二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.192 )
- 日時: 2013/10/27 14:01
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
現在、汐はまだシールドが五枚、《天草》は三枚と、シールドの数では汐がリードしている。
《天草》の能力は確かに強力だが、バトルが発生しなければ意味はない。なので汐は、次のターンに場の《サンダー・ブレード》を手札にいる《バロム・エンペラー》に進化させ、巻き返しを図ろうとするが、
「貴様の愚考などお見通しだ。逆転の余地など与えるものか。呪文《ゴッド・シグナル》、山札から《聖霊左神ジャスティス》を山札の上に」
今度は確実に無色クリーチャーを山札の上に仕込んでくる《天草》。さらに、
「続けて呪文《センジュ・スプラッシュ》。我がマナの《告別のカノン 弥勒》を山札の上に」
センジュ・スプラッシュ 水文明 (4)
呪文
プレイヤーを一人選ぶ。そのプレイヤーは、バトルゾーンまたはマナゾーンから自分自身のカードを1枚選び、持ち主の山札の1番上に置く。
だが《天草》の能力はバトルに勝たなければ発動しない。バトルさえ起こらなければ怖くはない……という考えは、流石に甘かった。
「呪文《勝負だ!チャージャー》及び《無限掌》」
「また、ですか……」
先程と同じ手口で攻めてくる《天草》。これでこのターンも《天草》はタップされていないクリーチャーに攻撃できる。
「《天草》で《マクスヴァル》を攻撃、バトルが発生したため山札から《弥勒》をバトルゾーンに。手札を拝見」
強制的に手札を公開させられる汐。その中で《天草》が目をつけたのは、やはり《バロム・エンペラー》だった。
「こちらもそのクリーチャーを出されたくない。《バロム・エンペラー》を山札の下に。そして再び《天草》で《サンダー・ブレード》攻撃!」
錫杖から放たれる光で破壊される《サンダー・ブレード》。またしても汐のバトルゾーンは空となる。
「そして効果発動、山札の上から無色クリーチャーを呼び出す」
《天草》はこのターン、二回山札の上にカードを仕込んでいる。うち一回は《弥勒》を出すための《センジュ・スプラッシュ》。そしてもう一回は、最初に発動した《ゴッド・シグナル》。
即ち、無色ゴッドが呼び出される。
「出でよ、神聖にして新星なる天使の神! 聖者の正義を振りかざし、魔導の力を解き放て! 《聖霊左神ジャスティス》!」
聖霊左神ジャスティス 無色 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ/エンジェル・コマンド 8000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から5枚を見る。その中からコスト6以下の呪文を1枚、コストを支払わずに唱えてもよい。残りを自分の墓地に置く。
W・ブレイカー
左G・リンク
このクリーチャーがリンクしている間、このクリーチャーはシールドをさらに1枚ブレイクする。
《天草》の力で呼び出されたのは、数多の腕を持ち、白い体毛で覆われた聖獣。
「続けて《ジャスティス》の能力発動! 山札の上五枚を見て、その中からコスト6以下の呪文をタダで唱える。唱えるのはこれだ、《プロジェクト・ゴッド》!」
山札の上五枚を墓地へ送り、その中から場のゴッドとリンクできるゴッドをタダで場に出す呪文、《プロジェクト・ゴッド》。《ジャスティス》の能力もあって《天草》のデッキは大分削られたが、しかしその価値はあった。
墓地に落ちたゴッド・ノヴァが、《天草》の計画通り、蘇る。
「出でよ、神聖にして新星なる悪魔の神! 罪人の悪行を覆いつくし、復活の力を解き放て! 《悪魔右神ダフトパンク》!」
悪魔右神ダフトパンク 無色 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ/デーモン・コマンド 8000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト6以下の無色クリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー
右G・リンク
次に現れたのは、紫色の体毛を持つ魔獣。数多の手にはそれぞれギョロリとした瞳が開眼しており、酷く禍々しい。
「《ダフトパンク》の能力で、墓地より《最澄》を復活! そしてゴッド・リンク!」
《ジャスティス》も《ダフトパンク》も、召喚した時の効果しか持っていないが、リンクすればパワー16000のT・ブレイカー、《天草》と《フランツ》で合計六打点。このままとどめまで持っていかれてしまう。
