二次創作小説(紙ほか)
- デュエル・マスターズ メソロギィ 第二回オリキャラ募集 ( No.279 )
- 日時: 2013/12/31 04:38
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
突如発生した神話空間に引きずり込まれたひまり。だが、自分がこの場にいうということは、後輩は無事なのだろうと少し安心した。
ひまりは視線を上げる。そこにいたのは、荘厳な鎧を身に纏った白龍。左手にはト音記号を模したような金色の錫杖が握られている。
「《神託の王 ゴスペル》か……」
かなりの重量級クリーチャーだ。それがなんの前触れもなく、いきなり実体化したというのもおかしな話だが、
「今はそんなことを気にしてる場合じゃない、か」
ひまりは目の前に並んだ五枚の盾を見ながら、そう呟く。
そして五枚の手札を、掴み取った。
ひまりとゴスペルのデュエル。
互いにシールドは五枚。ひまりの場には《コッコ・ルピア》、ゴスペルの場には《怪僧 ワカメ・ジール》と、クリーチャーの数も同じだ。
『我がターン。呪文《ホープレス・チャージャー》』
ホープレス・チャージャー 無色 (4)
呪文
自分の山札の上から4枚を見る。その中から1枚を自分の墓地に置き、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。
チャージャー
『山札の上から四枚を見、その中から《邪眼と魔銃の盾》を墓地へ』
そしてチャージャー呪文はマナゾーンへと送られる。たった一枚とは言え、無色カードで墓地肥しができ、なおかつマナを加速させられるため、なかなか有用な呪文だ。
「でもまだ動かないみたいだし、今のうちに攻めさせてもらうよ。私のターン《フレミングジェット・ドラゴン》を召喚! スリリング・スリー!」
捲れたのは《爆竜GENJI・XX》《ボルシャック・NEX》《ガイアール・アクセル》の三枚。
「全部ドラゴンだから、このターン《フレミングジェット》はQブレイカーだよ! 《フレミングジェット》で攻撃、Qブレイク!」
『《ワカメ・ジール》でブロック』
流石にゴスペルは、以前戦った《ヴェルベット》のように攻撃を通したりはしなかった。だがそれだけで、ゴスペルのデッキはそこまで防御力が高くないことが分かる。
「攻撃は止められちゃったけど、これでブロッカーはいなくなったし、まあいいか。ターンエンド」
ゴスペルのデッキがどのようなものかを確認するための攻撃でもあったので、ここまでは想定内だ。問題は、ここからゴスペルがどう動くかだが。
『我がターン。《救済のサトリ ミルク》を召喚』
救済のサトリ ミルク 水文明 (6)
クリーチャー:オラクル 6000
W・ブレイカー
自分の無色クリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりに手札に戻す。
呼び出されたのは、ゼロの力に直接触れられるオラクルの第四位、サトリの位階を持つ信者、《ミルク》だった。
《ミルク》の力は、その名の通りゼロを救済すること。ゼロ文明のクリーチャーが破壊されても、手札に戻せるのだ。
「普通に打点も高いしなぁ……《フレミングジェット》での攻撃はやめておこうかな……」
などと消極的なことを考えるひまりは、引いたカードを見るなり考えを変えた。
「……よし、とりあえずこれを出しておこうか。《無双竜機ボルグレス・バーズ》を召喚! これで殴り返されても、また殴り返して破壊できる。《フレミングジェット》でシールドブレイク!」
スリリング・スリーの効果は切れているのでブレイク数は一枚だが、とりあえず先手を取ったひまり。ゴスペルのシールドはこれで四枚。
『我がターン』
とはいえ、ゴスペルはその程度では動じない。
『呪文《ブレイン・タイフーン》、山札からカードを三枚引き、手札を一枚墓地へ。さらに呪文《戦慄のプレリュード》。次に召喚する無色クリーチャーのコストを5軽減、0マナで《墓地の守護者メガギョロン》を召喚。《メガギョロン》の効果で、墓地の《プレリュード》を手札へ。そして《ミルク》で《フレミングジェット・ドラゴン》を攻撃』
《ミルク》の操る水流に飲み込まれ、《フレミングジェット》は破壊されてしまう。
「ブロッカーかぁ、面倒だなぁ……《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を召喚してカードを三枚ドロー。さらに《ボルグレス・バーズ》で《ミルク》に攻撃!」
『《メガギョロン》でブロック。破壊された《メガギョロン》は《ミルク》の効果で手札へ戻る』
《ミルク》の水流に包まれた《メガギョロン》は墓地へは行かず、手札へと戻された。これでは《メガギョロン》が邪魔で、《ミルク》を破壊できない。
