二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.335 )
日時: 2014/01/08 22:01
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ラトリとドグマのデュエル。
 まだシールドはお互い五枚。クリーチャーこそ並んでいるが、どちらも攻めてはいない。
 ラトリの場には《蛙跳び フロッグ》《切り刻みの レザーフェイス》の二体。
 ドグマの場には《式神シシマイ》《式神の爆獣ブラッキー》の二体だ。
「私のターン! マナゾーンのカード四枚に、場の《フロッグ》もタップして合計5マナ生み出し《飛散する斧 プロメテウス》を召喚!」


蛙跳び(ジャンピン・ジャック) フロッグ 自然文明 (2)
クリーチャー:アウトレイジ 1000
このクリーチャーがバトルゾーンにあれば、自分のマナゾーンにあるかのようにこのクリーチャーをタップしてマナを生み出してもよい。(このクリーチャーをバトルゾーンに出したターンに、この能力を使ってもよい)


 《フロッグ》は場にいる限り、マナのように扱うことのできるクリーチャーだ。ラトリは《フロッグ》の能力でもマナを生み出し、4マナの状態でコスト5の《プロメテウス》を召喚する。
「《プロメテウス》の効果で2マナ加速して、マナゾーンから《プロメテウス》を回収。ターンエンドだよ」
 ラトリが回収したのは二体目の《プロメテウス》。マナゾーンから跳ね上がったカードをキャッチして手札に加えながら、彼女は呟いた。
「うーん、いまひとつ手札がよくないなぁ……」
 しかし、ラトリのマナは現状でも四色も見えており、下手にカードを戻しても色がなくなってしまうので、仕方ないだろう。文明の多いデッキならよくあることだ。
「では、私のターンですね」
 ラトリは準備に手間取っているようだが、ドグマはわりとスムーズに進めていた。
「まずは呪文《フェアリー・シャワー》」


フェアリー・シャワー 水/自然文明 (4)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
自分の山札の上から2枚を見る。そのうちの1枚を自分の手札に加え、もう1枚をマナゾーンに置く。


 山札の上二枚を見て、一枚を手札に入れ、もう一枚はマナへと落とす。挙動は違うが、やっていることはラトリの《プロメテウス》とほぼ同じだ。
「さて、それでは次は邪魔なクリーチャーを潰しておきましょう。《シシマイ》で《フロッグ》に攻撃です」
 マナを生み出すためにタップした《フロッグ》は、《シシマイ》の攻撃であっさりと破壊されてしまった。
「《シシマイ》かぁ……こっちにはスレイヤーの《レザーフェイス》がいるのに、そっちでアタックしたってことは、手札にルックされたくなおカードでもあるのかな?」
「どうでしょう。ターン終了です」
 ラトリの言葉を受け流しながらターンを終えるドグマ。
 《式神の爆獣ブラッキー》は、ワンダー・トリックらしい一風変わった能力を持っている。


爆獣の式神ブラッキー 自然文明 (3)
クリーチャー:ワンダー・トリック/ナイト 1000
このクリーチャーがバトルする時、自分の手札を裏向きにして相手に1枚選ばせ、見せてもよい。それがクリーチャーであれば、そのターンの終わりまで、そのパワーをこのクリーチャーのパワーに追加する。


 上手くいけば、バトルだけなら絶大なパワーを得ることもあるが、その代償として手札のカードがばれてしまう。相打ちで両方破壊される可能性も考慮したのだろうが、手札に切り札を握っていると見てもよさそうだ。
「ま、いいか。私のターン、二体目の《プロメテウス》召喚!」
 さっき一体目の《プロメテウス》で回収した《プロメテウス》を召喚し、マナを溜め、マナゾーンからカードを回収する。
「ん、じゃあ《全力艦長 イカリ》を回収して、ターンエンド」
「いいんですか? そんなゆっくりで。そろそろ動き始めないと、取り返しのつかないことになりますよ?」
 ラトリに揺さぶりをかけるつもりでドグマはそう言うが、しかし揺さぶりも挑発も、ラトリには通用しない。
「だいじょぶだいじょうぶ、ノープロブレム。こっちのデッキなら私、結構ストロングだから」
「……だといいですね」
 あっさりとしたラトリの態度。軽く湧いてくる苛立ちを押し殺し、ドグマはカードを引く。
「そろそろこちらも、エンジンかけていきますよ。《式神の爆獣ブラッキー》進化」
 前のターン、ドグマが情報アドバンテージを提供せずに秘匿していたカードが、このターンで明かされる。

「護聖なる術者、ここに聖誕せよ! 《護法僧リョクドウ》!」


護法僧リョクドウ 自然文明 (5)
進化クリーチャー:ワンダー・トリック 7000
進化—自分のワンダー・トリック1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚を自分のマナゾーンに置く。その後、クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから手札に戻す。
W・ブレイカー


