二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.357 )
- 日時: 2014/01/20 19:40
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
姫乃とクトゥグアのデュエル。
姫乃の場には《ハッチャキ》が一体。対するクトゥグアの場にはなにもないが、《フェアリー・ライフ》や《再誕の社》などのマナ加速を連打し、早くも7マナも溜めている。
(マナゾーンを見る限り、自然とゼロ文明のデッキ……高速マナ加速からゼニスとかを出すデッキかな……?)
だとすれば、まだクトゥグアのマナは7マナ、あと1、2ターンぐらいは余裕がありそうだ。
「わたしのターン。《コアクアンのおつかい》を発動」
姫乃は山札から三枚のカードを捲る。捲られたのは《知識の精霊ロードリエス》《蒼狼の始祖アマテラス》《光器パーフェクト・マドンナ》。
「水の《アマテラス》は墓地に置いて、残り二枚は手札に加えるよ。そして《ハッチャキ》で攻撃、その時《ハッチャキ》の効果で手札から《知識の精霊ロードリエス》をバトルゾーンに! 《ロードリエス》の効果で一枚引いて、シールドブレイク!」
クトゥグアの手札は残り少ないので、ここで手札を与えるのは抵抗があるが、まだマナが溜まっていないので、このターンくらいならなんとかなるだろう。
「……私のターン。《ニヤリー》を召喚」
したり顔で現れたのは、三角錐の頭を持つ小人のようなクリーチャー《ニヤリー》だ。
「《ニヤリー》の効果で山札の上から三枚を見て、その中の無色カードをすべて手札に……手札に加えるのは、《戦慄のプレリュード》と《黄泉秘伝トリプル・ZERO》の二枚」
ゼニスはなかったが、代わりに《戦慄のプレリュード》を手に入れられてしまった。これで手札にゼニスがいるか、次のターンにゼニスを引かれれば、そのまま召喚されてしまう。
「さらに呪文《ピクシー・ライフ》。マナを一枚追加し、マナゾーンの《破界秘伝ナッシング・ゼロ》を手札に。最後に《空腹の超人》を召喚。ターンエンド」
まだ大きな動きを見せないクトゥグアの手札は三枚。そのどれもが、《ニヤリー》と《ピクシー・ライフ》で手に入れたカードなので、ゼニスではない。
(手札にゼニスはない……マナゾーンにもいないし、これならまだ攻められるかな……?)
姫乃のデッキは打点が低いため、序盤に多少シールドを削っておいた方が後々楽になる場合が多い。今のクトゥグアに手札を与えるのは危険だが、逆に言えばゼニスさえ引かれなければ問題はないはず。シールドブレイクで手札に入ってしまうこともあるだろうが、こちらが準備している間にゼニスを引かれてはたまったものではない。
「だったらここは攻撃かな……とりあえず《純潔の信者 パーフェクト・リリィ》を召喚して、《ハッチャキ》で攻撃! 手札から《光器パーフェクト・マドンナ》をバトルゾーンに!」
場数を増やしつつ、シールドをブレイクする姫乃。クトゥグアの二枚目のシールドがブレイクされたが、
「S・トリガー発動」
「あぅ……っ」
運悪くS・トリガーを踏んでしまった。しかし、
「《フェアリー・ライフ》。マナを一枚追加」
それは《フェアリー・ライフ》だった。マナを追加されるだけなら、そこまで大きな問題はない。
(でも、これで9マナか……次のターンには最大で12マナのゼニスまで出て来ちゃう……《サスペンス》とか《ウェディング》とかかな)
どちらも姫乃にとっては辛いゼニスだ。シールドを直接墓地に送られたり、逆に手札や場のクリーチャーをシールドに埋めさせられたりと、一体出て来るだけで損害は大きい。
(でも、相手の手札とマナにゼニスはないはずだから、まだ大丈夫)
確かに、ゼニスが出て来る可能性はそこまで高くない。しかし姫乃は、もっと注意深くクトゥグアのカードを見るべきだった。
特に、今のS・トリガーでマナに置かれたカードを。
「ターン終了だよ」
「なら……私のターン」
