二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.28 )
- 日時: 2013/07/07 13:32
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
- プロフ: http://dm.takaratomy.co.jp/card/search/
「これで僕の場は《予言者フィスタ》だけになっちゃったけど……どうしようかな?」
1ターンでクリーチャーが壊滅してしまった記。対するシオの場には、闇クリーチャーの召喚コストを下げる《電脳封魔マクスヴァル》タップされている相手クリーチャーのパワーを1000下げる《古の羅漢バグレン》相手クリーチャーが破壊されるたびにデーモン・コマンドを呼び出す《死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル》そして《凶刻の刃狼ガル・ヴォルフ》。
これだけ強力なクリーチャーが揃えば、普通はその時点でかなり危機感を抱くものだが、記は口先だけで動じた様子は見られない。
「とりあえず、厄介な奴を消しとくかな。呪文《魂と記憶の盾》」
魂と記憶の盾(エターナル・ガード) 光/水文明 (3)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
バトルゾーンにある、進化ではないクリーチャーを1体選び、裏向きにして、新しいシールドとして持ち主のシールドゾーンに加える。
「それは……そう来るのですか」
「まあね。《ベル・ヘル・デ・ガウル》をシールドに送るよ。さらに《コーライル》を召喚。W・ブレイカーの《ガル・ヴォルフ》を戻したいところだけど、効果を使い回されるのも嫌だし、ここは《バグレン》でも戻しておこうか」
1ターンのうちに汐のバトルゾーンのクリーチャーは、片やシールドへ、片や山札の一番上へ飛ばされ、一瞬でクリーチャー数が半減した。
「……私のターンです」
カードをドローしても、引いてくるのは《古の羅漢バグレン》だ。
「呪文《エナジー・ライト》二枚ドローし《剣舞の修羅ヴァシュナ》を召喚です。そして、《ガル・ヴォルフ》でW・ブレイクです」
《ガル・ヴォルフ》は四つの刃を振りかざして特攻するが、
「《フィスタ》でブロック」
その途中に《予言者フィスタ》が割り込み、攻撃を防ぐ。《フィスタ》は破壊されるが、効果で山札の底へと戻っていく。
これで記のクリーチャーは《コーライル》のみとなった。
「そろそろまずいことになってきたぞ……お?」
あからさまに良いカードを引いた、と言うような表情を見せる記。だがそれが汐にばれたところで、彼のやることは変わらない。
「いい感じだね。まずは《予言者キュベラ》を二体召喚。そして、《コーライル》とさっき召喚した《キュベラ》を進化元に——」
刹那、汐の背筋に冷ややかな感覚が突き抜けた。同時に彼の手札から強い威圧感を受け、戦慄を覚える。
「——進化V(ボルテックス)、《英霊王スターマン》」
英霊王スターマン 光/水文明 (5)
進化クリーチャー:スターノイド 9000
進化V—自分のライトブリンガー1体とサイバーロード1体を重ねた上に置く。
このクリーチャーが攻撃した時、またはバトルゾーンを離れた時、自分の山札の上から1枚目を、裏向きのまま自分のシールドに加える。
W・ブレイカー
「《スターマン》とは、時代錯誤なカードですが……」
だが、《英霊王スターマン》は純粋に強い。
進化元が限定されているので、昨今の進化クリーチャーと比べれば出し難く、パワーも控えめな《スターマン》だが、それでも攻撃と同時にシールドを追加する効果は、単純ながら強力だ。
「《スターマン》で《ガル・ヴォルフ》を攻撃、効果でシールド追加だ」
《スターマン》は右手に光の剣を、左手に水の剣を創造し、《ガル・ヴォルフ》を切り裂いた。さらに次の瞬間、《スターマン》が薙いだ武器の残滓が集まり、一枚の盾となって記の正面に配置される。
「ターンエンドだよ」
思いがけないクリーチャーが出現し、胸中で焦りを表す汐。
(……これでは駄目です)
汐が引いて来たのは《電脳封魔マクスヴァル》。これでは一時的に《スターマン》を止めることしか出来ない。
「ですが、何もしないよりはマシです。《マクスヴァル》を召喚して、《剣舞の修羅ヴァシュナ》でシールドをW・ブレイクです」
「《キュベラ》でブロック。破壊されるから、効果発動で《マクスヴァル》をタップだ」
《ヴァシュナ》の斬撃も止められ、《マクスヴァル》がタップされる。
「僕のターン。まずは《セブ・コアクマン》を召喚して手札を補給……お、やったね。運良くカードを三枚ゲットだ」
記が捲ったカードは三枚とも光文明、《セブ・コアクマン》の効果で全て手札に入る。
「さらに《デ・バウラ・チャージャー》で墓地の《魂と記憶の盾》を手札に。そして《予言者フィスタ》を召喚」
