二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ メソロギィ ( No.235 )
- 日時: 2013/12/26 23:39
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
『うちのターンなのん。まずは《その子供、凶暴につき》を召喚なのん』
その子供、凶暴につき 火文明 (4)
クリーチャー:ヒューマノイド/チルドレン 4000
バトルゾーンにある自分の、コスト3以下のクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。
相手の進化クリーチャーと相手の「スピードアタッカー」を持つクリーチャーはすべて、バトルゾーンに出す時タップして置く。
「うわ、嫌なの出て来た……」
ひまりはスピードアタッカーを引ければ一気にインカを倒せるのだが、それが封じられてしまった。スピードアタッカーだけでなく進化クリーチャーもタップして出るので、《アポロン》に頼ることもできない。
しかしインカはこれだけにとどまらない。
『さらに、うちも召喚なのん。《呪紋のカルマ インカ》!』
呪紋のカルマ インカ 自然文明 (4)
クリーチャー:オラクル/スノーフェアリー 3000
自分のターン中、相手はクリーチャーを召喚できない。
遂に出て来た《インカ》本人。そして、《インカ》はここで攻めに出た。
『一斉攻撃なん! まずは《無防備のファミリア キナコ》でシールドブレイクなのん!』
「うっ……!」
ブレイクされるシールド。しかし、そのシールドは光り輝き、収束する。
「来た、S・トリガー! 《ジャジャーン・カイザー》を——」
と、そこまで言ったところで、ひまりの言葉が止まる。
収束した光は、クリーチャーへと具現化せず、そのまま光が消えてひまりの手札へと戻っていった。
「S・トリガーが発動しない……?」
手札に戻ってしまった《ジャジャーン・カイザー》を凝視しながら、ひまりは疑念を募らせる。それに対し、《インカ》は淡々と言う。
『ダメダメなん。うち、《呪紋のカルマ インカ》が場にいる時、うちのターンに相手はクリーチャーを召喚できないん。S・トリガーもニンジャ・ストライクもできないんよ』
オラクルの新たな階級、カルマは、封殺の力を操る。あらゆる物事を禁止し、相手の力を縛っていくのだ。《インカ》が禁止するのは、自分が支配する時空における、クリーチャーの召喚。いかなる奇跡であっても、そのルールを曲げることはできない。
『まだまだ、うちの攻撃は終わってないん。《プンスカ》でもブレイクなん!』
「うぅ、今度は《王龍ショパン》か……」
《ジャジャーン・カイザー》が出ていれば、S・トリガーとなって場に出れたのだが、《インカ》がいるのでそれも不可能。どうやら《インカ》は、こちらのS・トリガーがクリーチャー中心だということを読み切って、《インカ》を出すまで攻撃せず、《インカ》を召喚してからS・トリガーを封じつつ一気に攻める戦い方のようだ。
『《ジゴクグルマ》でブレイクなのん!』
「くっ、S・トリガー《フェアリー・ライフ》! 呪文はトリガーできるけど、マナ加速じゃ意味ないよ……」
一応、ひまりのデッキには《めった切り・スクラッパー》や《ナチュラル・トラップ》など、呪文のS・トリガーも入っている。しかし、やはり《ジャジャーン・カイザー》や《王龍ショパン》などのクリーチャーが多い。ドラゴン比率を下げないようにするための工夫なのだが、それが裏目に出てしまった。
『《ニガワライ》でブレイク、最後に《マグノリア》でもブレイクなのん! ……これでうちはターン終了なん』
1ターンでシールドをゼロ枚にされてしまったひまり。しかも《インカ》の場にはアタッカーが七体もいる。
「《その子供、凶暴につき》でスピードアタッカーも進化クリーチャーも封じられちゃうし……どうしよう」
とりあえずカードを引くひまり。すると、彼女の目つきが少しだけ変わる。
「ここでか……よし、じゃあこの手で行こう」
決意したように言うと、ひまりは今しがた引いたカードを手札から抜き取る。
「悪いけど、これで逆転だよ! 《アブドーラ・フレイム・ドラゴン》召喚!」
アブドーラ・フレイム・ドラゴン 火文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 8000
K・ソウル
マーシャル・タッチ
MT—パワー4000以下のクリーチャーをすべて破壊する。
W・ブレイカー
炎の中より飛び出したのは、武闘の魂を持つドラゴンだ。
「《アブドーラ・フレイム・ドラゴン》の効果発動! マーシャル・タッチで《コッコ・ルピア》を手札に戻し、バトルゾーンのパワー4000以下のクリーチャーをすべて破壊!」
