二次創作小説(紙ほか)
- デュエル・マスターズ メソロギィ 第二回オリキャラ募集 ( No.299 )
- 日時: 2014/01/01 14:42
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
夕陽とニャルラトホテプのデュエル。
シールドはまだどちらも五枚。ターンも6ターンしか進んでいない。
夕陽の場には《レッピ・アイニー》が一体、ニャルラトホテプの場にも《兵法のサトリ 孫子》だけだ。
状況はまだどちらも準備段階という感じだが、夕陽はニャルラトホテプのマナゾーンに注目していた。
(相手のマナゾーンを見る限り、全部無色カード……まさか、ゼロ文明単色のデッキか?)
無色のカードは全体的にコストが高く、クリーチャーの最低コストが4、呪文を含めても3コストなため、単色のデッキを作るとかなりスピードが遅くなってしまう。ゆえにあまり見かけないのだが、
「まあ、ありえない話ではないか。僕のターン、さっき《レッピ》で手札に入れた《超次元の手ブラック・グリーンホール》を発動! 開け、超次元門! 《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンへ!」
まず夕陽が先駆けて動き出す。超次元ゾーンより降り立ったのは、エイリアンの姫君《勝利のプリンプリン》だ。
「《プリンプリン》の能力で《孫子》をロック! 次のターン、《孫子》は攻撃できないから、殴り返しの心配はない。《レッピ》でシールドブレイク!」
夕陽は攻撃面でも先手を取る。たった一枚とはいえ、シールドの枚数でも上回った。
「ターン終了だ」
「では、私のターンです」
しかしたった一枚、ニャルラトホテプも焦りなどはまったく見せず、着々と場を進めていく。
「私は《ノウメン》を召喚します。無色のクリーチャーが出たので《孫子》の能力で一枚ドロー。ターンエンドです」
《ノウメン》、能力こそないが、4マナのノーコストでパワー6000は、序盤の殴り返し要員としては優秀だ。
「でも、《ノウメン》を入れてるってことは、やっぱゼロ文明単色か。そいつが入るデッキは限られるからな」
「さて、それはどうでしょう?」
フードを目深にかぶっているせいで、ニャルラトホテプの表情が口元でしか窺えない。とはいえ、この予想を疑う必要もないだろう。
「《ノウメン》のパワーは厄介だけど、コスト4ならこいつでどうだ? 《超次元ムシャ・ホール》!」
超次元ムシャ・ホール 火文明 (5)
呪文
相手のコスト4以下のクリーチャー1体を破壊する。
コスト7以下の火のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。
虚空から武者の斬撃が放たれ、《ノウメン》が切り裂かれる。同時に超次元の門も切り開かれた。
「開け、超次元の門! 《勝利のガイアール・カイザー》をバトルゾーンへ!」
勝利のガイアール・カイザー ≡V≡ 闇/火/自然文明 (7)
サイキック・クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 5000
スピードアタッカー
このクリーチャーは、バトルゾーンに出したターン、アンタップされているクリーチャーを攻撃できる。
開かれた超次元の門から飛び出したのは、《勝利のガイアール・カイザー》。《勝利のプリンプリン》と合わせて、これでサイキック・セルが二体揃った。
「でもま、このまま攻めれば覚醒リンクする前にデュエルが終わるかもな。まずは《勝利のガイアール・カイザー》で《孫子》を攻撃!」
《勝利のガイアール・カイザー》はバトルゾーンに出たターンのみアンタップキラーとなる。加えてスピードアタッカーなので、場に出た瞬間、《孫子》を破壊する。
「さらに《レッピ》でシールドブレイク! 続けて《プリンプリン》で——」
「ストップ! S・トリガー発動!」
一気に攻め込もうとする夕陽だが、ここでS・トリガーによるストップが入ってしまう。
「そちらが《勝利のプリンプリン》なら、こちらはこれですよ。《逆転王女プリン》!」
逆転王女プリン 無色 (5)
クリーチャー:ハンター/エイリアン 2000
S・トリガー
ガチンコ・ジャッジでこのクリーチャーを見せた時、またはこのクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、タップまたはアンタップする。