次々と展開されていく記のバトルゾーン。しかも増えるのはクリーチャーや手札だけではない。
「《スターマン》で《ヴァシュナ》を攻撃だ!」
「っ……《マクスヴァル》でブロックです」
《スターマン》の光化学の斬撃を喰らい、《マクスヴァル》は様に切断された。さらにその残滓が結晶となり、記のシールドとなる。
そして迎えたシオのターン。
「……私も《セブ・コアクマン》を召喚し、光か闇のカードを手札に加えます」
山札の一番上から三枚を捲り、汐も三枚のカードを手に入れたが、
(《ブラッディ・イヤリング》三体でどうしろと言うのですか……)
手札に加わったのは全て《ブラッディ・イヤリング》。一応、相手の攻撃は止められるが、それだけだ。
(……《ヴァシュナ》でシールドは破壊できるですし、ブロッカーだって永遠に居座り続けるわけではないです。だったら《ヴァシュナ》で攻めて、相手の防御を崩しつつこちらが守る、という手が今の状況だと最善ですか)
とりあえずの方針を固め、汐はマナを三枚タップする。
「三体の《ブラッディ・イヤリング》を召喚です。そして《ヴァシュナ》でW・ブレイクです」
「《フィスタ》でブロック、効果でデッキの一番下へ」
《ヴァシュナ》の刃に切り裂かれた《フィスタ》は、そのままデッキの底へ行く。これで三体の《フィスタ》が山札の一番下へ行ったことになる。
「君は《スターマン》を倒そうと随分躍起になってるようだね」
唐突に記は言った。
「その頑張りに敬意を表する……わけじゃないけど、そんなに邪魔なら、僕が消してあげるよ」
「え……」
汐には記の言っていることが分からなかった。記もそれを、口で説明するつもりはないようだ。
だから記は汐が理解する前に、行動で回答を示す。
「呪文《転生スイッチ》発動!」
転生スイッチ 水文明 (5)
呪文
S・トリガー
バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。その後、そのプレイヤーは、選ばれたクリーチャーよりコストが小さいクリーチャーを体自身の手札から選び、バトルゾーンに出してもよい。
「僕が選ぶのは《英霊王スターマン》だ。そして手札から出すのはこのクリーチャー。護りの姫君よ、精霊の力を以て勝利をもたらせ——《光霊姫アレフティナ》!」
光霊姫アレフティナ 光文明 (4)
クリーチャー:メカ・デル・ソル/アーク・セラフィム 8000
このクリーチャーを召喚するコストは、自分のシールド1枚につき1多くなる。
相手のクリーチャーが自分を攻撃する時、それがそのターンはじめての自分への攻撃で、自分のシールドが1枚もない場合、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加える。
自分のシールドが10枚以上あれば、自分はゲームに勝利する。
W・ブレイカー
「《アレフティナ》……」
《スターマン》が退いたのは良いのだが、今度はさらに厄介なクリーチャーが出て来てしまった。
《光霊姫アレフティナ》、簡単に言えば、“シールドが十枚以上あればゲームに勝利できる”クリーチャーだ。
今の記のシールドは八枚。あと二枚シールドが追加されれば、記の勝利となってしまう。しかも《スターマン》は手札にいるので、またすぐに登場するだろう。
「ついでに守りも固めておこうか。《予言者キュベラ》と《予言者ソルハバキ》を召喚。《ソルハバキ》の効果でマナの呪文を回収してターンエンド」
「……私のターン、です」
ゆっくりとカードを引く汐。そして、引いたのは、
(《オルゼキア》、やっと除去カードを引けたのですが……)
《魔刻の斬将オルゼキア》。自身のクリーチャー一体と引き換えに、相手クリーチャーを二体破壊するデーモン・コマンド。その効果は強力だが、しかし破壊するクリーチャーはすべて、各プレイヤーが選ぶのだ。
(向こうさんの場には四体もクリーチャーがいることですし、破壊されるとしたら軽量クリーチャーでしょう。自分から《アレフティナ》を破壊するとは思えないです)
だがそれでも、何もしないよりはマシと判断し、汐はマナを六枚タップする。
「《魔刻の斬将オルゼキア》を召喚です。効果で私は《ブラッディ・イヤリング》を破壊です」
「なら僕は《キュベラ》と《ソルハバキ》を破壊だ。《キュベラ》の効果で《ヴァシュナ》をタップ」
やはりこちらの攻撃を封じる記。汐は攻撃できずにターンを終える。
(《英霊王スターマン》に《光霊姫アレフティナ》……厄介なクリーチャーたちです。ですが)
まだ汐の中には嫌な感覚が蟠っている。それは記の場にいる《アレフティナ》と手札にいる《スターマン》によるものかもしれないが、それ以上の“何か”が彼のデッキにはまだ眠っている。
(これ以上、なにが出て来るというのですか……)
こっそりと顔色を窺っても、記はただ、軽薄な笑みを浮かべるだけだった——