二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.320 )
- 日時: 2014/01/04 00:49
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
仄と《ガラムマサラ》のデュエルは、今のところ大きな動きはないものの、《ガラムマサラ》がスムーズに動けている反面、仄は出遅れてしまっている。
『私のターン。《魔龍バベルギヌス》を召喚し、即破壊。そして墓地から《魔聖デス・アルカディア》をバトルゾーンに』
スレイヤーの他、ブレイクしたシールドを墓地に置くことでそのクリーチャーを破壊する《デス・アルカディア》が墓地から蘇る。
「面倒なのが出て来た……でも」
出て来たのが《デス・アルカディア》だけなら、対応できないこともない。
「私のターン、呪文《ヘブンズ・ゲート》!」
前のターンに手札に加えた《ヘブンズ・ゲート》を発動する仄。手札から二体の光ブロッカーが降臨する。
「出すのはこの二体。《知識の精霊ロードリエス》と《偽りの名 ビルド・レオーネ》!」
偽りの名(コードネーム) ビルド・レオーネ 光文明 (8)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/アンノウン 8000
ブロッカー
このクリーチャーが攻撃する時、バトルゾーンにある相手の進化でないクリーチャーを1体選び、新しいシールドとして持ち主のシールドゾーンに裏向きにして加える。
W・ブレイカー
ブロッカーで《ガラムマサラ》の光臨は止めたので、あとは並んだクリーチャーを排除するだけ。そしてそれを行うのが、この《ビルド・レオーネ》だ。
「とりあえず《ロードリエス》の効果で二枚ドローして、このターンは終了」
守りを固め、相手の攻撃をシャットアウトしてから攻めに転じるのが仄のデッキのスタイルなため、攻撃に移るまでにタイムラグが生じてしまうが、次のターンからは厄介なクリーチャーをシールドに埋め込んでいける。
『……私のターンだ。《電脳風魔マクスヴァル》と《封魔フーマー》を召喚し、ターンエンド』
巨大なブロッカーが立ち並び、攻め込めない《ガラムマサラ》。出遅れてしまった仄だが、意外とこのまま押し切れそうだ。
「《ミル・アーマ》召喚。《ロードリエス》の効果で一枚ドローして、《コアクアンのおつかい》」
山札から捲れたのは《氷牙フランツⅠ世》《聖霊王イカズチ》《天門の精霊キバッテ・キャット》。
「《フランツ》以外を手札に加えて、《キバッテ・キャット》も召喚!」
次に捲った四枚には、手札に入るカードはなかった。だが、このままでも十分だ。
「《ビルド・レオーネ》で攻撃、その時《ビルド・レオーネ》の効果発動! 《デス・アルカディア》をシールドへ!」
これでスレイヤーで破壊されることも、《デス・アルカディア》の効果で破壊されることもなくなる。ブレイクするシールドも、《デス・アルカディア》を埋めなかったシールドだ。
『…………』
「ターンエンド」
これで《ガラムマサラ》のシールドも四枚、シールドの数では並んだ。
しかも仄にはブロッカーが複数並んでいるため、《ガラムマサラ》は攻めに出ることはできないだろう。
『……私のターンだ。《ボーンおどり・チャージャー》を発動。さらに《封魔ベルアリタ》を召喚。連鎖で山札の一番上を捲る』
そしてそれが連鎖を持つクリーチャーよりコストの低いクリーチャーなら、コストを踏み倒してバトルゾーンに出せる。
『捲れたのはコスト3の《封魔メールワスプ》。そのままバトルゾーンへ。さらに《フーマー》で《ビルド・レオーネ》を攻撃』
「《フーマー》はスレイヤー……だったら《キバッテ・キャット》でブロック!」
スレイヤー能力で《キバッテ・キャット》も破壊されるが、元からスペックの高いブロッカーではないので、大きな損害ではない。
『《フーマー》が破壊された時の能力で、お前の手札を一枚墓地へ』
「……っ」
手札を一枚落とされたが、大量に手札を補充していた仄には大した痛手ではない。
「《ウルファス》が潰されたのは痛いけど、ここまで攻めれば大丈夫か……」