「本当に面倒なことになったなぁ……仕方ない、ターンエンド」
とりあえずターンを終えるひまり。幸いにも、《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を出せたため手札が増え、突破口は見出せそうだ。
だが、ゴスペルはひたすら妨害を続ける。
『呪文《戦慄のプレリュード》でコストを軽減、《墓地の守護者メマギョロン》を召喚し、墓地の《プレリュード》を回収。さらに《王機の神兵 ヴォルビック》を召喚。《ボルグレス・バーズ》を手札へ戻す』
「う……っ」
《ボルグレス・バーズ》をバウンスされ、攻撃手を減らされるひまり。ブロッカーも並んでいるので、なかなか攻め難い。
「防御が得意なデッキとは思っていなかったけど、ちょっと訂正しなきゃだね。全然攻め込めない……!」
《ヴェルベット》のようにただブロッカーを並べるのではなく、除去やカードの遣い回しも絡めて防御に徹しているため、かなりやり難い。これを突破するのは難しそうだが、
「でも、これで突き抜けるよ! 出て来て《吠えろ魂!鬼ビルダー「轟」》!」
吠えろ魂!鬼ビルダー「轟」 火文明 (8)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター/エイリアン 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手は自身の「ブロッカー」を持つクリーチャーを3体選び、破壊する。
W・ブレイカー
「《鬼ビルダー「轟」》の効果で、そっちのブロッカーを三体破壊してもらうよ!」
このカードの強みは、一気に三体のブロッカーを破壊できる点と、相手が選択するためアンタッチャブルに強い点だ。ゴスペルの場にはブロッカーが三体しかいないわけだが。
『……《メガギョロン》と《ヴォルビック》を破壊。《ミルク》の効果で《メガギョロン》は手札へ』
「だからどうしたって感じだけどね! 《セルリアン・ダガー・ドラゴン》でWブレイク!」
さらにシールドも割り、これでゴスペルのシールドは残り二枚。クリーチャーも《ミルク》のみなので、ひまりが一気に有利になったかと思われたが、相手は《神託の王》とまで呼ばれているゴスペルだ。一筋縄ではいかない。
『我がターン。呪文《ブレイン・チャージャー》。さらに《凍結のカルマ フラペチーノ》を召喚』
凍結のカルマ フラペチーノ 水文明 (4)
クリーチャー:オラクル 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップする。そのクリーチャーは次の相手のターンのはじめにアンタップされない。
現れたのはカルマの位階を持つ信者《フラペチーノ》。こちらもその名の通り、相手を凍結させ、フリーズさせてしまうのだ。
『《フラペチーノ》の能力で《鬼ビルダー「轟」》をタップ。さらに次のターン、アンタップできない』
「うわ、またまた面倒な……」
『《ミルク》で《セルリアン・ダガー・ドラゴン》に攻撃』
ひまりを無視するように、《ミルク》の攻撃が繰り出される。《ミルク》と《セルリアン・ダガー・ドラゴン》のパワーは同じなので、相打ちとなって共に破壊された。
「っ、だったら……《不敗のダイハード・リュウセイ》を召喚! このターンに《鬼ビルダー「轟」》は攻撃できないけど、次のターンからはシールドごと削っていくよ!」
声高らかに宣言するひまりだが、しかしゴスペルはそれ許さない。
『呪文《戦慄のプレリュード》。コストを5軽減し、2マナで《神聖騎 オルタナティブ》を召喚。《鬼ビルダー「轟」》のパワーを6000降下』
基礎パワーの高い《鬼ビルダー「轟」》は、《オルタナティブ》でパワーを下げられても場に残るが、現在のパワーはたったの2000しかない。
『続けて呪文《スパイラル・ゲート》。《ダイハード・リュウセイ》を手札に戻す。そして《フラペチーノ》で《鬼ビルダー「轟」》を攻撃』
パワーを下げられた《鬼ビルダー「轟」》は、《フラペチーノ》の攻撃によって破壊されてしまう。ただの防御ではなく、妨害を絡めた防御態勢に、ひまりも参ってきた。
「あー、やりにくいなぁ、もう。手札もなくなってきちゃったし、とりあえず《王龍ショパン》を召喚して《フラペチーノ》を破壊するよ」
《ショパン》と《フラペチーノ》の強制バトルが発生し、《フラペチーノ》が破壊される。しかしゴスペルの場にはまだ《オルタナティブ》がいる。
さらに、
『我がターン』
ゴスペルから言い様もない威圧感が発せられる。ビリビリと空気が暴れているのを、ひまりも肌で感じ取った。
どこからか低い音程の旋律が鳴り響き、そして——《神託の王》が降臨する。
『出でよ——《神託の王 ゴスペル》』