二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.342 )
- 日時: 2014/01/18 16:05
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
栗須とシーザーのデュエルは、ようやく大きな動きがみられそうという局面まで来た。
互いにシールドは五枚。栗須の場には《ミステリー・キューブ》でコストを踏み倒して早期に呼び出された《恵みの大地ババン・バン・バン》と、《裏切りのペッパーシウバ》の能力で現れた《神託の王 ゴスペル》。そして《時空の不滅ギャラクシー》の三体。
序盤から墓地を増やしているシーザーの場には二体の《氷牙フランツⅠ世》のみ。
栗須は次のターンから《ゴスペル》のアタックトリガーも使いつつ攻めていくようだが、
「ハッハッハァーッ! 今頃攻める気でいてももう遅いぞォ!」
「……なに?」
ターンが回って来るや否や、高笑いを始めたシーザー。高笑いはいつもだが、その台詞は聞き逃せない、
「私の準備は既に完了しているゥ! 貴様に攻める暇など与えはしないィィィッ!」
そう言ってから、シーザーは手札を一枚抜き取る。
「呪文ッ! 《超次元リバイヴ・ホール》! 墓地から《魔光蟲ヴィルジニア卿》を回収しィ、開け、超次元の門! 《時空の賢者ランブル》を再びバトルゾーンへ!」
超次元の門より現れたのは、先ほど破壊した《ランブル》。また厄介なクリーチャーが出て来たが、シーザーの目的は《ランブル》を出すことではない。
本命は、回収したクリーチャーだ。
「G・ゼロで《ブラッディ・シャドウ》を召喚ッ! さらにィ《ヴィルジニア卿》も召喚ッ!」
魔光蟲ヴィルジニア卿 闇文明 (5)
クリーチャー:パラサイトワーム/ナイト 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、クリーチャーを1体、自分の墓地から手札に戻す。そのクリーチャーが進化クリーチャーで、このクリーチャーと同じ種族をひとつでも持っていれば、コストを支払わずにバトルゾーンに出してもよい。
「《ヴィルジニア卿》……」
序盤に墓地に落ちてからいつかは出て来ると思っていたクリーチャーだ。そして、墓地から呼び戻されるクリーチャーも、はっきりしている。
「墓地から《グレイテスト・シーザー》を回収ゥ! そして《ヴィルジニア卿》と《ブラッディ・シャドウ》から進化アァァァッ!」
禁断の騎士と影の騎士は、墓地へと吸い込まれた。暗い光が発せられ、墓地より暗黒の皇帝が二体の騎士を取り込み、這い出てくる。
「暗黒の海原を統べる大皇帝、そして我が名を冠する絶対龍! 現れろ! 《暗黒皇 グレイテスト・シーザー》!」
暗黒皇(ダーク・カイザー)グレイテスト・シーザー 闇/火文明 (6)
進化クリーチャー:アーマード・ドラゴン/ドラゴン・ゾンビ/ナイト 13000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化V—自分のナイト・クリーチャーまたはドラゴンのいずれか2
体を重ねた上に置く。
このクリーチャーか攻撃する時、自分の墓地にある闇または火の呪文を、コストの合計が7以下になるように好きな枚数選び、コストを支払わずに唱えてもよい。その後、その呪文を好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
T・ブレイカー
《ヴィルジニア卿》の効果で蘇ったのは《暗黒皇 グレイテスト・シーザー》。かつて戦国の世で戦い抜いた猛者であり、最後の戦国武道会であまりにも強力な魔弾を放ち、世界を荒廃させた存在だ。
その魔弾の破壊力は後の物語にも影響を及ぼしているのだが、今はそこは割愛する。
ともかく《グレイテスト・シーザー》はナイトの頂点に君臨すると言っても過言ではないほど強力なクリーチャーだ。かの《邪眼皇ロマノフⅠ世》ですら、撃ち終えた呪文の弾丸は一発ずつしか撃てなかった。しかし《グレイテスト・シーザー》は、撃てる範囲を広げたうえで、弾丸の種類も《ロマノフ》より豊富である。
「《グレイテスト・シーザー》で攻撃ィ! その時、《グレイテスト・シーザー》の能力で墓地の呪文をコスト7以下になるように唱えるゥッ!」
つまるところ《グレイテスト・シーザー》の恐ろしいのはそこだ。一度使用した呪文を再び撃てるだけでも十分だが、あらかじめ呪文を墓地に落としておけば、攻撃する時に撃てる呪文の選択肢が増える。
