二次創作小説(紙ほか)

デュエル・マスターズ Mythology ( No.300 )
日時: 2014/01/02 02:30
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「呪」の頂 サスペンス 無色 (12)
クリーチャー:アンノウン/ゼニス 16000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、相手のシールドまたは手札からカードを2枚見ないで選ぶ。相手はそれを見せる。その中の呪文を、自分がコストを支払わずに唱え、持ち主の墓地に置いてもよい。その後、相手は見せたカードの残りを自身の墓地に置く。
T・ブレイカー
エターナル・Ω


 現れたのは、《「呪」の頂》と呼ばれる天頂の存在——即ちゼニス、《サスペンス》だ。
 ゼニスはいずれも10マナ以上の超大型種族で、そのマナコストに見合った強力な能力を備えているが、代わりに能力を発動させるためには召喚してバトルゾーンに出さなければならないことが多い。なのでリアニメイトなどのコスト踏み倒しによる裏技を使っても、意義が薄いのだ。
 しかし逆に言えば、普通に召喚できれば一発で場を制圧できるほどの力があるのも確かだ。そのためマナ加速やコスト軽減——前者は流、後者は九頭龍が組み込んでいる——などで早期に召喚する構築が主流だが、ニャルラトホテプは一風変わった方法でそれを実践した。
 それが《神聖鬼 デトロイト・テクノ》だ。5マナある状態で《戦慄のプレリュード》から《デトロイト・テクノ》を召喚することで、次のターンには6マナ。その6マナがすべて無色なら、12マナもある非進化ゼニス最大の《サスペンス》をスムーズに召喚することができるようになるのだ。
「くそっ、こんな流れるようにゼニスが出て来るなんて……!」
 歯噛みする夕陽。しかしこうなってしまったからには仕方ない。
「《サスペンス》の能力発動。あなたのシールドを二枚、墓地へと送り込みます」
 次の瞬間《サスペンス》の両腕から灼熱の業火が放たれ、夕陽のシールドを二枚燃やし尽くす。しかしそのうちの一枚は、暗い光を放った。
「運が悪かったようですね。《サスペンス》の能力で、墓地に送ったカードの中に呪文があれば、コストを支払わずに唱えます。では……《超次元ムシャ・ホール》発動!」
 墓地へと落とされたシールドのうち一枚は《超次元ムシャ・ホール》。虚空より放たれた斬撃が、前のターンに召喚した《レッピ・アイニー》を切り裂く。
「《ムシャ・ホール》の効果でコスト4以下の《レッピ・アイニー》を破壊。そして超次元ゾーンから、コスト7以下の火文明サイキック・クリーチャーを呼び出します。開け、超次元の門」
 今まで夕陽の傍で開いていた超次元へと続く扉。それが今は、ニャルラトホテプの傍で開かれる。
「《流星のフォーエバー・カイザー》をバトルゾーンへ!」


流星のフォーエバー・カイザー ≡V≡ 火文明 (6)
サイキック・クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 6000
相手のサイキック・クリーチャーは、プレイヤーを攻撃できない。
W・ブレイカー


