二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.349 )
日時: 2014/01/19 08:00
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 このみとマカのデュエル。
 シールドはまだどちらも五枚あり、マカは《フェアリー・ライフ》で、このみは《霞み妖精ジャスミン》で、互いに2マナからの加速をしている。
 このみの場には《天真妖精オチャッピィ》。墓地の《ジャスミン》をマナへと置き、さらに加速中だ。
 対するマカの場には《スペース・クロウラー》と《西南の超人》の二体。ブロッカーと殴り返しのクリーチャーがいるせいで、このみは攻めあぐねている。
「《スペース・クロウラー》が邪魔で《オチャッピィ》が攻撃できない……《ジャスミン》残しとけばよかったのかなぁ……」
 とはいえ、マナ加速は序盤に行ってこそ意味がある。《ジャスミン》は終盤、マナ加速が不要になってもアタッカーとして場に残せる点で《フェアリー・ライフ》などのマナ加速呪文に勝っているが、序盤は普通にマナを加速させるべきだろう。
 などと序盤から困り気味のこのみは、引いてきたカードを見るなりすぐに表情を明るくする。
「よし来た! まずは《剛勇妖精ピーチ・プリンセス》を召喚! さらに《ピーチ・プリンセス》の能力で、二番目に召喚するクリーチャーのコストは2下がるから、2マナで《オチャッピィ》進化! 《機神勇者スタートダッシュ・バスター》!」
 《オチャッピィ》から進化したのは、《スタートダッシュ・バスター》だった。『神話カード』を手にする前に、このみがよく使用していたカードだが、デッキカラーを自然単色からステロイドに変更したことで、色が合うため投入したのだ。序盤の物足りないパワーと打点を補うだけでなく、このみのデッキにはあまり投入されていない除去の役割も担っている。
「《スタートダッシュ・バスター》の効果で《スペース・クロウラー》をマナゾーンへ! そしてWブレイク!」
「……S・トリガー、《フェアリー・ライフ》。マナを一枚追加よ」
 早速二枚のシールドをブレイクされてしまい、残りシールドは三枚だ。
「ターンエンド! 次のターンもガンガン攻めるよ!」
「……攻めるのは結構なんだけど、もう少し考えて攻めるべきかもしれないわね、貴女は」
 表情を変えず、マカは静かに言う。声もどこか淡々としており、まったく心中が読めない。
「貴女のシールドブレイクのお陰で、『秘宝』が手に入ったわ」
「ひほー?」
 明らかに言葉の意味が分かっていない様子のこのみ。マカは構わず、自分のターンを迎えた。
「私の場には《西南の超人》がいる。その能力でジャイアントの召喚コストは2下がる。さらにバトルゾーンにはジャイアントである《西南の超人》が一体、シンパシーでさらに1マナ軽減。計3マナ軽くし、5マナ——」
 刹那、大地が震動する。このみは思わずよろけてしまうが、なんとか踏ん張った。
 しかし踏ん張ろうがどうしようが、その巨大な存在には、圧倒される。

「我、進撃と勝利を渇望せり。汝、大地と大海の巨人を呼び覚ませ。我がチャルルカの秘宝、《剛撃戦攻ドルゲーザ》召喚」


剛撃戦攻ドルゲーザ 水/自然文明 (8)
クリーチャー:アースイーター/ジャイアント  9000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
シンパシー:アースイーターおよびジャイアント(このクリーチャーを召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分のアースイーターまたはジャイアント1体につき1少なくなる。ただしコストは2より少なくならない)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分のアースイーターまたはジャイアント1体につき1枚、カードを引いてもよい。
W・ブレイカー


