二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.336 )
日時: 2014/01/11 14:17
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ラトリとドグマのデュエルは拮抗していたが、そのバランスも崩れかけている。
 ラトリはシールドが五枚あり、バトルゾーンには《切り刻みの レザーフェイス》《全力艦長 イカリ》そして二体の《飛散する斧 プロメテウス》。
 対するドグマはシールドが三枚で、バトルゾーンにいるのも《式神シシマイ》《紅神龍ジャガルザー》。次のターンにはとどめを刺されかねないが、ここで彼の切り札が現れる。


ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン 火文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 7000
W・ブレイカー
このクリーチャーがシールドをブレイクする時、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに持ち主の墓地に置く。


「……まあしかし、このターンでとどめを刺すことはできませんし、ここは安全運転で行きましょうか」
 ラトリのマナを見遣るドグマ。火文明のカードも使っているが、五文明がすべて見えている。デッキのスペース的に、スピードアタッカーはいなさそうだ。
「まずは《シシマイ》でシールドブレイクです」
 《シシマイ》の能力でクリーチャーのS・トリガーは使えないが、ラトリのブレイクされたシールドはS・トリガーではない。
 そもそもこの《シシマイ》の役目は、S・トリガーを封じることではないのだ。この場、この状況での役割は、シールドブレイクを通すこと。つまり、
「相手プレイヤーへの攻撃が通ったことで、《ジャガルザー》のターボラッシュ発動! 私のクリーチャーをすべてスピードアタッカーに!」


紅神龍ジャガルザー 火文明 (6)
クリーチャー:ボルケーノ・ドラゴン 6000
W・ブレイカー
ターボラッシュ(自分の他のクリーチャーがシールドをブレイクしたあと、そのターンが終わるまで、このクリーチャーは次のTR能力を得る)
TR—自分のクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。


 これでこのターン召喚した《ジャガルザー》と《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》がスピードアタッカーとなり、すぐに攻撃できるようになった。
「とりあえず《ジャガルザー》で《プロメテウス》を攻撃、破壊です!」
「ワォ」
 《プロメテウス》が一体破壊されたが、この程度では大した痛手ではない。それ以上に痛いのが、
「《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》でWブレイク!」
 咆哮を上げる《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》の炎が、ラトリのシールドを焼き尽くす。
 比喩ではなく、焼き尽くしてしまった。
「ワーォ……!」
 焼かれたラトリのシールドは、彼女の手札には入らず墓地へと落ちる。
「流石ファースト、シールド焼却クリーチャーだね……!」
 《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》の能力は単純明快。ブレイクした相手のシールドを墓地へと落とす能力だ。シールドが墓地へと行くということは、S・トリガーは発動できず、逆転のためのカードも潰される。
「残りシールドは二枚かぁ……」
 ドグマの場にはドラゴンが二体いる。一体は《レザーフェイス》で討ち取れるとはいえ、手札にはまだ後続のアタッカーがいるだろう。
「マナをルックするからに、結構フィニッシャー積んでそう……この手札じゃきついな……」
 そもそも手札に入ったシールドは一枚なので、あまり増えていないのだが。
「このドローにオールベット、ってことか。熱血っぽくてちょっとクールだね」
 もはや言っていることが矛盾しているが、それはさておき。
 次のターンにもターボラッシュでスピードアタッカーになったクリーチャーが攻めて来るだろう。ラトリのデッキはほとんどS・トリガーが入っていないため、このターンでなんとかしなければ勝ち目はない。
 そして、ラトリはカードを引く。
「……ベストなドローだ」
 呟くラトリ。そして、

「陣地の力を解き放て! 仲間を守る盾こそが、敵手を射抜く弓となる! 無法の光よ、突き進め! 《驚異的陣形 アレキサンドライト》!」


驚異的陣形(アメイジングアロー) アレキサンドライト 光文明 (6)
クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から6枚を見る。その中から「シールド・ゴー」を持つカードを1枚表向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。
W・ブレイカー
「シールド・ゴー」を持つカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、バトルゾーンにある自分のアウトレイジはすべて「ブロッカー」を得る。