静かにカードを引くクトゥグア。その瞬間、彼女の口元がほんの少しだけ緩んだ。
「やっぱり余裕。このまますべて焼き尽くす」
「え……?」
嫌な予感がする。悪寒が背筋を走り抜け、姫乃に戦慄と焦燥を覚えさせる。
「呪文《戦慄のプレリュード》。このターン、次に召喚する無色クリーチャーのコストは5軽くなる。さらに《空腹の超人》の効果発動」
空腹の超人 自然文明 (4)
クリーチャー:ジャイアント/アンノイズ 4000
無色クリーチャーを自分のマナゾーンから召喚してもよい。
マナゾーンから無色クリーチャーを召喚できるようになる、《空腹の超人》の能力は単純明快だ。しかし、それゆえに強力である。
「《空腹の超人》の効果で私のマナゾーンから、《戦慄のプレリュード》の効果で4マナ払い、無色クリーチャーを召喚」
《戦慄のプレリュード》が奏でる旋律と《空腹の超人》の雄叫びにより、マナゾーンから禁じられた龍の姿を為した、偽りの神が舞い上がる。
「新たなる時代を焼き払え、そして飛翔する——《神青輝 P・サファイア》」
神青輝 P(プログレ)・サファイア 無色 (9)
クリーチャー:オラクリオン 9000+
スピードアタッカー
パワーアタッカー+3000
T・ブレイカー
このクリーチャーが相手のシールドをブレイクする時、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに見せる。相手はその中から、「S・トリガー」を持つカードをすべて自身の手札に加え、その後、残りを墓地に置く。(相手はその「S・トリガー」を使ってもよい)
T・ブレイカー
遥か上空より大地に降り立ったのは、プレミアム殿堂となった禁じられた龍《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》がオラクリオンとなった姿——《神青輝 P・サファイア》だった。
「《P・サファイア》……ゼニスじゃない……?」
完全に思い違えていた。ゼニスだと思っていたら、出て来たのは重量級オラクリオン。ゆえに、マナに落ちた《P・サファイア》の存在を見落としてしまっていた。
「うぅ……確かに《P・サファイア》は強い。でも、わたしの場にはブロッカーがいるし、守りながら攻めて行けばなんとかなるよね……?」
「ならない」
姫乃の言葉を、クトゥグアはばっさりと切って捨てる。
「《P・サファイア》の能力はシールドをブレイクする時に発動する。ブロッカー対策も、怠ってない」
「……? で、でも《パーフェクト・マドンナ》は簡単には除去できないよ。パワーを下げられちゃったら破壊されちゃうけど、自然とゼロ文明じゃそれはできないはず……」
「パワー低下だけが、《マドンナ》の対策じゃない」
言って《クトゥグア》は、手札からカードを一枚抜き取る。
「呪文《がっつりガッツマン》」
がっつりガッツマン 自然文明 (2)
呪文
このターン、バトルゾーンにある自分のクリーチャー1体のパワーは+4000され、そのクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーにブロックされない。
「ア、アンブロッカブル……!?」
予想外のカードに、驚きを隠せない姫乃。
アンブロッカブル、つまりブロックされないようにする能力は、基本的に水文明の得意分野、稀に光文明でもこの能力を持つものがいる。しかし自然文明でも、あるパワー以下のクリーチャーや、攻撃クリーチャーよりパワーの低いクリーチャーなど、条件がつけばこの能力を得ることもあるのだ。
「呪文の対象は当然《P・サファイア》。これで《P・サファイア》のパワーは13000、そしてパワー13000未満のクリーチャーにはブロックされない」
当然だが、姫乃の場にパワー13000以上のクリーチャーなどいない。どうしても、このターン《P・サファイア》の攻撃を止めることはできないのだ。
低い唸りを上げる偽りの神を前にして、姫乃は不安を掻き立てられる。
「あ、ぅ……ちょっと、危ないかも……」