二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.164 )
日時: 2013/10/09 19:23
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽とガーリックのデュエル。現在は、若干だが夕陽が優勢に見える。
 夕陽の場には《コッコ・ルピア》と《セルリアン・ダガー・ドラゴン》。シールドは五枚。
 対するガーリックの場には《コッコ・ルピア》と《黒神龍ジャグラヴィーン》。シールドは三枚。
「俺のターン。《神龍のイザナイ ガーリック》を召喚!」


神龍のイザナイ ガーリック 闇/火文明 (7)
クリーチャー:オラクル/ドラゴン・ゾンビ/アーマード・ドラゴン 4000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
パワーアタッカー+4000
W・ブレイカー
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていれば、自分の山札を見る。その中からコスト8以下のドラゴン・ゾンビまたはアーマード・ドラゴンを1体、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。


 山札から特定のクリーチャーを呼び出す能力、光臨。多色の光臨持ちクリーチャーは自身のコストの割に踏み倒せるコストが単色に比べて低いのだが、その分踏み倒せる範囲が広い。《ガーリック》の場合はアーマード・ドラゴンとドラゴン・ゾンビの二種類だ。
「ターン終了だ」
「くっ……光臨は確かに厄介だけど、発動までにタイムラグがある。その間に決める! 僕のターン!」
 ドラゴンを展開される前に早期決着を目指す夕陽。しかしいまいち手札が良くない。
「《ルピア・ラピア》召喚! 続けて《極武者カイザー「斬鬼」》も召喚!」


極武者カイザー「斬鬼」 火文明 (5)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/ハンター/エイリアン 4000
パワーアタッカー+2000
このクリーチャーが攻撃する時、自分のシールドをひとつ手札に加えてもよい。ただし、その「S・トリガー」は使えない。このようにしてシールドを手札に加えた場合、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー


(シールドは減るけど、次のターンから《斬鬼》で《ガーリック》を破壊できる。一回は光臨を許すけど、そっちはなんとかするしかない)
 大まかな算段を立て、夕陽はさらに攻めの姿勢を見せる。
「《セルリアン・ダガー・ドラゴン》でWブレイク!」
「《ジャグラヴィーン》でブロック、相打ちだ」
 《セルリアン・ダガー》の斬撃は防御されるが、同時に《ジャグラヴィーン》が爆散する。だが骨でできた身体の破片が飛び散り、《セルリアン・ダガー》を切り裂いた。
「俺のターンだ。出でよ、神聖にして新星なる破滅の龍神《真滅右神ブラー》!」


真滅右神ブラ— 無色 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ/ドラゴン・ゾンビ 7000+
このクリーチャーがバトルに勝った時、相手は自身の手札を1枚選んで捨てる。自分はカードを1枚引いてもよい。
W・ブレイカー
右G・リンク


「ゴッド・ノヴァ!? ってことは、まさか……」
「貴様の想像通りだ。さらに《ガーリック》でWブレイク!」
 《ガーリック》の杖から放たれる青白い炎が、夕陽のシールドを二枚吹き飛ばす。
「ターン終了……する時に俺の光臨が発動! 降臨せよ、神聖にして新星なる機装の龍神《龍機左神オアシス》!」


龍機左神オアシス 無色 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ/アーマード・ドラゴン 7000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、このクリーチャーとバトルさせてもよい。
W・ブレイカー
左G・リンク
このクリーチャーがリンクしていれば、シールドをさらに1枚ブレイクする。


 右G・リンクと、左G・リンクが揃う。夕陽にとっては、揃ってしまった、と言うべきか。

「《オアシス》を《ブラー》とG・リンク!」

 これで、《オアシス&ブラー》はパワー14000のT・ブレイカー。しかもそれだけではない。
「《オアシス》の効果発動! 召喚時に相手クリーチャー一体とバトルさせる。《斬鬼》とバトルだ!」
「くそっ、《斬鬼》が……」
 アタッカーを減らされる夕陽。しかも、それだけではない。
「《ブラー》のリンク時能力も発動! バトルに勝つたびに、相手の手札を捨て、俺は一枚ドローする」
「ぐぅ……仕方ない《バルキリー・ラゴン》を捨てる」
 さっきブレイクされたシールドから手に入れた《バルキリー・ラゴン》を手放す。ドラゴンをサーチできるのは良いのだが、比較的重いドラゴンなので展開力が重要な今は不要なカードだ。
 夕陽のターン。手札を破壊され、出来ることが少ない夕陽は、場を確認する。
 夕陽の場には《コッコ・ルピア》と《ルピア・ラピア》の二体。ドラゴンの召喚コストは3下がっているため、大抵のドラゴンなら場に出せるが、生憎手札にこれといったドラゴンはいない。
「とりあえず、アタッカーを潰さないと……《無双竜鬼ミツルギブースト》を二体召喚!」