 《ブラッキー》から進化したのは、《護法僧リョクドウ》。ワンダー・トリック唯一の進化クリーチャーだ。
「《リョクドウ》の能力で、2マナ加速! さらに、マナゾーンから《ホワイト・ドラゴン》を回収です」
「進化クリーチャーを出した割には地味だねー」
「黙れですよ。あなたはなにも分かっていねーようですね、この《リョクドウ》の強さを。そしてデュエルで重要なのは、流れだということを」
 言って、さらにドグマは手札を使用。
「続けて《霞み妖精ジャスミン》を召喚し、即破壊。マナを追加です」
 ドグマのマナがどんどん伸びていく。後攻にもかかわらず、もうラトリとのマナの差が2マナついている。
「でも、ワンダー・トリックなんてマイナー種族をユーズするくらいなら、私みたいに《プロメテウス》にすればいいのに。そのカラーならすんなりインできるんじゃない?」
「その思考は浅はかですね。《プロメテウス》と《リョクドウ》では決定的に違う点があります。まず一つ、《リョクドウ》はマナに置いたカードをすぐに使えるので、先ほどの私のように余ったマナでカードを使えます。《プロメテウス》はマナに置いたカードがタップされるでしょう」
 そして二つ、と続け、
「《リョクドウ》はパワー7000のWブレイカー、打点も十分です。フィニッシャーとして起用することも可能でしょう。パワー1000しかない《プロメテウス》とは違うのですよ」
「へぇ……じゃあアタックする?」
「そうですね——」
 ドグマは《リョクドウ》に手をかけようとしたところで、ふと気づいた。
「っ……危ない危ない」
 これはラトリの誘導だ。言葉巧みに《リョクドウ》を攻撃させ、《レザーフェイス》による相打ちを狙っているのだろう。
(意外と抜け目ねーですね、この女……ここで《リョクドウ》を失ったとしても、もう十分な仕事はしていますし、さほど痛手にはなりません。しかし相手の策に乗るのも癪ですし、ここはまだ様子見です)
 そう結論付け、ドグマはターンを終える。
「ふぅん、アタックしないのか。なら……私のターン。まずは呪文《フェアリー・ライフ》。マナを増やして、さらに《全力艦長 イカリ》召喚!」


全力艦長(ハッスル・コマンダー) イカリ 水文明 (5)
クリーチャー:アウトレイジMAX 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
シールド・ゴー(このクリーチャーが破壊された時、新しいシールドとして自分のシールドに表向きのまま加える。このクリーチャーが表向きでシールドゾーンを離れる時、かわりに自分の墓地に置く)
このカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、自分のクリーチャーが攻撃する時、カードを1枚引いてもよい。


 
「《イカリ》の能力で《リョクドウ》をバウンス! これで残ったアタッカーは《シシマイ》オンリーだね」
「…………」
 ラトリ・ホワイトロックは、実力そのものはそこまで高くないと聞いていたが……などと思いながら、ドグマは手札に戻された《リョクドウ》を見遣る。
 手札に戻されたと言っても《リョクドウ》は進化クリーチャーだ。召喚すればすぐに攻撃できるうえに、召喚し直せばまた能力が発動する。
 それが分かっていないラトリではないと思うのだが、もしかしたら本当に分かっていないのかもしれない。なにかの策なら警戒する必要があるが。
「うーん、手札もバッドで引きもワース、合わせてワーストだよ。だったらここは、もう攻めちゃおうか。《プロメテウス》二体でシールドブレイク!」
 しかも、こんな中途半端な状態でシールドを攻めてきた。
「前に聞いた情報では、もっと慎重みてーでしたけど……初心者じゃねーんですから」
 とぼやくように言いながら、手札に入った二枚を見る。そして、
「運が悪かったみてーですね。S・トリガー発動《フェアリー・シャワー》及び《フェアリー・ライフ》! マナと手札を増やします」
 二枚ともS・トリガーで、手札に入るカードは一枚減ったが、一気に2マナも加速した。
「……《レザーフェイス》は攻撃しないで、ターン終了だよ」
「ここまで来て《レザーフェイス》では攻めないとは、なに考えてるのか分かんねー人ですね」
 なにやら怪しい匂いのするラトリだが、手札に入ったカードを見て、ドグマは攻撃に転じることにした。
「私のターンですよ。まずは呪文《フェアリー・ギフト》! 次に召喚するクリーチャーのコストを3下げ、3マナで《紅神龍ジャガルザー》を召喚!」


フェアリー・ギフト 自然文明 (1)
呪文
このターン、次に召喚するクリーチャー1体のコストを最大3少なくしてもよい。ただしコストは1より少なくならない。


 これでドグマのマナは残り7マナ。その7マナを使い切り、ドグマは《リョクドウ》の力で回収したあのクリーチャーを召喚する。

「白き鎧の覇王龍、ここに爆誕せよ! 《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》」