二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.304 )
日時: 2014/01/02 06:52
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽とニャルラトホテプのデュエル。無色単色デッキで起動の遅いニャルラトホテプに、夕陽はサイキック・クリーチャーを並べ優位に立っていた。
 しかしニャルラトホテプが繰り出すオラクリオン《神聖鬼 デトロイト・テクノ》により疑似的にマナを倍増させ、超重量級クリーチャーであるゼニス《「呪」の頂 サスペンス》の降臨、そして《サスペンス》の能力で唱えた夕陽の超次元呪文から、サイキックの攻撃を止める《流星のフォーエバー・カイザー》を出され、一気に形勢を逆転されてしまった。
 ニャルラトホテプの場には《神聖鬼 デトロイト・テクノ》を始め《「呪」の頂 サスペンス》《流星のフォーエバー・カイザー》《真実の名 修羅丸》《真実の名 メガパウンダー・マック》《兵法のサトリ 孫子》《墓地の守護者メガギョロン》に、《舞踏のシンリ マクイル》が二体。合計九体のクリーチャーが立ち並んでおり、ブロッカーもいて、攻防共に万全の構えだ。シールドも《黄泉秘伝トリプル・ZERO》で六枚にまで回復している。
 対する夕陽の場には《勝利のガイアール・カイザー》が一体。シールドも残り一枚で、その一枚が今、《フォーエバー・カイザー》によってブレイクされた。
 そして、

「……S・トリガー発動! 《黒神龍オドル・ニードル》!」

 出て来たのは、《オドル・ニードル》だった。
「あぁ、そちらが出てしまいましたか」
 残念そうに呻くニャルラトホテプ。彼女の残っているアタッカーは《神聖鬼 デトロイト・テクノ》一体なので、夕陽のシールドが残りゼロでも、《オドル・ニードル》の攻撃誘導効果によってダイレクトアタックできない。
「まあしかし、こうなってしまえば仕方ありませんね。《オドル・ニードル》を起こしておくのも嫌ですが、ここで《デトロイト・テクノ》を失うのも勘弁願いたいところです。私の場にはブロッカーが三体いるので殴り返しの心配もありませんから、ここは攻撃しないでおきましょう」
 《デトロイト・テクノ》では攻撃せずに、ニャルラトホテプはターンを終える。
 そして迎えた夕陽のターン。なんとか九死に一生は得たわけだが、このドローで目的のカードを引かなければ、どうしたって勝てない。
(《プリンプリン》が除去されたせいで、この状況を打開できるカードは一枚だけ。さぁ、来い……!)
 強く念じながら、夕陽はカードをドローする。
 そして、
「これだ! 超次元《グリーンレッド・ホール》! 超次元ゾーンから《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンに! ついでに《デトロイト・テクノ》をロック!」
 夕陽は、今引いたばかりの《超次元グリーンレッド・ホール》を唱え、《勝利のプリンプリン》を呼び出す。コスト5以下のサイキックを呼び出す多色超次元呪文。このサイクルには、その呪文の持つ文明と呼び出したサイキック・クリーチャーの文明が合致した時に発動する効果があるのだ。この場合《グリーンレッド・ホール》と《プリンプリン》が合致している文明は自然。その効果は、
「マナゾーンから《カモン・ピッピー》を回収。そしてそのまま召喚だ!」


カモン・ピッピー 火文明 (5)
クリーチャー:ファイアー・バード/ハンター 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、次のうちいずれかひとつを選ぶ。
▼コスト3以下のファイアー・バード・サイキック・クリーチャーを2体まで、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。
▼コスト6以下の火のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。


「《カモン・ピッピー》……そのバトルゾーンの状態で出て来るサイキックということは……!」
「察しの通りだ。生憎、僕の超次元ゾーンにファイアー・バードのサイキックはいない。だからコスト6以下の、火のサイキック・クリーチャーを呼び出させてもらう! 開け、超次元の門!」
 《カモン・ピッピー》の号令で、超次元の門が開かれる。そこから飛び出すのは、
「《勝利のリュウセイ・カイザー》をバトルゾーンに!」


勝利のリュウセイ・カイザー ≡V≡ 水/闇/火文明 (6)
サイキック・クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 6000
相手は、自身のマナゾーンにカードを置く時、タップして置く。
W・ブレイカー


