二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.363 )
- 日時: 2014/01/26 07:53
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
演奏と真剣のLIVE(ヴァーミリオン・プレッシャー・ライブ) 水/火 (6)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
相手のパワー3000以下のクリーチャーをすべて破壊する。その後、こうして破壊したクリーチャー1体につき1枚、カードを引いてもよい。
突如、どこからか凄まじいシャウトが響き渡り、《プリンプリン》を除くクトゥルーのクリーチャー六体がまとめて消し飛んだ。
「クリーチャーを六体破壊したため、カードを六枚ドロー! さらに《カーリ・ガネージャー》でWブレイクだ!」
クトゥルーの小型獣を一気に薙ぎ払うだけでなく、大量の手札も得た亜実。マナも前のターンで十分に溜められているので、かなり有利に場を進めることができるようになるだろう。
「……S・トリガー《DNA・スパーク》」
あと一押しというところで攻撃を止められるのも嫌なので、《グレンニャー》は殴り返しの憂き目に遭うが、ここは先に《DNA・スパーク》の仕込まれたシールドを割っておく。
「ターンエンドだ」
豊富な手札とマナ、シールドもまだ五枚フルにある。対するクトゥルーは、マナこそ多いが、ドローソースを失い、小型クリーチャーもまとめて消し飛ばされてしまっている。
そう見ると、亜実が非常に優勢に見える。実際、その通りだ。
だが、相手は帝国四天王。ただの逆境は、逆境にはならない。
「……《コットン》を召喚」
まずはブロッカーを並べるクトゥルー。そして、
「《神聖斬 アシッド》を召喚」
遂に現れたオラクリオン、《アシッド》。むしろ今まで登場するのが遅すぎたくらいだ。
「《プリンプリン》でシールドをブレイク」
「シールドブレイク……?」
また怪訝な目をクトゥルーへと向ける亜実。《プリンプリン》が攻撃するのは《アシッド》の能力発動に必要な生贄を用意するためだろうが、それなら《グレンニャー》を攻撃してもよかったはず。亜実は今、大量手札があるので、手札が一枚増えてもあまり変わらないが、逆に言えばその大量の手札から大量展開を考えるはずである。
だからここは、手数を少しでも減らしておくべきであり、《グレンニャー》を殴り返すのがベターなのだが、クトゥルーはそうはしなかった。
(なにを企んでいる……?)
極端に口数が少ないため、クトゥルーの真意がまったく読み取れない。表情にも変化はなく、たまに見せる不可解なプレイングも合わせて不気味だ。
「ターン終了……《アシッド》の能力発動」
生贄となるのは、タップされている《プリンプリン》。そして山札から、コスト7以下の無色クリーチャーが呼び出される。
「《神聖騎 オルタナティブ》をバトルゾーンに。《カーリ・ガネージャー》のパワーを6000下げる」
「くっ、《カーリ・ガネージャー》はやられたか……!」
パワーがゼロとなった《カーリ・ガネージャー》は破壊される。しかし《オルタナティブ》を出すつもりだったのなら、やはり《グレンニャー》も破壊し、場を殲滅しておくべきだったように思える。
「だが、《グレンニャー》が残っていて助かったな。一体でもクリーチャーが残っていれば、このマナ数でも行ける」
亜実は手札からカードを一枚抜き取り、叩きつけるように《グレンニャー》に重ねる。
「《グレンニャー》進化! 《魔水晶スタートダッシュ・リバイバー》!」
亜実のデッキの切り札の一枚、《スタートダッシュ・リバイバー》。墓地のカードはあまり多くないが、この場合は特に問題はない。
「《スタートダッシュ・リバイバー》の能力で墓地から《惨劇のアイオライト》をバトルゾーンに。そして《アイオライト》進化! 《永遠のジャック・ヴァルディ》!」
永遠のジャック・ヴァルディ 闇/火文明 (4)