「さあ、終わりだ! リンクした神でTブレイク!」
「う……」
白と黒に輝く光弾が放たれ、汐のシールドは一気に三枚も吹き飛ばされる。
「続けて《天草》でもWブレイク! これで貴様のシールドはゼロだ」
ゴッドの光弾と《天草》の光線で全てのシールドが割られてしまう汐。残る《フランツ》も、既に魔銃を構えており、とどめを刺す準備は万全だ。
しかし、割られたシールドが光りの束となって収束する。
「っ……S・トリガー発動です。《インフェルノ・サイン》、墓地から《殲滅の英雄ハンニバルΖ》をバトルゾーンに」
「《ハンニバルΖ》だと? なにを考えている、召喚時にクリーチャーを破壊できる《サンダー・ブレード》か、ブロッカーの《マクスヴァル》を出せばいいものを、そんなクリーチャーを今更出してもなんの意味もない。《フランツ》でとどめだ!」
普段は魔弾を軽量化して射出する《フランツ》だが、この時ばかりは敵を殺傷する、通常の弾丸を装填した射出する。銃口をシールドを失った汐へと向け、その引き金を引く、その時だ。
「ニンジャ・ストライク、《威牙の幻ハンゾウ》を召喚です」
赤く長い舌が、《フランツ》の頭を弾き飛ばした。その奇襲で、《フランツ》は力を削がれ。破壊される。
「な……っ!?」
「なにをそんなに驚いているのですか。私が《ハンニバルΖ》を復活させたのは、《フランツ》を止める術があったからです。でなければ、私だって《サンダー・ブレード》を復活させるですよ」
なんにせよ、これで《天草》の攻撃を防ぎきることが出来た。汐の、次のターンが訪れる。
「……今の攻撃を凌いだ事は称賛に値する、流石だ。しかし、私の場にはリンクしたゴッドと《弥勒》《最澄》《天草》の三体がいる。《ハンニバルΖ》の能力があっても、全てを破壊することなど不可能だ!」
「そうでしょうか。闇文明がなにを最も得意としているのか、忘れたのですか」
すっかり冷静さを取り戻した汐。今まで《天草》に握られていた主導権を、取り返すことが出来た。
そして同時に、《天草》は奪われる。主導権だけでなく、なにもかも、全てを奪われてしまう。たった一体の死神によって。
「《死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル》、召喚です」
死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル 闇文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド 6000
相手のクリーチャーが破壊された時、自分の山札をシャッフルした後、上から1枚目を表向きにする。そのカードが進化ではないデーモン・コマンドであれば、バトルゾーンに出す。それ以外の場合、自分の手札に加える。
W・ブレイカー
「《ベル・ヘル・デ・ガウル》だと……!?」
もはや動揺を隠しきれない《天草》。
《ガウル》は相手クリーチャーが破壊するたびにシャッフルした山札を捲り、デーモン・コマンドなら場に出せる死神。デーモン・コマンドが出るかどうかは不確定だが、汐のデッキには大量のデーモン・コマンドが搭載されているため、そこはさほど問題ではない。
もう一つ課題となるのが、《ガウル》の能力は相手クリーチャーが破壊された時にしか発動しないことだが、これもとくに問題ではない。なぜなら、汐の場には《ハンニバルΖ》がいるからだ。
「《ハンニバルΖ》で攻撃、そして地獄返霊4、発動です」
殲滅の英雄(カリスマ)ハンニバルΖ(ゼータ) 闇文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド 7000
E・ソウル
地獄返霊4
返霊—相手のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー
E・ソウルのクリーチャーが使える能力、返霊。その中でも《ハンニバルΖ》の能力は、E・ソウルで唯一無二の地獄返霊だ。地獄返霊とは、その能力を持つクリーチャーが攻撃する時、またはその返霊能力を使った時、自分の墓地からカードを指定された枚数、山札の下に置くことで発動する能力。
《ハンニバルΖ》の場合、ざっくり言ってしまえば、墓地のカードを四枚戻すごとに相手クリーチャーを破壊できる能力となる。
「墓地のカードを八枚、山札の下に戻し、ゴッドと《天草》を破壊です」
「くっ……《ジャスティス》を残す」
シールドが二枚割られ、《天草》と《ダフトパンク》が破壊されたが、それでもまだ天草の場には三体のクリーチャーが並ぶ。まだ汐にとどめを刺すクリーチャーはいるのだ。