 《ブラック・グリーンホール》や《グリーンレッド・ホール》では呼び出せなかった最後のサイキック・セル、《勝利のリュウセイ・カイザー》。
 相手の動きを鈍らせる能力があるので、《デトロイド・テクノ》より先に出していればもっと効果的だったかもしれないが、今それを言っても後の祭りだ。
 それよりも、今この状況でこのクリーチャーが現れたことにはもっと重大な意味がある。この場に《勝利のガイアール・カイザー》《勝利のリュウセイ・カイザー》《勝利のプリンプリン》の三体が揃ったことに。
「普通の覚醒リンクは、発動のタイミングがターンの初めだけど、こいつらは違う。三体揃った瞬間に覚醒し、リンクする——V覚醒リンクだ!」
 V(ビクトリー)覚醒サイキックリンク。サイキック・セル三体が揃った瞬間に覚醒し、リンクする覚醒リンクの形態。その名の通り、この覚醒リンクを成し遂げることで勝利を勝ち取ることができるだろう。
 《勝利のプリンプリン》の掛け声のもと、《勝利のガイアール・カイザー》と《勝利のリュウセイ・カイザー》が集結する。そして三体は、まばゆい光に包まれていき——

「覚醒せよ、そしてリンクせよ! 唯一無二の最強がここにあり! 天上天下! 《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》!」

 ——一体の龍となった。


唯我独尊ガイアール・オレドラゴン ≡V≡ 光/水/闇/火/自然文明 (30)
サイキック・スーパー・クリーチャー:レインボー・コマンド・ドラゴン/ハンター 26000+
スピードアタッカー
ハンティング(バトル中、このクリーチャーのパワーは、バトルゾーンにある自分のハンター1体につき+1000される)
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップし、相手のシールドをふたつ選ぶ。相手はそのシールドを自身の手札に加える。
ワールド・ブレイカー
リンク解除(このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、そのサイキック・セルのいずれか1枚を選んで超次元ゾーンに戻し、残りのカードを裏返す)
V覚醒リンク前《勝利のガイアール・カイザー》(上)《勝利のプリンプリン》(中)《勝利のリュウセイ・カイザー》(下)


 《勝利のガイアール・カイザー》《勝利のリュウセイ・カイザー》、カイザー界の二大巨頭がエイリアンの姫《プリンプリン》と一体になることによって、アンノウンを滅する地上最強の龍となった。それが《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》だ。
「止められませんでしたか……!」
 さっきまでは余裕そうにしていたニャルラトホテプだが、《ガイアール・オレドラゴン》の登場で、一気に焦りを見せ始める。同時に、自分のミスにも気付いた。
「用心深い割に、勝負を焦ったな。あの局面《フォーエバー・カイザー》で攻撃したのはお前の失敗だ。《ショパン》を警戒して攻撃順番を変えるくらいなら、いっそ攻撃せず、次のターンで確実に決めるべきだったな」
 あの時、《フォーエバー・カイザー》で攻撃していなければ、《ガイアール・オレドラゴン》が出たところで、その攻撃対象は既にタップ状態のクリーチャーだけだった。しかし《フォーエバー・カイザー》で攻撃することで、《フォーエバー・カイザー》に隙ができてしまったのだ。
「行くぞ! 《ガイアール・オレドラゴン》で《フォーエバー・カイザー》に攻撃!」
「くぅ……!」
 次の瞬間、《オレドラゴン》の咆哮で《フォーエバー・カイザー》が消滅する。同時にニャルラトホテプのシールドも二枚、吹き飛ばされた。
「これで、僕のサイキックはお前に攻撃できるようになったな。《オレドラゴン》の能力で、バトルに勝ったからアンタップだ。次は《サスペンス》に攻撃!」
 《サスペンス》《修羅丸》とニャルラトホテプのクリーチャーは次々と消し飛ばされていき、同時にシールドも次々と割られていく。六枚まで回復させたニャルラトホテプのシールドは、三体のクリーチャーを破壊したところでなくなってしまった。
「バトルに勝てばアンタップし、シールドも二枚手札に加えさせられる……ブロッカーを並べた意味、なかったですね……」
 もはや諦めたように、ニャルラトホテプは息を吐く。最後に手中で輝いたシールドを見て、もう一度溜息を吐いた。
「しかも、《デトロイト・テクノ》で攻撃しなかったことも裏目に……まあいいです。流石に《オレドラゴン》にとどめを刺されたくはありませんから、無駄ですがS・トリガー発動です。《逆転王女プリン》で《オレドラゴン》をタップします」
 最後の最後でS・トリガー《逆転王女プリン》で《オレドラゴン》の攻撃こそ止めたが、しかし彼女を再び逆転へは導いてくれなかった。
 夕陽の場に残った黒き龍が、最後の一撃を放つ。

「《黒神龍オドル・ニードル》で、ダイレクトアタック!」