 現れたのは、下半身が無数の触手を持つ大地を喰らう怪物となっている巨人、《剛撃戦攻ドルゲーザ》だ。
「うわっ、でかいなー……」
 《ドルゲーザ》の巨躯を見上げ、圧倒されるこのみ。
「これぞ、チャルルカの一族に伝わる『秘宝』です。そして《ドルゲーザ》の能力発動。バトルゾーンにアースイーターは一体、ジャイアントは二体、合計三枚のカードをドロー」
 《ドルゲーザ》は二つの種族を持つため、最低でも二枚はドローが約束されている。そこに《西南の超人》が加わり、三枚ドロー。
 一見すると地味な能力だが、《西南の超人》とシンパシーでマカが払ったマナは5マナ。たった5マナで三枚ドローし、パワー9000のWブレイカーが出て来るとなれば、かなりのスペックと言える。
「残ったマナで二体目の《西南の超人》を召喚。これで私のターンは終了、貴女のターンよ」
 増えた手札と、コスト軽減の《西南の超人》。次のターンから、マカは一気にクリーチャーを展開してくるだろう。
「うぅ……確かに《ドルゲーザ》は強いけど、あたしの場には《スタートダッシュ・バスター》がいるし、相手のシールドはあと三枚。ここは一気に突っ切るよ!」
 《ドルゲーザ》の登場で気圧されそうになるこのみだが、言っていることは間違っていない。マカの場にブロッカーがいない以上、ここは相手が攻撃の体勢を整える前とにかく攻めて勝負を決めてしまうのが吉だ。
「えっと、とりあえずこっちも手札を増やさないとね。まずは《口寄の化身》を召喚。あたしのバトルゾーンにある種族は、《スタートダッシュ・バスター》がヒューマノイドとビーストフォーク、《ピーチ・プリンセス》がワイルド・ベジーズとスノーフェアリーだから、全部で四つ! 四枚ドローするよ!」
 マカ以上にカードをドローするこのみ。火文明の投入により、クリーチャーの種族の種類が増えたため、これも汐の助言もあって投入したカードだ。
「それから、《ピーチ・プリンセス》の能力でコストを2減らして、1マナで《剛勇妖精フレッシュ・レモン》召喚! さらにスノーフェアリーがいるから、G・ゼロで呪文《妖精の裏技ラララ・ライフ》! マナを一枚増やして、今度は《フレッシュ・レモン》の能力発動! このターン三番目に召喚するクリーチャーのコストを3減らすよ! 1マナで《妖精のイザナイ オーロラ》を召喚!」
 先んじてクリーチャーの大量展開を見せるこのみ。このターンだけでクリーチャーの数が倍以上に膨れ上がった。
「これだけクリーチャーが出れば、次のターンには倒せるよね。よーし、じゃあ《スタートダッシュ・バスター》で攻撃! Wブレイク!」
 とにかく攻めるこのみ。殴り返されることも厭わず《スタートダッシュ》で攻撃を仕掛けるが、
「残念、その攻撃は通らないわ。ニンジャ・ストライク《威牙の幻ハンゾウ》をバトルゾーンに」
 駆け出した《スタートダッシュ・バスター》の首は、突如出現した《ハンゾウ》の下により、吹き飛ばされてしまう。
「《スタートダッシュ・バスター》のパワーは6000、《ハンゾウ》でぴったり除去できるわね」
「あぅ、止められちゃった……」
 このまま《ピーチ・プリンセス》で攻撃しても、割れるシールドは一枚、効果は薄いだろう。
 殴り返されるのも嫌なので、そのままこのみはターンを終えた。
「では、私のターン。2マナで二体目の《ドルゲーザ》を召喚」
 二体の《西南の超人》で4マナ軽くなり、シンパシーでさらに4マナ軽くなる。シンパシーのコストの下限は2なので、最小限のマナで《ドルゲーザ》を呼び出すマカ。
 さらに、これでバトルゾーンにいるアースイーターは二体、ジャイアントは四体となるため、
「合計で六枚ドロー」
「六枚!? ちょっと引きすぎじゃない……?」
 前のターンに一気に四枚ものカードをドローしたこのみだが、マカのドローはそれを軽く上回ってしまった。しかも、マナも十分にあり、コスト軽減の《西南の超人》が二体。一気にクリーチャーが展開されるだろう。
「《土隠雲の超人》を召喚。山札から《斬隠テンサイ・ジャニット》《光牙忍ハヤブサマル》《威牙の幻ハンゾウ》の三体を選んで、その中の一枚を手札に」
 手札に加わったカードは相手には確認できない。そのため、三枚のうちどのカードを手札に加えたのかが分からず、心理戦を仕掛けることができる。
 とはいえ、このみに心理戦など無意味だろうが。
「さらに《斬隠カイドウ・クロウラー》を召喚し、《土隠雲の超人》進化《宇宙巨匠ゼノン・ダヴィンチ》」


宇宙巨匠ゼノン・ダヴィンチ 自然文明 (11)
クリーチャー:ジャイアント/ドリームメイト/オリジン 9000
進化—自分のジャイアント、ドリームメイト、オリジンいずれか1体の上に置く。
ソウルシフト
自分の進化クリーチャーが破壊された時、自分の進化ではないジャイアント、ドリームメイト、またはオリジンのいずれか1体をマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


 ソウルシフトと《西南の超人》の能力で8マナも軽くなり、3マナで《ゼノン・ダヴィンチ》が呼び出される。これでこのターンに攻撃できるアタッカーが増えた。しかもマナゾーンには《剛撃無双カンクロウ》が見えるため、迂闊に破壊することもできない。
 このみばりの爆展開だが、このみと違って小型クリーチャーではなく、一体一体が大型のジャイアントだ。その破壊力は計り知れない。
 立ち並ぶ巨人たちに囲まれ、流石のこのみも戦慄を覚えずにはいられなかった。
「うわ、うわうわ……やばいよこれ……」