二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.319 )
- 日時: 2014/01/03 15:44
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
クリーチャーの並べ合いとなっている零佑と《アカダシ》のデュエル。シールドでは零佑二枚、《アカダシ》三枚と、一歩《アカダシ》がリードしている。
バトルゾーンも《アカダシ》の場には、《戦攻のイザナイ アカダシ》《怪僧 ワカメ・ジール》《ストーム・クロウラー》《バクバク・クロウラー》《電流戦攻セブ・アルゴル》と、かなりの数を展開してきている。
だが展開力なら零佑も負けていない。《スーパーハッカー サイバー・クーン》から《サイバー・G・ホーガン》に繋げることで、《サイバーX・ザナドゥ》《サイバー・J・シン》を呼び、さらにそこからまたも《サイバー・クーン》で新たなサイバー・コマンド《サイバー・B・バック》が呼び出され、四体ものサイバー・コマンドが並んだ。ついでに《パラダイス・アロマ》もいる。
『ググ、ガガ……』
「どうだ? クリーチャーの数は同じだが、こっちにはでかいサイバー・コマンドが四体だ。お前のちっさいブロッカーじゃあ、こいつらは止まらねえぞ」
さらに零佑は、《アカダシ》に圧力をかける。クリーチャー相手に心理戦が通用するのかどうかは知らないが、しかし《アカダシ》の呻きは辛そうなものだった。
『グガグ……負ケ、ナイ。日蓮ノ、カタキ……』
「は? 日蓮?」
どこかで聞き覚えのある名前だ。いや、零佑と言えども日蓮宗なる宗教があり、その宗祖が日蓮という僧侶であることは知っているが、そういうことではなく。
足りない頭でなんとか記憶を捻り出し、ある一つの出来事が思い浮かんだ。
「あぁ……文化祭の時の……」
《神来のイザナイ 日蓮》。カードゲーム的なことを言えば《アカダシ》と同じ光臨サイクルのクリーチャーだ。
そして雀宮高校の文化祭で混乱を巻き起こし、その時に零佑が戦い、倒したのが、日蓮。
「そういえばあいつも、《アカダシ》使ってたな……仲間、なのは当然か。どっちも【師団】とかいう奴らの刺客らしいしな」
だがクリーチャー同士に、こういう絆のような感情があるのが驚きだ。いや、背景ストーリーではそういうこともあるのだが、しかしこのクリーチャーたちは特殊な方法で生み出されたクリーチャー……らしい。
だから仲間意識のようなものは不思議ではあるのだが、もしかしたら逆かもしれない。そういった特殊な方法で生み出されたからこそ、普段ならあり得ない仲間意識が芽生えているかもしれなかった。
『グガガガァ……《超次元エナジー・ホール》。超次元ゾーンカラ《変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード》ヲ、バトルゾーンニ。《アカダシ》ト《バクバク・クロウラー》デ、シールドブレイク』
「うおっ、意外とピンチだな……」
連続でシールドを割られ、これでシールドはゼロ。しかも選ばれない上にブロックもできない《アンタッチャブル・パワード》が現れ、次のターンには勝負を決められてしまう。
《アカダシ》に次のターンがあれば、だが。
「ピンチだが……残念だったな、一歩遅かったぜ。とりあえずS・トリガー《スパイラル・ゲート》! 《アカダシ》をバウンス!」
また光臨で厄介なクリーチャーを呼び出されるのも嫌なので、とりあえず《アカダシ》は除去しておく。そして零佑のターン。
「行くぜ、まずは《マリン・フラワー》召喚! そして進化!」
刹那、零佑を中心とした空間にバチバチと電流が迸り、磁場が乱れていく。
「さあ野郎ども、勇み立て! 超電磁の荒波に乗り、立ち塞がるもの全部ぶっ壊せ! 我が相棒《超電磁トワイライトΣ》、進撃の火蓋を切り落とせ!」
超電磁トワイライトΣ(シグマ) 水文明 (6)
進化クリーチャー:サイバー・コマンド 8000
進化−自分の「サイバー」と種族にあるクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の「サイバー」と種族にある進化ではないクリーチャーを好きな数、バトルゾーンから手札に戻してもよい。その後、このようにして戻したクリーチャー1体につき、自分の「サイバー」と種族にある進化ではないクリーチャーを1体、手札からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー
《マリン・フラワー》から進化したのはドリルのような巨大な突起を無数に備えた、超電磁の化身《超電磁トワイライトΣ》。
「《トワイライトΣ》の能力発動! 俺のバトルゾーンのサイバーを好きな数手札に戻すぜ。戻すのは《サイバー・G・ホーガン》《サイバー・J・シン》《パラダイス・アロマ》だ!」
三体のクリーチャーを手札に戻す零佑。《トワイライトΣ》は一度手札に戻したサイバーを再び場に出すことで、召喚時の能力を発動させることができる。こうしてクリーチャーを展開したり、相手を除去したりするのが主な使い方だが、この時、手札に戻したサイバーと手札から出すサイバーが同じである必要はない。
つまり——
「三体のサイバーを戻したから、三体のサイバーを出すぜ。出すのはさっき戻した《サイバー・G・ホーガン》と《サイバー・J・シン》そして——手札にいたこいつだ! 《サイバー・W・スパイラル》!」
サイバー・W・スパイラル 水文明 (9)
クリーチャー:サイバー・コマンド 11000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを2体まで選ぶ。相手はそのクリーチャーを自身の山札に加えてシャッフルする。
このクリーチャーはブロックされない。
W・ブレイカー
——場の小型サイバーを、手札の大型サイバーに化けさせることができるのだ。
「まずは《サイバー・G・ホーガン》の激流連鎖だ! 出て来な《斬隠テンサイ・ジャニット》そして《サイバー・N・ワールド》!」
激流連鎖で現れたのは《テンサイ・ジャニット》と《サイバー・N・ワールド》だ。まず《ジャニット》の能力で《ワカメ・ジール》がバウンスされ、次に《サイバー・N・ワールド》の能力でお互いの墓地と手札がすべて山札へと戻っていく。
「ふぅ、危ねえ危ねえ。ちっとばかし山札切れを心配してたんだが、なんとか《サイバー・N・ワールド》が出て来たか。んじゃ、続いて《サイバー・J・シン》の能力発動!」
《スーパーハッカー サイバー・クーン》の能力や《サイバー・A・アイアンズ》によるドロー、《サイバー・G・ホーガン》の激流連鎖などで零佑の山札はかなり削られていたが、それも《サイバー・N・ワールド》で一気に回復する。
そして次に《サイバー・J・シン》の能力で、山札の上二枚が捲られる。
「《トロン》と《パクリオ》をバトルゾーンに! 一応、お前の手札にある《超次元リバイヴ・ホール》をシールドに埋め、最後に《サイバー・W・スパイラル》の能力発動だ!」
そもそも、零佑は《トワイライトΣ》で元々いたアタッカーを三体手札に戻してしまっているので、そのままではブロッカーが邪魔でとどめまでは行けない。
一体は、墓地の状況と山札の枚数から、《サイバー・G・ホーガン》の激流連鎖と《サイバー・J・シン》の能力で《テンサイ・ジャニット》が一体は出て来るだろうと予想していたが、それでもまだ二体のブロッカーがいる。
それを除去するのが、《サイバー・W・スパイラル》だ。
「《サイバー・W・スパイラル》の能力で《ストーム・クロウラー》と《セブ・アルゴル》を山札に戻す! さあ、これでブロッカーはいなくなったぜ」
《パクリオ》でアカダシのシールドは四枚になったが、零佑の場にはWブレイカーが三体。ブロッカーがおらず、シノビを握っているわけでもないアカダシが、これらの攻撃を防ぐことはできない。
「行くぜ《サイバーX・ザナドゥ》でWブレイク! 続けて《サイバー・B・バック》でもWブレイクだ!」
アカダシのシールドが次々と割られていく。S・トリガーも発動しないアカダシは、完全に無防備な状態を晒していた。
『グ、グガ、ガァ……!』
「ま、仲間だかなんだか知らないが、その点に関しては悪かったな。だが、俺のデュエルに手加減はなしだぜ」
謝罪しながらも容赦のない零佑、そしてサイバーたちの攻撃が放たれ、その最後の一撃が繰り出される。
「《超電磁トワイライトΣ》で、ダイレクトアタックだ!」
「……ああ、分かった。なにかおかしいとは思ったが、やはり奴らが来ていたのか。ともかく助かった、またなにかあったらよろしく頼む」
女はバギィッ、とおよそ電子機器からは出ないような音を立てて携帯を閉じた。それを握る力も凄まじく、ミシミシと軋んでいる。
「あの野郎……なんかあったら連絡しろつっただろうが」
携帯を軋ませるのをやめると、それをポケットの中に収める。そして、舌打ちをしながらあの少年を毒づく。
「あたしに黙って【師団】なんて獲物と戦ってんじゃねぇよ……!」
そう呟いて『炎上孤軍』——火野亜実は、歩みを進めるのだった。