だが、汐の場には《ガウル》がいる。
「《ガウル》の能力発動です。山札をシャッフルし、一番上を公開です」
捲れたのは、《魔刻の斬将オルゼキア》だ。
「二体破壊したのでもう一回です。次は……《ガル・ヴォルフ》ですか」
一気に二体の悪魔が汐の場に並んだ。まずは、《オルゼキア》の能力が発動する。
「《オルゼキア》自身を破壊です、そちらも二体破壊してください」
「……《弥勒》と《最澄》を破壊だ」
なんとかゴッドは残した《天草》。だが、悪魔たちの虐殺じみた遊戯は終わらない。
「《ガル・ヴォルフ》の能力でオラクルを指定です。今度はこちらが手札を破壊させて頂くですよ」
前のターンの意趣返しとでも言わんばかりに手札を公開させられる天草。大量に増えた天草の手札はほとんどが呪文だったが、クリーチャーもあった。
「どれを捨ててもそれほど変わらないですが……とりあえず《一休》を墓地送りです。そして、残るシ一枚のールドも墓地へ」
《ガル・ヴォルフ》によって切り裂かれる手札の《一休》とシールド。クリーチャーは破壊され、手札やシールドまで削られた天草だが、無情にもまだ終わらないのだ。
「《オルゼキア》の能力で二体破壊したので、再び《ガウル》の効果が二回発動です……このカードは手札に入れるですよ」
デーモン・コマンドではなかったのか、捲ったカードを手札に加える汐。しかし、次はそうはいかない。
「《死神の邪険デスライオス》です。私は《デスライオス》を破壊です」
「ぐ、ぬぅ……《ジャスティス》を破壊……!」
度重なる除去により、場を一掃されてしまった天草。だが、それでも悪魔と死神は、虐殺をやめない。
「またまたクリーチャーが破壊されたので《ガウル》の能力発動です……さあ、出て来てください。《奈落の葬儀人デス・シュテロン》」
奈落の葬儀人デス・シュテロン 闇文明 (9)
クリーチャー:デーモン・コマンド 13000
各ターンの終わりに、プレイヤーは自身の手札をすべて捨てる。
T・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンを離れた時、クリーチャーをすべて破壊する。
またも《ガウル》の力で呼び出されたのは、禍々しい気を発する巨大な獣。奈落の葬儀人と謳われる《デス・シュテロン》だ。
「これで私のターンは終わりですが……その時、《デス・シュテロン》の効果発動です。互いに手札をすべて墓地へ」
「っ……!」
《デス・シュテロン》の雄叫び、汐と天草、両者の手札は墓地へと叩き落とされる。汐のデッキは墓地を利用するため、墓地にカードが落ちてもすぐに再利用できるが、天草のデッキはそういったことが不得手だ。加えて除去カードも少なく、手札に温存していた除去カードまでも捨てさせられてしまった。
「我がターン……! 《墓地の守護者メガギョロン》を召喚し、《天草》を回収……!」
しかし、それ以上のことは出来ない。天草のターンは終了する。
「私のターンです」
スッとカードを引く汐。そして、
「舞い戻って来たようですよ……《ガル・ヴォルフ》進化、《悪魔神バロム・エンペラー》」
悪魔神バロム・エンペラー 闇文明 (7)
進化クリーチャー:デーモン・コマンド 9000
進化—自分のデーモン・コマンド1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、闇以外のクリーチャーをすべて破壊する。
W・ブレイカー
現れたのは、かの悪魔神《バロム》が転生に転生を重ね、蘇った《バロム・エンペラー》。環境に適応するために幾分小型となったものの、その力は超神星にも匹敵する。
一度は《弥勒》の力で山札の底に封印されてしまった《バロム・エンペラー》だが、《ガウル》のシャッフルする能力によって山札がかき混ぜられ、デッキの一番上まで上ってきたようだ。
「《バロム・エンペラー》の能力で闇以外のクリーチャーをすべて破壊です」
しかし、汐の場には闇のクリーチャーしかいない。よって天草の《メガギョロン》だけが破壊されるが、破壊だけで終わらないのが闇文明だ。
「再び《ガウル》の能力で山札をシャッフルし……カードを手札に加えるですよ。そして、これで終わりです」
惑星級の巨大な悪魔神が天草に迫る。そして、その悪魔神は両手を振りかざし、
「《バロム・エンペラー》で、ダイレクトアタックです——」
《バロム・エンペラー》の放つ闇の砲撃を受け、消滅しつつある中、天草はほとんど残っていない力でか細く呟く。
「これで私の役目は果たされた……私が、私たちが滅されようとも、もはや奴の召喚は止まらない……貴様も、奴の力で大地の糧となるのだ——」