・アクセル》は他のドラゴンにスピードアタッカーを与えるクリーチャーだ。
「……俺のターンだ。《キング・シャルンホルスト》《キング・ケーレ》を召喚。《キング・ケーレ》の効果で《コッコ・ルピア》をバウンス」
「またかよ……くっ」
 マナを溜めるのは一時中断したが、今度はブロッカーで守りを固め、しかも《コッコ・ルピア》までいなくなってしまった。
 だがそれでも流は攻撃せず、ターンを終える。
「僕のターン。これで6マナ……ここは、《コッコ・ルピア》を召喚! そして残り3マナで《闘竜鬼ジャック・ライドウ》を召喚だ!」
 夕陽が召喚したのは、自身と同じ種族を持つ進化クリーチャーをサーチする《ジャック・ライドウ》。本来は《アポロン》をサーチするために投入したカードだが、勿論、一般人相手に《アポロン》は抜いている。そして代わりに投入したのが、
「山札から《超竜バジュラ》をサーチ。これで次のターンから、ガンガンマナを削っていくぞ。ターン終了」
 流がマナを増やして超重量級のクリーチャー——たとえばゼニスなんかを出す戦術だと読んだ夕陽が取った作戦は単純明快。マナを削っていく作戦だ。
 《バジュラ》は攻撃するたびに相手のマナを二枚吹き飛ばす能力を持つ。これで切り札召喚を遅らせ、攻めていくのが夕陽の作戦だ。
 しかしそんな夕陽の思惑に対し、流も手を打ってきた。
「……《霊樹海嶺ガウルザガンタ》を二体召喚」


霊樹海嶺ガウルザガンタ 水/自然文明 (5)
クリーチャー:リヴァイアサン/ミステリー・トーテム 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
シンパシー:ゲル・フィッシュおよびスノーフェアリー
進化クリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンにある進化クリーチャーをすべてタップする。


「うっ、先読みされたみたいに嫌なクリーチャーを出されたな……」
 流が出したのは《ガウルザガンタ》、端的に言えば場に出た進化クリーチャーをタップする能力を持っている。
 この能力があるせいで、次のターンに出す《バジュラ》の攻撃は1ターン遅れてしまう。その1ターンのタイムラグの間に、恐らく相手は《バジュラ》を除去してくるだろう。そうなってしまえばこちらの損失が大きい。
「となると、ここは無理に《バジュラ》は出さない方がいいな……」
 そう呟く夕陽。そして、
「《プロメテウス》と《ディス・ピエロ》でシールドブレイク」
「え……?」
 ここで流はシールドをブレイクしてきた。前のターンは攻撃しなかったというのに。まったくわけが分からないが、とりかく夕陽はシールドを手札に加える。
「ターンエンドだ」
(殴り返されないっていう条件なら、前のターンもそうだったはず。なんでこの局面で攻撃してきたんだ? 殴り手が増えたから、こっちにプレッシャーをかけるため……?)
 実際、夕陽は流のアタッカーを処理できなければ、次のターンにS・トリガーが出ない限りとどめを刺される。そう考えれば納得はできる。
 地味ではあるが危機的状況に対する手を考えながら、次のカードを引く夕陽。そしてそのカードを見て、笑みが零れる。
「よし来た、頼んだぞ《ドルボラン》!」
 夕陽が引いたカードは、いつか実体化した姿と戦った《戦攻竜騎ドルボラン》だ。
「《ドルボラン》の能力で、まずは邪魔なブロッカーを排除だ! 《キング・ケーレ》を破壊して、《キング・シャルンホルスト》をバウンス!」
「っ……」
「まだ終わらないよ。《ジャック・ライドウ》で《ディス・ピエロ》を攻撃!」
 これで流の場に残るのは《プロメテウス》と二体の《ガウルザガンタ》のみとなった。
(しかも、手札には《ガイアール・アクセル》と《ボルシャック・NEX》がいる。次のターン、《NEX》で《コッコ・ルピア》を呼んでから、《ガイアール・アクセル》に繋げて一気に攻め込んでやる)
 勿論、場のクリーチャーが除去される可能性もあるが、それでも大打撃を与えられることは間違いない。それに、目ぼしい除去カードはあらかたマナゾーンに落ちているようにも見える。守るにしても、中級ブロッカーを一、二体並べるのが精々だろう。
 そう思っていた夕陽。しかし流が次のターンに繰り出すカードは、そんな予想を遥かに超えたものだった。
「俺のターンだ。《斬隠テンサイ・ジャニット》を召喚」
「……あれ? バウンス、しないの?」
「ああ」
 意外と言うか、ありえないレベルの行為だ。確かに《ジャニット》の能力は任意だが、普通はここで《コッコ・ルピア》をバウンスする。
 しかし流には、そんなことをする必要はなかった。なぜなら、彼が行うのは手札へのバウンスなどというその場凌ぎよりも、さらに上位の除去なのだから。
 流が手札のカードに手をかける。その瞬間、夕陽の背筋に悪寒が走る。
(なに、この感じ。どこかで感じたことあるような……まさか——!?)
 不安と焦燥に駆られる夕陽。しかし、流の動きは止まらない。
「二体の《ガウルザガンタ》と《ジャニット》を種にして、進化」
 三体の水文明のクリーチャーが重ねられる。一見するとそれだけだが、夕陽はその裏に、大海に巻き起こる渦潮のようなものを見た。三体のクリーチャーが、吸収されるようにして一つの姿になる。
 そして、予想だにしない言葉が耳に届く。
「大海を支配せし海神よ、三叉の鎗を構え、怒りの嵐ですべてを飲み込め。神々よ、調和せよ。進化MV——」
「進化MVだって!?」
 驚愕する夕陽に構わず、流は続ける。巨大な渦潮は中心で一つの形を作り、巨大な“神”となって降臨する。

「——《海洋神話 オーシャンズ・ネプトゥーヌス》!」

 そしてその神は、『神話』という形で現れたのだった。