二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.21 )
- 日時: 2013/07/06 16:21
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
- プロフ: http://dm.takaratomy.co.jp/card/search/
ニンジャ・ストライクで召喚された《テンサイ・ジャニット》と《ハンゾウ》はどちらも《ユウナギ》によってマナに送られ、少女のターン。
「召喚、《土隠雲の超人》。効果で、山札から《斬隠蒼頭龍バイケン》《斬隠テンサイ・ジャニット》《不知火グレンマル》の三体を、相手に見せて、うち一体を、手札に、加える」
普通のサーチとは違い、これではこのみからは何をサーチしたのかが分からない。だがこのように揺さぶりをかけながら、心理戦に持ち込むのもシノビの戦術と言えるだろう。
「召喚、二体目、《薫風妖精コートニー》」
少女はさらに、二体目となる《コートニー》を召喚する。さらにさらに、
「攻撃、の代わりに、《魅了妖精チャミリア》の、タップ能力を、発動。デッキから、クリーチャーを、手札に」
またこれでターンを終えるのかと思ったこのみだが、少女はまだ終わらなかった。
「攻撃、《薫風妖精コートニー》で、《誕生の祈》と、相打ち」
「う……っ、《誕生の祈》!」
《コートニー》と《誕生の祈》が互いの攻撃を激しくぶつけ合い、どちらもその余波で破壊された。
「終了、ターンエンド」
そして少女はターンを終える。
(結局、仕掛けたのはこっちのクリーチャー破壊だけか……うーん、でも召喚時能力を持ったクリーチャーって、召喚した時点で役目を果たしてるから、普通は殴り返しとか気にせずに攻撃するものだよね? なんで攻撃してこないんだろ?)
守りが非常に薄いこのみとしてはありがたいことだが、不思議ではある。
だが、何度も言うようにこのみは直感で動くデュエリスト。細かいことは気にせず、自分のターンを謳歌する。
「ま、細かいことは言いや。あたしのターン! 《青銅の鎧》を召喚してマナチャージ! そんでもって進化《大地の猛攻》!」
何度戻されても、何度でも現れる《大地の猛攻》。さらに、
「《爆裂B—BOY》進化、《機神勇者スタートダッシュ・バスター》!」
このみは《機神勇者スタートダッシュ・バスター》を召喚。しかもその効果で、邪魔なクリーチャーをマナ送りにできる。
「《ユウナギ》をマナゾーンに!」
少女のバトルゾーンから《ユウナギ》がマナへと送られる。
「行くよ! まずは《大地の猛攻》で《チャミリア》を攻撃!」
《大地の猛攻》が獲物を振り回し、浮遊する《チャミリア》へと駆ける。が、しかし、
「発動、ニンジャ・ストライク7《光牙王機ゼロカゲ》。召喚して、ブロック」
突如、虚空から巨大なロボットのような機械が飛び出し、《大地の猛攻》の攻撃を止め、そのまま弾き返してしまった。地面に叩きつけられた《大地の猛攻》は静かに消滅し、墓地へと送られる。
「あぅ、《大地の猛攻》が……仕方ないか。《スタートダッシュ・バスター》でW・ブレイク!」
今度はクリーチャーを攻撃せず、《スタートダッシュ・バスター》はシールドを二枚、叩き割る。
割られたシールドの破片が少女の体を激しく切りつける。が、割られた二枚のシールドのうち一枚は、光となって渦巻くように収束し、少女の手元へと戻ってくる。
「……発動、S・トリガー《深緑の魔方陣》。効果で、マナを、一枚シールドに」
残り一枚だった少女のシールドが、《深緑の魔方陣》の効果により二枚となる。ニンジャ・ストライク中心の防御かと思ったが、S・トリガー呪文もないわけではないらしい。
このみターンが終了し、少女のターンが回ってくる。
その瞬間。
(……っ! な、なに……?)
背筋に何かが走る。言いようもない感覚が、このみに襲い掛かる。
(なんだろう、なにか、来る……!)
