二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.330 )
- 日時: 2014/01/05 16:44
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
九頭龍と龍泉のデュエル。
まだお互い大きな動きを見せておらず、九頭龍は《メンデルスゾーン》、龍泉は《霞み妖精ジャスミン》でマナ加速をしているだけだ。
「俺のターンだ! 《緑銅の鎧》を召喚!」
緑銅の鎧(ジオ・ブロンズ・アーム・トライブ) 自然文明 (4)
クリーチャー:ビーストフォーク/エイリアン 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札を見る。その中から自然以外のカードを1枚選び、自分のマナゾーンに置いてもよい。その後、山札をシャッフルする。
「山札から《バイオレンス・サンダー》をマナゾーンへ置くぜ。ターンエンドだ!」
「じゃ、僕のターンだね。呪文《メンデルスゾーン》だ」
再び《メンデルスゾーン》を唱え、マナを増やす九頭龍。捲れた二枚は《偽りの王 カンタービレ》と《黒神龍オドル・ニードル》だ。
「お前、また《メンデルスゾーン》かよ」
「まあね。僕のデッキは重いから、マナを増やさないと始まらないのさ。続けて《コッコ・ルピア》を召喚して、ターン終了」
このターンで九頭龍のマナは7マナも溜まってしまい、しかも《コッコ・ルピア》でドラゴン召喚のコストが2下がっている。次のターンには、大抵のドラゴンは出せるようになるだろう。
「だが、そんなマナ加速ばっかしてても、手札がなけりゃぁ意味ないぜ。俺のターン《腐敗無頼トリプルマウス》を召喚! マナを追加し、お前の手札を一枚墓地へ!」
《トリプルマウス》の涎が大地を潤し、マナを増やす。さらに咆哮を上げ、九頭龍の残り少ない手札を叩き落とした。
「おっと、《バルガ・ラゴン》が落ちちゃったか」
重いキング・コマンド・ドラゴンを踏み倒せる《バルガ・ラゴン》は九頭龍のデッキの核とも言えるカード。それが墓地に落ちてしまうのは、少々痛い。
だがそれも、マナがない場合だ。
「残念だけど、このターンで僕のマナは8マナ。《バルガ・ラゴン》は必要ないんだよね」
場には《コッコ・ルピア》、マナは8マナ。ならば、出すクリーチャーはもう決まったようなものだ。
「刃向う者を戦慄させ、頂に君臨せよ——《「戦慄」の頂 ベートーベン》!」
8マナをフルに使い現れたのは、キング・コマンド・ドラゴンを率いるゼニス《ベートーベン》。九頭龍の切り札だ。
「《ベートーベン》の能力で、墓地の《バルガ・ラゴン》、マナゾーンの《カンタービレ》と《オドル・ニードル》を回収して、3マナ補填。さらに《ベートーベン》をタップして、ターン終了だよ」
防御の構えも取り、九頭龍はターンを終える。
「ゼニスか。厄介な奴が出て来やがったが……とりあえず排除させてもらうぜ。呪文《ドンドン吸い込むナウ》!」
突如、龍泉のデッキの真下から旋風が巻き起こり、山札の上五枚を舞い上げる。
山札の上かあ五枚のカードを捲り、その中の一枚を手札に加える呪文《ドンドン吸い込むナウ》。
「そして手札に加えたカードが火か自然のカードだった場合、場のクリーチャー一体をバウンスできる。《セブンス・タワー》をゲット、《ベートーベン》をバウンスだ!」
舞い上げられたカードを一枚キャッチし、次はその旋風が《ベートーベン》へと向けられる。
「っ……戻されちゃったか」
手札に戻された《ベートーベン》を見遣る九頭龍。しかしゼニスは召喚した時の能力が強力なので、完全にディスアドバンテージとも言えない。
「さらにこのターン、手札に加えた《セブンス・タワー》を発動! 俺のマナゾーンにはカードが七枚、メタモーフで3マナ加速だ!」
これで龍泉のマナは10マナ、九頭龍を追い越してしまった。
「ついでに《熱湯グレンニャー》も召喚し、一枚ドロー。ターンエンドだ」
《ベートーベン》は戻されたものの、九頭龍のマナは十分にあるので、また出し直せばいいだけだ。召喚時の効果も再使用でき、龍泉の攻撃も止められる。