 流星の如く超次元の扉を突き破って出て来たのは、蒼い龍。永遠なる超次元の力を得た《リュウセイ・カイザー》だ。
(こいつ、まさか……!)
 ここでサイキック・クリーチャーが出て来ることも驚きだが、それ以上に呼び出したのが《フォーエバー・カイザー》だということが、夕陽に一つの仮説を立てさせる。
(ゼロ文明に超次元呪文はない、ゼロ文明のサイキック・クリーチャーも勿論いない。だけど、超次元ゾーンは墓地なんかと同じで公開されてるゾーンだから、ブラフとして超次元呪文やサイキックを呼び出すクリーチャーを積んでいなくても、もっと言えばサイキックを使うつもりがなくてもサイキック・クリーチャーを入れているデッキはある。だけどこいつには、《サスペンス》がいる)
 完全に相手依存になるが、相手によっては今の夕陽のように超次元呪文がヒットし、そのまま唱えられてしまうことだってあるだろう。だからこそそのケースを想定し、サイキック・クリーチャーを入れていたのだと思われる。
 さらに呼び出したのがサイキックの攻撃を止める《フォーエバー・カイザー》だ。超次元呪文がヒットする確率は、相手が多く超次元呪文を積んでいるほど、つまりサイキックをメインにしたデッキであるほどヒット率が高くなる。そしてそのようなサイキックをメインにしたデッキにとって、サイキックの攻撃を止められるのは相当な痛手となるのだ。
(《フォーエバー・カイザー》はサイキック相手には刺さるサイキック・クリーチャーだ。と言っても、中途半端なコストから火文明入りのデッキでもないと呼び出すことは難しい。八枚しか入れられない超次元ゾーンで、数あるサイキックの中でもそのクリーチャーを選んだということは……)
 こちらのデッキが読まれている。夕陽はそう考えるのだった。
(こっちの手が透けてるって言うのか。これも情報網って奴なのか……なんにせよ、サイキックで攻撃できなくなったのは厳しいな)
 夕陽のデッキは攻撃のほとんどをサイキックに依存している。普通のアタッカーも入ってはいるものの、いつもの連ドラのようなデッキに入れている《コッコ・ルピア》などのコスト軽減や《エコ・アイニー》といったマナ加速のファイアー・バードがいないため、召喚して攻撃するには時間がかかるのだ。
「さて、ここまで来れば心配はいらないでしょう。《デトロイト・テクノ》で《レッピ・アイニー》に攻撃です!」
 《デトロイト・テクノ》は手を突き出し、《レッピ》に向けてまがまがしい波動を放つ。さらに、
「アタック・チャンス発動《黄泉秘伝トリプル・ZERO》!」
「なにっ……!?」
 驚きを見せる夕陽。驚きと言うよりは、辛い表情とでもいうのか。
 《トリプル・ZERO》の能力でニャルラトホテプのシールドは三枚に回復。さらにコスト6以上の無色クリーチャーがいるので、手札もマナも追加された。たった一枚の呪文で、一気に夕陽の状態は厳しくなる。
「さあ、これで私はターン終了です。あなたのターンですよ」
「くそっ……!」
 《レッピ》も破壊され、《勝利のガイアール・カイザー》だけが残される。だがその《ガイアール・カイザー》は《フォーエバー・カイザー》の存在により相手プレイヤーを攻撃できない。
「……とりあえず、《サスペンス》の攻撃は止めないと、次のターンにとどめを刺される。呪文《超次元フェアリー・ホール》!」
 マナを一枚追加し、超次元ゾーンから次なるサイキック・クリーチャーが呼び出される。
「《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンに! 効果で《サスペンス》をロック!」
 とりあえずはこれで、次のターンにスピードアタッカーが出ない限り、とどめまでは刺されなくなった。
「でも、本当にただのその場凌ぎだよな……《超次元キル・ホール》を発動。《時空の踊り子マティーニ》をバトルゾーンに出して、ターン終了だ」
 今度は軽量超次元呪文で小型ブロッカーを呼び出し、防御の構えを取る夕陽。とにかく今は時間を稼ぎ、活路を見出すしかないのだ。
「ですがその時間稼ぎ、どこまで持ちますかね……私のターンですよ」
 幸いにも、ゼロ文明にスピードアタッカーの能力を持つクリーチャーは少ない。ついでに除去カードもあまり多くないので、最低でもこのターンは耐えられるだろう。
「《デトロイト・テクノ》がいるので、無色カードからは2マナ生み出せます。まずは4マナで《真実の名 白金の鎧》を召喚。マナを追加し、さらに4マナで《真実の名 修羅丸》も召喚です」


真実のトゥルーネーム 修羅丸 無色 (7)
クリーチャー:ヒューマノイド/アンノウン 6000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をすべてのプレイヤーに見せる。そのカードが進化ではない無色クリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


「うわっ、アタッカーが増えた……しかも片方は《修羅丸》か……」
 続けざまにアタッカーを増やされてしまった。しかも《修羅丸》は後続の無色クリーチャーをさらに増やし、しかも無色単色デッキならほぼ確実に踏み倒されるため、かなりきつい。
「さて、ここからどうしましょうか……ブロッカーは早めに潰しておきたいのは当然として、トリガーを踏む可能性を考慮している場合でもないですよね。ですがパンプアップやスピードアタッカーによる殴り返しで《フォーエバー・カイザー》がやられてしまったら元も子もありません。では……《デトロイト・テクノ》で攻撃、Wブレイクです!」
「《マティーニ》でブロック!」
 とりあえず初撃はブロックする。《マティーニ》は破壊されて超次元ゾーンに戻り、夕陽は次なる攻撃に備えるが、
「ターン終了です」
 ニャルラトホテプは追撃せず、そのままターンを終えてしまった。
(さっきなんかぶつぶつ言ってたし《フォーエバー・カイザー》の殴り返しの可能性を考慮してのプレイングか。それに関してはなんとも言えないけど、シールドが減らされないなら好都合だ)
 なぜなら、その分夕陽はS・トリガーに期待できる。少なくともこのターン生き残れただけでも行幸だ。
(それに、ここであの超次元呪文が来れば……!)
 狙いのカードが来ることを祈りながら、夕陽は次のカードをドローする。