『え……?』
《コッコ・ルピア》がひまりの手元に戻った。刹那、上空より無数の炎の塊が雨の如く降り注ぎ、バトルゾーンのクリーチャーに襲い掛かる。
《アブドーラ・フレイム・ドラゴン》はマーシャル・タッチで、自分のクリーチャーを一体手札に戻せば、バトルゾーンの弱小クリーチャーを一掃できる。自分のクリーチャーも破壊されてしまうのがネックだが、マーシャル・タッチで発動するため、今のひまりのように自分のクリーチャーを一体手札に逃がす、というようなことをすればある程度は解消できる。
《インカ》のクリーチャーはほぼすべてがパワー4000以下の弱小クリーチャーだったため、《ジゴクグルマ》を除くすべてのクリーチャーが焼き尽くされた。
『あ、う……で、でも、まだ《ジゴクグルマ》がいるん! 《アブドーラ》はこのターン攻撃できないから、次のターンでとどめなん!』
「そうだね、《アブドーラ》は攻撃できないよ。でも」
ひまりは《コッコ・ルピア》を召喚した後、手札から新たなドラゴンを呼び出す。
「次はこのクリーチャーだよ《ボルシャック・クロス・NEX》!」
ボルシャック・クロス・NEX 火文明 (9)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 12000+
スピードアタッカー
パワーアタッカー+
T・ブレイカー
誰もコスト4以下のクリーチャーを召喚できない。
続けて召喚されたのは、《神羅ライジング・NEX》が奇跡の復活を成し遂げ、進化した《ボルシャック・NEX》の最終形態、《ボルシャック・クロス・NEX》だ。
「《ボルシャック・クロス・NEX》で《ジゴクグルマ》を攻撃! ターン終了!」
《ジゴクグルマ》も破壊され、これで真にインカの場のクリーチャーがすべていなくなってしまった。
『う、うちのターン……』
インカのターンが回って来る。このターン、インカはスピードアタッカーを出せれば勝てるが、コスト4以下の小型クリーチャーの召喚を封じる《ボルシャック・クロス・NEX》がいるため、小型クリーチャーで固めたデッキを使用するインカはクリーチャーを召喚できない。
前のターンでひまりは、《コッコ・ルピア》でシールドを割り、《クロス・NEX》でとどめを刺せたが、たった1ターンとはいえインカをロックすることで、確実にとどめを刺せるようにしたのだ。目には目を、歯には歯を、と言ったところか。
『なにもできないん……ターン終了なん』
「だったら私のターンだね。《ボルグレス・バーズ》を召喚! 効果でマナゾーンの《ジャック・ライドウ》を回収して、そのまま召喚! 効果で山札から《アポロン》をサーチ! さらに《コッコ・ルピア》と《ジャック・ライドウ》《ボルグレス・バーズ》を進化MV!」
流れるようなひまりのプレイング。次の瞬間、三体のクリーチャーを包む爆炎が吹き上がり、神話の化身が姿を現す。
「出て来て、《アポロン》! そして《アポロン》で最後のシールドをブレイク!」
捲れたのは《王龍ショパン》だった。特に必要はないが、一応場に出しておく。
インカの最後のシールドが、《アポロン》によって破壊される。しかし、そのシールドは光の束となって収束した。
『S・トリガー発動なん! 《インフェルノ・サイン》! 墓地から《マグノリア》をバトルゾーンに出すん! クリーチャーを一体、マナ送りなん!』
最後の最後でS・トリガーを引き、《マグノリア》を出したインカ。だが、それでは足りない。
「なら《アブドーラ・フレイム・ドラゴン》をマナに送るね」
場数が減ってしまったひまりだが、インカのシールドはゼロ枚。そしてひまりの場にはまだ、アタッカーが残っている。
「《ボルシャック・クロス・NEX》で、ダイレクトアタック!」
「あ、まりりんせんぱいっ」
ひまりが神話空間から出ると、このみが寄って来た。
「このみちゃん、大丈夫だった?」
「あ、うん……あれ? それってあたしの台詞じゃない?」
珍しくツッコミを入れるこのみ。しかしひまりは意に介さない。
「まあ、大丈夫ならいいや。それより早く戻ろうか、夕陽君たちが心配するし」
「う、うん。そだね」
ひまりを相手にすると、このみでさえもペースが崩れてしまう。しかしそれでもすぐに気を取り直すのがこのみだが。
「そうだ。このみちゃん、これあげるよ」
「なにこれ……って、さっきのクリーチャー?」
「うん。スノーフェアリーだから私のデッキには必要ないし、私よりこのみちゃんの方が使いこなせると思うよ」
「へぇー、うんっ! じゃあ貰うね。ありがと、まりりんせんぱい!」
「いいってことだよ」
勢いでひまりに飛びつくこのみ。その様子は、彼女にもう一人姉ができたようであった。