二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.186 )
- 日時: 2013/10/15 02:24
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
ワンミスで窮地に追い込まれてしまったクロ。切り札である《「無情」の極 シャングリラ》は破壊され、残っているのは《守護聖天タース・ケルケルヨ》と《蔵禄の守護者カメンビー》《白骨の守護者ホネンビー》《漆黒の守護者ハラッカダン》の合計四体。
対する《ハゴロモ》の場には、能力で《シャングリラ》を破壊しクロのシールドも二枚削った《聖忌祀ニューウェイヴ》。さらに《交錯のインガ キルト》と《犠心のイザナイ 一休》《神光のイザナイ ハゴロモ》の四体だ。
互いにシールドは三枚、頭数も同じだが、《ニューウェイヴ》の制圧力が凄まじく、クロの動きが制限されてしまい、流れの主導権を《ハゴロモ》に握られている。
「我がターン……《一休》で《ケルケルヨ》に攻撃」
《一休》のパワーは僅か1000、パワー9500の《ケルケルヨ》には遠く及ばず返り討ちにされるが、この攻撃にもれっきとした意味がある。
「《一休》が破壊された時、手札からコスト7以下の無色クリーチャーをバトルゾーンに……《神淵のカノン 愛染》」
神淵のカノン 愛染 無色 (7)
クリーチャー:オラクル 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分のクリーチャー1体をタップしてもよい。そうした場合、クリーチャーを2体まで、自分の墓地から手札に戻す。
W・ブレイカー
「《愛染》の能力で我をタップ、墓地から《山椒》と《一休》を回収。さらに《一休》が破壊されたことで《ニューウェイヴ》の能力発動……《ケルケルヨ》を破壊」
次々と破壊されるクロのクリーチャー。対する《ハゴロモ》は、着々とクリーチャーを並べる準備を進めている。
「《キルト》と《ニューウェイヴ》で攻撃」
「《ニューウェイヴ》は《カメンビー》でブロック」
《キルト》の攻撃はあえて受けるクロ。これで残るシールドは二枚、クリーチャーも《ホネンビー》と《ハラッカダン》だけだ。
「ターン終了。その時、我の光臨発動……《告別のカノン 弥勒》」
告別のカノン 弥勒 無色 (7)
クリーチャー:オラクル 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手の手札を見て、その中から1枚選ぶ。相手はそれを自身の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
《弥勒》が場に出たことで、手札を公開させられるクロ。《ハゴロモ》はその中のカードをジッと見据え、一枚のカードを杖で指す。
「それだ。山札の下へ」
山札の下に送られたのは《無情秘伝LOVE×HATE》。次のターン、墓地から《シャングリラ》を復活させて巻き返しを図るつもりだったが、それも失敗してしまう。しかも墓地ではなく山札の下に送るハンデスなので、墓地回収——クロのデッキなら《神託の守護者ミント・シュバール》など——でまた手札に入れることもできない。
いよいよクロの打つ手がなくなってきた——ように思われたが、
「……もう一度、《タース・ケルケルヨ》を《ホネンビー》から進化」
二体目の《ケルケルヨ》を呼び出すクロ。そして再び、あの呪文も唱える。
「《時空の庭園》を発動、マナから《ユートピア・エヴァー》を《ケルケルヨ》の下に。《ケルケルヨ》で《ニューウェイヴ》に攻撃」
全速力で《ニューウェイヴ》に突っ込んでいく《ケルケルヨ》。しかし、《ケルケルヨ》ではパワー13000の《ニューウェイヴ》は倒せない。
「自爆か……?」
「違う。《ケルケルヨ》の効果で、《ケルケルヨ》の下にあるクリーチャーを山札の上に置き、そのままタダで場に出す」
《ケルケルヨ》から射出されたのは、進化元となった《ホネンビー》などでは勿論ない。もっと強大で、狂的な力を持つ存在だ。
「来て——《「破滅」の頂 ユートピア・エヴァー》」
「破滅」の頂 ユートピア・エヴァー 無色 (12)
クリーチャー:ガーディアン/アンノウン/ゼニス 17000
ブロッカー