収束する光の中から飛び出したのは、《勝利のプリンプリン》とよく似た——というか、背景ストーリー上は同一人物である《逆転王女プリン》だ。
「《プリン》の能力で、そちらの《プリンプリン》をタップします」
「っ、止められた……!」
ここでニャルラトホテプのシールドを二枚に減らしておけば、次のターンに残った三体のクリーチャーでダイレクトアタックまで持ち込めたのだが、それは失敗に終わる。
「そして私のターン……さあ、ここからが本番ですよ」
ニャルラトホテプが不敵に微笑む。その笑みに、夕陽は嫌な予感を覚える。
「呪文《戦慄のプレリュード》です。これで次の召喚する無色クリーチャーのコストを5減らします。私のマナは残り2マナなので、7マナの無色クリーチャーまで出せますね」
しかし無色中心のデッキで、このターンの《プレリュード》はよくあることだ。ゼロ文明のカードにはコスト7のクリーチャーが多く、また質も良い。そのため、5マナ溜まった時点で《プレリュード》から7マナの強力な無色クリーチャーを呼び出すのは、当然とも言える。
しかし呼び出されたクリーチャーは、普通とも当然とも言えなかった。
「新たなる時代を壊せ、そして構築せよ——《神聖鬼 デトロイト・テクノ》!」
戦慄を感じさせる前奏曲が流れた後、オラクルによって生み出された人造の神が姿を現す。
そのクリーチャーは神官という立場からか、他のオラクリオンとは一線を画す。巨人のような姿をし、その容貌を鬼を彷彿させる。
「《デトロイト・テクノ》を召喚し、《プリン》で《勝利のプリンプリン》を攻撃、相打ちで破壊です」
「くっ……!」
サイキック・セルを破壊され、呻く夕陽。しかしまだシールドの枚数ではこちらが勝っている。
「とりあえず《デトロイド・テクノ》を止めたいけど……」
残念なことに、手札に超次元呪文はない。そもそも手札自体枯れつつある。火、自然、闇の構成である以上、手札補充がし難いのは仕方ないのだが。
「僕のターン……二体目の《レッピ・アイニー》を召喚。山札の上二枚を墓地へ」
墓地に落ちたのは《超次元フェアリー・ホール》と《爆竜フレームシヴァXX》の二枚。
「よしっ、墓地に落ちた《フェアリー・ホール》を回収だ。さらに一体目の《レッピ》でシールドブレイク!」
《レッピ》は殴り返しで破壊されてしまうが、これでニャルラトホテプのシールドは残り二枚。《勝利のガイアール・カイザー》で攻撃しないのは、まだシールドが二枚残っていることと、覚醒リンクも見てのことだ。
しかし【師団】の四天王と言うだけあり、ニャルラトホテプも甘くはない。ここに来て、本格的に動き始めた。
「では、私のターンです。残念でしたね、ここまでで攻め切れなかったあなたが私に勝てる見込みは、限りなくゼロに近いですよ」
カードを引きつつ、そんなことを言うニャルラトホテプ。確かに速めのビートダウンデッキである夕陽が、このターンでまだシールドを三枚しかブレイクできていないのは痛手だが、そこまで言われることもないだろうと思う。
彼女が、天頂の存在を呼び出すまでは。
「とりあえず手札を一枚マナチャージします。これで私のマナは6マナ、ここで《神聖鬼 デトロイト・テクノ》の能力が発動します」
神聖鬼 デトロイト・テクノ 無色 (7)
クリーチャー:オラクリオン 7000
W・ブレイカー
自分のマナゾーンで無色カードをタップする時、そのうちの好きな枚数のカードの、マナの数字を2にしてもよい。
《神聖鬼 デトロイド・テクノ》の能力。それは、マナゾーンのゼロ文明のカードからは2マナ生み出せるというもの。色を出せない無色のカードゆえに多く積むことはできないのだが、極端な話、マナゾーンのカードがすべて無色のカードなら、マナが倍増したのと同じ効果を得られるのだ。
そしてニャルラトホテプのマナは、すべて無色。6マナ溜まったということは、12マナ溜まったことと同義なのだ。さらに12マナということは、
「マナゾーンカードをすべてタップ、すべてのマナを使用し、このクリーチャーを召喚します——」
刹那、おぞましい瘴気のようなものが夕陽の肌を撫で、その圧倒的な負の力に恐怖を感じる。
そして今ここに、呪の感情が寄り集まった天頂の存在が、降臨する。
「——《「呪」の頂 サスペンス》!」