直感的に、このみはそう判断した。だからと言って、何が変わるわけでもない。
少女はカードを引き、場を確認、手札を確認、相手を確認。
そして、《魅了妖精チャミリア》を、二体の《土隠雲の超人》の上に重ね、さらにその上に一枚のカードを置く。
「発芽、せよ。森を、覆う雪を、突き抜け、大地から、新たな命が、芽吹く時——」
刹那、暴風が吹き荒れる。その発生源は、一枚のカード。
「う……な、なに、雪……?」
暴風と共に舞い散るのは、粉雪。だがその雪も次第に消えていき、やがて花びらが舞う。数多の花弁を従え、春を告げる神が開花する。
「神々よ、調和せよ。進化MV、《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》」
萌芽神話フォレスト・プロセルピナ 自然文明 (6)
進化クリーチャー:メソロギィ/スノーフェアリー/アース・ドラゴン 13000
進化MV—自分のスノーフェアリー一体と自然のクリーチャー二体を重ねた上に置く。
コンセンテス・ディー(このクリーチャーの下にある、このクリーチャーと同じ文明のすべてのクリーチャーのコストの合計を数える。その後、その数字以下の次のCD能力を使う)
CD6—バトルゾーンのクリーチャーを一体、持ち主のマナゾーンに置く。
CD7—このクリーチャーが攻撃する時、または自分の他の自然のクリーチャーを召喚した時、墓地または山札の一番上からカードを一枚、マナゾーンに置く。
CD12—カードの効果で自分のマナゾーンにクリーチャーが置かれた時、そのクリーチャー以下のコストのクリーチャーを一体、マナゾーン
からバトルゾーンに出してもよい。
T・ブレイカー
現れたのは、少女のような姿をしたクリーチャーだ。少女と言っても、子供と大人の中間、年齢だけで言えば、このみと同年齢くらいの姿をした少女。どこか民族的な、白と桃色を基調とした衣服を纏い、背中からは妖精の如く、花弁のような羽が生えている。
だがその裏。妖精の裏に蟠る影には、巨大な龍が潜んでいる。深緑の鱗を持ち、大木のように太い四肢。牙は雪のように白く、鋭く輝いている。背中からは木の枝を繋ぎ合わせたような、翼の骨格のようなものが飛び出している。
その二体の様子は、まるで少女が龍を手懐けているかのようだった。
「うわ、すご……!」
花びらと共に現れた神を見上げるこのみ。彼女にしては珍しく、その圧倒的な威圧感に戦慄していた。
「発動、《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》の効果、コンセンテス・ディー6で、《機神勇者スタートダッシュ・バスター》を、マナゾーンに」
「うそっ!?」
不服そうに声をあげるこのみ。しかし少女はそんなことはお構いなし。
《スタートダッシュ・バスター》を取り囲むように花びらが舞う。かと思えば、地面から無数の木の根が飛び出し、《スタートダッシュ・バスター》を覆い、そのまま地中へと引きずり込んでしまう。
「《スタートダッシュ・バスター》!」
「スタートダッシュ・バスター》は呆気なくマナへと還っていくのだった。
「召喚、《土隠妖精ユウナギ》。発動、《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》の効果、コンセンテス・ディー7で、墓地から、《華憐妖精ミンメイ》を、マナゾーンに」
今度は少女のマナが増える。だが、それだけでは終わらない。
「追加、発動《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》の効果、コンセンテスディー12、マナゾーンから、《華憐妖精ミンメイ》を、召喚」
「えぇ! そんなのアリ!?」
華憐妖精ミンメイ 自然文明 (6)
クリーチャー:スノーフェアリー 2000
自分のマナゾーンにある多色クリーチャーを召喚してもよい。
厄介なシステムクリーチャーを出され、焦るこのみ。しかも少女の場には何気にアタッカーが揃っている。
しかも悪いことは重なり、少女の攻めの手は止まらない。
「召喚、もう一体《土隠妖精ユウナギ》。発動、《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》の効果で、デッキの一番上を、マナゾーンに、置く」
果たしてマナに置かれたのは、《不知火グレンマル》だった。
「発動、《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》の効果で、マナから、《ダイヤモンド・カスケード》を、召喚、マナの《土隠雲の超人》から、進化」
「し、進化まで出せるの!? ていうか、え? ちょっと、待って——」
いくら直感で動くこのみでも、カードの効果を知らないわけではないし、理解できないわけでもない。この後に起こるであろう事態を予測し、思わずストップをかけるが、少女も《プロセルピナ》も止まらない。
「発動、《ダイヤモンド・カスケード》の、効果で、マナゾーンの、スノーフェアリーをすべて、回収。墓地から、スノーフェアリーをすべて、マナへ。追加、発動、《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》の効果で——」
——効果で、マナゾーンに置いたスノフェアリーの数だけ、マナからクリーチャーが呼び出される。
「う、嘘でしょ、これ……」
《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》を筆頭に、《華憐妖精ミンメイ》《薫風妖精コートニー》《土隠妖精ユウナギ》……他にも多数のスノーフェアリーやシノビが並んでいる。
少女が序盤からあまり墓地を肥やしていなかったことと、出て来たクリーチャーのほとんどがこのターンに攻撃できないことが、不幸中の幸いか。
とはいえ、この状況は明らかにピンチだ。
「まずいよ、どうしよう……」
ここでやっと、このみの中に明確な焦燥感が芽生え始めたのだった——