二次創作小説(紙ほか)

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.360 )
日時: 2014/01/25 09:39
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 流とハスターのデュエルは、かなり停滞していた。
 というのも、流だけでなくハスターも起動が遅いデッキのようで、まだお互いにマナチャージとマナ加速しかしていない。
 流の場にはなにもなし。《ガチンコ・ルーレット》でマナを増やし始めている。
 ハスターの場には《緑銅の鎧》が一体。《フェアリー・ライフ》も合わせてマナを加速させている。
「俺のターン。呪文《ガチンコ・ルーレット》」
 前のターンに回収した《ガチンコ・ルーレット》を再び使用する流。マナを一枚増やし、ガチンコ・ジャッジを行う。
 流はコスト10《「武」の頂 マキシマム・ザ・マックス》、ハスターはコスト4《パーロック》。
「ガチンコ・ジャッジに勝利したので、《ガチンコ・ルーレット》は手札に戻る。そしてもう一度、《ガチンコ・ルーレット》」
 再三行われるガチンコ・ジャッジ。流はコスト7《真実の名 アカデミアン》、ハスターもコスト7《神聖祈 パーロック》。
 ガチンコ・ジャッジに連続で勝利し、手札を減らさないまま7マナも溜めてしまった流。マナの数ではリードしているが、それでも鋭い視線をハスターのデッキに向けていた。
「……《神聖祈 パーロック》のデッキか」
「あ、ばれた? って言っても、マナゾーンとさっき捲ったカードを見れば一目瞭然だよね。このデッキはコンボパーツでデッキの中身が分かっちゃうのがネックなんだよねー。まったく、師団長はなんでぼくにばっかこんなデッキ渡すんだろうね? ま、ニャルやクトゥじゃ使えないだろうけどさ、こんなのは。そう考えればこれはぼくに向けた、ぼくにとってはおあつらえ向きのデッキとも言えるかも——」
「ターン終了だ」
 長々とお喋りを始めたハスターの言葉を遮り、ターン終了を宣言する流。
「……みんな冷たいなぁ。まあいっか、ぼくのターン」
 わざとらしく肩を竦めるハスター。口で言うように、言葉を遮られてもそこまで気にしているようには見えない。
「呪文《ダンシング・フィーバー》。山札の上から六枚を見て、そのうちの三枚をマナゾーンに置くよ」
 一気に3マナも加速され、流を追い抜かしてしまう。置かれたマナはタップ状態になるので、このターンはこれ以上なにもできないが。
「…………」
 普通、コンボを軸としたデッキは十分なマナが必要だ。コンボを完成させるために必要なだけのマナを溜めなくてはいけない。
 《神聖祈 パーロック》はかなり癖が強く、コンボ向きのカードだ。これでハスターのマナは9マナになったため、そろそろ警戒が必要だろう。
「……これで行くか」
 流はとりあえず、ハスターのコンボを止めるために、妨害することにした。コンボデッキは基本的に妨害に弱いので、まずハスターの戦略を瓦解させて、なにもできないような状態にしてから仕留めるのだ。
「呪文《戦慄のプレリュード》」
 これで次の召喚する無色クリーチャーのコストが5軽くなる。その後、流は残った5マナをすべてタップし、手札のカードを一枚抜き取った。
 《プレリュード》で5マナ軽くなり、5マナ払ったということは、召喚されるのは10マナのクリーチャー。そして、10マナということは、

「すべての知識を奪い尽くせ——《「智」の頂 レディオ・ローゼス》!」

 やはり、ゼニス。
 《「智」の頂 レディオ・ローゼス》は、その名の通り、すべての知識のう頂点に立つ存在だ。味方にはあらゆる知識を授けるが、《レディオ・ローゼス》と相対することになれば、そのものはすべての知識を吸い尽くされてしまうことだろう。
「《レディオ・ローゼス》の召喚時の能力発動。俺はカードを五枚引き、お前は手札を五枚捨てろ」
 直後、《レディオ・ローゼス》の背後にある四つの砲門がすべて開かれ、そこから白く輝く光線が発射された。そのうちの一発は流のデッキに直撃し、五枚のカードを吹き飛ばす。流は舞い上がるそれらのカードを全て掴み取った。次に残った三つの光線は、すべてハスターの手札に直撃し、こちらも吹き飛ばす。しかし吹き飛んだ先は墓地だ。
 召喚時に自分は五枚もの手札を補充し、相手には五枚もの手札を捨てさせる能力を持つ《レディオ・ローゼス》。場に出せれば、最大で十枚ものアドバンテージを得られる、まさに天頂と言えるような存在。
 このデッキに大切なのはマナだけではなく、コンボのためのパーツ、即ち手札も重要だ。そのため、手札破壊は特にコンボデッキが相手だと、いつも以上の効果が発揮されることがある。
「うわ、手札全部捨てさせられたし」
 だが、手札を一気に削り取られたというのに、ハスターはあまり悔しそうな表情はしていなかった。どころか、この状況を嘲笑うかのような笑みを浮かべている。
「……ターン終了だ」
 その笑みに不気味さを感じながら、流はターンを終える。
「じゃあぼくのターン……って言っても、手札がないとやっぱり辛いねぇ」
 だから、と引いてきたカードを表向きにしながらハスターは続ける。
「ちょっと手札補充しようかな。呪文《クローン・ファクトリー》でマナゾーンのカードを二枚回収するよ。回収するのは《クリスタル・メモリー》と《キリモミ・スラッシュ》。そして回収した《クリスタル・メモリー》を発動。山札から好きなカードを手札に加えて、ターンエンドだ」
 《クリスタル・メモリー》はクリーチャーでも呪文でも、クロスギアでも城でもなんでもサーチできるため、相手に見せる必要がない。コンボデッキだと情報も重要なアドバンテージ、逆に言えば手の内が透けてしまえば大きなディスアドバンテージになってしまう。
「…………」
 手札のカードを見つめる流。《レディオ・ローゼス》で大量の手札が増えたが、これらはまだ手の内に持っておきたい。
「ならば……《宿命のディスティニー・リュウセイ》を召喚。山札から《超絶奇跡 鬼羅丸》をサーチ」
 ハンデスのお陰でハスターの動きは鈍っている。いまのうちに攻め、コンボが発動する前に倒すのが得策だ。マナゾーンを見る限り、ハスターのデッキに除去系のS・トリガーはほとんどなさそうなので、攻めるのは簡単だ。
「《レディオ・ローゼス》でTブレイク!」
 一気の三枚のシールドを吹き飛ばす《レディオ・ローゼス》。しかし、割ったシールドのうち一枚が、光の束となって収束していった。
「S・トリガー発動《ディメンジョン・ゲート》! 山札から《黒神龍エンド・オブ・ザ・ワールド》を手札に加えるよ」
「……くっ」
 少し勝負を焦ったかもしれないと、流は反省する。《エンド・オブ・ザ・ワールド》、その能力を考えれば、明らかにハスターのデッキにおける重要なコンボパーツだろう。偶然S・トリガーで出たとはいえ、それを与えてしまった。
「さ、僕のターンだ。君がプレゼントしてくれた《黒神龍エンド・オブ・ザ・ワールド》を召喚!」


黒神龍エンド・オブ・ザ・ワールド 闇文明 (7)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ 7000
E・ソウル
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札を見る。その中から3枚選び、残りをすべて墓地に置き、その後、選んだ3枚を好きな順序で山札に戻す。
W・ブレイカー


 世界を終わらせる黒き龍が召喚された。