さらに戦力を足して早く勝負を決めにかかりたいが、焦る必要がないのも事実。とりあえず今は、無理しない範囲で少しずつ攻めていくべきだろう。
「じゃあ……《キバッテ・キャット》進化! 《聖霊王イカズチ》!」
聖霊王イカズチ 光文明 (7)
進化クリーチャー:エンジェル・コマンド/オリジン 8000
進化−自分のエンジェル・コマンドまたはオリジン1体の上に置く。
クリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンにある自分のクリーチャーを好きな数アンタップしてもよい。こうしてアンタップしたクリーチャーはそのターン、「ブロッカー」を得る。
W・ブレイカー
《キバッテ・キャット》から進化したのは、オリジンの力を取り込んだ聖霊王、《イカズチ》だ。
このカードは様々なカードと組み合わせることで、多様なコンボを発動できるのだが、普通に使っても強い。相手クリーチャーが出て来ても自陣はすぐさまアンタップし、防御態勢を整えられるのだ。
ゆえに、攻撃に転じやすくなる
「まずは《ビルド・レオーネ》で攻撃、《メールワスプ》をシールドに!」
《メールワスプ》はスレイヤーでブロッカー。道連れにされたくはないので、シールドに埋めておく。
「そしてWブレイク!」
これで《ガラムマサラ》のシールドは三枚。うち二枚は《デス・アルカディア》と《メールワスプ》を埋めているので、S・トリガーの可能性があるのは一枚だけだ。
「このまま押し切れるかな……? 《イカズチ》でWブレイク!」
《イカズチ》の放つ雷で、さらに二枚のシールドが砕け散った。残るシールドは、《メールワスプ》の埋まったシールドだけ。そして仄の場には《フランツ》と《ミル・アーマ》。アタッカーが二体残っている。
このまま勝負を決めてしまおうかという、その時だ。
「……S・トリガー発動《地獄門デス・ゲート》」
《ガラムマサラ》のシールドが光の束となって収束する。
開かれたのは地獄へと続く悪魔の門。その門は、天界の門とは違い呼び出すものではない。引きずり込むものだ。
「《ミル・アーマ》を破壊。私の墓地にコスト2以下のクリーチャーはいないため、クリーチャーは復活させない」
「……残念」
本当に残念だ。あと一歩のところでとどめは刺せず、しかも《デス・ゲート》で墓地からクリーチャーを蘇らせたなら、《イカズチ》の能力で仄のクリーチャーはすべてアンタップし、そのままとどめを刺せたのだ。
「ま、仕方ないか。ここは最後のシールドも割っておくよ。《フランツ》で最後のシールドをブレイク」
《フランツ》の魔弾が《ガラムマサラ》の最後のシールドを突き破り、これでシールドはゼロ。次のターンにはとどめを刺す算段がついた。
「さ、この状況から逆転できるかな? ターンエンド」
《ガラムマサラ》の場にもクリーチャーは多くいるが、ここから逆転するのは難しいだろう。スレイヤーのブロッカーを出しても《ビルド・レオーネ》でシールドに埋められてしまうから、除去は難しい。
『……《封魔メールワスプ》を召喚』
「ならその時《イカズチ》の効果発動。私のクリーチャーはすべてアンタップされ、ブロッカーを得る」
クリーチャーを出しただけで、相手軍が鉄壁の壁となってしまった。これでは攻めるに攻められないだろう。
そう思われたが、
『……これはパイルの恨みだ』
「え? パイル?」
聞き覚えのある名前。仄は頭に手を当てて、記憶を手繰り寄せていく。
「……思い出した。夏祭りの時の」
《霊騎のイザナイ パイル》。《ガラムマサラ》と同じイザナイサイクルのクリーチャーだ。
「そういえばあのクリーチャー、アーク・セラフィムとグランド・デビルの混成デッキで《ガラムマサラ》使ってたっけ。で、なに? そのパイルの仇討ちのつもり?」
仄が威圧的にそう言うと、《ガラムマサラ》は頷くき、手札のカードを一枚抜き取る。
『奴の無念、私が晴らそうぞ……《ベルアリタ》《バルゾー》《ガラムマサラ》を進化』
「三体を進化元に……?」
嫌な予感がする。非常に慣れ親しんだような感覚と、得体のしれない恐怖とがない交ぜになって、仄へとのしかかった。
三体の悪魔を飲み込んだ水流は、そのまま巨大な蒼き不死鳥へと変貌する。
