二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.341 )
日時: 2014/01/18 15:38
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 栗須とシーザーのデュエル。
 まだ互いにシールドは五枚あり、どちらも《氷牙フランツⅠ世》を召喚している。
「私のターンッ! 《フランツ》の能力でコストを1下げェ、呪文ッ! 《エマージェンシー・タイフーン》!」
 カードを二枚引き、手札を一枚捨てる呪文《エマージェンシー・タイフーン》。2マナで二枚もカードを引けるが、手札を一枚捨てるため、《エマージェンシー・タイフーン》そのものを手札から使用すれば、最終的な手札の総数は変わらない。
 しかし一枚とはいえ手札のカードを捨てられるため、手札交換も兼ねたコストの軽い墓地肥しとしては優秀である。
「さらにィ、《プライマル・スクリーム》ッ! 山札の上四枚を墓地へ送りィ、墓地の《フランツ》を回収ゥ!」
 そしてシーザーはターンを終える。
「ふむ。《フランツ》か……」
 さらにこのターン使用された呪文、シーザーのマナと墓地にも視線を向ける栗須。その後、無言でカードを引いた。
「早速来たか。こちらも《フランツ》でコストを下げ、呪文《ミステリー・キューブ》だ」
 栗須の山札がシャッフルされ、デッキトップのカードが捲られる。
「さあ、出でよ。《恵みの大地ババン・バン・バン》」
 《ミステリー・キューブ》から飛び出したのは《ババン・バン・バン》だった。この時点で栗須のマナは4マナ、つまり、
「マナを四枚追加する。ターン終了だ」
 一気に4マナも増やし、マナの数では先攻のシーザーの倍となってしまった。《ババン・バン・バン》は大量のマナを必要とする時だけでなく、このようにコストを踏み倒して早期に呼び出すことで、少ないマナを増やして一気に加速することもできるのだ。
「ヒャッハァー! いくらマナを増やそうともォ! 手札がなければなにもできまいィ! 呪文ッ! 《魔弾バレット・バイス》!」


魔弾バレット・バイス 闇文明 (4)
呪文:ナイト
KM—相手は自分自身の手札を1枚選び捨てる。
ナイト・マジック(バトルゾーンに自分のナイトがあれば、この呪文のKM能力をもう一度使ってもよい)


 普通に撃てば《ゴースト・タッチ》などの軽量ハンデス呪文以下の性能しか出ない《バレット・バイス》だが、バトルゾーンにナイトがいる時には、その限りではない。相手が捨てるカードを選ぶとはいえ、手札を二枚捨てさせるという、かのプレミアム殿堂カード《スケルトン・バイス》並みの手札破壊を行える。
「さァ、手札を二枚捨てるのだァー!」
「……ふん」
 不愉快そうに鼻を鳴らし、栗須は手札を二枚墓地へと投げ捨てる。
「さらに《ストリーミング・シェイパー》を発動ゥ!」


ストリーミング・シェイパー 水文明 (3)
呪文
自分の山札のカードを、上から4枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中の水のカードをすべて自分の手札に加え、それ以外のカードを自分の墓地に置く。


 捲れた四枚は《氷牙フランツⅠ世》《ガンヴィート・ブラスター》《憎悪と怒りの獄門》《執拗なる鎧亜の牢獄》。
「《フランツ》と《執拗なる鎧亜の牢獄》を手札に加え、残りを墓地へ! ターンエンド!」
 栗須のターン。栗須は前のターンに出した《ババン・バン・バン》の能力でマナが二倍になっているため、急いでマナチャージする必要はない。それよりも、今は使える手札を所持しておくことが重要だ。
「《セブ・コアクマン》を召喚。カードを三枚捲るぞ」
 捲れたのは《超次元シャイニー・ホール》《偽りの羅刹 ゼキア・エクス・マキナ》《ポジトロン・サイン》の三枚。
「光の《シャイニー・ホール》と《ポジトロン・サイン》を手札に加え、《ゼキア・エクス・マキナ》を墓地へ。そして呪文《ポジトロン・サイン》」
 今度は山札の上から四枚を見て、その中のS・トリガー呪文を唱える。
「呪文《ミラクルとミステリーの扉》」
 またも山札の上四枚のカードを公開する。捲られた四枚は《偽りの名 スネーク》《偽りの王 ナンバーナイン》《偽りの名 シャーロック》《裏切りのペッパーシウバ》。
「さあ、この中から一枚選べ」
 以前の光のデーモン・コマンドを中心としたデッキもそうだったが、今の栗須のデッキはかなり重量級クリーチャーが多い。平均コストなら流のデッキよりも重いかもしれない。
 その分、踏み倒し手段が豊富だ。というより、コストを踏み倒さないとまともにクリーチャーを展開できないだろう。
「そうだなァ、《ナンバーナイン》と《シャーロック》は私のデッキでは厳しい、《スネーク》でアドバンテージを得られるのも困る……ならここは《ペッパーシウバ》だァ!」