無双竜鬼ミツルギブースト 火/自然文明 (5)
クリーチャー:アース・ドラゴン/アーマード・ドラゴン/ハンター 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、このクリーチャーをマナゾーンに置いてもよい。そうした場合、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。


「二体の《ミツルギブースト》をマナに送って、《ガーリック》と《コッコ・ルピア》を破壊!」
 マナを加速しつつ、相手クリーチャーを破壊する夕陽。しかし肝心の攻撃手は《コッコ・ルピア》と《ルピア・ラピア》だ。基本的にシステムクリーチャーなのでシールドを削るには不向きなクリーチャーだが、
「《ルピア・ラピア》でシールドブレイク! ターン終了だ」
 《ルピア・ラピア》ではシールドを割っておく。これでガーリックのシールドは残り二枚。殴り返されても《ルピア・ラピア》はマナに行き、マナのドラゴンを回収できる。
 相手がバトルに勝った時の効果を発動させるために《ルピア・ラピア》を攻撃すれば、シールドも守れて一石二鳥だ、と考えていたが、流石にそれは甘かった。
「俺のターン。《コッコ》が破壊されたせいで、このターンには決められないが……しかし、次のターンには確実にとどめを刺す。喰らえ、呪文《仁義無き戦い》!」


仁義無き戦い(パブリック・エネミー) 火文明 (3)
呪文
バトルゾーンにある自分のクリーチャーを1体選ぶ。その後、相手はバトルゾーンにある自身のクリーチャーを1体選ぶ。この2体にバトルさせる。


「俺が選ぶのは無論《オアシス&ブラー》だ。貴様はどうする」
「なら僕は、《ルピア・ラピア》を選ぶ」
 直後、《ルピア・ラピア》は強大な龍神に特攻をかけるが、当然ながら呆気なく破壊される。そして《オアシス&ブラー》の効果が発動する。
「貴様は手札を捨て、俺は1ドローだ」
「《トルネードシヴァ》が……でも、《ルピア・ラピア》の能力でこいつをマナに送り、マナからドラゴンを回収する」
 なんとか手札を増やそうとする夕陽。しかし、ガーリックは夕陽への妨害を止めない。
 今しがた引いたカードを見て微笑むガーリックは残るマナを使い切り、そのカードを晒す。
「再び《仁義無き戦い》だ。俺は《オアシス&ブラー》そして貴様は《コッコ・ルピア》を選ぶしかないな」
 互いの場にクリーチャーは一体しかいないが、その力の差は歴然としている。《コッコ・ルピア》も神に突っ込んでいくが、瞬殺される。《ルピア・ラピア》のように破壊された時の効果もないので、無駄死にだ。
「……!」
「さあ、手札を捨てろ」
 ガーリックが威圧感を込めて言い放つ。夕陽の残る手札が捨てられれば、もう彼にはなにも残らない。マナこそ豊富だが、手札がなければ意味がない。
 ——夕陽は俯きながら、小刻みに震えていた。しかしそれは、恐怖でも焦燥でもない。言ってしまえば、笑いを堪えているかのような震えだった。
「くっ、ふっ、ははは! お前、意外と馬鹿なんだな」
「なんだと?」
 そして遂に堪えきれなくなり、噴き出してしまう。しかもかなり追い詰められている状況で、笑いながらの罵倒。ガーリックも顔をしかめている。
「お前さぁ、もっと相手のプレイングを見ろよ。僕がさっき《ルピア・ラピア》の効果で戻したカードを見てないのか?」
「さっき戻したカード……?」
 正直に言うと、見ていない。いや、見はしたが覚えていない。どうせすぐにとどめを刺せるだろうという慢心で、見逃していた。
 夕陽は捨てられる一枚のカードをゆっくりと表向きにする。そしてその姿を露わにした瞬間、ガーリックは目を見開いた。
「っ、それは……!?」
「そう、《永遠のリュウセイカイザー》だ」


