二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ メソロギィ ( No.221 )
- 日時: 2013/12/23 12:12
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
「……ここは、神話空間か?」
正面にはシールド、手元には手札がそれぞれ五枚ずつ浮いており、周囲の感覚から考えても、そこは神話空間だった。
なにより一番の理由は、流と向かい合う形で真正面に鎮座する巨大な化け物——クリーチャーの存在だ。
「《キング・アトランティス》か……超大型のリヴァイアサンだな。なぜいきなり実体化したのかは分からないが、こうなってしまったからには仕方ない」
流は目の前の手札をまとめてつかみ、キッとキング・アトランティスを見据える。
「原因は後で考える。今は、戦うだけだ」
突如、流が消えて一人残されたひまりは、流が消えた空間をジッと凝視する。
「……やっぱり、流君は神話空間に入ったのかな」
目を凝らせば、微かだがその空間が歪んでいる。神話空間は本来この世界にあるはずのないもの。そのため、発生すると一時的にその空間が不自然になってしまうのだ。
「《アポロン》、お願い」
ひまりは《アポロン》のカードを取り出して掲げると、目の前の空間に、ディスプレイのような映像が映し出される。そこでは、流が大型クリーチャーとデュエルしていた。
『神話カード』限定ではないが、神話空間で多用されたカードは神話空間の影響力を受け、その時点で展開されている神話空間の中を映像として映し出すことができる。
「あれは、《キング・アトランティス》……かなりの大型クリーチャーだけど、流君、大丈夫かな……?」
流とキング・アトランティスのデュエルは、まだ共に大きな動きは見せていなかった。
たがいにシールドはゼロ。流はクリーチャーを出さず、ひたすら《ガチンコ・ルーレット》でマナを増やしており、既に10マナも溜めている。
キング・アトランティスもチャージャー呪文でマナを溜めているが、それ以上に《ニンプウ・タイフーン》や《月光電人オボロカゲロウ》で手札を整理している。
「俺もあまり人のことは言えないが、あまり悠長にしている暇はないぞ。俺のターン、呪文《戦慄のプレリュード》を唱え、次に召喚する無色クリーチャーのコストを5減らす。そして、7マナで《超絶奇跡 鬼羅丸》を召喚!」
流が呼び出したのは、12マナのゼニス《鬼羅丸》。味方のクリーチャーすべてにスピードアタッカーを与え、さらに召喚時にガチンコ・ジャッジを三回行い、そのガチンコ・ジャッジで勝利したカードをプレイするという、名前通り超絶的な奇跡を起こす可能性のあるカードだ。
「行くぞ、まずは一戦目だ」
ガチンコ・ジャッジ一戦目、流はコスト7《真実の名 リーアナ・グローリー》、キング・アトランティスはコスト3《勝負だ!チャージャー》
「一戦目は俺の勝ち、よって《リアーナ・グローリー》をバトルゾーンに出すぞ。続けて二戦目だ」
二戦目、流はコスト4《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》、キング・アトランティスはコスト4《ブレイン・チャージャー》。
「また俺の勝ちだ。《ニヤリー・ゲット》の効果で山札の上三枚を見て、無色カード——《真実の名 白金の鎧》《戦慄のプレリュード》《「武」の頂 マキシマム・ザ・マックス》の三枚——を手札に加える。そして最後、三戦目だ」
三戦目、流はコスト10《「智」の頂 レディオ・ローゼス》、キング・アトランティスはコスト2《月光電人オボロカゲロウ》だ。
結果、三戦中すべてのガチンコ・ジャッジに勝利し、大型クリーチャーが一気に三体並ぶこととなった。
「さらにこれらのクリーチャーはすべて、《鬼羅丸》の能力でスピードアタッカーだ。《鬼羅丸》でTブレイク!」
Tブレイカーが二体、Wブレイカーが一体いるので、余裕でダイレクトアタックまで行くことができる。しかも《リアーナ・グローリー》は選ばれないので、除去することも難しい。
まず《鬼羅丸》のTブレイクが炸裂。一気にキング・アトランティスのシールドが三枚消し飛ぶ。
「続けて《レディオ・ローゼス》で残るシールドもブレイクだ!」