 現れたのは、金色の鎧に身を包み、巨大な弓矢を構えたクリーチャー《アレキサンドライト》だ。
 《アレキサンドライト》は戦場だけに頼らない独自の戦術を生み出し、アウトレイジの光文明代表としてシールド・ゴーを持つアウトレイジを率いている。
「《アレキサンドライト》の能力発動! 山札の上六枚をルック、その中からシールド・ゴー能力を持つクリーチャーをオープン状態でシールドにプット!」
 シールド・ゴー能力は強力だが、いくつか弱点が存在する。その一つが、破壊されなければ発動しないので、発動するまでにタイムラグが存在することだ。しかし《アレキサンドライト》は召喚時に、表向きでシールド・ゴー能力を持つクリーチャーをシールドゾーンに置くため、すぐにシールド・ゴー能力を発動できる。
「私がセレクトするのは《凄惨なる牙 パラノーマル》! 《パラノーマル》が表向きでシールドゾーンにある時、相手クリーチャーのパワーはすべて3000ダウン!」
「《シシマイ》が破壊されましたか……しかも」
 パワーがゼロになった《シシマイ》が破壊され、他のクリーチャーもパワーが下げられてしまった。これで《ジャガルザー》はパワー3000、《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》は4000しかない。
「レディはこれでエンド。ネクスト、ステップ。《イカリ》で《ジャガルザー》に攻撃!」
 どちらもパワーが3000なので相打ちになるが、《イカリ》はシールド・ゴー持ちクリーチャー。破壊され、シールドとなる。
「続けてスレイヤーの《レザーフェイス》で《ボルメテウス》と相打ち! 《イカリ》の効果で一枚ドローして、《レザーフェイス》もシールド・ゴー!」
 《イカリ》のシールド・ゴー能力でカードを引きつつ、《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》も討ち取る。これでシールドは五枚まで回復し、ドグマの場のクリーチャーも殲滅したラトリだが、このターンはこれ以上攻めなかった。
「……私のターン」
 たった一枚のカードで一気に苦しくなってしまったドグマ。今の手札では、どうあがいても《アレキサンドライト》には太刀打ちできない。
「なら、呪文《スクランブル・タイフーン》! 山札からカードを五枚ドローし、手札のカードを三枚捨てます」
 一気に山札を掘り進み、逆転手を探すが、
「……《ボルバルザーク・エクス》を召喚。さらにこのターン、六枚以上ドローしたので、G・ゼロで《天災超邪 クロスファイア 2nd》を召喚します」


天災超邪(ビリオネア) クロスファイア 2nd(セカンド) 水/火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジMAX 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
G・ゼロ—このターン、カードを6枚以上引いていて、自分の 《天災超邪 クロスファイア 2nd》がバトルゾーンになければ、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。
スピードアタッカー
W・ブレイカー


 蘇った第二の《クロスファイア》、《クロスファイア 2nd》。比較的緩いG・ゼロ条件にスピードアタッカーもあり、奇襲性の高いクリーチャーだが、
「やはり《アレキサンドライト》が邪魔ですね……!」
 《アレキサンドライト》は、自分のシールドゾーンに表向きのシールドがある時、自分のアウトレイジをすべてブロッカーにする能力がある。シールドゾーンに表向きである時に効果を発動するクリーチャーは攻撃の対象にされやすいため、場持ちがあまりよくない。しかし《アレキサンドライト》の能力で自軍がブロッカーになれば、その弱点も解消されるというわけだ。
(正直言って少し舐めていたところがありますが、やはりこの女も“ゲーム”の核を担う組織の一つ【ミス・ラボラトリ】の所長。そして《守護神話》の所有者……)
 一筋縄でいく相手ではない。その事実を改めて感じながら、ドグマは底知れないラトリに飲み込まれつつあるのだった。