『——《超神星ネプチューン・シュトローム》』
「……!?」
声も出ないほどの驚きを見せる仄。なぜならそれは、彼女自身の切り札なのだ。
グランド・デビルの種族デッキなら、フィニッシャーとして採用していてもおかしくはないが、自分の愛用する切り札を相手に使われる衝撃は、普通に大型クリーチャーを出される以上に大きい。
『これで終わりだ……《ネプチューン・シュトローム》で攻撃、メテオバーン発動』
《ガラムマサラ》が墓地へと落ち、刹那《ネプチューン》の能力が発動する。
『お前のクリーチャーはすべて山札へ……そしてTブレイク!』
凄まじい激流が放たれ、仄の場のクリーチャーが一掃される。そしてシールドも三枚打ち砕かれた。
「っ……! S・トリガー発動!」
しかし割られたシールドのうち二枚が、光の束となって収束する。
「《ヘブンズ・ゲート》! 《タイガー・レジェンド》《オレオレ・ライオネル》《ロードリエス》《キバッテ・キャット》をバトルゾーンに!」
二枚の《ヘブンズ・ゲート》から、仄は手札に溜めていたブロッカーを一気に放出する。
「さらに《タイガー・レジェンド》の効果で、ガチンコ・ジャッジ!」
しかし仄はこのガチンコ・ジャッジに勝ったところで意味がないことを知っている。
ガラムマサラの場にはブロッカーが二体。仄の場にはアタッカーが二体。ガラムマサラのシールドがゼロでも、ブロッカーが立ち並び突破できない。
ガチンコ・ジャッジ一戦目。仄はコスト8《偽りの名 ビルド・レオーネ》、ガラムマサラはコスト6《闇彗星アステロイド・ゲルーム》。
二戦目。仄はコスト7《聖霊王イカズチ》、ガラムマサラはコスト5《封魔妖スーパー・クズトレイン》。
三戦目。仄はコスト3《王機聖者ミル・アーマ》、ガラムマサラはコスト2《エマージェンシー・タイフーン》。
四戦目。仄はコスト3《氷牙フランツⅠ世》、ガラムマサラはコスト3《電脳封魔マクスヴァル》。
五戦目。仄はコスト5《知識の精霊ロードリエス》、ガラムマサラはコスト7《魔龍レッドイッド》。
「じゃあ、手札から《ロードリエス》をバトルゾーンに出すよ」
『……?』
ガチンコ・ジャッジに四連勝もしたが、仄が出すのは《ロードリエス》だけだった。もしかしたら手札にある出せるカードがそれだけだったのかもしれないが、それなら途中でガチンコ・ジャッジを中止にすればいいようにも思う。
しかし彼女は、今の手札では《ネプチューン》を突破できないと分かっていた。しかも山札の上は相手の《ネプチューン》により、戻されたクリーチャーだと決定している。次のドローに賭けることもできない。
だがそれを、無意味なガチンコ・ジャッジを行うことで、山札の上のカードを山札の下へと移動させ、次のチャンスを作ったのだ。
そして彼女は、ゆっくりとカードを引く。
「……無駄に五連戦もした甲斐があったね。残念だけど、これでお終いだよ」
刹那、仄の場の天使を、水流が飲み込んでいく。
「目には目を、歯には歯を、超神星には超神星を……そして、《ネプチューン》には《ネプチューン》を!」
《タイガー・レジェンド》《キバッテ・キャット》《ロードリエス》の三体が水流の中心へと導かれ、その姿を蒼き不死鳥へと変貌させる。
「顕現せよ! 海王星の名の元に! 天使をも喰らう貪欲なる悪魔 超神星ネプチューン・シュトローム! 私に従え!」
現れたのは、《超神星ネプチューン・シュトローム》。ガラムマサラの場にいるものと、まったく同じ不死鳥だ。
しかしガラムマサラと違う点が一つだけある。それは、
「幸か不幸か、あなたもパイルと同じ道を歩むことになるよ……《ネプチューン・シュトローム》で攻撃、メテオバーン発動!」
《ロードリエス》が墓地へと落ち、次の瞬間、凄まじい激流が場を支配する。
『ぐ、ぬうぅ……!』
ガラムマサラの場にいたクリーチャーは、すべて山札へと戻されてしまう。ブロッカーもアタッカーも、《ネプチューン》も消え去ってしまった。
バトルゾーンのクリーチャーがいなくなったガラムマサラ。しかしガラムマサラには、クリーチャーだけでなく、シールドもない。
つまり、仄の《ネプチューン》を止める手立てが、なにもないのだ。
「《超神星ネプチューン・シュトローム》で、ダイレクトアタック!」