二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.202 )
- 日時: 2013/11/04 14:58
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
夕陽とヘラクレスのデュエルは、どちらもまだシールドは五枚ある。クリーチャーも互いにゼロ。
場を見ればイーブンな状態なのだが、しかし夕陽は今の状況に劣勢を感じていた。
「僕のターン。《ガイアール・アクセル》を召喚してターンエンド」
マナチャージもせず、引いたカードをそのまま召喚し、ターンを終える夕陽。そしてヘラクレスのターンが来る。
『我がターン。《霊騎ラグマール》を召喚、《ラグマール》と《ガイアール・アクセル》をマナへ』
召喚してすぐに除去されてしまった《ガイアール・アクセル》。それを見て夕陽は、このデュエルで何度目になるか、舌打ちする。
「ちっ、またマナ送りかよ、鬱陶しい……!」
視線を下げれば、夕陽のマナゾーンには大量のドラゴンがいる。これは夕陽がマナチャージしたものだけでなく、さっきの《ラグマール》のような除去カードでマナ送りにされたカードも多い。
序盤から、毎ターンクリーチャーを出してもヘラクレスに除去され、クリーチャーを残そうと躍起になっているうちに、夕陽の手札は尽きてしまった。
(そもそも僕のデッキは火と自然の連ドラ、手札補充は苦手だしな……)
前のターンにマナチャージしなかったのも、手札がなかったからと、マナゾーンにカードが溢れているからだ。
『さらに、《カブラ・カターブラ》を召喚。マナからカードを一枚手札に』
除去の次はマナ回収。ヘラクレスのデッキも無色絡みではあるがほぼ自然単色、手札が尽きやすい色構成をしているが、マナ加速とマナ回収を上手い具合に使い分けており、なかなか手札が減らない。
「対するこっちは、ドローソースがない上に、シールドブレイクもされないから毎ターン息切れ状態……きっついな」
デュエマを進める上で重要になるのがマナと手札。この二つがなくてはカードが使えない。手札が多くてもマナがなくて使いきれなければ意味はなく、いくらマナが多くても手札がなければカードは使えない。
現在マナは大量にあるが手札のない夕陽は、その典型例となっている。
「《セルリアン・ダガー》か、せめて《バルキリー・ラゴン》が来てくれれば……」
夕陽自身もこのデッキが手札が枯渇しやすいことは分かっているので、何枚か手札補充のできるドラゴンを入れてはいるものの、そう都合よくは来てくれない。
「くっ、《ボルシャック・スーパーヒーロー》を召喚して、《カブラ・カターブラ》を破壊! ターンエンド」
結局このターンも、《カブラ・カターブラ》こそ破壊したが、普通にクリーチャーを召喚するだけに終わってしまう。
『我がターン。《カブラ・カターブラ》を召喚、マナゾーンのカードを一枚回収。さらに呪文《グローバル・ナビゲーション》』
グローバル・ナビゲーション 自然文明 (5)
呪文
S・トリガー
バトルゾーンにある相手の、タップされていないクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。
クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから手札に戻してもよい。
「また除去された……!」
しかもちゃっかりマナ回収もしており、手札が減っていない。自然文明の得意とするマナ加速を序盤から連打していたこともあり、マナゾーンがまるで手札のようになっている。
「と言っても、自然単色じゃあそこまでマナ回収は得意じゃない。デッキ全部が除去カードってわけじゃないんだし、そろそろ尽きてくるはず」
そう呟きながら次のカードを引く夕陽。そして、
「よし、《爆竜GENJI・XX》を召喚! 《GENJI》はスピードアタッカーだから、召喚酔いに関係なく攻撃できる! Wブレイクだ!」
遂にこう着状態から抜け出す活路を見出した夕陽は、いまだに一枚も割れていなかったヘラクレスのシールドを二枚叩き割る。だが、
『S・トリガー発動《リーフストーム・トラップ》。《カブラ・カターブラ》と《GENJI・XX》をマナゾーンへ』
「今度はS・トリガーかよ……!」
やはり除去されてしまう。どうあっても、夕陽幅にクリーチャーを残せない。
さらに、今まで大きな動きを見せてこなかったヘラクレスも、ここで遂に動き出す。
「っ、なんだ……!?」
その時、地揺れが起こる。唸るように響く、重々しい振動が大地を伝う。
『地をかける者よ、汝の蹄で大地を叩き、偉大なる恩恵をもたらせ……!』
地揺れに耐えながら夕陽は、ヘラクレスのマナゾーンから、なにかが這い出てくるのを見た。巨大な獣のようなクリーチャーで、その姿が露わになるにつれ、地揺れも大きくなっていく。
『爆誕せよ……《恵みの大地ババン・バン・バン》!』
恵みの大地ババン・バン・バン 自然文明 (8)
クリーチャー:ガイア・コマンド 9000
W・ソウル
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンにあるカードの枚数を数える。その数だけ、自分の山札の上から、タップしてマナゾーンに置いてもよい。
W・ブレイカー
マナ爆誕9
地揺れが収まる頃には、馬のような姿をした、巨大な大地の化身がマナゾーンから飛び出していた。
「《ババン・バン・バン》……!? なにする気だ、こいつ」
《ババン・バン・バン》の能力を端的に説明するなら、マナを倍にする能力だ。増えたマナはそのターンには使えず、《ババン・バン・バン》自体も8マナと重いため、コストを踏み倒さない限り16マナとなる。普通はそこまで過剰にマナを加速させる必要はないが、ゼニスなどの大型クリーチャーを呼び出すデッキならば有効に作用する。
ともあれ、《ババン・バン・バン》が出た時点でヘラクレスのマナは9マナ、それが倍になり、現在18マナと、夕陽の比ではない莫大な数のマナが増えた。
「途中からやたらとマナ回収をしていたのは、マナの数を調整するためか」
《ババン・バン・バン》の能力は豪快だが、細かい枚数の指定ができないため、マナの数が多い時、下手に能力を発動させてしまうとデッキがなくなりかねない。ヘラクレスのマナ回収は手札補充だけでなく、《ババン・バン・バン》の能力で増えるマナを調節するためでもあったようだ。
「なんにせよ、このタイミングでこいつが出たってことは、そろそろ仕掛けてくるな。こっちもいつまでももたもたしてられない」
言いながら、勢いよくカードを引く夕陽。
しかし、
「……《ミツルギブースト》を召喚」
効果は発動せず、とりあえず場数を増やしてターンを終える夕陽。
その直後だ。
「っ!」
再び地揺れが発生する。しかもさっきよりも大きい。
さらに、その発生源もはっきりしていた。
『我がターン』
重く響くヘラクレスの声。同時に、地揺れも大きくなる。
『地を貪る者よ、我が大角で大地を砕き、神々の誕生をもたらさん……!』
唸るヘラクレス。そして震撼する地面。その揺れが最高潮に達した時、大地が割れる。
『生誕せよ……《神誕の大地ヘラクレス》!』