裏切りのペッパーシウバ 水/自然文明 (7)
クリーチャー:ジャイアント/サイバー・コマンド 8000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーが破壊された時、進化ではないアンノウンを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。


 シーザーが選んだのは《裏切りのペッパーシウバ》。捲られた四枚の中では唯一破壊された時にしか効果が発動しないため、妥当なチョイスだろう。
「だが、破壊すれば手札からアンノウンが飛び出すぞ? さっき捲ったカードから推理できるだろうが、僕デッキはアンノウンが多い。破壊すれば後続が飛び出し、放っておくにしても、このサイズは無視できないだろう?」
「ハーハッハッハァ! ならば破壊せずに除去すればいいだけのことォ! 《フランツ》を召喚し、コストを2下げ《執拗なる鎧亜の牢獄》!」


執拗なる鎧亜の牢獄 水/闇/火文明 (5)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。その後、相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。その捨てたカードが手札に戻されたクリーチャーと同じ名前のカードであれば、相手のシールドを1枚選び、持ち主の墓地に置く。


 手札に戻されるのは、当然ながら《ペッパーシウバ》。そして栗須の手札から《ペッパーシウバ》が落とされれば、シールドも一枚持っていかれる。
 墓地へと落ちたのは、《超次元シャイニー・ホール》だった。
「外れだ、残念だったな」
 とはいえ、超次元呪文は一枚で様々なサイキック・クリーチャーを呼び出せるため、状況に応じた柔軟な対応ができる。そのためのカードを失ったとなると、少ない損失だ。
「僕のターン。再び《ペッパーシウバ》を召喚し、ターンエンド」
 重いカードが多い栗須のデッキでは、マナが多少増えたとしても1ターンで大量にクリーチャーを展開することはできない。前のターンに戻された《ペッパーシウバ》を召喚するだけでターンを終える。
「そんなにゆっくりしていていいのですかな? 私のターン!」
 しかし、マナを増やさなければならないシーザーの手札は毎ターン減っていくため、手札の枚数ではシーザーの方が少なくなっている。しかし、
「呪文ッ! 《魔弾オープン・ブレイン》! 山札からカードを二枚ドロー!」
 さらにナイト・マジックで二枚ドローする。これでシーザーは一気に四枚も手札を増やしてしまった。しかも二体の《フランツ》の効果でまだ3マナしか使っていない。
「続けて呪文ッ! 《超次元ミカド・ホール》! 《フランツ》のパワーをマイナス2000!」
 パワーがゼロとなった《フランツ》は破壊され、そして、超次元の門が開かれる。
「開け、超次元の門! 《時空の賢者ランブル》をバトルゾーンへ!」
「《ランブル》か……厄介だな」
 とはいえ、シーザーは山札の下にカードを仕込むようなことはしていない。山勘で当てるしかない。次のターンに適当なカード名を言い、その次のターンでほぼ確実に覚醒させられるが、栗須もそこまで悠長に待つつもりはない。
「《超次元シャイニー・ホール》を発動。超次元ゾーンより《時空の不滅ギャラクシー》をバトルゾーンへ。さらに《ランブル》をタップし、《ペッパーシウバ》で《ランブル》を攻撃」
 《ランブル》はスレイヤーなので《ペッパーシウバ》もバトルの後に破壊されてしまうが、
「《ペッパーシウバ》が破壊されたことで、能力発動。手札からアンノウンを出すぞ。《神託の王 ゴスペル》をバトルゾーンへ」
 手札から飛び出したのは《神託の王 ゴスペル》。9コストの超大型クリーチャーが踏み倒された。
「《ゴスペル》の能力で、互いのデッキトップを捲る」
 捲られたのは栗須が《恵みの大地ババン・バン・バン》、シーザーが《蒼狼の始祖アマテラス》。
「どちらもクリーチャーか。ならば捲られた呪文でないカードは二枚、二枚ドローだ」
 カードを引く栗須。手札を二枚補充しつつ、《ゴスペル》を出せたのは大きいだろう。
 今まではS・トリガーやシーザーの手札が増えることを懸念し、シールドブレイクを躊躇っていた栗須だが、《ゴスペル》のアタックトリガーのことを考えれば、ここからは積極的に殴っていくべきだろう。
 無論、次の栗須のターンまでに、《ゴスペル》が生き残っていればの話、だが。