永遠(とわ)のリュウセイ・カイザー 火文明 (8)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 8000
バトルゾーンにある自分のクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。
W・ブレイカー
相手のクリーチャーは、バトルゾーンに出す時タップして置く。
相手の呪文の効果または相手のクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりに自分のバトルゾーンに置いてもよい。


 《永遠のリュウセイ・カイザー》。基本的なスペックが非常に高いドラゴン。この場においては、《オアシス&ブラー》の効果で捨てられることにより、コストを踏み倒して現れる。
「こいつがいれば、僕のクリーチャーはすべてスピードアタッカーだ。さあ、どうする?」
「ぐぅ……」
 歯噛みするガーリック。どうせ夕陽の手札はゼロ、次のターンに確実にクリーチャーが引ける保証はない。《リュウセイ・カイザー》は確かに強いが、パワーなら《オアシス&ブラー》の方が上だ。なのでこのまま攻めたいところだが、
「このターンでは決められない、下手にシールドをブレイクすれば、クリーチャーを手札に入れられてしまう……!」
 ガーリックのシールドは残り二枚。とにかく召喚できるクリーチャーさえ引ければ夕陽の勝ちだ。
 だったら1ターン待ってクリーチャーを溜めてから、という考えも出て来るが、《リュウセイ・カイザー》はそれを許さない。たとえクリーチャーを召喚しても、《リュウセイ・カイザー》の効果でタップされて出るため、生半可なクリーチャーであればそのまま殴り返される。ガーリックの場にはコストを軽減するクリーチャーもおらず、マナもそこまで多くない。一度にクリーチャーを展開する余裕はないだろう。かといってクリーチャーを並べるまでもたもたしていたら、今度は夕陽がクリーチャーを引き当ててとどめを刺しに来る。
 どうしようもないジレンマに陥ったガーリック。彼は自棄になったように、神に向かって叫ぶ。
「《オアシス&ブラー》! シールドをTブレイクだ!」
 神の赤黒い火炎を喰らい、シールドを三枚割られる夕陽。これでシールドはゼロだが、もう彼は勝利を確信していた。
「S・トリガーに賭けたか……自棄になったわりには、正しい判断だね。でも、これで終わりだ!」
 夕陽のターン。今引いて来たカードと、今の手札。ダメ押しな感じはするが、念には念を入れて、だ。
「《コッコ・ルピア》召喚! コストを2下げて《ボルシャック・NEX》召喚! 能力で山札から《コッコ・ルピア》をリクルート! さらに二体の《コッコ・ルピア》でコストを4下げて、こいつを召喚!」
 二体の《コッコ・ルピア》に《ボルシャック・NEX》が重ねられ、夕陽の持つ“神話”の龍が降臨する。
「出て来い、《太陽神話 サンライズ・アポロン》!」
 これで夕陽の場には《リュウセイ・カイザー》と《アポロン》の二体。本来なら自分が従えるはずの龍が、ガーリックに牙を剥く。
「《アポロン》で残るシールドをブレイク! さらに山札を捲って、《不敗のダイハード・リュウセイ》も召喚!」
 《アポロン》の灼熱の炎を受け、がーっりくのシールドはすべてブレイクされる。そしてそのブレイクされたシールドのうち一枚が、光を纏う。
「S・トリガー発動! 《デーモン・ハンド》! 《永遠のリュウセイ・カイザー》を破壊!」
 土壇場で引いたS・トリガーで《リュウセイ・カイザー》を破壊するガーリック。しかし、それでは意味がない。
「《アポロン》のCD9で、僕のファイアー・バードとドラゴン、火文明のクリーチャーはすべてスピードアタッカーだ! 《リュウセイ・カイザー》を破壊しても、《ダイハード・リュウセイ》は止まらないよ!」
 念には念を入れた甲斐があった。もはやガーリックに、夕陽のドラゴンを止める術はない。

「《不敗のダイハード・リュウセイ》で、ダイレクトアタック!」

「ぐあぁ……だが、俺を倒しただけでは何も変わらないぞ!」
 《ダイハード・リュウセイ》の炎を纏った斬撃を喰らい、ガーリックの体が炎上する。だがそれも厭わず叫ぶ。
「まだ他に、五人のイザナイがいる……さらには、奴が現れるのも——」
 段々と声は掠れ、最後まで聞き取れない。
 炎の勢いは増すばかりで、完全に炎に飲み込まれると、ガーリックは消滅した。