さらに《レディオ・ローゼス》の攻撃も放たれ、これでキング・アトランティスのシールドはゼロとなるが、ブレイクされたシールドの一枚目が光の束となって収縮する。
「っ、S・トリガーか……」
発動したS・トリガーは《シークレット・クロックタワー》。山札の上から三枚を見て、一枚を手札、一枚を山札の上、一枚の山札の下へと送るカードだ。
このカード単体では、この状況はどうにもならない。しかし最後にブレイクされたシールドも、光を発する。
「またS・トリガー……?」
発動したS・トリガーは《転生プログラム》だ。
転生プログラム 水文明 (3)
呪文
S・トリガー
クリーチャーを1体選び、破壊する。そうした場合、そのクリーチャーの持ち主は、自身の山札の上から進化ではないクリーチャーが出るまでカードを表向きにする。そのプレイヤーは、出たクリーチャーをバトルゾーンに出し、表向きにしたそれ以外のカードを持ち主の墓地に置く。
「《転生プログラム》……!」
最近だとコスト踏み倒しコンボはもっぱら《ヒラメキ・プログラム》が使用されるが、《転生プログラム》は《ヒラメキ・プログラム》では出すことが難しいほどコストの大きなクリーチャーを出すのに適しているカードだ。
そしてキング・アトランティスは直前の《シークレット・クロックタワー》で山札を操作している。
キング・アトランティスは場の《オボロカゲロウ》を破壊し、山札を捲る。そして現れたのは、巨大な海洋の怪物だった。
キング・アトランティス 水文明 (12)
クリーチャー:リヴァイアサン 12000
T・ブレイカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある他のクリーチャーをすべて、持ち主の手札に戻す。
「遂に出たか……!」
現れたのは、《キング・アトランティス》。他のクリーチャーをすべてバウンスする、単純だが強力かつ豪快な能力で場をリセットする。バトルゾーン全体に干渉するため、《リアーナ・グローリー》の選ばれない効果も通用しない。
攻撃を止められた流はターン終了。そして《キング・アトランティス》のターン。
まずは《パクリオ》を召喚し、流の手札に戻った《鬼羅丸》をシールドに埋める。続けて《キング・クラーケン》で守りを固める。
そして最後に、《キング・アトランティス》の攻撃が放たれた。
「ぐっ……!」
《キング・アトランティス》はTブレイカー。流のシールドが一気に半分まで削られる。
「まずい、このままでは次のターンにやられる……!」
《鬼羅丸》を失い、S・トリガーもスピードアタッカーも来ない流。相手にはブロッカーもおり、このままでは次のターンにダイレクトアタックを決められてしまうだろう。
このままでは、だが。
「……まずは、《戦慄のプレリュード》でコストを軽減した《真実の名 白金の鎧》を召喚、マナを追加。そして残る8マナで、こいつを召喚だ」
次の瞬間、流の周囲に水流が渦巻き、それらが虚空の一点に集中すると、その集合体が弾け飛ぶ。
そしてそこから、巨大な戦艦の如き怪物が姿を現す。
「巨艦となりし海嶺よ、偽りの名の下に、既知なる存在を排除せよ——《偽りの名 イージス》!」
《偽りの名 イージス》。その能力は、偽りの力を持たないものを排除すること。即ち、アンノウン以外のクリーチャーはすべて山札へと送還されるのだ。
この効果で、《キング・アトランティス》と《パクリオ》《キング・クラーケン》の三体はすべて山札へと送られてしまう。その分キング・アトランティスはカードをドローできたが、一気に場数が減ってしまった。
キング・アトランティスは続くターンで《キング・クラーケン》を出し、《クリスタル・メモリー》で山札からカードを手札に加えたが、
「《クリスタル・メモリー》で手札に入れたのはシノビか。だったらブロッカーが邪魔だな。《真実の名 アカデミアン》を召喚し《キング・クラーケン》をバウンス。《真実の名 白金の鎧》でダイレクトアタックだ」
ブロッカーを除去し、《白金の鎧》でダイレクトアタックを決めようとするが、その瞬間、キング・アトランティスの手札から颯爽とクリーチャーが現れ、《白金の鎧》を山札へと戻す。
「《斬隠オロチ》か、予想通りだな」
《白金の鎧》は《霞み妖精ジャスミン》へと小型化してしまうが、キング・アトランティスの場には何もなく、流の場にはまだ《イージス》がいる。
「《偽りの名 イージス》で、ダイレクトアタックだ」