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、次の相手のターン、相手のクリーチャーはすべて可能であれば攻撃する。
自分の他のクリーチャーが相手のクリーチャーとバトルする時、かわりにこのクリーチャーがバトルする。
バトルゾーンにある自分のクリーチャーを相手が選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。
T・ブレイカー
エターナル・Ω
《ケルケルヨ》から射出されたのは、七色に煌めく黒い金属的なボディ、各所にはブースターのような部位から溢れんばかりの光が発せられており、どこか無機質で狂気的な守護者。守護の力を暴走させ、敵を破滅へと導くゼニス、《「破滅」の頂 ユートピア・エヴァー》だ。
「《ユートピア・エヴァー》の効果で、《ケルケルヨ》の代わりに《ユートピア・エヴァー》が《ニューウェイヴ》とバトルする。《ニューウェイヴ》を破壊」
「……だが、《ニューウェイヴ》の効果は発動する」
再び現れたゼニスに驚きを禁じ得ない《ハゴロモ》だったが、《ニューウェイヴ》の力で破壊すれば問題ないと判断を下す。しかし、
「? 《ニューウェイヴ》、どうした……?」
《ニューウェイヴ》は手をかざしてはいるが、《ユートピア・エヴァー》に向けていない。どころか、どこに撃てばよいのか分からず困惑しているようですらあった。
「《ユートピア・エヴァー》は選べない。だから《ニューウェイヴ》で破壊することはできない」
《シャングリラ》の時のミスを反省し、仮に《シャングリラ》の蘇生に失敗したとしても巻き返し、《ニューウェイヴ》の能力が発動することまで織り込んだ二段構えの作戦。ここまで完璧にクロの計画通りだった。
「ならば……《ハラッカダン》を破壊」
直後、《ニューウェイヴ》の光線が《ハラッカダン》を射貫き、《ニューウェイヴ》も同時に消滅。ここで《ケルケルヨ》を破壊しなかったのは、次のターンに確実にとどめを刺すためだ。
いくらゼニスが出ようとも、クロの残りシールドは二枚、ブロッカーも《ユートピア・エヴァー》のみだ。《ハゴロモ》の場にはW・ブレイカーの《愛染》と《弥勒》、通常アタッカーの《キルト》と《ハゴロモ》がいる。とどめまでは十分届くはず。
「《一休》を召喚。《愛染》でWブレイク」
「《ユートピア・エヴァー》でブロック」
最初に特攻した《愛染》は、《ユートピア・エヴァー》に消し飛ばされるが、続く《弥勒》は《ユートピア・エヴァー》の隙間を掻い潜り、クロのシールドを割ろうと杖を振りかざす——
「ニンジャ・ストライク、《光牙忍ハヤブサマル》。《ハヤブサマル》をブロッカーにして、そのままブロック」
——が、それも《ハヤブサマル》——否、《ハヤブサマル》と入れ替わった《ユートピア・エヴァー》によって阻まれ、《弥勒》も消滅してしまった。
「……! まさか……!」
これで《ハゴロモ》はこのターン、とどめまで行けない。シールドをすべてブレイクするのが精一杯だ。
「ぐ……《キルト》と我でシールドをブレイク! ターン終了時、我の光臨で、山札から《真実の名 リアーナ・グローリー》をバトルゾーンに!」
残るクリーチャーで総攻撃をかけ、クロのシールドはゼロ。《ハゴロモ》もギリギリのところで《ユートピア・エヴァー》と同じく選ばれないブロッカー、《リアーナ・グローリー》を出して防御態勢を整えるが、
「呪文《大行進・スパーク》、相手クリーチャーをすべてタップ」
「っ!?」
閃光と共に放たれる電撃。その電撃を浴び、《ハゴロモ》のクリーチャーはすべてタップされる。勿論、《リアーナ・グローリー》もだ。
「《ユートピア・エヴァー》でTブレイク」
「ぐぁ……」
《ユートピア・エヴァー》から発せられる灼熱の熱線で、《ハゴロモ》の残りのシールドがすべて吹き飛ぶ。もう彼を守るクリーチャーも、シールドも存在しない。《ユートピア・エヴァー》を前にして、破滅をもたらされてしまった。そしてクロが築き上げたのは、自身の理想郷。
守るものが何もない《ハゴロモ》に、翼の生えた空母が途轍もない勢いで突っ込んで来る。
「《タース・ケルケルヨ》で、ダイレクトアタック」
凄まじい速度で突っ込む空母の直撃を喰らい、破滅の一途を辿るしかなくなった《ハゴロモ》は——正真正銘、破滅した。