シーザーが序盤に墓地を増やしていたのは、このためだったようだ。
「呪文発動ゥ! 《英知と追撃の宝剣》! 《ゴスペル》と《ババン・バン・バン》を選択するッ!」
「……《ゴスペル》を手札に戻し、《ババン・バン・バン》を破壊する」
場のクリーチャーが二体除去され、マナも二枚、消し飛ばされる。殿堂カードなだけあり、たった一枚でカード四枚分のアドバンテージを得られる《英知と追撃の宝剣》は、やはり強力だ。
「そしてTブレイクゥッ!」
「っ……!」
加えて言うのであれば、《グレイテスト・シーザー》自体の打点も高い。多少ブロッカーを並べたところで、そのブロッカーごと薙ぎ払われて三枚のシールドが持っていかれる。
「……S・トリガー発動、《ミステリー・キューブ》」
割られた三枚のシールドから、《ミステリー・キューブ》をトリガーする栗須。山札がシャッフルされ、その一番上のカードが表向きになるが、
「《ポジトロン・サイン》か……!」
捲られたのは《ポジトロン・サイン》、呪文だ。クリーチャーでないので、そのままマナへと落ちる。
《英知と追撃の宝剣》でマナが削られているので無駄ではないが、少々残念ではある。
「ターンエンドだ。さァ、次のターンでとどめを刺そうぞ」
追撃はせず、シーザーはこのターンを終える。
「流石に厳しいか……!」
バトルゾーンをボロボロにされ、マナゾーンにも小さくないダメージを受けた。ここから立て直すのは厳しいだろう。
「僕のターン。《氷牙フランツⅠ世》と《真実の名 アカデミアン》を召喚だ」
とりあえず栗須は手札のクリーチャーを展開する。ここで悩むのは《アカデミアン》で戻す対象だが、
「……《ランブル》をバウンス。超次元ゾーンに戻れ」
戻したのは《ランブル》。シーザーの山札の下には《グレイテスト・シーザー》で唱えた呪文が眠っているはずであり、次のターンには確実に覚醒されてしまう。覚醒した《ランブル》は解除もあり除去しにくいため、覚醒されたくはない。
《グレイテスト・シーザー》も手札に戻したところでまた召喚されてしまうだけなので、ここはまた戻ってくる可能性の低い、戻ってきてもすぐには攻撃に参加できない《ランブル》を除去しておく。
「ターン終了だ」
マナもなくなり、これ以上のことができない栗須は、そのままターンを終えた。
(あとはS・トリガー頼みか……)
ランダムな踏み倒しを多用するデッキではあるが、理詰めでデュエルを進める栗須にとって、S・トリガーに頼るのは些か癪だ。栗須でなくとも、“ゲーム”参加者の多くはそう思うだろう。
「ヒャァッハーッ! 万策尽きたようだな。ならばこのターンで終わりだァ!」
このまま残りのアタッカーで攻撃すればシーザーの勝利だ。しかし、彼は追い打ちをかけて来る。
「《超次元ミカド・ホール》! 《フランツ》のパワーをマイナス2000!」
パワーがゼロとなった《フランツ》が破壊され、超次元の門は開かれる。
「開け、超次元の門! 《時空の封殺ディアスΖ》をバトルゾーンへ!」
時空の封殺ディアスΖ(ゼータ) 闇文明 (8)
サイキック・クリーチャー:デーモン・コマンド/ドラゴン・ゾンビ 7000
E・ソウル
殲滅返霊4(このクリーチャーが攻撃する時、自分または相手の墓地からカードを4枚選んでもよい。あるいは両方の墓地からカードを4枚ずつ選んでもよい。選んだカードを好きな順序で持ち主の山札の一番下に置く。こうして選んだカード4枚につきこのクリーチャーの返霊能力を使う)
返霊—相手は、バトルゾーンまたは手札から自身のカードを1枚選び、山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
覚醒—自分のターンの終わりに、そのターン、相手のクリーチャーが3体以上バトルゾーンを離れていた場合、このクリーチャーをコストの大きい方に裏返す。
超次元の門から飛び出したのは《時空の封殺ディアスΖ》。《ランブル》でないところを見るからに、今度は栗須の手札を削りに来たようだ。
「まだまだァ! 呪文ッ! 《超次元バイス・ホール》! さァ、貴様の手札を見せるのだァー!」
強制的に手札を公開させられる栗須だが、その中に呪文はない。
「だがァ、開け、超次元の門!」
《グレイテスト・シーザー》の撃ち抜いた虚空が歪み、超次元の門を開く。
「現れよッ! 《時空の邪眼ロマノフΖ》!」