進化クリーチャー:スピリット・クォーツ 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分の多色クリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手の多色ではない、コスト5以下のクリーチャーを1体破壊するか、バトルゾーンにある相手の多色ではない、コスト5以下のクロスギアを1枚選んで持ち主の墓地に置く。
W・ブレイカー
「《ジャック・ヴァルディ》の効果で《コットン》を破壊! さらに墓地の《ディス・メルニア》を進化、《死神術士デスマーチ》!」
これで亜実の場には、このターンに攻撃できるクリーチャーが三体。うちWブレイカーは二体いるので、《アシッド》でブロックされたとしても残り二枚のシールドを割り、そのままダイレクトアタックを決めることが可能だ。
「このまま終わらせるぞ。《スタートダッシュ・リバイバー》でWブレイク!」
これ以上デュエルを長引かせたくもないので、亜実はこのターンで決めにかかる。まずは《スタートダッシュ・リバイバー》で残るクトゥルーのシールドをすべて粉砕。S・トリガーはない様子。ならば、もう勝ったようなものだ。
「続けて《ジャック・ヴァルディ》で攻撃、ダイレクトアタックだ!」
もしこの攻撃を《アシッド》に止められたとしても、まだ《デスマーチ》が残っているため、とどめを刺すことはできる。
しかし、ブロックするクリーチャーが《アシッド》でなかった場合は、その限りではないが。
「……ニンジャ・ストライク。《光牙忍ハヤブサマル》を召喚。《ハヤブサマル》をブロッカーにする。《ハヤブサマル》でブロック」
「っ!」
その時、クトゥルーと《ジャック・ヴァルディ》の間に一つの影が割って入り、《ジャック・ヴァルディ》槍が止められた。だがそれを止めたのは《アシッド》ではない。ニンジャ・ストライクで飛び出した《ハヤブサマル》だ。
「ニンジャ・ストライク……!」
どうやらシノビを握っていたようだ。クトゥルーのブロッカーは軒並みブロックせずに破壊されていったが、ここで初めて、クトゥルーへの攻撃を防いだ。唐突に現れた《ハヤブサマル》は《ジャック・ヴァルディ》の槍に貫かれて大破する。
「防がれたか……なら、これ以上の攻撃はしない。ターンエンドだ」
とどめまでは行けなくなってしまったが、どちらにせよクトゥルーのシールドはゼロ。亜実の手札にはスピードアタッカーや、他の進化クリーチャーもいるので、次のターンこそはとどめを刺せるだろう。
そのためにはクトゥルーのターン、彼が攻撃を仕掛けてきた場合に凌ぐ必要がある。クトゥルーの場には大型クリーチャーはい二体いるが、一応《デスマーチ》はブロッカーなので、いざとなれば犠牲になってもらえばいい。
そう、高を括っていたが、
「《神聖麒 シューゲイザー》を召喚」
クトゥルーは《シューゲイザー》を召喚。これで彼の場には《アシッド》《オルタナティブ》《シューゲイザー》と、三体のオラクリオンが立ち並んだ。
さらに《シューゲイザー》の効果が発動する。
「マナゾーンから《緑銅の鎧》をバトルゾーンに出す。《緑銅の鎧》の効果で山札から《聖忌祭 レイヴ・ディアボロス》をマナゾーンに置く」
この時、亜実はなにか嫌な感じ、悪寒のようなものを覚えた。なにか巨大な存在が迫り寄ってくるような感覚。その存在によって、なにかが崩されそうな予感。昔からこの直感はあまり外れたことがない。
ゆえに今回もその直感が当たっていると、直感的に感じていた。そしてその直感が当たってしまうことは、すぐに証明される。
「呪文《母なる星域》。《緑銅の鎧》をマナゾーンに置く」
「《星域》……ということは……!」
そのカードを見れば、直感などに頼らずともクトゥルーの魂胆が見えてくる。この呪文を唱える直前に、彼はマナゾーンにあのカードを置いているのだ。
「《シューゲイザー》進化」
そして、《星域》から時代の終わりを告げる神が降臨する。
「衰亡せし時代に終焉を、世界に新たな調和を。全ての始まりたる無に、全ての事象を為せ——《聖忌祭 レイヴ・ディアボロス》」