「僕のターン。再び《ベートーベン》を召喚し、マナゾーンの《VAN・ビート》《ヴィルヘルム》《メッサダンジリ》を回収して、3マナ補填するよ」
マナを補填しながら、それにしても、と九頭龍は呟くように言う。
「わざわざ《ベートーベン》を戻してくれるとはね。君の手札も残り少ないし、シールドブレイクで逆転手を探せばよかったのに。お陰でこっちは手札が増えたよ」
「ごちゃごちゃうるせえな、少し黙ってろ」
「……じゃあ《ベートーベン》はタップして、ターン終了」
皮肉で言ったのだが、普通に切り捨てられた。九頭龍はそれ以上は言わずターンを終える。
そして龍泉のターン。カードをドローした龍泉の目つきが変わる。
「……! こいつだ! 《蒼狼の始祖アマテラス》召喚!」
山札からコスト4以下の呪文を唱えるか、コスト4以下のクロスギアをジェネレートできるクリーチャー、《アマテラス》。
その場その場で最も有効に作用する呪文を引っ張り出せるため、非常に強力なクリーチャーだ。
「唱えるのは《ドンドン吸い込むナウ》だ!」
「また《ベートーベン》をバウンスかい? 芸がないね」
わざとらしく肩を竦める九頭龍だが、龍泉はノって来たのか、気にせず続け、
「……来たぜ! 《母なる星域》を手札に入れ、《ベートーベン》をバウンス! そして呪文《母なる星域》! 《アマテラス》をマナゾーンへ送るぜ」
「《母なる星域》……ってことは……」
咄嗟に龍泉のマナゾーンを確認してしまう九頭龍。そこには、序盤に《緑銅の鎧》によって山札からマナに置かれたカードが眠っている。
刹那、激しい雷鳴が響き渡る。
「《グレンニャー》進化! 《極仙龍バイオレンス・サンダー》!」
極仙龍バイオレンス・サンダー 水/闇/火文明 (10)
進化クリーチャー:ポセイディア・ドラゴン/ドラゴン・ゾンビ/アーマード・ドラゴン 12000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分の多色クリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーが相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかったとき、カードを3枚引き、相手の手札を3枚見ないで選び捨てさせ、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊してもよい。
T・ブレイカー
雷鳴より現れたのは、様々な文明と、大地の豊潤なマナから力を集結させて生まれた巨大な龍《バイオレンス・サンダー》だ。
三文明、三種族、三種の龍の力を、莫大なマナと共に結集させた《ダイオレンス・サンダー》の力は圧倒的だ。たった一撃で、すべてを破壊し尽くすと言っても過言ではない。
「遂に出た、出たぜ! これでお前は終わりだ!」
「確かに、ちょっとやばいかな……?」
九頭龍の場には今、《コッコ・ルピア》が一体だけ。手札に《ベートーベン》を握ってはいるものの、
「《バイオレンス・サンダー》で攻撃!」
直後、《バイオレンス・サンダー》の放つ稲妻が、九頭龍のシールドを突き破る。同時に拡散した電撃がバトルゾーンと、九頭龍の手元へも放たれた。
「っ……!」
《バイオレンス・サンダー》が相手プレイヤーへの攻撃に成功した時、カードを三枚引き、相手の手札を三枚落とし、相手のパワー6000以下のクリーチャーを三体破壊する。
「《ベートーベン》が……」
バウンスされた《ベートーベン》は、《バイオレンス・サンダー》の稲妻に射抜かれてしまい、手札から墓地に叩き落とされた。エターナル・Ωを持つゼニスと言えど、手札から潰されてしまうと対応できない。
「ギャハハハハ! これで《ベートーベン》はいなくなった! お前はもう、終わりだ!」
手札から落とされた《ベートーベン》。確かにここからの逆転厳しいかもしれない。九頭龍のデッキにはブロッカーもいないので、どうしたって《バイオレンス・サンダー》の攻撃は止められないのだ。
「さて、どうするかな……」
目の前にそびえる巨大な龍を前にし、九頭龍は、いつも与えていたはずの戦慄を、自身が感じるのだった。